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まだ1回目が放送されたばかりで、あゝだ、こうだ論評するのは拙速かもしれない。しかし、原作を読んだ時の感動があまり感じられないので、その原因を考えてみた。このドラマの要諦は、死んだ妻が、残された夫や娘のために「生きるための処方箋」を書き残していた、という話だ。しかし、それだけでは普通の話で、それほどの感動はない。この原作の優れたところは、それを伝え、確かに実行させるためのアバターを登場させるという設定にある。つまり、このドラマの本当の主役は、夫でも娘でもなく、死んだ乙美であり、そのアバターであるイモトだと思う。妻に先立たれて自堕落になった夫とか、亭主の不倫に悩んで離婚を考えている娘の話は、よくあるメロドラマで、それだけではたいして面白いドラマではない。2回目以降、乙美がイモトを通じて、二人にどう働きかけ、どんなサプライズを起こしていくのか、それを映像化する脚本と演出の手腕に注目したい。