心が砕ける時がある
私の場合、たいてい絵かきとしてやっていけるかという不安が生まれる時だ。
自分はダメだという思いが
様々な想像の中に広がる。
今まで嬉々として動いていた頭が
突然失望のふちに落とされる。
頭脳はもろい
考え方が裏返るだけで私は不幸のどん底にいる。
思考だけで生きたらいかにも薄っぺらな人生というわけだ。
長年の経験から
その思考を受け止めてやることがいいと知った . . . 本文を読む
100%以上の力はない
それ以上の力を出してというのは根拠のない精神論だ。
難しいのは100%の力を出すこと。
欲や望み、不安や苦悩がそれを妨げる。
先の精神論も大きなマイナスの要因になる。
食べるときは食べる者に
眠るときは眠るものに
デッサンするときはデッサンするものに
その純度が値打ちを決める。
純度100%
それ以上はない。
今ある自分を生かし切ること。
それが最高 . . . 本文を読む
師の仏壇に手を合わせた。
線香を焚き、鉦を鳴らした時、
私ははっとして心を打たれた。
澄んだ鉦の一打が瞬間に私の全身を貫いたように感じた。
全身を耳にして
私はその鉦の音の行方を追った。
次第に遠のく音色
それは消えていくのではなく
文字通り遠のいていくのだ。
私はその果ての果てまでついて行こうとした。
そして気付いた。
この感覚はまさに私が今描こうとしている神の光そのものな . . . 本文を読む
心の奥底にある光を取り出したい。
これでいいかと思える作品ので出来栄えに
満足しないまでも
今までは自然に次の作品の構想に流れて行っていた。
結局、最後まで行き着かずに
そこそこいい絵で止まったままだった。
今日、その奥底に降りていく。
休暇を取った。
弁当も作ってもらった。
一日、
神の光を見つめるつもりだ。
. . . 本文を読む
カザルスのチェロに魅かれた時がある
根っこのところで共鳴するような響きに全身が揺れた。
負の塊が揺れ始め
ほぐれてゆく。
いつかCDの世の中になり、針を見かけなくなり、
あのレコード盤は
どこに行ったのだろう。 . . . 本文を読む