どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

大晦日の客・・新潟

2019年11月07日 | 昔話(北信越)

      日本昔話記録4/新潟県南蒲原郡昔話集/柳田國男編 岩倉市郎採録/三省堂/2006年

 

 大晦日にたずねてくるのは、借金取りばかりではありません。

1 大晦日に、貧乏な爺さと婆さのところへ、ひとりの汚げな座頭ん坊がやってきて、一夜の宿をたのみます。

 爺さと婆さが「食べるものもないが、それでもよかったらなじょも泊まっていっておくんなさい」といって、三人で四方山話をして寝たといし。

 あくる朝、形ばかりの雑煮もできたので、座頭ん坊を起こしにいくと、何の返事もなかったので、ふとんをまくってみると、座頭ん坊はいつのまにか黄金の牛になっていたてんか。おかげで爺さと婆さは、一晩のうちにたいした長者になることができたと。

 次に出てくるのは、たちのわるい爺さと婆さ。

 翌年の大晦日に、「今夜中に隣の村にいかねばならん」という、座頭ん坊をみつけ無理やり泊まらせることに。朝、雑煮もできたので、座頭坊に「起きてくらっせ」と声をかけると、座頭坊は「ハイハイ」といって、雑煮をいっぱいご馳走になってでていってしまいます。

2 大晦日の晩に、まずしい爺さと婆さのところへ、みすぼらしいお寺さんがきて泊まらせてくれようたのみます。

 ところが、この村の庄屋さんは大変厳しい人で、そういう人は泊めてはならんといっていました。それでも気の毒に思った爺さと婆さは、こっそり泊めてやります。

 翌日、お寺さんは、二つの丸薬をだし「一つはいますぐ二人で分けて飲んでおくんなさい。残りの一つはだれかくれという者があったら、そのものにやんなさい」といって、でていきました。

 爺さと婆さが、丸薬を飲むと不思議なことに二人はたちまち二十ぐらいの昔に若返ります。庄屋のところへ年始の挨拶にいったところ、庄屋はたまげて、残りの丸薬をわけてくれるようたのみます。庄屋は親子四人で分けて飲んだところ・・・・。

 

 この話では、大晦日は”年夜の晩”と表現しています。またお寺さんは”お坊さん”。地方によって表現のしかたも様々です。