温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ニセコ昆布温泉 ニセコグランドホテル(日帰り入浴)

2019年10月31日 | 北海道

前回記事のニセコ湯本から山を下ってニセコ昆布温泉へとやってまいりました。ニセコ昆布温泉といえば、私の好きな「鯉川温泉旅館」が2018年から休業してしまい、個人的にはコアが抜けてしまったような気がしてとても寂しいのですが、とはいえ当地には他にも温泉旅館がまだまだ多く営業しており、日帰り入浴を受け付けている施設もありますから、今回はその中から「ニセコグランドホテル」にお邪魔して、立ち寄り入浴を楽しませていただくことにしました。

道道66号線沿いに位置し、その道を挟んだ向かい側ではニセコ名水甘露水が滾々と湧いています。
外観はいかにも昭和の観光ホテルといった感があり、館内ももちろんのこと、フロントスタッフの接客からも昭和な雰囲気がたっぷり伝わってきます。このフロントで日帰り入浴したい旨を申し出て湯銭を支払い、奥へと進みます。



浴場入口の手前には、湯使いを大きく書き記した電光掲示により、お風呂のお湯が掛け流しであることをアピールしていました。でも、後述するように加水と消毒が実施されていますから、完全な掛け流しと表現することに対しては、異論がある方もいらっしゃるかもしれません。

脱衣室は奥に長いウナギの寝床みたいな造りです。男湯の場合は右側に籠が納められた棚がズラリと並ぶ一方で、左側には洗面台が4~5基ほど並び、団体客など大人数にも対応できるキャパを擁しているようでした。昭和の観光スタイルは一般的に団体が多かったわけですから、その当時の名残と言えるのかもしれませんね。でも綺麗に整備されており、気持ち良く使えました。


さて、こちらの浴場では写真厳禁とのローカルルールがございますので、それに従い、ここから先は公式サイトの画像をお借りしながら話を進めてまいります(外国語表記が多いので、おそらく外国人観光客対策なのでしょう。また露天風呂が混浴であるという事情も影響しているのかもしれません)。
公式サイトの画像が小さいので、ここでご紹介する写真も小さいままです。ご了承ください。



脱衣室のドアを開けて右に折れるL字型の通路を進んだ先に、大きくて広い内湯があります。
上から見ると大きな扇形を描いていると思しきこの浴場の建物は、窓に向かって徐々に下っている傾斜地に設けられており、低い位置かつ円弧の部分には窓が広く採られ、浴室内はとても明るくて快適です。

浴場内の洗い場は上下に分かれて配置されており、高いところ(上段)に5基、低いところ(下段)に2基のシャワー付き混合水栓が取り付けられています。



こちらのお風呂では2つの源泉を有しており、源泉別に浴槽が分かれています。大きな浴槽には「鉄鉱泉」と書かれた1号井のお湯が張られています。冒頭で触れた鯉川温泉旅館(休業中)のお湯を思い起こさせてくれる重炭酸土類泉系のお湯で、黄土色とモスグリーンを混ぜたような濁り方をしており、塩味に出汁味、金気味、そしてしっかりとした炭酸味が感じられます。またお湯の濁りが強く、湯中では同色の粒子も無数に浮遊しています。湯口には鱗状の模様が(析出)ビッシリ且つコンモリこびりついており、お湯の濃さ(カルシウムや重曹の多さ)をビジュアル的に体感できます。

一方、小さな浴槽に注がれているのは「ナトリウム泉」と書かれた3号井のお湯。湧出量が1号井の3分の1しかないため、それに応じて浴槽も小さいのですが、オーバーフローする量が多く、小浴槽から露天出入口まで段々状に下がっている箇所を流下しながら、タイルが飛び石状に置かれている出入口のまわりでちょっとした湯溜まりを形成していました。3号井のお湯は黄土色に笹濁り、ほんのり金気のある淡い塩味が感じられます。
なおこの3号井(小浴槽)の湯口にも鱗状の析出が形成されていますが、私が見た感じでは大きな浴槽である「鉄鉱泉」の湯口の方が厚さや模様の多さ、そして太さが勝っていました。また両源泉のお湯ともに、湯船へ入った時にはキシキシとした浴感が得られ、しっとりして肌にまとわりつく感覚に包まれるのですが、どちらかと言えば大きな浴槽の1号井の方がその傾向がより強かったように感じられました。



内湯のドアを開けると、更に低い位置にまるで池のように大きな露天風呂が濁り湯を湛えています。その露天風呂へ下りてゆく階段には、足元を温めるためなのか、温泉のお湯が流されており、階段の表面を流下してゆく温泉によって、階段が黄土色に染まり、部分的に黒く染まり、しかも鱗状の析出もびっしりとこびりついていました。

