「冬ざれ」という単語の用例は、日本国語大辞典・第二版では、『砌塵抄』(1455年頃)からの例が早いのですが、さかのぼる用例が複数あります。
冬されの枯野(かれの)の草にぬく玉(たま)とみゆるは夜(よ)はの時雨(しぐれ)なりけり
(297・元永元年十月十一日内大臣忠通歌合、雨後寒草、4)
『平安朝歌合大成3』同朋舎出版、1996年、1848ページ
冬ざれにうきたつ雲は小野山ややくすみがまの煙なりけり
(延文百首、藤原経顕、冬十五首、炭竈、1769)
『国歌大観4』角川書店、1986年、568ページ
冬されの枯のヽ草にふる霰玉はちれとも音の聞えぬ
(巻第三百七十二・菊葉和歌集、第六)
『続群書類従14上』続群書類従完成会、1983年、271ページ
冬されの野へのかれふにふく嵐小篠にさやくおとはかりして
(42・後崇光院1・沙玉集、264)
和歌史研究会編『私家集大成 5巻(中世3)』明治書院、1983年、467ページ
冬ざれの枯野をさむみかる人も嵐にのこる萱がした折(40・永享百首、冬十五首、寒草、580)607ページ
冬ざれのをののしの原うちそよぎ雪げの雲に霰ふるなり(40・永享百首、冬十五首、霰、616)608ページ
『新編国歌大観4』角川書店、1986年
音に聞法のはやしの冬されに心の月のさはらすもかな
左うた。法のはしの冬され。鶴村日枯樹をおもへるにや。功徳林のこゝろなるへくは。冬されいかゝとおもへはんへり。(略)
(巻第百四十・前摂政家歌合、冬釈教)
『続群書類従15上』続群書類従完成会、1979年、318ページ