monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「ならぶかたなし」という用語

2016年05月29日 | 日本国語大辞典-な行

 「ならぶかたなし」という用語は、「比類ない。比べようのない。」という語釈になりますが、日本国語大辞典・第二版には立項していません。
 見つけた用例を古い順に並べて挙げます。

いけ水につがはぬをしのうきまくらならぶかたなき恋もするかな
(197・千五百番歌合、2424)
『新編国歌大観 第五巻 歌合編、歌学書・物語・日記等収録歌編 歌集』角川書店、1987年、490ページ

なかにまた-ひとをはふせし-かみかきや-ならふかたなき-まろねなりとも
(長明集(鴨長明集)・74)~日文研HPより

まことに大やけとなり給はずはこれよりまさること何事かあらむとにぎはゝしくはなやかさはならぶかたなし。
(増鏡)~国文学研究資料館HPより

中にも昭君は。ならぶ方なき美人にて。帝の覚えたりしなり。
(謡曲・昭君)~サイト「半魚文庫」より

相手は主人の弟で、殿上でも当時ならぶ方のない頼長である。さすがに情(すげ)なく突き放して逃げるわけにもいかないので、玉藻もよいほどにあしらっていると、頼長はいよいよ図に乗って、ほとんど手籠めにも仕兼ねまじいほどのみだらな振舞いに及んだ。
(岡本綺堂「玉藻の前」法性寺・一)~青空文庫より

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