
NHKアーカイブスでドラマ「今朝の秋」が放送された。20年前に初めてこのドラマを見た時、それまでに見たすべてのテレビドラマの中でベストワンだと思ったが、20年経った今日見ても、その評価はいささかも揺るがなかった。映画でいうなら小津安二郎の作品に近いが、どの小津映画にも負けていないと思う。それもそのはず、作:山田太一、演出:深町幸男、音楽:武満徹と、その分野の超一流が組んでいる。しかも完璧なキャスティングにはあらためて感心させられる。老いや死や家族という普遍的なテーマを取り上げたこのドラマは、20年経った今日でも全く古さを感じさせない。いつの日かDVD化されることを期待したい。
【あらすじ】
蓼科の山荘で一人静かに余生を送っていた老人(笠智衆)は、ある日、東京の一人息子(杉浦直樹)が、がんで余命いくばくもないことを、息子の嫁(倍賞美津子)から知らされる。入院先の病院に駆けつけたものの、何をすることもできない。同じく息子の病気を聞いて駆けつけた、20年前に別れた妻(杉村春子)と再会するが、二人の溝はいまだに深く、反発し合う。ある日、老人は息子を病院から連れ出し、蓼科の山荘に向かうのだが・・・。
【 作 】 山田太一
【音楽】 武満徹
【演出】 深町幸男
【出演】 笠智衆、杉村春子、杉浦直樹、倍賞美津子、樹木希林、加藤嘉、名古屋章、谷村昌彦ほか