大平さんの追悼をもう少し続けます。
「駅馬車」のシーンから少しだけセリフをご紹介します。
大平さんの役は飲んだくれの医師、ブーン先生です。
他も名優ぞろいですね。(声も向こうの俳優さんも)
***
馬車の中でのシーンからです。
ピーコック(清川元夢)、ブーン先生(大平透)
ピーコックの帽子がシャーロックホームズみたいですね??(笑)
リンゴ・キッド(納谷悟朗)
宮川: お前があのリンゴキッドか。
納谷: 友達はリンゴって呼んでるよ。キッドはニックネームさ。本名はヘンリーだ。
大平: ヘンリー。えー、わしは君の家族知っとる。足を折ってわしが見てやったの君じゃなかったか?馬から落ちたとか言って。
納谷: ブーン先生かい?
大平: その通りだ。あれは確か私が軍隊除隊になったばかりの頃だったな。反乱軍のいくさが終わって。
北村: 南部同盟軍と言って頂きたいですな。
大平: わしゃあそんな軍隊は知らん。
納谷: 足を折ったのは俺の弟さ。ぐうたら先生だったが、腕は確かだった。
大平: いやありがとう。仕事で褒められるのは嬉しいもんでな。
清川: はあ、同感。
大平: それでわしが足を直してやったその弟はどうした。
納谷: 殺されたよ。
頭取(宮川洋一)、ルーシー(鈴木弘子)
ダラス(武藤礼子)、頭取(宮川洋一)
ハットフィールド(北村弘一)
***
有名な映画ですが、突き詰めると、駅馬車に乗ってローズバーグへ行くと言う話しですよね。
それなのに面白いから、本当に凄いと思います。
皆さんの演技力も最強でした。小林昭二さんの「駅馬車」の吹き替えは存在しません。
ジョン・ウェインの代表作を一度はお演りになりたかったのではないでしょうか。
私は悟朗さんのジョン・ウェインでは「駅馬車」が一番好きです。
***
<2018年12月31日追記>
スクリーン誌のインタビューで小林昭二さんが「駅馬車」を吹き替えた事があると仰っていたそうです。(向こう水様情報)
こちらに記事を載せました。
https://blog.goo.ne.jp/nayagorofan/e/97ea1632f489e0d97ea16fb15ff0f94f
***
ジョン・ウェインの吹き替えに関して、大平さんがお話なさっていた事がありました。(「とり・みきの映画吹替王」14ページ)
『私はこういものはディレクターの好みでやるんじゃなくて、お客さんのイメージ、お客さんの耳にしっかり残っているものを大切にすべきだと思いますよ。
たとえばジョン・ウェインが納谷悟朗に代わっても、納谷悟朗も、もちろん上手いですけど、でもやっぱり小林昭二はそれなりのものを持っていた。
あれはたんなる局と小林昭二とのちょっとしたトラブルで降ろされちゃっただけのことですから、そういうものがあっちゃいけないという気がするんですよ。
そういうものを乗り越えて、やっぱりお客さんあっての、視聴者があってのテレビなんだからと思います。(後略)』
大平さんはお客さんが第一と仰って下さっていますね。
悟朗さんがダメと仰っている訳ではなくて、お客さんが一番欲している物を・・・と仰っているのだと思います。
吹き替えファンには有難いお言葉だと思いました。
***
「駅馬車」
Stagecoach 1939年 米
1975年12月28日(日) NET 日曜洋画劇場
リンゴ・キッド(ジョン・ウェイン):納谷悟朗
ダラス(クレア・トレバー):武藤礼子
カーリー(ジョージ・バン・クロフト):川久保潔
ルーシー(ルイズ・フラット):鈴木弘子
医師(トーマス・ミッチェル):大平透
頭取(バートン・チャーチル):宮川洋一
バック(アンディ・デヴァイン):相模太郎
ハットフィールド(ジョン・キャラダイン):北村弘一
ピーコック(ドナルド・ミーク):清川元夢
鎗田順吉、仲木隆司、水鳥鐵夫、上田敏也、田中康郎、今西正男
渡辺典子、石森達幸、緑川稔、島木綿子、鈴木れい子
***
*ウィキペディア、IMDb他