温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

一関市 山桜桃の湯

2022年02月25日 | 岩手県

(2020年初冬訪問)
宮城県や岩手県で国道4号などの幹線道路を車で走行していると、「山桜桃の湯」の広告看板が否応なく目に入ってきます。天邪鬼な私は積極的に宣伝している施設を避けてしまう傾向にあるのですが、広告を目にする頻度が「白松がモナカ」や「東北サファリパーク」並みなので、いつの間にか名前が脳みそに刷り込まれていたらしく、気づけばGoogle先生の導きに従って自分の車をこの温泉に向けて走らせていたのでした。
場所としてはちょうど東北道・一関トンネルの真上に当たります。東北道は何度も往復していますが、こんなところに温泉があるとは知りませんでした。敷地はなかなか広く、別館のホテルもあり、私が訪ねたのは平日昼前の午前中でしたが駐車場にはたくさんの車が止まっていました。

エントランスを入り、フロントで下足箱の鍵を預けながら料金を支払います。なおホテルのチェックインも同じフロントで行手続きをするようです。


大衆演劇の公演がこの施設の売りの一つ。拙ブログでもいままで大衆演劇を公演している温泉施設をいくつか紹介してまいりました。一般的には西日本が多いかと思いますが、ここを含めて東北にもいくつかあるんですね。なおフロントの前にはアジアン雑貨の売店も設けられています。
温泉、大衆演劇、アジアン雑貨・・・この施設のコンセプトがいまいちよくわかりません。


こちらの温泉は毎週火曜日に男女の浴室を入れ替えとのこと。私はちょうど火曜に訪問したため、入れ替え直後のお風呂に案内されました。脱衣室は広くて清潔感があり、パウダーゾーンも広めでブースも数多く用意されています。そして常に櫛などのアメニティが補充されているので、気持ちよく利用できます。なおロッカーは受付で料金と引き明けに手渡されるロッカーキーで指定された番号のところを使うことになります。

以下の画像は、公式サイトから借用しております。


浴場内も広くてたくさんの浴槽が設けられています。説明によれば露天と併せて17種類もあるんだとか。
この日利用した浴場の場合、入って右手に洗い場が配置されており、シャワー付きカランが計16基並んでいます。また浴場入口付近の右手手前には源泉の掛け湯や水風呂が、そして左側手前にはサウナが配置され、サウナの並びにはシルク風呂と源泉が張られた内湯の大風呂が隣同士に据えられています。


洗い場の並びにはあつ湯岩風呂という浴槽があるので実際に入ってみたのですが、たしかに少々熱いんだけれども、正直なところ体が赤くなるほど熱いわけでもなく、石板が貼られた一般的な浴槽にすぎないようでした。ま、あまり熱すぎても体には宜しくありませんから、お客さんの健康を考慮すれば多少熱いかな、程度の湯加減でとどめておくべきなのでしょう。


さすが高台の上に位置しているだけあって露天風呂からの眺めはとても良く、周辺の景色を一望することができました。残念ながら訪問日は天空風呂という浴槽が工事のため利用不可だったのですが、他の露天風呂も眺め良好でしたから気になりませんでした。露天ゾーンに設けられた浴槽のうち、出入口に近い場所に位置する浴槽は一般的な作りで、木のぬくもりが感じられる入り心地の良いお風呂です。


その隣に据えられた巨大岩くりぬき風呂は、その名の通りに大理石をくり抜いて作ったんだとか。実際に入ってみますと、独特の滑らかな肌触りが気持ちよく、しかも見た目が非常に重厚なので、他の浴槽よりもはるかに非日常感を味わえるかと思います。そして更に奥の方では檜風呂や信楽か何かの壺湯も設けられています。本当にバラエティー豊かだこと。


さてこちらの施設では、いずれの浴槽でも源泉掛け流しの湯使いを実践しているらしく、加温循環濾過は無いそうです。訪問時、内湯の大きな浴槽と露天の四角い一般的な浴槽では、それぞれの底面に茶色い湯の花が結構溜まっていたのですが、脱衣室内には「本日は天然温泉特有のにごり湯となっております」という掲示があったので、にごり湯をもたらす成分が沈殿していたのかもしれません。日によって澄んだり濁ったりと変貌するタイプのお湯なのでしょう。
「笹谷ちびぞう源泉」という風変わりな名前を持つこの温泉は、私が入った時には淡い黄色を帯びた透明で、確かに笹濁りと表現してもよい程度の濁りはあったような気もします。湯口から吐出されるお湯を口に含むと、塩味とともにほんのりとアブラ臭が香ってきました。もしかしたら塩素消毒されていたかもしれませんが、館内にはこの点に関する説明が見当たらず、もしかしたら私の嗅覚が狂っていた可能性もありますので、消毒の有無に関する断言は避けておきます。
湯中では食塩泉らしい少々の引っかかりを伴うツルスベ浴感が得られ、湯上り後は体の芯までよく温まります。内湯は若干熱かったかもしれませんが、露天はどの浴槽もちょうど良い湯加減でした(これは日によって変わるでしょう)。

