ミミズは声のする方にゆっくり昇っていきました。
冷たい雨が体を冷やしましたが、
心はなんだか少しずつ楽になっていきます。
青虫でなくていいんだよ
赤い実でなくていいんだよ
タンポポでもリンドウでもなくていいんだよ
心の中で誰かがささやきます
ミミズはいつの間にか
白い雲の上に立っていました。
縮こまっていないで思い切り体を伸ばしてご覧
優しい声が聞こえました。
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雨が降ってきました。
雨宿りするところもありません
ミミズは一人ぼっちで
悲しい気持ちで一杯になりました。
そしてもう一歩も動くのもいやになってしまったのです
そんなミミズの上から声が聞こえました。
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誰かに知ってもらいたいと思うたびに
ミミズの背広は相手の色に染まりました。
そして今では数え切れない色が
ミミズの体を覆っているのでした
そして誰もそんなミミズに気付くものはいません。
無数の色が混ざり合って
それはまるで絶望の色のようでした。
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ミミズは誰からも相手にされないので、少し悲しくなりました。
しょんぼり歩いていると、リンドウの花に出会いました。
ミミズは青い色になってリンドウに挨拶しました。
でもリンドウは上を向いたまま応えてくれません。
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野原を歩いていると
お日様のような笑い声が聞こえました。
タンポポの花だったのです。
ミミズはタンポポ色になって言いました。
「こんにちはタンポポさん」
でもタンポポは笑うばかりで
ミミズに応えてくれませんでした。
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青虫になったミミズがやってきたのは
大きな幹から横に伸びた枝の上でした。
そこにはかわいらしい果物が真っ赤な顔をして並んでいました。
ミミズは自分の体を丸めて挨拶をしました。
「こんにちは、友達になりませんか?」
でもミミズの声は果物たちには聞こえなかったのです
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青い樹の葉っぱのうえで
ミミズは立派な青虫に逢いました。
「始めまして青虫さん」
「どなたか知りませんが、急ぎますのでね」
青虫は胸を張ってミミズの横を通り越しました。
ミミズは少し淋しくなりました。
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背広を着たミミズがやってきたのは
青い樹のふもとでした。
自分の姿を
誰かに見てもらいたいな
ミミズは初めてそんなことを思いました。
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