5日間程、東京に滞在した。
伊達で12回目の秋を迎え、
すっかり当地での暮らしに慣れた私にとって、
大都会は、全てにわたり刺激的だった。
たまたまだが、北海道の食とは違う
うまい味に出会ったのもその1つだ。
その1
長男は小田急線千歳船橋駅から、
3つ目のバス停近くで暮らしている。
徒歩でも10数分程度だが、
道に慣れてない上に、
キャリーバックを引きずっている私たちは、
いつもバスを利用する。
初めてバス停を降りた時から、
歩道の反対側にある古びた構えの店が気になった。
明らかに昔から地元にある老舗蕎麦店と言う雰囲気で、
後から分かったが、暖簾には『蕎亭仙味洞』とあった。
当然、なんと読めばいいのか迷ったが、
『キョウテイセンミドウ』でいいらしい。
今年2月に上京した時、
ついに長男を誘い家内と3人で、遅い昼食だったが暖簾をくぐった。
重たい格子ガラスの玄関を開けると、
4,5人のカウンター席と、2人用のテーブル席があった。
奥の座敷を勧められた。
4人用の小上がり席が4つあった。
薄暗い畳敷きは、私たちで満席になった。
テーブルにあったメニューの他に、
壁にも10種程のメニューが貼ってあった。
壁のメニューは蕎麦よりもうどんの方が多かった。
他の店では見ない名が並んでいた。
俄然、興味が湧いた。
まずはメニューが多いうどんに決めた。
そして壁のメニューを指さし、店員さんに「あれ」と、
『法論味うどん』を注文した。
冷たいつけ汁とうどんの組み合わせだった。
今までに食べたことのない味だった。
そして10月、再びそのバス停に降りた。
暖簾のかかった古びた店構えを見て、
もう一度あのうどんを食べてみようと思った。
同じように遅い昼食になったが、
2月と同じ小上がり席に3人で座った。
注文を聞きにきた店員さんに、
メニューの『法論味うどん』を指さし、
「何て読むの?」と尋ねた。
「ほろみうどんです」と教えてくれた。
家内と私はそれにした。
長男は、これまた聞き慣れない『常夜うどん』の温かいのを頼んだ。
手元のメニューをみると、
『法論味噌仕立ての汁につけてお召し上がり下さい』
と『法論味うどんの解説があった。
味噌味ベースのあっさりした汁に、
スライスしたキュウリが沢山のっていた。
その汁に冷たいうどんをつけて食べた。
猛暑でも、すいすいすいすいと箸がすすむ、
ちょっと不思議な美味しさだった。
「これはうまい!」。
思わず言っていた。
長男の『常夜うどん』だが、
やや浅めのどんぶりに卵でとじたうどん、
その上に生卵の黄身がのっていた。
寒い冬に打ってつけのように思えた。
冬に来る機会があったら、これにしようと決めた。
他のメニューにも、好奇心がかき立てられた。
その2
昭和46年春に東京暮らしを始めた。
すぐに学校の先輩に誘われて、有楽町ビルにある万世拉麺店へ行った。
そこの『特選パーコ麺』が大好きになった。
伊達に居を移してからも、
東京に行くたびに、有楽町へ足が向いた。
そして、いつも「特選パーコはうまいなあ」と満足した。
だから、今回も行くことにした。
混雑するお昼時をさけて、ビルに入ってすぐの階段を降り、
地下1階へ、そして店の前まで。
するとそこはシャッターで仕切られ、薄暗かった。
「6月30日で閉店」の張り紙が1枚だけあった。
すぐには立ち去れなかった。
都内に何店かある万世拉麺の1号店だと聞いていた。
指を折ってみた。
時々だったが、52年間も通い続けた店だった。
また私の終止符が1つ増えた。
ビルを出ると、空腹も手伝って、
自然と新しいらーめん店を探していた。
当てのないまま、ブラブラと駅周辺を歩いた。
そして、向かった先が、交通会館の地下だった。
イタリアンレストランや立ち食い寿司店が並んでいた。
その一角に、カウンター席が7脚だけのラーメン店があった。
満席のうえ、10人ほどが周りを囲んで並んでいた。
日頃は、並んでまで食べたりしない私が、
迷うことなく列の後ろについた。
私の番まで30分以上はかかった。
じっと待った。
カウンター内では、2人の店員さんが淡々とラーメンを作り続けた。
狭いスペースで無駄なく手際のいい動きに見とれた。
自販機で求めたチケットは、
