熊日新聞の連載コラム「私を語る」は昨日から、上通町の古書店、舒文堂河島書店の店主・河島一夫さん。この古書店は熊本にいた頃の夏目漱石が足しげく通った店として知られている。第2回目の今日のコラムに注目すべきことが書かれていた。河島さんの曾祖母は出町の米穀商・塩津家から嫁入りされたとのこと。能楽師・塩津清人さんは曽祖父の甥にあたるという。塩津家は現在、清人さんの長男哲生さんと、その息子圭介さんが能楽師として東京を拠点に活躍しておられる。中学で僕の1級上だった哲生さんや圭介さんが出演された舞台は何度か拝見したことがある。新聞を読んだ後、散歩のついでに出町の事情に詳しい曽我薬局を訪ねた。曽我さんは母を通じて旧知の間柄である。曽我さんはまだ新聞を読んでおられなかったが、塩津家や昔の出町の話に花が咲いた。僕らが子どもの頃は大久保醤油(現フンドーダイ)の工場があっていつも醤油の匂いが漂っていたこと。江戸時代の京町番所の遺構として残っていた外堀のこと。昭和時代の町制変更で出町の範囲が狭くなってしまったこと等々。昔の出町の風景が懐かしくよみがえってきたひと時だった。

今日の出町の様子
塩津圭介さん「道成寺」を披く

今日の出町の様子
塩津圭介さん「道成寺」を披く