どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ちいさなヒッポ

2019年11月18日 | 絵本(外国)

    ちいさなホッポ/マーシャ・ブラウン:作・絵 うちだりさこ・訳/偕成社/1984年初版

 

 絵本の中でも版画の絵を見ると とても落ち着きます。

 それほど色はつかわれていませんが、そのことで逆にゆったりと受けめることができます。そして輪郭線がくっきり。

 子カバのヒッポはいつも おかあさんと一緒。おかあさんといれば、こわいものなし。

 昼は砂地にかさなりあって、ひなた水に うかんだりして、とろとろと ねむってすごします。すすずしい ひぐれになると 草地で 夜が明けるまで 草をたべつづけます。

 言葉を覚える時期になって、おかあさんは大切な言葉をヒッポに教えます。「グァオ」。「こんにちは」は「おんにちは」、「たすけて」は「たっけて」とうまくいきません。。ヒッポは なんども練習します。

 ある日、みんなが眠っているとき、ヒッポはひとりで、うえのあかるいほうに いってみました。水めんに かかっている 木のはと あそびたくなたのです。そこへ、波一つたてずに、金みどりの目がすべりよってきます。ヒッポが 岸によじ登ろうとしたとき、おおきなワニがヒッポのしっぽに かみつき水の底へ引っ張りはじめます。

 「グッ グッ グァオ! たすけて!」さけぶヒッポのさけびごえを ききつけて お母さんカバはワニにおおきなくちにくわえ、ふりまわし、ほうりなげてしまいます。

 カバのお母さんが大きな口をあけているのは迫力満点。

 危機になったとき「グッ グッ グァオ! たすけて!」とちゃんと いえたヒッポでした。

 人間でも、動物でも母さんが子どもを思う気持ちは一緒です。でも子どもを助けたあとに、おこごとを言うのは、自然界の厳しさをおしえているようです。

 カバって、ひぐれから夜が明けるまで草を食べるというのを、はじめて知りました。