私も家内も『和風柳麺』だった。
魚介出汁の食べやすいラーメンだったが、
客の列は途切れず、
ゆっくりと味わうゆとりが欲しかった。
ふと両隣を盗み見ると、『和風柚子柳麵』だった。
食べ終えてから、家内に「次回は、あれにする」と言った。
「きっといつだって並んでるよ。それでもいいの?」。
「どんな味か、ちょっと興味が・・」。
並んででも食べてみようとすることに、
私自身も驚いていた。
チケット自販機の横に、
『和風ラーメン麺屋ひょっとこ』の看板があった。
甘味処の名店が出している店だという。
さて、私にとって『特選パーコ麺』の二世になるか。
その3
東京滞在中に、食事会が2回あった。
ゴルフ友達のご夫妻、もう1つは児童文化研究会の仲間らとだった。
最寄り駅は違ったが、どちらも小洒落たレストランだった。
ワインなどを飲みながら、お店がお勧め料理を注文し、
それがなくなると追加注文しながら、3時間ほどを過ごした。
どちらの会も、上京した私がゲストだった。
だから、私から料理を注文することはなかった。
全くの偶然だが、2つの食事会で『アヒージョ』がテーブルに載った。
私にははじめてのメニューだった。
スペイン料理で、ニンニクを入れたオリーブ油に、
魚介や野菜などの具材を加えて煮込んだ小皿料理だと言う。
具材を味わうほか、油にバゲットをひたして食べるのが定番らしかった。
1つ目の具材は、数種類の貝と根菜。
もう1つは、小エビだけだった。
以前の私なら、初物は「食わず嫌い」のため、
決して食べなかった。
しかし、今は違う。
熱々の小鉢から取り分け、恐る恐るだが食べてみた。
貝も根菜も、そして小エビも中々の味だった。
勧められるままに、アヒージョのオリーブオイルに
パケットをひたし食べてみた。
初めての味だったが、その美味しさに驚いた。
料理法を訊くと、
スーパーで「アヒージョのもと」が売っていると言う。
簡単に家庭でも作れるとか・・・。
「それは楽しみ!」。
ますます嬉しくなった。
モンスターウルフ登場 ~野生動物 震える~
伊達で12回目の秋を迎え、
すっかり当地での暮らしに慣れた私にとって、
大都会は、全てにわたり刺激的だった。
たまたまだが、北海道の食とは違う
うまい味に出会ったのもその1つだ。
その1
長男は小田急線千歳船橋駅から、
3つ目のバス停近くで暮らしている。
徒歩でも10数分程度だが、
道に慣れてない上に、
キャリーバックを引きずっている私たちは、
いつもバスを利用する。
初めてバス停を降りた時から、
歩道の反対側にある古びた構えの店が気になった。
明らかに昔から地元にある老舗蕎麦店と言う雰囲気で、
後から分かったが、暖簾には『蕎亭仙味洞』とあった。
当然、なんと読めばいいのか迷ったが、
『キョウテイセンミドウ』でいいらしい。
今年2月に上京した時、
ついに長男を誘い家内と3人で、遅い昼食だったが暖簾をくぐった。
重たい格子ガラスの玄関を開けると、
4,5人のカウンター席と、2人用のテーブル席があった。
奥の座敷を勧められた。
4人用の小上がり席が4つあった。
薄暗い畳敷きは、私たちで満席になった。
テーブルにあったメニューの他に、
壁にも10種程のメニューが貼ってあった。
壁のメニューは蕎麦よりもうどんの方が多かった。
他の店では見ない名が並んでいた。
俄然、興味が湧いた。
まずはメニューが多いうどんに決めた。
そして壁のメニューを指さし、店員さんに「あれ」と、
『法論味うどん』を注文した。
冷たいつけ汁とうどんの組み合わせだった。
今までに食べたことのない味だった。
そして10月、再びそのバス停に降りた。
暖簾のかかった古びた店構えを見て、
もう一度あのうどんを食べてみようと思った。
同じように遅い昼食になったが、
2月と同じ小上がり席に3人で座った。
注文を聞きにきた店員さんに、
メニューの『法論味うどん』を指さし、
「何て読むの?」と尋ねた。
「ほろみうどんです」と教えてくれた。
家内と私はそれにした。
長男は、これまた聞き慣れない『常夜うどん』の温かいのを頼んだ。
手元のメニューをみると、
『法論味噌仕立ての汁につけてお召し上がり下さい』
と『法論味うどんの解説があった。
