温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

焼石岳温泉 やけいし館

2017年05月30日 | 岩手県
 
前回記事の須川高原温泉から山を下りて、岩手県奥州市胆沢地区の焼石岳山麓地域へとやってまいりました。焼石岳の麓には「焼石クアパーク ひめかゆ」という有名な温泉入浴施設がありますが、人気を集めているがゆえに混んでいることが多いという情報を得たので、今回は混雑を避けるべく、その先に位置している公共宿泊施設「やけいし館」で日帰り入浴してまいりました。


 
「やけいし館」はひめかゆスキー場に隣接しており、目の前にはゲレンデが広がっています。そして敷地内にはスキー場のバス停も立っています。



ここからさらに胆沢川の上流へと向かうと、そこには日本屈指の規模を誇るロックフィル式のダムである「胆沢ダム」が威風堂々とした構えでそびえているのですが、あまりに巨大な姿に圧倒されてしまい、恐怖におののいて近くまで行くことができませんでした。


 
さて館内へお邪魔しましょう。玄関を入って右手にある受付で料金を支払い、同じロビー内にある物販コーナーや休憩用のスペースを左手に見ながら、浴場がある右奥の廊下へと進みます。


 
暖簾をくぐった先にある脱衣室がとってもコンパクト。2〜3人同時に着替えたら、もうそれだけで窮屈さを覚えてしまいそうです。しかもパーテーション1枚挟んだ向こうにはトイレがあり、簡単な仕切りに過ぎないので、もしパーテーションの向こうで誰かが用を足しているときに着替えていたら、その際の音や臭いがモロに伝わってきちゃいそうです。でも宿泊施設のお風呂だけあって綺麗に維持されており、洗面台にはドライヤーも備え付けられていました。


 
浴室も小ぢんまりしており、且つ実用的で温泉風情に欠けるものの、ドアを開けた途端に香ってくるはっきりとしたアブラ臭には条件反射的に興奮してしまいました。もちろんその匂いは温泉由来のもの。今からアブラ臭のお湯に浸かれると思うだけでも、マニアとしては嬉しいものです。室内にはシャワー付きカランが計5基、L字型に配置されていました。


 
浴槽のつくりは至ってシンプル。温泉風情を味わうというより、目の前のスキー場でかいた汗を流すための実用性を第一としたお風呂なのかもしれません。赤い石板張りで、大きさとしては(目測で)1.5m×3mの4〜5人サイズでしょうか。


 
浴槽と同じ材質で作られた横に細長い湯口からお湯が落とされているのですが、この箱状の湯口の内部を覗いてみると、横方向から伸びて先端に網が被せられているパイプと、下から立ち上がっているパイプの2本がこの箱の中で合流しており、両者のお湯が一緒になった上で、浴槽へ落とされているようでした。館内表示によれば循環ろ過装置を使用しているとのことですが、これら2本のうち、いずれかが循環のお湯なのかもしれません。しかしながら、湯船のお湯は浴槽上の切り欠けから溢れ出ており、特に私が湯船に入ったときには、排水が追いつかずに洗い場が洪水状態になったほど大量のオーバーフローが見られたので、循環を実施していると言っても、実際のところは放流式に近い湯使いなのかもしれません。なお源泉の温度が高いため、加水も行われているとのこと。

お湯はほぼ無色ですが潮汁のような淡い懸濁を呈しています。上述したように、お湯からは浴室内を充満させるほど強いアブラ臭(ケロシンに似たような匂い)が放たれており、お湯を口に含むと、塩辛さと同時にほろ苦み、そして弱い出汁味が感じられました。分析書によれば炭酸水素イオンが6566mgと非常に多く含まれているのですが、それを証明するかのように湯中ではツルツルスベスベの大変滑らかな浴感が得られます。食塩を多く含む温泉ですから、お風呂から上がった直後はパワフルに火照るのですが、重曹も多いため、火照りのピークが過ぎると、今度は一転して全身が爽やかになるという、実に不思議な感覚を楽しむことができました。食塩泉の力強さと重曹泉のクールさの両面を兼ね備えた実に面白いお湯なのでした。コンパクトで実用的なお風呂ですから、風情やコストパフォーマンスといった面ではあまり期待できませんが、アブラ臭が大好きな温泉マニアならば一度は訪れておいて損はないかと思います。
この焼石岳温泉がある旧胆沢村から南東の旧衣川村にかけては、アブラ臭を有する温泉が点在していますので(国見平温泉など)、試掘をすると、アブラ臭を伴う温泉がまだまだ見つかるのかもしれませんね。


