「川口」
ときわの穂が
夕風になびいてゐる川口へ来た
あびてゐるみんなの声をとほして
高々と帆をあげる音
吹きとばされさうになつた
帽子をおさへた
沖の光にかもめが飛んだ
これは「赤い鳥」の昭和3年12月号に載った海達公子の詩である。彼女が尋常高等小学校6年の時の作品で、僕は彼女の作品の中でも最も好きな詩の一つだ。これには理由があって、実はこの詩に描かれた情景は僕の原風景といってもいいのである。彼女が行ったという川口というのは、実はどこの川の川口なのかはさだかではない。しかし、僕が幼い頃、夏を過ごした母の実家がある玉名の大浜。この菊池川川口一帯には、この詩に描かれた情景そのままがあった。そして公子も女学校時代、親友とともに大浜までの菊池川下りを楽しんでいる。
(注)
・ときわ・・・ときわすすき。すすきに似ているが夏に咲くイネ科の植物。
・あびてゐる・・・水浴びをしている。
旧川口辺りから新大浜橋を望む
ときわの穂が
夕風になびいてゐる川口へ来た
あびてゐるみんなの声をとほして
高々と帆をあげる音
吹きとばされさうになつた
帽子をおさへた
沖の光にかもめが飛んだ
これは「赤い鳥」の昭和3年12月号に載った海達公子の詩である。彼女が尋常高等小学校6年の時の作品で、僕は彼女の作品の中でも最も好きな詩の一つだ。これには理由があって、実はこの詩に描かれた情景は僕の原風景といってもいいのである。彼女が行ったという川口というのは、実はどこの川の川口なのかはさだかではない。しかし、僕が幼い頃、夏を過ごした母の実家がある玉名の大浜。この菊池川川口一帯には、この詩に描かれた情景そのままがあった。そして公子も女学校時代、親友とともに大浜までの菊池川下りを楽しんでいる。
(注)
・ときわ・・・ときわすすき。すすきに似ているが夏に咲くイネ科の植物。
・あびてゐる・・・水浴びをしている。
旧川口辺りから新大浜橋を望む