とらばあちゃんのうめしごと/文・いちかわけいこ 垂石眞子・絵/アリス館/2010年
とらばあちゃん、しり込みする孫に、木登りを伝授。
まずはあたりをみわたすようにいい、あじさい、おとなりのねこ、モチノキの鳥の巣、郵便屋さんをみつけ落ち着いた孫に、梅の実をもぐようにいいます。
そう うめぼしを作るのです。
実を洗い、竹ぐしでヘタを取り、天日干し、大きなかめで うめ、塩、うめ、塩の順に何回か塩漬けしてなかぶたをして、しっかり重しをのせます。
それから二月後、三日三晩 お日さまと夜風にあてて、うめぼしのできあがり。
おばあちゃんのうめしごとには、昔からの言い伝えがあります。
・ほそいえだのさきの梅の実は、かみさまの取り分。
・青うめぐいの はらくだし
・まっているあいだも ごちそうのうち
「ねえまだ?」「ねえまだ?」と何度もいう孫に「まっているのも ごちそうのうち」というおばあちゃんと孫の距離がなんともいえない近さ。
家族のありかたが、かわって おばあちゃんの知恵も 子どもにつたわりにくくなりました。