ヒメカ湯新源泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 70.8℃ pH7.5 溶存物質20.49g/kg 成分総計20.67g/kg
Na+:6476mg(96.08mval%), NH4+:51.4mg,
Cl-:6285mg(61.89mval%), Br-:14.0mg, S2O3--:0.5mg, HCO3-:6566mg(37.56mval%), CO3--:15.2mg,
H2SiO3:68.0mg, CO2:183.3mg,
(平成22年6月23日)
加水あり(源泉温度が高いため)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環ろ過装置使用(温泉資源の保護と衛生管理のため)
塩素系薬剤使用(衛生管理のため)

水沢駅前より岩手県交通の路線バス馬留線で終点「ひめかゆスキー場」下車すぐ(運行する曜日に注意)
岩手県奥州市胆沢区若柳字天沢21-1  地図
0197-49-2525
ホームページ

日帰り入浴6:00〜23:00
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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須川高原温泉 その4 大浴場

2017年05月28日 | 岩手県
前回記事の続編です。

いままで3回連続で取り上げまいりました「須川高原温泉」も今回(その4)でラスト。最後は大浴場を取り上げます。

 
1階フロント右斜め前から渡り廊下を進んでゆくと、エレベータやバリアフリートイレなどを擁する比較的新しい建物へ移ります。この新しい建物の1階に大浴場のホールがありますので、暖簾をくぐって脱衣室へと入ります。中浴場は湯治宿風情を濃く漂わせていましたが、それとは対照的にこの大浴場は大規模温泉ホテルを思わせます。


 
脱衣室も広々としているので、ストレスを感じることなく使えるかと思います。洗面台にはドライヤーも備え付けられています。またロッカーも設置されていますが、100円の有料です。


 
この浴場は「千人風呂」と名付けられているんだとか。さすがに千人は大袈裟ですが、でも言わんとしていることが充分に伝わるほど広く、また天井も高いので、屋内とは思えないほどの開放感が得られます。


 
男女両浴室を仕切る壁に沿って洗い場が配置されており、10基のシャワー付きカランが一列に並んでいました。なおカランから出てくるお湯は沸し湯です。浴場内の床はスノコ敷きのような誂えになっており、無機質になりがちな建物に柔らかで温もりある印象をもたらしているのですが、酸性の硫黄泉は滑りやすいため、その表面には滑り止めのスリットが彫られてました。



浴場の一角にはサウナがあったのですが、この日は使えたのかどうか確かめていません。


 
浴場の広さと豊富な湯量の双方があるからこそ実現できる巨大な湯船。その大きさは(目測で)3m×9m。あまりに大きすぎるため、どこで腰を下ろしたらよいかわからず、迷った挙句に隅っこに落ち着いてしまうのは、きっと私が根っからの貧乏症だからなのでしょう。
浴槽は縁こそ木材ですが、浴槽内はコンクリです。山の源泉から引いてきたお湯が、真っ白に染まった樋からその巨大な浴槽に注がれ、浴槽に張られたお湯は青みを帯びた美しい白濁を呈していました。大きな浴槽ゆえに、場所によって温度差があり、湯口に近い方が熱くなっています。このため、熱いお湯が苦手な方は、より脱衣室に近い方へ入った方がよろしいかと思います。


