ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

冬 を ど う 過 ご す ?

2019-11-23 19:46:22 | 思い
 ▼ 7年前、伊達に居を構えてすぐ、
家内は、市の情報紙を手がかりに女声コーラスに入った。

 週1回、2時間半の練習だが、いそいそと出掛ける。
そして、帰宅時には、毎回、大きな声で「ただ今~」と、
玄関ドアを開ける。
 その弾んだ声から、楽しさが伝わってきた。

 丁度1年前の今頃だった。
そのコーラスグループが、10数年ぶりに、
「コンサートをしよう」と話が進んだ。

 以来、日程やら会場予約やらに始まり、
発表曲目、そして衣装、ポスター、チケット、プログラム等々
コンサートに向けた準備がスタートした。

 家内にもその仕事の一部が割り振られ、
例年とは違う時を送った。

 9月のコンサートに向け、練習も本格化し、
6月からはその回数も増えた。

 そんな取り組みに対し、私は傍観者でいるだけだが、
その大変さを身近で感じていた。

 例えば、ポスター1つをとっても、
そのデザインだって、外注は費用がかかる。
 だから、身内のその才がある方でまかなう。

 その上、出来上がったポスターは、全員で手分けし、
店先や会館等に張り出してもらうようお願いして回る。
 
 万事が、自分たちでやるしか方法がないのだ。
いいコンサートにしたい。
 それには、コーラスの出来栄えと共に、
多くの方に足を運んでもらうこと。
 それも、メンバー一人一人の重要な役目だった。

 顔馴染みを訪ねては、
「是非、聴きに来てほしいの」。
 チケットを遠慮がちに売るのだ。

 そして、いよいよコンサート当日。
登別に住む実姉と義姉を誘い、会場に行った。
 私の勝手な予想を超えた人たちで、会場は埋まっていた。
それだけで、コンサートの半分は成功だった。

 やがて開演の合図が鳴り、
20数名の女性コーラスが、会場に響いた。
 半信半疑の客席が、次第に聴き入っていった。
拍手に大きさが加わった。

 私も、前のめりなった。
その歌声に、拍手を惜しまなかった。

 約2時間、全てのプログラムを終え、
ステージを去るメンバー1人1人の後姿が、
輝いてみえた。
 きっとそれぞれの達成感が、
そうさせてたのだと感じた。

 『自分たちの歌声を聴いてもらいたい。
そのためにコンサートをする。』
 全員で決めた目標だった。

 それを目指し、心1つに取り組んだ彼女たち。
そのエネルギーと響きに、
私が、刺激を受けない訳がない。


 ▼ さて、その私だが、  
5年前から、11月の最終日曜日は、
「夢の島陸上競技場」にいた。
 『江東シーサイドマラソン』で、ハーフに挑戦するのだ。
しかし、今年は違った。
 エントリーはしたが、抽選にはずれてしまった。

 例年、この時期は、そこでの完走を目指し、
その日が近づくにつれ、朝のランニングにも熱が入った。

 ところが、その目標がないのだ。
案の定、どうも調子がおかしい。
 矢張り、何かがブレている。

 その上、今年は寒さが早い。
すっかり冬である。
 1週間前から、外を走る気力がなえてしまった。

 ふり返れば、健康管理と生活習慣のためにと始めた
ジョギングだった。
 それが、やがてマラソン大会の参加を体験し、
そこでの完走する楽しさを知った。
  
 この7年間、生活の一部になったランニングは、
年5回の大会参加と、そこでの完走という目標があったから続いてきた。
 それを、今、急に原点に立ち返り、
「健康管理と生活習慣のため」と自身に言い聞かせても、
足はなかなか前へ進まない。

 その上、これから寒さは遠慮なしだ。
ついつい「何もせず、冬眠でも・・・。」と逃げ腰になる。
 そんな時季だ。

 でも、だからこそ新たな目標がほしいと強く思おう。
何か、身震いするような目標を探すのだ。

 現職の頃、「いい問題とは、半分分かって、
半分分からないもの。」と、
力説してきた。
 目標も、「出来そうだが、出来そうもない」。
そんな半々のものがいいはずだ。 

 さあて、それはどんなことだ。
答えのないまま、
それでも生活習慣はしっかりと身についている。
 なので、明日は、総合体育館のランニングコースでも、
走ることにしよう。

走りながら、答えに想いを巡らせ、
彼女たちのように、輝く後姿を見てもらえるよう、
「よし!」と思える目標を見つけ、この冬を過ごすことに・・・。


 ▼ 朝日新聞『折々のことば』に、力強い一文があった。
若者の情熱がヒシヒシと伝わってきた。
 私とはかけ離れた世代だが、それでも刺激的で、
この冬に戸惑う私に、熱さを与えてくれた。

  自分で気づいているかどうかにかかわらず、
  人のやることはどれも命懸けなんだ
                  都甲幸治
   将来のあてもないまま、大好きなことを
  やっているんだからと、絶望すれすれのと
  ころでともに楽しんだ日々。若き翻訳家二
  人はやがて別々の道を歩むも、一方は余り
  に早く逝く。その友を思う都甲はこう記す。
  何かをめざすのも拒むのも、萎れるのもへ
  たるのも、希望を失い打ち拉がれるのも、そ
  れぞれに必死であがいているからだ。『今
  を生きる人のための世界文学案内』から。
        2019.11.18
 
 


    木々もすっかり 冬もよう

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