東伏見のコートハウス.4 ~武蔵野の森と屋上テラス~

2011-10-16 16:34:59 | 東伏見のコートハウス

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2階のリビングに続く階段は、さらに上に続いていきます。踏み板だけでできた階段の隙間からは自然光が降りてきて、上に明るい空間があることを予感させてくれます。さらに階段をのぼっていくと・・・。

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この住宅には、屋上にもうひとつ、テラスをつくりました。腰壁をしっかり立ち上げて、周囲からの視線が気にならないようにして、空が印象的なテラスになりました。ゆったりとデッキを敷き、テーブルや椅子も置ける大きさにしました。木造住宅で屋上テラスをつくるには、防水をしっかりと用意周到に設計・施工をする必要がありますが、その価値は十分にあると思います。

周囲が建てこんでいるからこそ、このプライベートなテラスがとても新鮮で、中庭テラスとはまた異なる雰囲気が楽しめそうです。面積の小さな住宅だからこそ、屋外の空間が生き生きとすると、生活空間により一層の広がりが感じられますね。

屋上テラスからは、ところどころに武蔵野の林が望めます。かつては大きかった武蔵野の森も、この近辺ではとても少ないものとなりました。大学時代、池原義郎先生のレクチャーのなかで、所沢聖地霊園を設計されたときのエピソードについて触れられました。そこでは、武蔵野の森をいかに根源的なものとしてとらえるかを話され、ランドスケープと一体化した壁と、図像的な断片とをシークエンスのなかに織り上げながら、武蔵野の森が、無限の奥をもつもの、無限の広がりをもつものとして感じられるように設計されたお話がありました。心のなかに静かに広がる詩情をもって、空間とする。そんなイメージに、ぼくはとても感激しました。

この住宅の施工をしていただいたのは、所沢聖地霊園に程近い場所にある、井上建築工業さん。そんなところにも、不思議なご縁を感じずにはいられませんでした。工事中のいろいろなことを思い返しながら、上の写真のような夕暮れ時に、屋上テラスでビールを飲んだら美味そうだなあと思っていましたが、結局、いまだ叶わず・・・。

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