どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

たいこ

2019年12月20日 | 絵本(日本)

    たいこ/樋勝朋巳/福音館書店/2019年

 

 トントントトトン トントントトトン、誰かがたいこをたたいています。

 「なかまにいれて」「いいよ」

 トントンポコポコ トントンポコポコ、ふたりでたいこをたたいていると、

 「なかまにいれて」「いいよ」

 もうひとりふえて四人で たいこを たたいていると

 「うるさいぞー ガオー」と、ワニが。

 みんな にげて ワニが たいこを ゴン ゴン ガオーと たたいていると だれかがやってきます。

 たいこの 音に つられて ひとり またひとり。

 トン ポコ ペタ ボン ガオー ゴン

 トン ポコ ペタ ボン ガオー ゴン

 ひとりで たたくより おおぜいで たたいたほうが もりあがります。おどりも とびだしました。

 たいこを たたく 表情が とっても 楽しそうです。


魔法のつぼと魔法の玉・・ドイツ

2019年12月20日 | 昔話(ヨーロッパ)

      メドヴィの居酒屋/世界むかし話 ドイツ/訳・矢川澄子/ほるぷ出版/1979年

 

 昔話には、食べ物や金貨がでてくる まさに魔法が欠かせませんが、この昔話は、ちょっと一味ちがっています。

 たまごをあきなっていた寺男のおかみさんが、きゅうにニワトリがあらかた死んでしまい、最後のメンドリを背かごにいれて、町にでかけた途中にであったのは、白いヒゲをはやした小男。つぼとニワトリをとりかえっこしないかと、もちかけられ、つぼとニワトリをとりかえこします。

 小男は「つぼや、いっぱいになれ!」と となえると つぼがいうことをきいてくれる。ただ洗ったり、日向においたりしないようにしなさい といいます。

 つぼは 長年、一家の役に立ちますが、一回使うとだんだん黒くなります。おかみさんがつぼをきれいにみがくと、純金みたいに輝きますが、小男のいったとおり、魔法の効力がなくなってしまいます。

 こうした昔話では、3度の繰り返しがあります。

 二度目は、亭主が小羊と、小男のもっている玉ととりかえます。

 この玉を役立てようと思ったら、「玉や、ぎょうぎよくして、ぼうしをおとり!」ととなえるとききめがあらわれるが、そのとき窓や戸をあけないように いわれます。

 おしえられた文句をとなえると、なかからたくさんのこびとがあらわれ、テーブルに金の食器やごうかなごちそうをならべたかとおもうと、ふたたび玉のなかに 消えます。みんながたべおわると、ふたたびこびとがあらわれ、あとかたずけです。

 小男の忠告をまもって、大事にしていた玉でしたが、いつのまにやらうわさが広がって、上役にとりあげられてしまいます。

 3度目、二頭の雄牛ととりかえたのは、また玉でした。

 「玉や、ぎょうぎよくして、ぼうしをおとり!」と となえると あらわれたのはふたりの大男。寺男の一家は、こん棒で なさけようしゃなく ひっぱたたかれ、みんな打ちのめされ、床にころがってしまいます。

 寺男は、上役のところに行って、新しい玉を手に入れたことをつたえます。

 寺男が、新しい玉の力を披露すると、ふたりの大男があらわれ、上役を手ほどく打ちのめします。

 上役から懇願され、前の玉をとりもどした寺男でしたが、友達がやってきたとき、玉をまわしていると、誰かが家にはいってきます。すると玉は戸口からさっと外にとびだしてしまいます。

 みんながおいかけると、玉はますますスピードをあげ、おまけに二つにわれて、こびとたちが山へかえってしまいます。

 戸口が開いていたので、もうひとつの玉も外にとびだし、二人の大男も山へ逃げ込んでしまいます。

 物事そんなにうまくいきませんね。

 「玉や、ぎょうぎよくして、ぼうしをおとり!」が、呪文の文句ですが、玉とぼうしというのは何を意味していたのでしょうか。