どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

さんねん峠

2019年11月22日 | 絵本(昔話・外国)

    さんねん峠/李錦玉・作 朴民宜・絵/岩崎書店/1981年

 

 朝鮮の昔話ですが、少し前に語りで聞きました。1981年の発行ですから、もっと聞く機会があってもおかしくありません。

 さんねん峠には、「ころんだならば三年きりしか生きられぬ」という、いいつたえがありました。

 みんなころばないようにおそるおそる歩いていましたが、あるおじいさんが、夕焼け空がくらくなったとき、石につまづいて ころんでしまいました。「わしの寿命は、あと三年だ」と寝込んでしまったおじいさん。

 ごはんも食べず、薬を飲んでも、病気はおもくなるばかり。

 そこへ水車屋のトルトリがやってきて、もういちどさんねん峠でころぶようにいいます。

 はやく、しねというのかというおじいさんに、「一度転ぶと、三年いきるんだろ。二度ころべば六年、三度ころべば九年・・・」というトルトリ。

 そこでおじいさんは、さんねん峠にいき、わざと ひっくりかえり、ころびました。

 するとどこからか歌がきこえてきます。

 ”一ぺんころべば三年で、十ぺんころべば三十年、百ぺんころべば三百年 こけて ころんで ひざついて しりもちついて でんぐりがえり 長生きするとはこりゃ めでたい”

 おじいさんは すっかりうれしくなって、ころりんところんで、すっかりげんきになりました。

 話はシンプルですが、歌にリズムがあって情景がうかんできました。

 さんねん峠からのながめは、すみれや、たんぽぽ、ふでりんどう、れんげつつじのさく頃は、ためいきがでるほどでした。

 最後、おじいさん、おばあさん、それにねこやおんどりが踊っていて、おまけにもぐらまで顔を出しているのは絵本ならではです。

 小学校3年生の教科書にのっているようですが、絵本を見るともっと興味がわくかもしれません。