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「冬の日」用例

2015年12月18日 | 日本国語大辞典-は行

 「冬の日」という用語には「冬の、鈍く弱々しくさす太陽。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、俳諧『笈の小文』(1690-91年頃)からの例が添えられていますが、さらに、300~400年ほどさかのぼる用例が複数あります。以下新しい順にあげます。

時雨れ行く雲まによはき冬の日のかげろひあへずくるゝ空哉(巻第八・冬、734、藤原為相)
岩佐美代子『風雅和歌集全注釈・上巻(笠間注釈叢刊34)』笠間書院、2002年、513ページ

文保百首歌奉りける時 //芬陀利花院前関白内大臣 //はれくもり/まなくしくるゝ/冬の日の/影さたまらて/くるゝ空かな //
(続後拾遺和歌集巻第六・00414)~国文学研究資料館HPの二十一代集データベースより
(ちなみに同一作者の文保百首和歌には、かなりの異同があり、日文研の和歌データベースでは「はれくもり-あかすしくるる-ふゆのひの-ひかりすくなく-くるるそらかな 」となっています。)

冬の日の影ともばかりかつきえてかたへこほれる庭の白雪(38・文保百首、法印定為、冬十五首、3063)
『新編国歌大観 4 私家集編2、定数歌編 歌集』角川書店、1986年、536ページ

はれくもり雲間にうつる冬の日のはやく過ぎぬる村時雨かな(37・嘉元百首、権大納言局/藤原為世女、2650)
『新編国歌大観 4 私家集編2、定数歌編 歌集』角川書店、1986年、504ページ