
今から1300年前に書かれ、日本最古の歴史書と言われる「古事記」は、江戸時代後期の国学者・本居宣長(もとおりのりなが)が執筆した「古事記伝」によって注釈が加えられ、以後今日まで古代史研究の基礎となっている。その本居宣長の原本は現在一部しか残っていないが、その写本が唯一全巻残っているのが山鹿で神職を務めていた帆足長秋(ほあしちょうしゅう)とその娘・京(みさと)が書写した写本というわけだ。写本実物の展示とともに帆足父娘が山鹿からはるばる伊勢松坂の本居宣長のもとを訪れ、書写して行く様を、まだ15歳ながら才気煥発な京をフィーチャーしたショートムービーが映写された。吉崎真美さんのナレーションに聴き入りながら、ふと僕自身の懸案事項にひとつのヒントを得た思いがした。それについてはまた後日。

帆足長秋・京の像(山鹿市立博物館)