お宿に庭に設えられた大きな岩風呂の露天は男女混浴です。とはいえ、女湯側には囲いにより目幕視された女性専用ゾーンがありますから、女性客は男性を気にせず入浴することができますが、男湯側の露天は混浴のみですから、男性諸氏がこちらの露天風呂に入る際は、紳士としてのエチケットを守りましょうね。余計な心配を回避したい方は湯浴み着のレンタルがありますから(男女とも)、それを利用すれば良いでしょう。

大きな露天ですから、外気に熱を奪われることにより温度ムラが発生してしまうため、私が確認した限りでは少なくとも2つ(もしくはそれ以上)の湯口が設けられ、それぞれから2つの源泉を混合させたお湯が投入されていました。露天は2つの源泉を混ぜ且つ加水もしているのではないかと思われる。明るい黄土色とモスグリーンを混ぜたような色に濁る。適温。大量にお湯が注がれている。小さな露天は大きな露天の湯尻から流下するお湯を受けているためぬるい。お湯も鈍り気味。



大きな1つの池に見える露天風呂は、実際には大小1つずつの岩風呂から成り立っており、大きな方は上から見ると凹字のような形状をしています。私個人としては他人様の存在を気にせず入浴したかったので、「奥の方に行けば視線は気にならないかも」と考えて奥へ進んだのですが、奥へ向かうに従い湯加減がぬるくなり、しかも場所によっては高い位置にある内湯から俯瞰できてしまうので、結局は湯加減を優先して、適温が維持されている手前の方へ戻ってしまいました。
なお奥の方には小さい浴槽があるのですが、こちらは大きな露天の湯尻から流下するお湯を受けているためぬるく、しかもお湯自体も鈍り気味でしたので、私は入りませんでした。

いかにも北海道らしい大きな露天で、ニセコ昆布らしい濁り湯に入れ、しかも内湯では2つの源泉を楽しめるという、1回でいろんな楽しみ方ができる入り応えたっぷりなお風呂でした。


1号井
ナトリウム-塩化物温泉 48.9℃ pH6.0 330L/min(動力揚湯) 溶存物質2.694g/kg 成分総計3.062g/kg
Na+:563.2mg(69.53mval%), Mg++:51.4mg(12.00mval%), Ca++:80.7mg(11.43mval%), Fe++:3.3mg,
Cl-:1001mg(76.75mval%), SO4--:134.5mg(7.61mval%), HCO3-:348.8mg(15.54mval%),
H2SiO3:370.0mg, HBO2:49.1mg, CO2:367.9mg,
(平成21年1月15日)
加水・塩素消毒あり

3号井
ナトリウム-塩化物・炭酸水素温泉 67.2℃ pH6.4 190L/min(動力揚湯) 溶存物質3.755g/kg 成分総計4.065g/kg
Na+:684.3mg(61.08mval%), Mg++:105.0mg(17.73mval%), Ca++:133.0mg(13.62mval%), Fe++:1.8mg,
Cl-:1162mg(68.74mval%), HS-:0.1mg, SO4--:156.0mg(6.81mval%), HCO3-:708.4mg(24.35mval%),
H2SiO3:599.4mg, HBO2:61.3mg, CO2:309.9mg,
(平成21年1月15日)
加水・塩素消毒あり

北海道虻田郡ニセコ町ニセコ412
0136-58-2121
ホームページ

日帰り入浴11:30~21:00
900円
貴重品用ロッカー(フロント斜め前)・シャンプー類・ドライヤーあり
有料の湯浴み着あり

私の好み:★★+0.5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニセコ湯本温泉 月美の宿 紅葉音

2019年10月24日 | 北海道
久しぶりに北海道の温泉を取り上げます。
とはいえ、今年(2019年)の北海道旅行は温泉巡りが目的ではなかったため、スケジュールの合間を縫って片手に収まるほどの浴場を訪ねることしかできませんでした。ご期待に沿える内容とならないかもしれませんが、ご了承ください。



まず取り上げるのは、私が大好きなニセコ湯本温泉にある旅館「紅葉音(あかはね)」です。場所としてはニセコ湯本温泉を代表する施設「雪秩父」の道路を挟んだ向かい側で、別荘地の並びです。
こちらはかつて「ちせの湯」という名称でしたが、2006年頃に現在の姿および名称へリニューアルし、1日に12組の宿泊客しか受け入れないスタイルにより行き届いたおもてなしを実現させているんだとか。その一方で日帰り入浴利用も受け付けていますので、私は日帰り利用でお邪魔させていただきました。
駐車場に車を停めると、和服姿の仲居さんが玄関から出てきてくださり、日帰り入浴をお願いしたいと伝えると、笑顔で対応してくださいました。