 
この大浴場にも露天風呂が付帯していますが、前々回の記事で取り上げた大露天風呂「大日湯」とは趣を異にしており、登山道に面しているこちらのお風呂は四方を塀や壁に囲まれ、頭上にも屋根が掛けられています。ですから露天風呂というよりは屋外風呂と称した方が、実態に即しているような気がします。とはいえ、豊富な湯量を活かし、湯船はしっかりとした大きな造りであり、お湯の温度は43℃前後でした。


 
露天の湯口からはお湯が絶え間なく注がれ、外気の冷却に負けることなく、ちょっと熱めの湯加減をキープしていました。四方や頭上の視界が遮られているとはいえ、その隙間からは大日岩の姿をのぞくことができました。屋根と塀の間から風が入ってきますから、お湯で逆上せかかっても、ここにいれば気持ち良くクールダウンできます。

さてお湯に関するインプレッションですが、お湯からは鼻腔をツンと刺激する硫化水素の匂いが香り、口に含むとレモン汁のような柑橘系の収斂酸味が感じられます。湯中では酸性のお湯によくあるヌメリを伴うツルスベ浴感が得られますが、湯上がりにはややベタつきや引っかかりが肌に残るので、そうした感触が気になる方や、そもそも肌が弱い方は、お風呂から上がる直前にサッと上がり湯を浴びた方が良いかもしれません。どの浴槽でも完全放流式の湯使いであり、趣きの異なる各浴場でそれぞれ気分を変えて湯浴みを楽しむことができますが、特に前回記事で取り上げた中浴槽ではお湯の鮮度が素晴らしく、熱いお湯に耐えられるならば是非入っていただきたいものです。もちろん、今回記事の大浴場は、その規模や使い勝手の良さが特長ですし、前々回記事の「大日湯」は開放的なロケーションと白濁湯の色彩美が非常に魅力的であり、何度入っても心を奪われてしまいます。三者三様の素晴らしさを有するこちらのお風呂たち。今回宿泊してじっくり利用することにより、その素晴らしさを再認識することができました。


霊泉の湯
酸性・含硫黄・鉄(Ⅱ・Ⅲ)-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 50.5℃ pH2.2 溶存物質2.478g/kg 成分総計3.140g/kg
H+:6.3mg, Na+:239.6mg, Ca++:127.9mg, Mg++:41.3mg, Al+++:58.9mg, Fe++:0.8mg, Fe+++:25.1mg,
Cl-:587.4mg, Br-:0.9mg, I-:0.1mg, SO4--:907.6mg, HSO4-:192.8mg,
H2SiO3:230.5mg, CO2:651.0mg, H2S:10.9mg,
(平成17年8月2日)
各浴場とも加水加温循環消毒なし

JR一ノ関駅より岩手県交通の須川温泉行き路線バスで終点下車すぐ
岩手県一関市厳美町字祭畤山国有林46林ト
0191-23-9337
ホームページ

立ち寄り入浴
大露天風呂「大日湯」6:00〜21:00
内風呂「千人風呂」9:30〜16:00
いずれも料金600円/1時間1回限り
冬季休業
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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須川高原温泉 その3 中浴場・霊泉の湯

2017年05月26日 | 岩手県
前回記事の続編です。

 
前回記事では大露天風呂「大日湯」を取り上げましたが、今回は館内にある中浴場「霊泉の湯」に入ります(館内にはこのほか大浴場「千人風呂」もありますが、そちらに関しては次回記事で取り上げます)。須川高原温泉のお風呂はどこでも霊泉の湯源泉を引いているのですが、この中浴場はその源泉名をそのまま浴場名にしているのですから、宿としてはこのお風呂に誇りを持っているに違いありませんし、マニア的としてもどんなお風呂なのか自分の目と体で確かめずにはいられません。
この中浴場は、私が泊まった湯治棟の廊下を進んだ先にありますので、まずは案内掲示に従って通路を進みます。


