どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おかしのまち

2019年11月17日 | 絵本(日本)

    おかしのまち/作・絵 青山邦彦/フレーベル館/2015年

 

 お菓子屋さんに住みついているてつだいこびとのブラウニーが、お店の材料を全部使ってお菓子の家やお城をつくりはじめました。美味しそうな家とお城ができあがりました。

 いざ、食べようとすると、突然ドアが開いて、ブラウニーたちは あわてて 逃げ出しました。

 なぜブブラウニーは、お菓子のまちをつくることになったのでしょうか?

 それは、腕自慢の店のご主人がでていくように、ブラウニー用のきれいな服をならべてあったのです。

 誇り高いブラウニーたちは、かわそうに思われるのが大嫌い。ご主人をこまらせてやろうとお菓子の家をつくることにしたのでした。

 前にも絵本を見て、お菓子の家を作ろうとしたのですが、主人が戸棚という戸棚にかぎをかけ、毎晩寝ないで 見張りをしてブラウニーにお菓子作りをさせないようにしていました。

 ブラウニーたちは、こっそりお菓子を作るところはみていましたから、おてのものでした。

 主人が寝ずの番で熱を出し、材料が全部なくなったので、お店を休もうとしますが、娘のメグは、お店に並べようと言い出します。

 お菓子は大評判。お店はそれまでにない にぎわいになりました。

 ご主人はお菓子の道具や材料を窓際においてから寝るようになりました、腕比べをしたくなったようです。

 ブラウニーはもどってこないと、おくさんはいいますが、せっかくつくったお菓子の家を食べなかったんだもの、きっともどってくるわとメグはいって、窓をじっとみつめます。

 その窓からのぞいていたのは?

 12ページにわたって、お菓子の家をつくる様子がつづいていて、まあ美味しそうなこと。

 絵も俯瞰したり、みあげたり。

 ブラウニーには、二つの意味があって、ひとつはチョコレートケーキ、もうひとつはスコットランドや北部イングランドで伝承されている伝説上の妖精のことで、民家に住み着いてその家を栄えさせるなど、日本の座敷童子にちかい存在といいます。

 絵本では、ブラウニーに対する礼として衣類を与えてしまうと、働かなくなり家を去ってしまうという伝説がいかされているようです。

 ブラウニーの帽子は糸巻きがあったり、頭の布も個性的な巻き方に描かれています。


ふしぎなおきゃく

2019年11月17日 | 紙芝居(昔話)
     ふしぎなおきゃく/脚本・桜井信夫 画・藤本四郎/童心社 
 
 年越しの夜の不思議なお客、貧乏神の昔話紙芝居です。
 貧乏神が居座るものと福をもたらしてくれるものの二通りありますが、福をもたらしてくれる舞芝居です。
 
 いくら働いていても楽にならず、なげやりになったおとうとおかあが、押入れをあけてびっくり。
 ちいさなやせたじいさまが、ちょこんとすわっていました。でていってくれと頼んでも「やーだ。どんなに たのまれたって、わしゃ いのかんでよ」と貧乏神。
 それならこっそり引っ越しをしようとすると、貧乏神も旅支度。
 
 どこまでも貧乏神がついてくるならと、おかあは、家中をぴかぴかにし、おとうは年の暮れの手伝いをして、よく働いて年越しの晩をむかえます。
 せっかくの年越しそばを貧乏神に上げようと、押入れをあけると、そこには小判の山。
 
 大晦日の話は、これ以外にも多くありますが、たいがい福をもたらすラスト。
 季節感があって、貧乏神も存在感がある紙芝居になっています。
 
 大晦日の夜、囲炉裏をかこみ、おとうがちびりとお酒を口にし、おかあが鍋からお椀によそおっているほのぼのした風景は、日本の原風景でしょう。