世界のメルヒエン図書館5 火の馬/小澤俊夫:編訳/ぎょうせい/1981年
終盤までは通常のパターンですが、最後にどんでん返しがある昔話です。
年とった貴族に三人の娘がいました。娘がどれだけ勇敢か試してみたいと思った貴族は、娘が男の着物を着て馬に乗って冒険にでかけると、橋の下にかくれ、娘がとおるとき、おそいかかります。娘はおどろきのあまり気をうしない馬から落ちてしまいます。
二番目の娘もどうように気をうしってしまいます。
末娘は、たづなをしっかりひきしぼり、橋をわたりきると、そのまま旅に出ます。
騎士の格好をした娘は、カーンの息子がよめにもらいたと思っていた娘に、かわりに結婚の申し込みにいくことを承諾します。この娘は、ゆうれいの番兵にみはられていて、だれももうしこみにいけなかったのです。
でかけた途中、草原の火の海から、三びきのヘビの子をすくいだしてやります。
ここからは、動物報恩談で、ヘビの母親が力を貸してくれます。
最初は黒馬で、目的の娘を連れ出すことができます。
ところが、この娘が、いろいろ条件をだし、その条件をクリアできないと、カーンの息子とは結婚の約束ができないといいだします。
ヘビの母親の力をかりて、七つのかぎのついたトランク、海の底からめすの水牛をつれだすことに成功した末娘でしたが、水牛をつれだすとき、呪いの言葉で、男にかえられてしまいます。
水牛の乳の中を泳ぎ切ることができたら、その人と結婚するというので、カーンの息子と、ゆうれいの番兵にまもられていた娘は、おけの両はしから泳ぎだしますが、煮立った乳のなかでカーンの息子は死んでしまいます。
カーンの息子が死んでしまったので、こうなったらしかたがないと末娘は娘と結婚することになりました。
出だしが兄弟でも成り立つ昔話ですが、姉妹が登場しますから、途中、男にかえられてしまう伏線があります。同性婚をさけるため、男にかえられたのでしょうか。
同性同士の結びつきはあまり表には出ませんが、古くからあるので、遠慮する必要もなさそうですが・・・・。