建物の外観こそ地味ですが、館内は落ち着いた民芸調の設えです。帳場で料金を支払い、玄関や帳場の左側に伸びる廊下をまっすぐ進んで、突き当たりにある浴場へと向かいます。なお帳場の奥には上写真に写っているような休憩場所(囲炉裏?)があり、有料(300円)ながら日帰り客用のコーヒーが用意されています。



館内には浴場内の撮影を遠慮してほしいという旨の注意書きがございましたので、ここからは公式サイトの写真を借用しながら記事を進めてまいります。

館内のお風呂は2室あり、私が訪問した日は手前側に女湯の、奥に男湯の暖簾が掛かっていたのですが、暖簾替えはあるのでしょうか? 脱衣室はコンパクトな造りで3~4人同時利用したらいっぱいになってしまうそうな感じですが、綺麗にお手入れされており、少人数でしたら使い勝手に不満はありません。

浴室(内湯)は総木造のようなつくりで落ち着いた雰囲気です。旧「ちせの湯」時代の内湯はタイル貼りと石板貼りの組み合わせだったようですから、リニューアルに伴い大きく内装を変えたのでしょう。洗い場にはシャワー付きカランが5基取り付けられており、各水栓は硫化して真っ黒に変色していました。硫黄の温泉ならではの光景ですね。内湯の浴槽もまた木で作られており、そこに張られているお湯はグレーに濃く濁っています。そして底には湯泥がたくさん溜まっています。私が湯船に入ると底に沈んでいた灰色の湯泥が舞いあがって、湯中に波状の雲のみたいな模様が描かれました。なお湯加減は誰しもが寛げる絶妙な湯加減でした。



内湯のドアを開けてステップを下ったところには露天風呂が設けられています。全て屋根掛けされていますが、そこそこ広く、また塀越しに周辺の景色を眺めることもできます。こちらも「ちせの湯」時代は屋根が無かったので、リニューアルの際に屋根を新設したのですね。
このお風呂でちょっとユニークなのが、壁に貼り付けられている大きな絵地図です。周辺の様子をイラストで描いた観光案内図なのですが、湯船に浸かるとちょうど目線の先にこの地図が掲示されているので、自分の旅程をなぞったり、あるいはまだ足を運んだことが無い場所を探したりと、ついつい夢中になって地図上の道や拠点を追いかけてしまいました。
こちらの湯船も適温に調整されており、底には湯泥が溜まっていますが、外光の影響か、同じ源泉ながら内湯よりも明るく且つ白っぽく見えます。なお湯口ではぬるい温泉と熱い温泉をミックスさせた上で湯船へ投入させていました。



こちらのお風呂に引かれているのは、ニセコ湯本の大湯沼のお湯である雪秩父源泉。イオウ泉らしい臭いや味を有する他、酸味もあり、またクレゾールのような刺激臭も少々感じられます。更には粉っぽい感覚も得られます。上述したように浴槽のお湯は適温なのですが、温泉に含まれる硫黄の血管拡張効果が発揮されることにより、大変よく温まり、途中でクールダウンしないと長湯できないほど、比較的短時間で体の芯までしっかりあたたまります。

今回は日帰り入浴でしたからお宿時間のおもてなしやお料理を体験することができなかったのですが、もし機会があれば再訪して宿泊し、お宿の魅力をじっくりと堪能したいと思っております。


施設内に分析表が見当たらなかったので、参考までに「雪秩父」にて掲出されていた分析表データを抄出します。
単純硫黄温泉(硫化水素型) 56.8℃ pH3.9 湧出量未記載(自然湧出) 溶存物質0.161g/kg 成分総計0.557g/kg 
H+:0.1mg, Na+:8.5mg(25.17mval%), Mg++:5.7mg(31.97mval%), Ca++:8.4mg(28.57mval%), Al+++:0.4mg, Fe++:0.6mg,
Cl-:4.3mg, S2O3--:1.0mg, SO4--:64.2mg(90.54mval%), HSO4-:0.3mg,
H2SiO3:65.4mg, CO2:380.7mg, H2S:14.6mg,
(平成20年11月10日)

北海道磯谷郡蘭越町湯里680-13
0136-59-2881
ホームページ

日帰り入浴10:00~17:00
800円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

甲府市 喜久乃湯温泉

2019年10月18日 | 山梨県

甲府駅から徒歩圏にある「喜久乃湯温泉」は昭和元年創業の老舗銭湯であり、太宰治が通ったことでも知られています。このため温泉ファンのみならず全国の太宰ファンもこの銭湯にやってくるんだとか。今回はそんな「喜久乃湯温泉」を訪ねます。



