「具体美術に於ては人間精神と物質とが対立したまま、握手している。物質は精神に同化しない。精神は物質を従属させない。物質は物質のままでその特質を露呈したとき物語りをはじめ、絶叫さえする。物質を生かし切ることは精神を生かす方法だ。精神を高めることは物質を高き精神の場に導き入れることだ。」
具体美術宣言のもっとも崇高な人としての本質を貫いたフレーズです。
芸術にいたる世界でも有数の指標ではないかと思 . . . 本文を読む
静かに眼を閉じて瞑想すると
私達は真っ先に心の闇に出会います。
無心になってその闇を楽しむと、そこから様々なものが見えてきます
心が揺らめき動いているのです。
闇はとても澄み切った空間であることが分かります。
その空間を深く深く進んでいくと
闇は宇宙の空間とつながっていることが分かってきます。
私の鉛筆画はこの闇を描いています。
背景の黒は塗っているのではなく、一本ずつ描いた0.5mm . . . 本文を読む
人は誰も自らの命のもとに特殊な存在だ。
平凡の名の下に、十把ひとからげの人生と諦めてはならない。
その平凡こそこの世に一つしかない独自性なのだ。
私はその証明として絵を始め、私の絵画論と出合ったのです。
誰からも省みられない平凡を100%認め、受け入れて愛する。
出発はそこからだ。
平凡を徹して生きはじめたら、いつか平凡が気にならなくなる。
さらに進めばやがて、それが非凡であったことに気付く . . . 本文を読む
具体美術協会のスタイルは常に独創的であることでした。
その心構えは、常に自分自身であり続けるということを意味しました。
人は誰も、自分自身であればそれはおのずと独創的なのです。
この考えは自然に人間賛歌につながってゆきます。
人は何者からも支配を受けない自由を持っている。
人は奴隷ではなく、神そのものだという自覚がその先にはあるのです。
人は誰も、一人の落ちこぼれもなく
等しく自由であり、 . . . 本文を読む
人の真似をしない
具体のもっとも重要な教えでした。
心を描くという私の絵画論にもそれは重要な言葉です。
心は常にその瞬間に独創的で新しいからです。
人の真似はそんな心の自由を奪うものなのです。
あるとき私は、以前ほめられた絵を意識して、知らないうちに同じような絵を描いて頭打ちになっていました。
そのとき師が私に言ったのです。
お前は自分を真似している。
真似をするのが人でも自分でも関係はな . . . 本文を読む
1954年、吉原次良によって結成された具体美術協会は、世界に歴史を残す芸術家集団として有名です。
具体美術宣言はその美術の理念を高らかに掲げた名文でもあります。
具体美術に於ては人間精神と物質とが対立したまま、握手している。物質は精神に同化しない。精神は物質を従属させない。物質は物質のままでその特質を露呈したとき物語りをはじめ、絶叫さえする。物質を生かし切ることは精神を生かす方法だ。精 . . . 本文を読む
私にとって描くとは、描き終えた結果ではなく
線を引くその過程を意味します。それこそが大事なのです。
何を描くのか、その結果を想定しして理想の目標を作ってしまうと
線を引くのは単に目的遂行のためにあることになります。
線は機械的になり自己を失い、心はその目標の牢獄につながれてしまいます。
命の流れが自由の中にあるように
描く行為もまたその命に添うことが大切です。
今瞬間を生きることだけが真実に . . . 本文を読む
若い頃ゴッホの生き方に衝撃を受けました。
本物がそこにあると、あこがれもしました。
恥ずかしながらこれはその頃の自画像です
それを否定するわけではありませんが
今の私の絵画論では
ゴッホに自分の命から出発しなさいといいたいのです。
自分の命を生きたら
激しく自身を問い詰める愚は起こりません。
ブレーキをかけながらアクセルを踏む・・・命を殺すことです。
100%以上の命はありません。
あ . . . 本文を読む
表現の手段として一番単純なものが線です。
その線だけで絵を描くというのは
表現手段を最低限に抑えるということです。
そうすることで心を迷いから解放します。
目的がはっきり定まります。
如何にして心の線を引くのか、それだけを願って絵を描けばいいのです。
ただひたすら線を引く、そこではほとんど上手下手は問題となりません。
私は通勤の電車の中で線を引き始めました。
それが10万枚に達したとき、本に . . . 本文を読む
出来ないことを見つめて苦しむより
出来ることを見つめて喜びの中で生きる
それが芸術の真の姿だと考えます。
私が鉛筆で線を引くという行為だけで絵を描くのは、
どんなに苦しいときでも
線だけは引けるからです。
苦悩の中で線を引く
出来ない出来ないという苦しみの中でも線は引ける
この出来るということだけを見つめ絵を描き続けることが
自分を真実に近づけてくれるのです。
命を生きるということは
連続す . . . 本文を読む