monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「室(むろ)の早早稲(はやわせ)」という用語

2016年05月28日 | 日本国語大辞典-ま行

 「室の早早稲(むろのはやわせ)」という用語は日本国語大辞典・第二版では「室の中で苗を育てたため収穫の早い稲。《季・秋》」という語釈となっていますが、秋の季語というわけではなさそうです。日国用例として採られている「栄花物語」の和歌は、『平安朝歌合大成2』(1995年、同朋舎出版)1028ページに載っており、永承六年五月五日の内裏根合の際に詠まれた「早苗」題で夏の歌題の和歌です。
 和歌の検索をすると、秋の収穫期の和歌もありますが、歌語として先に使用されたのは、苗を植える段階の夏の和歌のようです。
 秋限定の用語ではないので、語釈としては「室の中で苗を育てたため収穫の早い稲。また、その苗。」とまとめたら、よいのではないでしょうか。俳句のための季語設定をしなくてはならないのならば、語釈を二つに分けなくてはならなくなります。

早苗 右
早乙女(さをとめ)の山田(やまだ)の代(しろ)に下(お)り立(た)ちていそぐ早苗(さなへ)や室(むろ)のはや早稲(わせ)
(146・永承六年五月五日 内裏根合、十巻本、6)
『平安朝歌合大成2』同朋舎出版、1995年、1028ページ

津の国の室の早わせ出でずとも注連をばはへよもると知るがね
(古今和歌六帖、第五)
『校註国歌大系 第九巻』国民図書、1929年、453ページ

みたやもり-てたまもゆらに-いそくなり-けふのさなへや-むろのはやわせ
(延文百首・00825)~日文研の和歌データベースより

 秋の季語としての用例を挙げるなら、以下の和歌があります。

秋田 師継
我か門のむろのはやわせかりあけておくてにのこるひたの音かな
(わかかとの-むろのはやわせ-かりあけて-おくてにのこる-ひたのおとかな )
(宝治百首:秋・01456)~日文研の和歌データベースより

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日国友の会へ投稿している用例が

2016年05月28日 | 日本国語大辞典

 日国友の会へ投稿している用例で当ブログにアップしている記事が100を超えたので、カテゴリーを細分して、「あ行」「か行」というふうに分けました。

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