味噌味ベースのあっさりした汁に、
スライスしたキュウリが沢山のっていた。
その汁に冷たいうどんをつけて食べた。
猛暑でも、すいすいすいすいと箸がすすむ、
ちょっと不思議な美味しさだった。
「これはうまい!」。
思わず言っていた。
長男の『常夜うどん』だが、
やや浅めのどんぶりに卵でとじたうどん、
その上に生卵の黄身がのっていた。
寒い冬に打ってつけのように思えた。
冬に来る機会があったら、これにしようと決めた。
他のメニューにも、好奇心がかき立てられた。
その2
昭和46年春に東京暮らしを始めた。
すぐに学校の先輩に誘われて、有楽町ビルにある万世拉麺店へ行った。
そこの『特選パーコ麺』が大好きになった。
伊達に居を移してからも、
東京に行くたびに、有楽町へ足が向いた。
そして、いつも「特選パーコはうまいなあ」と満足した。
だから、今回も行くことにした。
混雑するお昼時をさけて、ビルに入ってすぐの階段を降り、
地下1階へ、そして店の前まで。
するとそこはシャッターで仕切られ、薄暗かった。
「6月30日で閉店」の張り紙が1枚だけあった。
すぐには立ち去れなかった。
都内に何店かある万世拉麺の1号店だと聞いていた。
指を折ってみた。
時々だったが、52年間も通い続けた店だった。
また私の終止符が1つ増えた。
ビルを出ると、空腹も手伝って、
自然と新しいらーめん店を探していた。
当てのないまま、ブラブラと駅周辺を歩いた。
そして、向かった先が、交通会館の地下だった。
イタリアンレストランや立ち食い寿司店が並んでいた。
その一角に、カウンター席が7脚だけのラーメン店があった。
満席のうえ、10人ほどが周りを囲んで並んでいた。
日頃は、並んでまで食べたりしない私が、
迷うことなく列の後ろについた。
私の番まで30分以上はかかった。
じっと待った。
カウンター内では、2人の店員さんが淡々とラーメンを作り続けた。
狭いスペースで無駄なく手際のいい動きに見とれた。
自販機で求めたチケットは、
私も家内も『和風柳麺』だった。
魚介出汁の食べやすいラーメンだったが、
客の列は途切れず、
ゆっくりと味わうゆとりが欲しかった。
ふと両隣を盗み見ると、『和風柚子柳麵』だった。
食べ終えてから、家内に「次回は、あれにする」と言った。
「きっといつだって並んでるよ。それでもいいの?」。
「どんな味か、ちょっと興味が・・」。
並んででも食べてみようとすることに、
私自身も驚いていた。
チケット自販機の横に、
『和風ラーメン麺屋ひょっとこ』の看板があった。
甘味処の名店が出している店だという。
さて、私にとって『特選パーコ麺』の二世になるか。
その3
東京滞在中に、食事会が2回あった。
ゴルフ友達のご夫妻、もう1つは児童文化研究会の仲間らとだった。
最寄り駅は違ったが、どちらも小洒落たレストランだった。
ワインなどを飲みながら、お店がお勧め料理を注文し、
それがなくなると追加注文しながら、3時間ほどを過ごした。
どちらの会も、上京した私がゲストだった。
だから、私から料理を注文することはなかった。
全くの偶然だが、2つの食事会で『アヒージョ』がテーブルに載った。
私にははじめてのメニューだった。
スペイン料理で、ニンニクを入れたオリーブ油に、
魚介や野菜などの具材を加えて煮込んだ小皿料理だと言う。
具材を味わうほか、油にバゲットをひたして食べるのが定番らしかった。
1つ目の具材は、数種類の貝と根菜。
もう1つは、小エビだけだった。
以前の私なら、初物は「食わず嫌い」のため、
決して食べなかった。
しかし、今は違う。
熱々の小鉢から取り分け、恐る恐るだが食べてみた。
貝も根菜も、そして小エビも中々の味だった。
勧められるままに、アヒージョのオリーブオイルに
パケットをひたし食べてみた。
初めての味だったが、その美味しさに驚いた。
料理法を訊くと、
スーパーで「アヒージョのもと」が売っていると言う。
簡単に家庭でも作れるとか・・・。
「それは楽しみ!」。
ますます嬉しくなった。
モンスターウルフ登場 ~野生動物 震える~
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