 
途中で何箇所か角を曲がりつつ奥へ奥へと歩いてゆくと・・・


 
廊下の手前側に男湯、奥に女湯の暖簾が掛かっていました。出入口の脇には、このお風呂は熱いので、熱いのが苦手な方は大浴場か露天を利用するように、と案内されています。この「熱い」というワードは、この中浴場が源泉名を名乗るに相応しいポイントであると、実際に湯船に入った後で気づくのですが、私が何を言いたいのかは後ほど触れます。
なお脱衣室にはロッカーが用意されていますので(100円有料)、貴重品を携行している場合も安心です。


 
 
まさに湯治宿といった風情が強い木造の浴室には、浴槽がひとつあるばかり。洗い場のカランも3基のみ(うち1基はシャワー)と、至ってシンプルです。浴槽内には耐酸性の塗装が施されており、塗装のエメラルドグリーンと壁の木材とのコントラストが鮮やかです。


 
壁には硫化水素対策と思しき通気口が2つあけられていました。湯船は(目測で)3.5m×2.5mほど。実際に湯船に入ってみますと、たしかに熱い。私の体感で45〜6℃はあるでしょうか。ただでさえヒリヒリと滲みる酸性のお湯なのに、その上に熱さが加わるのですから、湯船に脛を入れたときのピリピリ感には、熱いお風呂に慣れているはずの私でさえ、一瞬たじろいでしまいました。なるほど、これでは熱いお風呂が苦手な方は入れませんね。でもこのお風呂では熱さのほか、もう一つの点にも注目すべきだと私は思うのです。
湯船の画像をご覧ください。前回記事で取り上げた大露天風呂「大日湯」も、次回記事で取り上げる大浴場「千人風呂」も、いずれも湯船のお湯は白濁を呈しています。しかし、この中浴場では、同じお湯であるにもかかわらず底がはっきり見えるほどの透明度を有しているのです。そのかわり底には白い湯の花がたくさん沈殿しており(画像でも浴槽底面が部分的に白くなっているのがお分かりいただけるかと思います)、お湯を動かせばそれが舞い上がって一時的に白濁するものの、数分も経てば再び沈殿して元の透明度が蘇ります。お湯の濁りは圧力の変化や外気との接触、それに伴う酸化などの化学反応などによって変化によって発生するものであり、本来どの温泉も湧出時点では透明であることが多いことは、皆様ご存知通りです。この須川高原温泉においても、登山道脇の源泉で自噴した時には無色透明でしたが、引湯されて外気に触れたりする間に濁りが発生し、白濁の湯となったわけです。しかしながら、この中浴場においては濁りがほとんど発生しておらず、またお湯の熱さも維持されていることから、源泉で湧出した時に近い状態のお湯が提供されていると考えることができます。源泉からの引湯距離もさることながら、こぢんまりとした内湯である点も、白濁の程度を抑える要員になっているのかもしれません。つまり、この中浴場は霊泉の湯源泉のお湯本来の姿に最も近い状態で入れるお風呂と言えるのです。だからこそ、源泉名をそのまま浴場名にする資格があるのでしょう(以上、あくまで私の推論にすぎません)。


 
お湯の投入口は、板の上をお湯が流れてから浴槽へ落ちるような形状になっていました。熱すぎるお湯を自然冷却させるための工夫なのかもしれませんね。
熱いので長湯することはできず、烏の行水のような短時間入浴を繰り返すほかありませんでしたが、それでもお湯のコンディションが素晴らしかったため、私個人としては大変気に入りました。

次回記事では大浴場「千人風呂」を取り上げます。

次回記事に続く
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須川高原温泉 その2 大露天風呂「大日湯」

2017年05月24日 | 岩手県
前回記事の続編です。

●源泉周辺を散策

「須川高原温泉」は栗駒山登山(須川口)の出発地点でもあり、お宿の前に広がる駐車場では、登山の装備をした人々も多く見られます。その登山道は宿の裏手から伸びているのですが、私も登山好きの一人として、この登山道をちょっとだけ齧ってみたくなったので、手ぶらでも散策できるはじめの数百メートルを往復してみることにしました。