路地に面した玄関の外観こそ木造風ですが、銭湯の建物自体はALCかそれに準じた構造かと思われます。でも玄関には松竹錠の下駄箱が置かれており、昭和の銭湯らしい面影たっぷりです。



男女別の入口で番台を挟む昔ながらのスタイル。その番台も平成期に流行ったカウンター式ではなく、れっきとした昭和の番台そのものです。また板の間の脱衣場には、昔ながらの手書きの広告が掲示されています。下駄箱は木板の松竹錠でしたが、脱衣場のロッカーはアルミ板の松竹錠。昭和から時が止まったかのような伝統的銭湯スタイルですが、このような造りの銭湯は本当に減ってしまいましたから、今となっては貴重な存在と言えましょう。なお2階は大広間なんだとか(別途料金を要します)。



私の訪問時、浴場には多くのお客さんが汗を流していらっしゃいましたので、画像はございません。その代わり浴場内の見取り図がありましたので、それをご覧いただいて以下の話を進めてまいります。

ロッカーや番台、脱衣室に続いて、浴室内の佇まいも昭和の銭湯そのもの。床や壁はタイル張りで、両サイドの壁(ワイン色のタイル)に沿って洗い場が設けられ、宝式カランと壁直付けの固定式シャワーがズラリと並んでいます(男湯の場合は浴室入って左側に10基、右側に8基です)。なおカランから出てくるお湯には源泉が用いられているんだとか。また、最奥にはサウナが設けられています。

浴槽は4つあります。
浴室の中央には鏡餅みたいに二つの楕円を前後にくっつけたような浴槽が据えられています。2つとも爽やかなコバルトブルーのタイル貼りで、底からブクブクと泡が上がっていますが、いずれのお湯も加温循環されており、手前側は10人サイズで適温、奥は4人サイズで熱めというセッティングです。

この中央の浴槽とは別に(男湯の場合は)右奥に長方形の浴槽が二つ前後並んでいるのですが、個人的にはこの2つの浴槽をレコメンドしたいのです。まず手前の長方形浴槽はスカイブルーのタイル貼りでおおよそ5人サイズ。ちょっと浅い造りで長湯しやすい40℃くらいの湯加減がキープされています。そして鏡餅型の浴槽と同様に底では泡風呂装置がブクブクと稼働しているのですが、鏡餅型と違うのは、こちらには加温された源泉が注がれており、放流式の湯使いを実践しているのです。

さらに特筆すべきは、その奥に並んでいるもう一つの長方形浴槽。ちょっぴり小高い位置に設置されており、ひとまわり小さい3~4人サイズなのですが、こちらには非加温の源泉がそのまま投入されており、こちらは純然たる掛け流しとなっているのです。見取り図では「水風呂(源泉)」と書かれているように、非加温の源泉が水風呂という表現がふさわしい温度(25℃前後)なのですが、かといって一般的な水風呂よりはぬるめなので比較的入りやすく、実際に私が入った際も爽やかで気持ち良い感覚に包まれました。

各浴槽ともお湯は無色透明です。非加温源泉浴槽(水風呂)へ注ぐ湯口のお湯を口にしてみますと、淡い塩味とともに芒硝と思しき風味やカルシウム感が得られ、重い硬水のミネラルウォーターみたい味わいが口の中に広がりました。浴槽内ではキシキシ浴感が得られ、かなり引っ掛かりましたし、体を洗う時も石鹸がちっとも泡立ちませんでしたから、鉱泉の硬度は相当のものかと思われます。なおこの温泉(鉱泉)を紹介している他サイトに書いてあった硫黄感は、少なくとも私の入浴時には感じられませんでしした。
一見すると無色透明で掴みところが無さそうな鉱泉に思えますが、甲府盆地の温泉といえば40℃前後でツルツルスベスベしているタイプのお湯が多いため、こちらの鉱泉のような硬い感じの硫酸塩泉タイプは当地では珍しく、それを体感できるだけでも貴重な存在と言えるでしょう。もちろん昭和のレトロ感や太宰治の生活を追体験するといった意味でも素敵な銭湯であることに間違いありませんし、甲府駅から徒歩圏内にある銭湯ですから、鉄道の旅の途中で汗を流したい場合も有用です。そして、何よりも非加温源泉槽に入った時の爽快感が実に気持ち良いので、一度入れば病み付きになること間違いありません。



