踏みわくる跡よりほかは旅人のかよふ方(かた)なき野べの白雪(続千載和歌集)
やすらはば猶(なほ)ぞつもらむ降る雪にしひてや越えむ冬の山道(新拾遺和歌集)
高砂の尾のへも雪にうづ もれて道たえぬらむ志賀の山越え(夫木抄)
降るままに跡(あと)絶えぬれば鈴鹿山雪こそ関のとざしなりけれ(千載和歌集)
いづ くにか今宵はさ寝(ね)むいなみ野のあさぢが上も雪ふりにけり(新後拾遺和歌集)
松が根に尾花かりしきよもすがら片敷く袖に雪は降りつつ(新古今和歌集)
ひとり寝(ぬ)る草の枕はさゆれども降りつむ雪をはらはでぞ見る(後拾遺和歌集)
山おろしに猪名の笹原ふぶきして寝覚めがちなる雪の下臥し(三井寺新羅社歌合)