 
須川高原温泉のお湯は、宿の裏手に点在する源泉群から自噴しており、その量はなんと毎分6000リットル! 各源泉から湧いた大量の温泉が湯の川を形成し、登山道の脇を流れています。東北の温泉ファンの皆さんにとってはお馴染みの光景ですね。


 
上画像も源泉のひとつ。祠の下で硫化水素を放ちながら、酸性の硫黄泉が勢い良く湧出していました。こんな光景を見ていると、温泉だけでなく、私の中でもアドレナリンが大量分泌してしまいます。


 
各源泉で湧いた温泉は、黒いホースで宿の浴場へ引かれていました。


 
源泉からさらに登山道を進んでみました。階段状の道をちょっと登って振り返ると、僅かな間でも一気に高さが稼げたのか、宿の建物を小さく見下ろせました。


 
木立の中を進んでいくと、俄然目の前に木造の小屋が現れました。出入口の方へ回ってみますと「須川名物 天然蒸気浴舎 蒸し風呂」と書かれています。なるほど、地熱の蒸気を使った蒸し風呂なのですね。青森県・酸ヶ湯温泉の「まんじゅう蒸し」みたいなものかな。細かな利用方法も掲示されているので、ビギナーでも安心ですね。


 
私は利用していませんが、中をちょっとだけ見学させていただきました。利用区画が一人分ずつカーテンで仕切られており、中には人工芝が敷かれ、床に丸い穴があいていて、その穴の傍にレンガが置かれています。蒸し風呂を使う際には、茣蓙を敷いて毛布で体を包み、レンガを腰の下に置いて体を浮かせ、毛布で蒸気を逃さないようにしながら、胃の裏側にその蒸気を当てるようにするんだとか。
なお同様の蒸し風呂である酸ヶ湯温泉「まんじゅう蒸し」のまんじゅうとは女性の局部を示す方言なんだそうですが、須川の蒸し風呂はかつて「おいらん風呂」と呼ばれてらしく、いまでも登山地図にはその名称が残っています。まんじゅうにおいらん、両者には共通するニュアンスが感じられますね。


●大日湯
 
さて登山道を戻って、須川高原温泉の名物である大露天風呂「大日湯」へと向かいましょう。宿泊客ならば滞在中に何度でも入浴できます。受付の方に挨拶して浴室へ。


 
出入口の戸を開けた瞬間、眼前にこの光景が広がります。なんて美しい露天風呂でしょうか! 私はいままで2〜3度は立ち寄り入浴で利用していますが、このお風呂は何度入っても感動し、その都度圧倒されてしまいます。浴場名の由来になった大日岩が目の前に聳え、岩の直下から大量の温泉が樋を流れて、まるでプールのように大きな木造の浴槽へ注がれていました。


 
この露天風呂はあくまで湯船に浸かることに主眼が置かれていますので、洗い場は至って質素なつくりです(しっかり洗髪などをしたい場合は内風呂のご利用を)。


 
 
大日岩の下から大量の温泉が迸り、樋をつたって男女両露天風呂へと流れ落ちています。その湯船のお湯はターコイズブルーに濁っており、実に神秘的な色合いです。総じて適温に調整されていますが、広い湯船ですから場所によって湯加減に差があり、温泉を投入している樋に近づくほど熱くなります。広い湯船の中を移動しながら、自分の好みの温度になる場所を探すのもまた一興でしょう。
幸いにしてこの時は独り占めできたので、他人を気にせずのんびり湯浴みすることができました。

日中もさることながら、日没後の露天風呂もまた素晴らしい。夕食後には、ひたすら仰向けになり、満天の星空を仰ぎ見ながら、時間を忘れてじっくり湯浴みさせてもらいました。あまりに極上な湯浴みゆえ、自分一人でこんな幸せな湯浴みを楽しんでよいのか、幸せ過ぎて罰があたるのではないか、そう自問自答したくなってしまいます。