面白い特徴の鉱泉ですから、是非とも分析表のデータを確認したかったのですが、玄関に掲示されている分析表は消えかかっていたため判読できませんでした。残念・・・。


カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
上述の理由によりデータ掲載断念

甲府駅北口より徒歩15分(約1km)もしくは山梨交通の路線バスで「朝日五丁目」下車すぐ
山梨県甲府市朝日5-14-6
055-252-6123
山梨県公衆浴場業生活衛生同業組合公式サイト内の紹介ページ

10:00~21:30 水曜及び第三木曜定休
400円(大広間は別途料金)
ロッカーあり、ドライヤー有料、石鹸類は番台で販売

私の好み:★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

甲斐市 神の湯温泉(日帰り入浴)

2019年10月14日 | 山梨県
甲府周辺にはたくさんの温泉があるこということを、拙ブログでは繰り返しお伝えしていますが、それでも一般的に甲府イコール温泉というイメージが浮かびにくい理由は、それぞれの温泉が住宅地や田園風景の中に点在しており、温泉郷を形成していないからでしょう。今回取り上げる甲斐市の「神の湯温泉」はその典型です。こちらのお宿は宿泊利用の口コミ評価が高いのですが、今回は日帰り入浴利用でお邪魔することにしました。



甲府郊外の区画整理された新興住宅地の中にポツンと存在する一軒宿「神の湯温泉」。付近には看板が立っているので、それに従って進めば辿り着けるのですが、それでも宿の建物を目にするまでは、本当にこの先に温泉旅館があるのか疑わしくなるほど、辺りはごくごく普通な住宅地なのです。なおこちらへお出かけの際、一般的には車を利用するかと思いますが、もし路線バスでアクセスする場合は、最寄りの「敷島」バス停は本数が多くないので、ちょっと歩きますが「事業団住宅入口」を利用した方がはるかに本数が多くて便利です。
神の湯という名前だからか、駐車場の入口には大きな鳥居が立っているのですが・・・



唐破風を戴く立派な玄関を入った内側のフロント前にも、大きな神棚(祭壇)が祀られていました。しかも酒樽がたくさん積んであります。妙に神道の雰囲気が強いため、無神論者の私は少々物怖じしてしまったのですが、フロントで日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。なおこちらでは日帰り入浴の回数券が販売されており、スタンプカードも用意されているほど、入浴のみの利用もウエルカムです。



お庭を眺めるラウンジを抜けて・・・



日帰り客専用の脱衣室へと向かいます。
脱衣室や浴室入口は、日帰り客と宿泊客で別々に分かれており、前者は狭いながらもロッカーある一方、後者は広いが衣類を収めるようなロッカーは無いようです。



大きな窓から外光がふんだんに降り注ぐ浴室は「大」「広」「(天井が)高」の三拍子が揃った大変開放的で明るい環境です。しかもメンテナンスがしっかり行われているのでとても綺麗。これならお客さんからの評価が高くて当然ですね。
男湯の場合、入って右手(脱衣室側)と奥に分かれて洗い場が配置されており、シャワー付き混合栓が計10基設置されています。シャワーの設置間隔が比較的広いため、ストレスなく使えます。

なんと、この浴場だけで浴槽が7つもあるんだとか。ちなみに全館では11種類もあるそうです。
7つある大浴場のお風呂は1~7番までナンバリングされています。順に見ていきましょう。



でもその前に、番号こそ振られていないものの、マニア的にはこの浴室の中で最も注目したい設備をご紹介します。
浴室に入ってすぐ左手に飲泉所があるのです。山梨県内で飲泉所を設けている温泉施設は少ないため、このようにちゃんとした設備で温泉を飲めるのはとても貴重です。チョロチョロしか出ていませんが、実際に飲んでみますと淡い塩味に硬水の味、そして少々ゴムっぽい風味が口の中に広がりました。この界隈の温泉でゴムっぽい風味のお湯に出逢えるとは予想できず、ちょっと驚いてしまいました。



さてナンバリングされたお風呂を見ていきましょう。
1番は打たせ湯、2番は泡風呂です。1番と2番ともに自分でスイッチをON/OFFします。いずれも湯加減は適温。
順番が前後しますが、打たせ湯のすぐ目の前で最も小さな浴槽は6番で、7つある浴槽のうち最も熱い42℃前後です。



