徳島県の名物行事「阿波おどり」が揉めているらしい。このまつりを運営してきた徳島市観光協会と徳島新聞それと徳島市の間で、昨年から累積赤字や運営方法について揉めているという話はテレビ情報などで聞いていたが、今度は、新たな主催者となった阿波おどり実行委員会と踊り手を束ねる阿波おどり振興協会との間にも揉め事が起きたというのだ。いったいどんな決着をみるのかわからないが、基本的にまつりは市民のもの。権力によって差配されるべきではないと思う。
僕は本場の「阿波おどり」は見たことがない。東京勤務の頃、高円寺に住む同僚の女子から勧められて「高円寺阿波おどり」を見たことがある。たかが「もどき」だろうと思っていたらとんでもない、なかなか本格的なまつりで驚いた。熊本でもイベントに招かれた徳島の「阿波おどり」の一団が踊っているのを見たこともある。「阿波おどり」には、400年の歴史というキャッチコピーがつく。しかし、今日のような形が出来上がったのはこの何10年かのことだろう。民俗学に大きな足跡を残した折口信夫は、昭和4年の著書「盆踊りの話」の中で、「阿波の徳島の念仏踊り」と表現していて、現在の「阿波おどり」とはだいぶ様相を異にしていたことが窺える。下のポスターは昭和9年の「阿波おどり」のポスターで、タイトルも「阿波盆をどり」となっているのは興味深い。今日の隆盛をもたらしたのは各連の指導者とメンバーの弛まぬ努力、そしてそれを支えた市民の熱い盛り上がりがあったのだろう。
10年前、徳島を旅した時の、現地の心やさしい人々を思い出すと、この騒動が市民が納得いく形で収拾することを願ってやまない。それはそうと熊本のまつりは大丈夫か?

昭和9年の「阿波盆をどり」ポスター
僕は本場の「阿波おどり」は見たことがない。東京勤務の頃、高円寺に住む同僚の女子から勧められて「高円寺阿波おどり」を見たことがある。たかが「もどき」だろうと思っていたらとんでもない、なかなか本格的なまつりで驚いた。熊本でもイベントに招かれた徳島の「阿波おどり」の一団が踊っているのを見たこともある。「阿波おどり」には、400年の歴史というキャッチコピーがつく。しかし、今日のような形が出来上がったのはこの何10年かのことだろう。民俗学に大きな足跡を残した折口信夫は、昭和4年の著書「盆踊りの話」の中で、「阿波の徳島の念仏踊り」と表現していて、現在の「阿波おどり」とはだいぶ様相を異にしていたことが窺える。下のポスターは昭和9年の「阿波おどり」のポスターで、タイトルも「阿波盆をどり」となっているのは興味深い。今日の隆盛をもたらしたのは各連の指導者とメンバーの弛まぬ努力、そしてそれを支えた市民の熱い盛り上がりがあったのだろう。
10年前、徳島を旅した時の、現地の心やさしい人々を思い出すと、この騒動が市民が納得いく形で収拾することを願ってやまない。それはそうと熊本のまつりは大丈夫か?

昭和9年の「阿波盆をどり」ポスター