秋風のさむき朝けに来にけらし雲にきこゆる初雁のこゑ(玉葉和歌集)
霧はれてあさ日うつろふ山の端(は)の雲にすぎゆく初雁のこゑ(新続古今和歌集)
みねこえて今ぞ鳴くなるはつ雁の初瀬の山の秋霧の空(夫木抄)
ふるさとのあさぢが末は色づ きてはつ雁がねぞ雲に鳴くなる(玉葉和歌集)
ものや思ふ雲のはたての夕ぐれに天(あま)つ空なる初雁のこゑ(続千載和歌集)
初雁のはつかにこゑを聞きしより中ぞらにのみものを思ふかな(古今和歌集)
雲がくれ鳴きてゆくなる初雁のはつかに見てぞ人は恋しき(金槐和歌集)