3番。布袋様が見つめるこの浴槽は「信玄湯治湯」と名付けられており、窓側に位置し、38~40℃というぬるめの長湯仕様。



4番には一般的な湯加減(41℃前後)のお湯が張られていますが、他の浴槽に比べるとやや小さめでしょうか。



5番は最も大きく、しかも36~38℃という不感温度のお湯が張られています。しかも寝湯ゾーンが設けられており、まさにまどろみのお風呂。実際、私はここで本当にウトウトしてしまいました。なおこの真上の壁には、山梨県の温泉界ではお馴染みであるO短大T教授の紋切型なありがたい解説文がデカデカと掲示されていました。T教授による「スパファシーズ」や「ガイアが授けてくれた地球の体液」といった他ではお目にかかれたない独特な表現を目にしますと、自分が山梨県の温泉にいることを実感するのですが、これって私だけでしょうか。
6番は上で述べた通りです。



7番は露天風呂。いわゆる岩風呂ですが、内湯の各浴槽に比べると小さいにもかかわらず(5~6人サイズ?)、ちょっと深い造りになっており、小さな子供は気を付けないと溺れちゃうかもしれません。投入口からお湯がふんだんに注がれており、人が湯船に浸かるとそれなりにオーバーフローするのですが、他の浴槽と同様に循環湯と新鮮源泉の投入を併用しており、岩風呂の底に埋め込まれている目皿ではお湯が強力に吸引されていました。それを知らずに目皿の上に腰を下ろしてしまった私は、自分の桃尻を目皿に吸われてしまい、中年オヤジのくせに、びっくりして「きゃっ」とハ●キルーペのCMみたいな声を上げてしまいました。あぁ情けない。




この岩風呂はベランダの端に設けられているので、旅館のお庭や遠景の山々が綺麗に見えます。露天風呂の説明文によれば、仙人が裸で入浴しているところを想像してつくった云々と書かれており、大きな声で歌ってみるとその気分を満喫できると奨められているのですが、でも本当にそんなことしたら、おそらく他のお客さんに対して迷惑になるためつまみ出されちゃうかもしれませんね。

さてお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色透明で、味に関しては飲泉所の箇所で述べたように淡い塩味と硬水の味、そして僅かにゴムのような風味が感じられます。一方で、匂いはあまりなかったような気がします(消毒剤の塩素臭がちょっとあるかもしれません)。
泉質としては純食塩泉であり、全国的にみれば比較的多く存在する泉質ですが、しかしながら単純泉かアルカリ性泉、あるいは重曹泉が多い甲府盆地でこのタイプのお湯は珍しいような気がします。とはいえ、正直なところ湯船に入ってもお湯の個性がいまいち伝わってこず、ツルスベ浴感もそれほどはっきりとしていないようでした。各浴槽の湯使いとも循環と新鮮源泉を投入しながら循環ろ過も行っているという循環と掛け流しの併用式であり、それゆえにお湯本来の力が削がれてしまっているのかもしれません。限られた湯量を男女それぞれの大浴場、そして貸し切り風呂などに分けて供給しているのですから、循環しながらお湯を大切に使わないと間に合わないのでしょうね。その一方で、多くの浴槽の湯加減をぬるめのセッティングにしている点は大いに評価したいところ。ぬるめのお湯は、人によっては物足りなさを感じるかもしれませんが、体への負担が少ない状態でゆっくり長く浸かることができ、しかも体の芯まで温めることができますから、心身のリラックスはもちろんのこと、温泉を通じた健康増進にはぬるめのお湯が最適です。こちらのお風呂ではまさにその最適なコンディションで入浴できるわけです。

こちらのお宿で実際に宿泊した知人からは、泊まって良かったという意見を頂戴しています。おそらく宿泊者用の貸切風呂、お料理、そして接客など、宿として総合的な評価が良いものと思われます。従いまして私のような日帰り入浴ですと、その良さが一部しか伝わってこないのでしょう。つまり大浴場だけではこのお宿を迂闊に云々申し上げてはいけないのだと思います。平日の午後には屋上の展望露天風呂も日帰り利用客に開放されるそうですから、今度は平日かあるいは宿泊利用で、改めて訪問したいと考えていいます。


神の湯
ナトリウム-塩化物温泉 46.4℃ pH8.4 137ℓ/min(動力揚湯) 溶存物質1.269g/kg 成分総計1.288g/kg
Na+:433.2mg(92.72mval%), Ca++:25.3mg,
Cl-:679.3mg(93.42mval%), Br-:1.8mg, HS-:0.3mg, HCO3-:35.9mg, CO3--:8.8mg,
(平成28年12月15日)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環あり(衛生管理のため循環ろ過装置を使用)
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を使用)
加水なし

山梨県甲斐市竜地17
0551-28-5000
ホームページ

日帰り入浴11:00~23:00(最終受付 21:30)
1000円(貸フェイスタオル2枚付き) 毎月26日は半額。
ロッカー(100円リターン式)、シャンプー類、ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

