「涙(なみだ)片敷(かたし)く」という用語は「涙を流しながら腕や肘(ひじ)を枕にして一人で寝る。」という語釈で、日本国語大辞典・第二版では、『玉葉和歌集』(1312年)からの例を早い例としてあげていますが、100年以上さかのぼる用例があります。
独ねのなみだかたしき床ふりて幾度袖をくたしかふらん
(民部卿家歌合、久恋、十四番、212)
『新編国歌大観 第五巻 歌合編 歌集』角川書店、1987年、332ページ
※巻末解題によると、この歌合は建久6年(1195)に催されたとのことです。
千百五十四番 右 家長
かきくもりあめふるやどのあきかぜになみだかたしきこよひかもねむ
(千五百番歌合、2307)
『新編国歌大観 第五巻 歌合編 歌集』角川書店、1987年、485ページ
※千五百番歌合は、1202-03年成立。