徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

花若ぁ~!

2018-07-30 15:08:24 | 音楽芸能
 「狩野琇鵬三回忌追善能」は、友枝昭世、山本東次郎という二人の人間国宝の出演もあって見ごたえ十分だった。なかでも主演目の「望月」は琇鵬先生が27年前に熊本で演じて以来、初めてご子息の了一さんがシテを務めるという大曲。仇討モノの現在能なのでとてもわかりやすかった。そして、何よりも僕の心をとらえて放さなかったのは子方の花若を演じた大島伊織くん10歳。その堂々とした舞台姿に感動した。既にこの役を何度か演じているらしいが、彼の発する科白や動きは自信に満ち溢れていた。同年代の孫息子を持つ僕としてはウルウルせずにはいられない。シテ方喜多流能楽師・大島輝久さんのご長男で将来が楽しみだ。

【あらすじ】
 信濃国の安田庄司友春に仕えていた小沢刑部友房は、都にいる間に、主君の友春が亡くなったことを知ります。友春は、同国の(従弟の)望月秋長と口論になった結果、秋長から討ち取られてしまったのです。友房は、望月の息のかかった者が、自分の命を狙っているのを伝え聞き、宿場町である守山の宿に入り込み、甲屋(かぶとや)という宿の主人になり、日々を送っていました。
 一方、安田庄司友春の妻と子の花若は、故郷を追われて放浪の身となっていました。ある日、二人は守山の宿にたどり着き、たまたま甲屋に泊まります。友房は、二人が今は亡き主人、友春の妻子であることに気づき、名乗りを上げて、二人と再会を喜び合います。
 ちょうどその時、都での用事をすませた望月秋長の一行が、守山宿を訪れ、甲屋に泊まることになります。友房は、敵の望月が自分の宿に来たことを知って驚き、天の与えた機会と思い、友春の妻子に告げて、仇討ちの計画を練ります。友房は、友春の妻子を盲目の女芸人の一行に仕立て上げ、望月のいる座敷に上げ、自分は酒を持って宴を囲むと見せかけて、望月に近づきます。友春の妻が謡い、花若が鞨鼓を舞い、友房が獅子を舞うなどして芸を尽し、酒を飲ませて望月の油断を誘います。友房は、酔いもまわって眠気がさした様子の望月を襲い、花若とともに斬り伏せて、仇討ちの本望を遂げます。(the能ドットコムより)