
ニュースによればウサイン・ボルトが、先日香川選手が入団したばかりのイングランドの名門サッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドに入団を希望しているという。どこまで本気なのかもわからないし、そもそも彼にどの程度のサッカー経験があるのかもわからないので何とも言いがたい。そう言えば過去には100mの金メダリストの中でオリンピックの後、他のプロ競技に転身した人も何人かいた。一番印象深いのは東京オリンピックの100m金メダリスト、ボブ・ヘイズ(米)だ。彼はプロフットボールのダラス・カウボーイズに入団し、ワイドレシーバーとして活躍した。東京オリンピックの開催期間中、彼と神宮外苑で遭遇したことがある。テレビで見るよりもだいぶ小さく見えた。プロフットボール入りのニュースを見た時は、あの体で大丈夫なんだろうかと心配したものだ。東京の次のメキシコ・オリンピックの100m金メダリスト、ジム・ハインズ(米)もプロフットボールへ進んだがこちらは成功しなかった。あの頃はまだ陸上競技がプロスポーツとして成立していない時代だったから、彼らはオリンピックが終わったら、生活のためにフットボールなどの世界に進まざるを得なかったのだろう。翻って今は、ボルトクラスのトップアスリートは陸上で十分生活できるのではないだろうか。だからボルトの真意がどこにあるのかよくわからない。
余談になるが日本でも東京・メキシコ両オリンピックの日本短距離のエースだった飯島秀雄さんはメキシコ・オリンピック後、代走専門としてプロ野球の東京オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)に入団したが成功しなかった。また同じく東京オリンピックに出場したやり投げの三木孝志さんは肩の強さを買われて某プロ野球球団から入団を誘われたと聞く。