(2022年1月訪問)
前回記事の中塩原温泉から再び路線バス「ゆ~バス」に乗車し、塩原温泉郷を抜けて野岩鉄道の上三依塩原温泉口駅まで来ました。山を越えて西へ進むと積雪量が一気に増えて、まさに一面銀世界、雪国の景色そのものです。所在地としては栃木県ですが、ちょっと北へ行けばすぐ福島県会津地方ですから、土地の雰囲気としては下野というより会津に近いものがあるように思います。
ざて、上三依塩原温泉口駅から野岩鉄道の上り電車に乗車。やってきたこの電車は特急「リバティ」浅草行ですが、野岩鉄道線内は各駅に停車し、乗車券のみ(特急券不要)で利用可能でなんですね。
20分弱の乗車を経て川治湯元駅で下車し、川治温泉で日帰り入浴を試みます。
どこのお風呂に入ろうかしら、と足取り軽く温泉街へ向かったのですが、コロナ禍の影響により市営「薬師の湯」は残念ながら休業中。温泉街の旅館数軒を訪ねたのですが、やはり日帰り入浴を断られてしまい、万事休すかと諦めかけていたとき、受け入れてくれたのが・・・
「リブマックスリゾート川治」でした。
看板に躍る「源泉かけ流し」の文字が頼もしいですね。
駐車場の片隅には足湯が設けられていましたが、訪問時は閉鎖中でした。
おそらく閉鎖は冬期のみではないでしょうか。
フロントで日帰り入浴をお願いしますと、快く入れ入れてくださいました。
以前こちらの宿は「蘭綾(らんりょう)」という名称の旅館でしたが、2017年5月に閉館。それをリブマックスが買い取ってリノベーションし、同年6月に再オープンしました。現在の運営となってからはまだ5年程度ですが、建物自体は相当の年月が経過しており、再オープンに際しては館内の随所に対し濃い色を多用して改装したようです。なおフロントは2階にあり、浴場は1階とB1階に分かれていて、時間帯により男女の暖簾を掛け替えています。
上画像はフロント斜め前にあるラウンジです。
私が訪問した時、1階浴場は夜まで男湯で、翌朝は女湯という設定でした。無論もう一方のB1階浴場はその逆になります。当然ながら私は1階のお風呂を利用することになります。廊下を進んだ突き当たりに暖簾が掛かっていました。
暖簾の先にある脱衣室には俳優渡辺文雄氏直筆の額が掲示されていました。平成生まれの方にはピンとこないかと思いますが、渡辺文雄氏といえば若い頃は東映の映画でよくインテリヤクザを演じた名俳優であり、その後は『くいしん坊!万才』の初代MCとなり、日テレ系の『遠くへ行きたい』では日本全国を旅して廻った有名人ですね。私は個人的に「いつも津々浦々を旅しているメガネをかけたインテリおじさん」というイメージがあり、永六輔氏や美坂哲男氏とともに、子供の頃の私にとって憧れの人でした(なんて年寄り臭いガキなんでしょう…)。渡辺文雄氏は2004年に亡くなっており、一方でリブマックスが当地へ進出したのは2017年ですから、当然この額は「蘭陵」時代のものでしょうね。
なおこの額が掲示されている脱衣室は広くて明るく、パウダールームもしっかりあって使い勝手は良好です。なお温泉街を見下ろすガラス窓の向こうには後述する露天風呂が丸見えです。国内のエロいホテルや海外のホテルで、たまにベッドルームからシャワールームが丸見えになっている造りの部屋に遭遇しますが、着替えや入浴というちょっとした羞恥心を伴う行為が行われる場所を敢えて可視化する意図って一体何なのでしょうか。
内湯も広々としており、天井が高くて明るい構造です。全体的に白色基調であるため、余計に広さと明るさが際立って感じられます。なお床は全て白い大理石という豪華な造り。旧「蘭綾」はお金をかけて建設されたんですね。この明るい浴場の左右両再度(壁側)に洗い場が配置され、計11個のシャワー付きカランが並んでいます。また手前側にはサウナと水風呂も設けられています。
主浴槽はかなり大きく、目測でおおよそ3mx6mはあるでしょうか。浴槽にも大理石のような建材が用いられていますが、本物かイミテーションかは不明。これに関連するかと思いますが、浴槽の隅には白い粉がたくさん沈殿していました。おそらく湯の花ではなく浴槽に用いられている材質が剥がれ落ちたのではないかと想像されます。
主浴槽の右側にも浴槽が広がっていますが、こちらはやや浅い造りです。その中央にはトラバーチンで出来たような湯口ような構造物が立っており、湯船よりやや熱いお湯が下から噴き上がっているが、でもこのお湯が浴槽に注がれているような感じはなく、これは一体何なのか、よくわかりません。温泉のモニュメントかしら。なお浴槽のお湯は浴槽内側面に複数ある金属製湯口より投入されていました。投入量はかなり多く、浴槽の縁からしっかり溢れ出ていました。
脱衣室からガラス窓越しに丸見えの露天風呂。
浴槽の形状はオーバルで、槽内はベージュの石板タイル張りです。湯口から落とされたお湯は、楕円の浴槽を満たした後、丸いタイルの縁の隙間からオーバーフローしています。
1階とはいえ、建物自体が小高い場所に建てられているため、露天風呂からは温泉街を見下ろすような感じで一望することができ、温泉街のみならず周囲の山々を含めて川治の景色を楽しみながら湯あみを堪能しました。
さて、肝心のお湯についてですが、無色透明無味無臭で癖など全くないサラサラ且つあっさりとした優しいお湯です。館内表示によれば湧出温度40.5℃なので入浴に適した温度へ加温されていますが、それ以外の加水や循環などは行われておらず、かけ流しの湯使いを実践しているとのこと。ただ、内湯はともかく、露天のお湯からは消毒臭のようなものを感じ取ったのですが、気のせいでしょうか。
なお客室の一部にもかけ流しの露天風呂が付帯しているそうですから、次回訪問時は宿泊で利用してみたいものです。
お風呂上りは、再び歩いて川治湯元駅まで戻り、普通列車で東京方面へ。上画像に写っている電車は野岩鉄道所有6050系の普通下今市行きです。この時の私は知らなかったのですが、この数か月後に東武や野岩鉄道などでダイヤ改正が行われ、私が乗車したこの野岩鉄道6050系はほぼ自社線内運用に限定され、東武線下今市へ乗り入れなくなっちゃったんですね。
コロナ禍を経て各地の鉄道は徐々に収縮・萎縮する傾向にあるため、鉄道旅行を趣味とする私は年々寂しい思いをしております。
川治1号・2号混合泉
40.5℃ pH7.8 560.0L/min 溶存物質0.399g/kg 成分総計0.413g/kg
単純温泉 Na+:94.8mg(81.10mval%), Ca++:16.5mg(16.14mval%),
Cl-:60.0mg(34.84mval%), SO4--:74.1mg(31.75mval%), HCO3-:89.8mg(30.31mval%),
H2SiO3:49.4mg, CO2:14.1mg,
(平成29年5月24日)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
加水・循環・消毒なし
栃木県日光市川治温泉川治11
0288-78-0011
ホームページ
日帰り入浴:土曜日以外の毎日15:00~20:00(受付19:00まで)
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5