甲斐市 竜王ラドン温泉

2019年10月09日 | 山梨県

甲府盆地は良質な温泉の宝庫。特に重曹泉やぬる湯など、私が大好きなタイプの温泉が多い為、ちょっと時間に余裕がある週末は、ちょくちょく山梨県へ出かけてお湯巡りを楽しんでおります。
せっかく遠くへ出かけるのですから、できれば利用しやすい施設を訪ねたいのが心情ってものですが、数を重ねてゆくうちにそのようなハードルの低い施設は大抵行きつくしてしまい、つい尻込みしちゃいそうな施設ばかりが残っていく傾向にあります。夕ご飯で自分の好みばかりを先に食べていたら、苦手な物がお皿の上に残ってしまうのと同じですね。でも食わず嫌いという言葉もあるように、行ったことも無いくせに躊躇していては、本当の良し悪しがわかりません。そこで先日はずっと行きそびれていた国道20号沿いの温泉施設「竜王ラドン温泉」へ向かうことにしました。沿道には上画像のような大きな看板が立っているので、ここを通るたびに「どんな温泉なんだろう」と気になっていたのですが・・・



このようなキッチュな色合いの大きな看板も目立っており、そのエキセントリックな雰囲気に物怖じして、いままで訪問を躊躇っていたのでした。



くすんだ色合い建物も結構年季が入っており、昭和の匂いが全体から香ってきます。かつて浴場は「湯~とぴあ」と称していたようですが、いまでは浴場とビジネスホテルを同一施設として運営しているようです。
キッチュな看板といい、古びた建物の雰囲気といい、いわゆる女子受けやインスタ映えといった概念とは逆ベクトルの渋さが特徴的であり、その渋さゆえ、若い子のアンテナには引っかかりにくく、少なくとも「ゆーとぴあ」と聞いてゴムパッチン芸が連想できる年代以上でないと心理的な抵抗感は拭えないかもしれません。いや、子供の頃にゴムパッチンを真似してふざけていた私ですら、ちょっと及び腰になってしまいました。



館内に入っても昭和から時が止まっているかのような雰囲気にかわりありません。下足場には夥しい数のスリッパが整然と並べられていました。ただ、なぜか玄関に設置されている入浴券の券売機だけは妙に新しく、ここだけはちゃんと2019年の時間軸を進んでいる感じがします。その券売機で料金を支払い、やけにゴチャゴチャしているフロントへ入浴券を差し出します。
フロントの隣には古いCDやカセット類がたくさん陳列されているコーナーがあるのですが、果たして今どきその手の物を購入するお客さんはどれだけいるのやら・・・。



この温泉施設の最大の「売り」と言うべき設備が、フロントの向かいに鎮座している大きな「ラドン発生器」なるもの。ここでラドンガスと称するものを発生させて、お風呂へそのガスを送っているんだとか。ここまで読んで、そのガスにツッコミたい方がたくさんいらっしゃるのは百も承知ですが、ここはちょっと我慢していただき、話を先へ進めます。



案内プレートには大浴場ではなく「大浴池」と書かれていますが、これは中国語表記。この他にも館内にはなぜか中国語表記が目立っていました。



薄暗い通路を通ってお風呂へ。
脱衣室も長年にわたって改装されていないと思しきくすんだ色合いの古びた佇まい。私の訪問時は、昔から通っていると思しきお爺さんが数人いらっしゃり、首まわりがヨレヨレになったランニングシャツ姿で、床屋ならぬ風呂屋談義に華を咲かせていました。



浴室に入ると温泉由来の金気臭が鼻孔を突いてきます。
室内は茶色のタイル貼り。後述する湯滝の轟音が湯気の中で響いていました。



男湯の場合、浴室に入って左側にある、別室のような空間に洗い場があり、シャワー付きカランが6~8ヶ所(正しい数は失念)コの字形に取り付けられています。水栓金具がちょっと金気色に染まっていましたから、カランから出てくるお湯は温泉かもしれませんね。なおこの洗い場がある空間には、水風呂のほか、なぜかアカスリ台が置かれています。



内湯の主浴槽は縦に長い四角形で、私の目測では幅2m弱、奥行9m前後かと思われます。大きな浴槽なのですが、その半分以上は両サイドが壁であるため、実際よりも若干狭く見えてしまいます。



この主浴槽では源泉のお湯が滝のように上からドバドバと大量投入されており、窓側の溝へ惜しげもなくオーバーフローしています。当記事ではここまでの間に、施設について色々と申し上げてきましたが、少なくとも湯使いは素晴らしく、贅沢に投入されている温泉は新鮮そのものです。言わずもがな、私は温泉マニア。施設はともかく、お湯のクオリティが良ければそれだけで十分満足できるんです。湯加減は40℃前後で一般的なお風呂よりも若干ぬるめ。じっくりノンビリ長湯できます。なお、この新鮮なお湯を汲んで持ち帰る場合は、一升500円とのことです。



