Mars&Jupiter

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クルト・ワイルの交響曲第2番を聴きながら、メンデルスゾーンとのつながりに気づく

2009-01-18 07:48:20 | 古典~現代音楽ドイツ編
昨日はウォーキングを休みました。
今回取り上げるのは、1900年生まれのワイルの作品。
クルト・ワイルはデッサウで生まれた作曲家である。
「三文オペラ」の作品で有名な彼は、8歳から音楽を学び、
プフィッツナーの弟子アルバート・ビングに師事した。
ベルリン大学に入学し、それと並行しベルリン高等音楽学校に通い、
フンパーディンクに師事したが、学校の雰囲気になじめず、
結局中途退学し、劇場指揮者などの職についたようだ。
その後プロシア芸術アカデミーの作曲科のマスタークラスに入り、
ブゾーニに師事したが、ナチス政権の成立に伴い、
ユダヤ人の彼は1933年にドイツを去り、1935年にアメリカに渡った。
交響曲第2番は1933年から1934年の間に作曲された。
したがって、ドイツを去ってからのちに完成した交響曲である。

第一楽章はソテヌートの導入部を持つソナタ形式の楽章である。
重々しく始まる導入部でトランペットが葬送行進曲風の主題を吹く。
そのあと弦楽器中心に主題が奏され、木管楽器などが加わっていく。
流れるような軽快なテンポで主題は展開されていき、
ヒンデミット風なところやショスタコーヴィッチ風なところがある。
途中現れるクラリネットとトランペット、オーボエとの掛け合いもいい。
再現部のあとは短く、駆け抜けるように一気に終わる。
第二楽章ラールゴもソナタ形式で書かれた楽章である。
悲しみが、孤独感がにじみでるような楽章であり、
葬送行進曲風に展開されていく中で、
チェロなどのソロにより、嘆きの旋律が奏でられ、
一方で救いを求めるようなプロコフィエフ風の甘美な旋律も流れる。
歴史という偶然が彼に及ぼした運命は重く、
その自分の過去を葬って、故国を去らざるをえない心境が伝わってくる。
フルート・ソロが奏でる旋律も淋しそうであり、
しかし覚悟を決めて先に進まなければいけない彼の状況を想像させる。
最後に向け情熱的な盛り上がりをみせ、
そのクライマックスが終わったあとは管楽器ソロにより、
最初の主題が再現され、静かに終わる。
第三楽章アレグロ・ヴィヴァーチェはロンド形式で書かれている。
オーボエとクラリネットなどによる主題ともう一つの主題をもとに
リズミックな音楽が軽快なテンポで展開されていく。
行進曲風の歩みが刻まれて、各管楽器のソロが活躍する。
ここにみられる明るさは、第二楽章とは対照的であり、
イタリアのタランテラ風の明るく狂乱的な中、最後華やかに終わる。

前回のメンデルスゾーン、そして今回のワイルもユダヤ人作曲家である。
そして前回のメンデルスゾーンの「イタリア」の終楽章はタランテラ風。
そしてワイルの交響曲第2番の終楽章もタランテラ風。
そういえばワイルはベルリン高等音楽学校に通っている時期に、
リルケの詩『旗手クリストファー・リルクの愛と死の歌』をもとに
18歳の時に交響詩を作曲し、メンデルスゾーン賞を受けている。
私の音楽体験の中で、不思議なことだが偶然の一致が続いた。
コメント
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