さて次回記事からは館内の内風呂を取り上げます。

(大露天風呂「大日湯」の日帰り入浴受付時間は6:00〜21:00、料金600円/1時間以内。シャンプー類・ドライヤーあり)

次回記事へ続く。
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須川高原温泉 その1 宿泊・食事など

2017年05月23日 | 岩手県
栗駒山山腹の岩手県側に湧く「須川高原温泉」は、温泉ファンのみならず多くの観光客を魅了し続けてきた栗駒山の名湯です。私もこれまで数度訪れているので、てっきり拙ブログで既に取り上げていたものと思い込んでいたのですが、実は未掲載のままでしたから、満を持して今回から数回に分けて、昨年(2016年)夏に一泊した際のレポートをアップさせていただきます。


 
この日は秋田県側(小安峡方面)から国道398号、そして県道282号線を軽快にドライブして山を登っていきました。山腹に「栗駒山荘」の姿が見え始めたら、もうすぐゴール地点。


 
秋田岩手県境の栗駒峠を越えたら、すぐに目的地の「須川高原温泉」に到着です。標高1126mという高地ですから、猛暑に見舞われる真夏でも涼しく、避暑にはもってこいの環境です。


●お部屋
 
こちらのお宿は客室設備の程度によってお部屋が2タイプに分かれています。その2タイプとは、一般的な温泉旅館としてのアコモディションを有している旅館棟と、湯治ができるよう自炊設備が用意され宿泊料金が抑えられた自炊棟。今回私が泊まったのは自炊棟の部屋です。湯治用のお部屋といっても一泊のみの利用が可能ですし、追加料金を支払えば、旅館部と同じお食事をいただくこともできます。実際に私は自炊部の部屋に泊まって、旅館部の食事を追加したのですが、その合計料金は8,790円(平日1名、税込。追加注文のドリンクなどは含まず)でした。


 
私が泊まったのは6畳の古い部屋ですが、自炊できるよう流し台・ガスコンロ・冷蔵庫などが備え付けられており、テレビや金庫も用意されているので、一晩を越すだけなら全く問題ありません。なお受信環境の都合なのか、当地は岩手県に属するにもかかわらず、テレビには秋田県の放送が映りました。館内にWifiは飛んでおらず、私のauのスマホも、ロビーの一部で辛うじて受信できる程度(つながったり途切れたり)なのですが、むしろ日頃から中毒的にインターネットに依存している日常から我が身を解放するに相応しい健全な環境なのかもしれません。
上述のように、ここは標高が高く、真夏でも猛暑知らずの涼しい場所ですから、冷房はありません(不要です)。



廊下には共用の電子レンジも用意されていました。


●食事
 
館内の大きなお土産屋さんは食料品店も兼ねており、長期滞在する湯治客はここで調理する食材を調達することも可能です。このお土産屋さんの前を通過して食堂へ。夕食・朝食ともに食堂でいただきます。


 
上画像は夕食。お刺身、小鉢類、茶碗蒸し、豚肉と野菜のせいろ蒸し、天ぷら、そして山菜料理など、和風旅館の王道を往くような献立です。天ぷらなどはちゃんとアツアツのできたてを持ってきてくれました。ジョッキの生ビールが喉越し良く飲める、美味しいお食事です。



こちらは朝食。焼き鮭、卵焼き、野菜サラダとポテトサラダ、ハム、切り干し大根、たまご、そして各種小鉢類といったオーソドックスなラインナップです。ご飯がよく進みました。



私は自分の車でアクセスしましたが、一ノ関駅からの路線バスも利用可能です。翌日の早朝、宿の前に広がる駐車場の片隅にバスが停車していました。須川温泉を朝9:00に出発する一ノ関駅かと思われますが、早朝に駐車場で止まっていたということは、このバスと運転手さんはここ(宿)で一晩を明かしたのかな。


 
同じく早朝にちょっと小高いところへあがったら、西に聳える鳥海山が明瞭に全容を現していました。実に秀美です。

さて次回記事では大露天風呂「大日湯」に入ります。

次回記事に続く。
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