洗い場と主浴槽の間には「ラドン吸入室」と掲示された怪しい部屋がありました。フロント前に置かれていた、あの大きな装置から送られてくるラドンと称する摩訶不思議なガスが、このドアの向こうで充満しているわけですね。



ステップを上がってドアを開けたら、密閉された蒸し風呂のような空間に、内湯主浴槽と同じような形状およびサイズの細長い浴槽が設けられており、そこに内湯と同じ源泉が注がれていました。てっきり怪しい匂いが充満しているのかと思いきや、単に温泉の湯気が満ちているだけでしたが、閉鎖的空間ゆえにちょっとしたミストサウナ状態であり、若干の息苦しさを覚えました。いや、その苦しさはラドン由来なのかも(まさか・・・)。



壁には怪しい説明書きがたくさん掲示されており、ラドンがいかに健康に良いか、その効能が力説されているのですが、その説明によればフロント前の巨大なラドン発生装置はラドンガスとオゾンガスを発生させているとのこと。ラドンはともかく、本当にオゾンガスを発生させてこの浴室に開放させているのならば、それを吸った私は気管支炎になっちゃうかも。オゾンなんて放出しちゃダメなのでは・・・。そもそも医療的効果を謳うのは薬事法に抵触しちゃうのではないかと、湯に浸かりながら余計なことを考えてしまいました。

縦長の浴槽の底からブクブクと気泡が上がってくるのですが、おそらくこの気泡が巨大な装置から送られてきたガスなのでしょう。その影響なのか湯中では若干の泡が肌に付着します。密閉された狭い浴室であるためお湯は冷めることなく、主浴槽よりも若干高めの湯加減であるため、多くのお客さんはこの浴槽に集まってくるようでした。私もこの浴槽に入ってみましたが、湯加減は一般的であるにもかかわらず確かに温まりが強く、あれれ、これってラドン効果なのかと思ってしまいましたが、よく考えれば室内は上述のようにミストサウナ状態で全身蒸されながらの入浴であるため、ラドンの影響とは無関係に体が温まり発汗するわけです。なお湯口には「ラドン温泉なのでたくさん召し上がってください」と書かれており、試しに私も飲んでみましたが、特に身体にこれといった影響は無かったように思います。

私はこの「ラドン吸入室」で初めて知ったのですが、世の中にはラドン開発事業団なる団体があり(もしくはあった)、その元会長として元総理大臣の鈴木善幸氏の名前が浴室内のプレートに記載されていました。いわゆる名誉職(お飾り)だったのでしょうけど、氏の現役時代を知る方々にとっては大きなネームバリューを発揮したことでしょう。 



健康を取り戻すため10分間がまん? 試しに私も我慢してみましたが、ただ少々逆上せかかっただけでした。自覚しなかったものの、何か効果はあったのかしら・・・。
それはともかく、こちらのお湯は淡い褐色(黄土色系の茶色)の透明で、湯の花は確認できず、特に浮遊物もありません。お湯を口に含むと金気味と薄い塩味、重曹的なほろ苦み、そして僅かですが卵黄のような味が感じられます。湯中ではツルスベ浴感がしっかり得られ、滑らかな感触がとっても気持ちよく、特に主浴槽はぬるめの湯加減であるため、ツルスベのお湯をゆっくりと堪能することができました。

施設に関しては人によって受け止め方が様々かと思いますが、お湯の質はまずまずなので、甲府~韮崎間の国道20号を走行中にひとっ風呂浴びたくなった時には便利な施設です。また廉価で宿泊できるようですから、旅人にも重宝するかと思います。


中央ベニヤ竜王温泉(竜王ラドン温泉)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 pH7.8 39.5℃ 130L/min(掘削自噴) 溶存物質1346.2mg/kg 成分総計1445.3mg/kg
Na+:418.4mg(89.52mval%), Ca++:24.6mg(6.05mval%), Mg++:7.2mg,
Cl-:428.9mg(65.65mval%), Br-:1.4mg, HS-:0.1mg, HCO3-:313.4mg(27.89mval%), CO3--:31.2mg,
H2SiO3:97.2mg, CO2:99.1mg,
(平成21年11月9日)

中央本線・竜王駅から徒歩10分強
山梨県甲斐市富竹新田1300-1
055-276-9111
ホームページ

日帰り入浴10:00~23:00 
700円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり


私の好み:★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする