2月も明日で終り、いよいよ春本番。一月半ほどで牛深ハイヤ祭の季節がやって来る。
ところで「牛深ハイヤ節」の前唄といわれる「牛深三下り(さんさがり)」。実は「ザ・わらべ」の踊りを見るまで、僕はこの唄の存在すら知らなかった。妙に心に残るこの唄について調べてみた。ところが、図書館に行ったり、ネットで調べても、この唄についての情報はほとんどない。ただ、レコードやCDは、ソーラン節で有名な伊藤多喜雄さん他数名が出しているようだ。そこで、僕なりの推測も加えながら「牛深三下り」の謎に迫ってみた。
まず、題名は「牛深さんさがり」であって「みくだり」ではない。「みくだりはん」なんて言葉があるから、つい「みくだり」と読んでしまいそうだ。意味は三味線の三弦を一音下げることらしい。つまり、三味線のチューニングのことだ。こうして弾くと粋な音色になるらしい。「三下り」と付いた民謡は他県にも数多く存在する。
次にこの唄の起源だが、本唄の「ハイヤ節」が江戸時代、船の往来により海の道を通じて全国に広まり、「佐渡おけさ」や「越中おわら節」や「阿波踊り」などのルーツになったのとは異なり、他の地方から伝来したもののようだ。船乗りか、旅芸人か、流れてきた遊女などが伝えたのかもしれない。
唄のモチーフは、江戸時代の情死事件を題材にした歌舞伎や落語でもおなじみの「明烏夢泡雪(あけがらすゆめのあわゆき」。吉原の遊女・浦里と富豪の息子・時次郎との悲恋物語だが、調子の良い切口説を使っているだけで、ほとんどナンセンスソングに近い。「都々逸(どどいつ)」の部分と「囃子唄(はやしうた)」の部分とで構成されており、囃子唄の部分には天草弁も使われている。おそらくお座敷での座興唄として遊郭などで歌われていたものだろう。こんなことを考えながら聞いてみると、また味わい深い。
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浦里 嘆けば みどりも嘆く もらい泣きする 明け烏
今来たニセさん よかニセさん 縞の財布を 投げ捨てて
開けてみたれば 質屋の質札
声高や もすこし話を 静かにしゃんせ 障子一重が ままならぬ
権現山の山椒の木 ぶらりと下がりし 藤の花
しかと抱きついて 落てついたもんだよ
浅い川じゃと 小褄をからげ 深くなるほど 帯を解く
あこりゃ あこりゃ あこりゃ こりゃこりゃ こんにゃく屋
味噌をつけたら田楽屋 白箸持って来い ちょいと挟み
あこりゃ こりゃ・・・
(注)歌詞は聴き取りなので間違っているかもしれない。
ところで「牛深ハイヤ節」の前唄といわれる「牛深三下り(さんさがり)」。実は「ザ・わらべ」の踊りを見るまで、僕はこの唄の存在すら知らなかった。妙に心に残るこの唄について調べてみた。ところが、図書館に行ったり、ネットで調べても、この唄についての情報はほとんどない。ただ、レコードやCDは、ソーラン節で有名な伊藤多喜雄さん他数名が出しているようだ。そこで、僕なりの推測も加えながら「牛深三下り」の謎に迫ってみた。
まず、題名は「牛深さんさがり」であって「みくだり」ではない。「みくだりはん」なんて言葉があるから、つい「みくだり」と読んでしまいそうだ。意味は三味線の三弦を一音下げることらしい。つまり、三味線のチューニングのことだ。こうして弾くと粋な音色になるらしい。「三下り」と付いた民謡は他県にも数多く存在する。
次にこの唄の起源だが、本唄の「ハイヤ節」が江戸時代、船の往来により海の道を通じて全国に広まり、「佐渡おけさ」や「越中おわら節」や「阿波踊り」などのルーツになったのとは異なり、他の地方から伝来したもののようだ。船乗りか、旅芸人か、流れてきた遊女などが伝えたのかもしれない。
唄のモチーフは、江戸時代の情死事件を題材にした歌舞伎や落語でもおなじみの「明烏夢泡雪(あけがらすゆめのあわゆき」。吉原の遊女・浦里と富豪の息子・時次郎との悲恋物語だが、調子の良い切口説を使っているだけで、ほとんどナンセンスソングに近い。「都々逸(どどいつ)」の部分と「囃子唄(はやしうた)」の部分とで構成されており、囃子唄の部分には天草弁も使われている。おそらくお座敷での座興唄として遊郭などで歌われていたものだろう。こんなことを考えながら聞いてみると、また味わい深い。
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浦里 嘆けば みどりも嘆く もらい泣きする 明け烏
今来たニセさん よかニセさん 縞の財布を 投げ捨てて
開けてみたれば 質屋の質札
声高や もすこし話を 静かにしゃんせ 障子一重が ままならぬ
権現山の山椒の木 ぶらりと下がりし 藤の花
しかと抱きついて 落てついたもんだよ
浅い川じゃと 小褄をからげ 深くなるほど 帯を解く
あこりゃ あこりゃ あこりゃ こりゃこりゃ こんにゃく屋
味噌をつけたら田楽屋 白箸持って来い ちょいと挟み
あこりゃ こりゃ・・・
(注)歌詞は聴き取りなので間違っているかもしれない。