さんねん峠/李錦玉・作 朴民宜・絵/岩崎書店/1981年
朝鮮の昔話ですが、少し前に語りで聞きました。1981年の発行ですから、もっと聞く機会があってもおかしくありません。
さんねん峠には、「ころんだならば三年きりしか生きられぬ」という、いいつたえがありました。
みんなころばないようにおそるおそる歩いていましたが、あるおじいさんが、夕焼け空がくらくなったとき、石につまづいて ころんでしまいました。「わしの寿命は、あと三年だ」と寝込んでしまったおじいさん。
ごはんも食べず、薬を飲んでも、病気はおもくなるばかり。
そこへ水車屋のトルトリがやってきて、もういちどさんねん峠でころぶようにいいます。
はやく、しねというのかというおじいさんに、「一度転ぶと、三年いきるんだろ。二度ころべば六年、三度ころべば九年・・・」というトルトリ。
そこでおじいさんは、さんねん峠にいき、わざと ひっくりかえり、ころびました。
するとどこからか歌がきこえてきます。
”一ぺんころべば三年で、十ぺんころべば三十年、百ぺんころべば三百年 こけて ころんで ひざついて しりもちついて でんぐりがえり 長生きするとはこりゃ めでたい”
おじいさんは すっかりうれしくなって、ころりんところんで、すっかりげんきになりました。
話はシンプルですが、歌にリズムがあって情景がうかんできました。
さんねん峠からのながめは、すみれや、たんぽぽ、ふでりんどう、れんげつつじのさく頃は、ためいきがでるほどでした。
最後、おじいさん、おばあさん、それにねこやおんどりが踊っていて、おまけにもぐらまで顔を出しているのは絵本ならではです。
小学校3年生の教科書にのっているようですが、絵本を見るともっと興味がわくかもしれません。