とにかく露天からの眺めが良いですし、いろんなお風呂に入れますので、長い時間にわたってゆっくりのんびり湯あみを楽しめる施設であることに違いありません。路傍の看板による洗脳も悪くないなぁと思えるほど、利用価値の高い温泉でした。


笹谷ちびぞう源泉
ナトリウム-塩化物温泉 57.8℃ pH7.8 199L/min(動力揚湯) 溶存物質5.101g/kg 成分総計5.107g/kg
Na+:1788mg(91.79mval%9), Ca++:107.1mg(6.30mval%), Fe++0.2mg,
Cl-:3019mg(98.22mval%), Br-:10.8mg, I-:1.8mg, HCO3-:79.6mg,
H2SiO3:39.7mg, HBO2:17.6mg,
(平成31年1月17日)

岩手県一関市赤荻字笹谷393-6
0191-33-1118
ホームページ

5:00~23:00(最終受付22:00)
2時間利用:平日750円・日祝祭日1,080円
1日利用:1,850円(タオル・バスタオル・館内着付)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★


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金ヶ崎温泉 駒子の湯

2022年02月15日 | 岩手県

(2020年11月訪問)
掲載する温泉の数ばかりが増え、中身が伴っていない拙ブログですが、実際に記事を書いている私ですら中身の記憶が曖昧で、何を書いたか、何処を書いたか、あまり覚えていないのが悲しいところ。今回取り上げる岩手県の金ヶ崎温泉「駒子の湯」も、てっきり10年ほど前に記事にしていたかと思っていたら、なぜか記事にしていないままでしたので、今回取り上げることに致します。
今回の記事では2020年11月に再訪問した際のことを記事にしますが(1年以上前の内容で申し訳ございません)、所々で2009年に初訪問した時の画像も織り交ぜながら話を進めてまいります。

岩手県道37号線は金ヶ崎町エリアを南北に貫くところで、牧場が広がる高原地帯を右へ左へとカーブしながら進んでゆくのですが、その途中に突如として現れる温泉施設が「駒子の湯」です。駒子ってどなたのことかしらと調べてみたら、どうやらこの近くには駒ヶ岳という山があるらしく、その駒の字を採っているのでしょう。駒ヶ岳という名前の山は全国各地にあるんですね。名前こそ駒ですが、この温泉施設のまわりでのんびり草を食んでいるのは牛。これ如何に。


いかにも公共施設と言わんばかりの形状をした建物に入り、受付カウンターにて料金を直接支払います。受付の左手ではレストランが営業中。この他休憩スペースも設けられています。


大きな暖簾をくぐって脱衣室へ。
脱衣室は浴室とガラスで隔てられていて、とても明るいのみならず、お風呂の様子がよくわかる造りになっています。


十数年ぶりに再訪したのですが、浴場内の様子は以前の記憶のままでした。具体的に表現しますと、前回訪問時は「体育館みたいなお風呂だなぁ」という印象が強かったのですが、今回も同じく体育館のような雰囲気を感じたのでした。天井が高くてだだっ広いく、明るいながらもやや無機質なのです。空間の広さもさることながら、タイル張りの床のデッドスペースがやたらに広いことが、体育館的な印象をもたらしているのでしょう。

洗い場にはシャワー付き混合水栓が計12基(7基+5基)設けられており、洗い場の裏側には掛け湯をするような蛇口が取り付けられています。また室内にはオジサンたちの憩いの場であるサウナも設置されています。


(↑この画像だけ2009年撮影)
ここで2009年に訪問した際の画像も盛り込んでみましょう。
大きな窓に面した浴槽はかなり大きく、サイズは失念してしまったものの、十数人が同時に入れそうなキャパを擁しています。こちらの浴場は内湯のみで露天風呂は無いのですが、窓がとても大きくしかもその向こうには何もないので、屋内とはいえ下手な露天風呂よりよっほど開放感があります。


湯口から投入されたお湯は湯船を満たした後、洗い場側及び窓側の両辺から溢れ出てゆきます。館内表示によれば加温は一切行っていない100%のかけ流しで、入浴剤や消毒の投入も一切ないとのこと。湯口や浴槽の縁には、鱗状とまではいかないのですが、ベージュ色をした温泉成分のコーティング(析出・温泉華)が付着しており、お湯の濃さがビジュアル的に伝わってくるようでした。

お湯は淡い黄土色を帯び透明で、湯口でほんのりアブラ臭が香るほか、口に含むとはっきりとした塩味、そして少々の苦味が感じられます。海から遠く離れた山間部だというのに、溶存物質7.206gの食塩泉が湧出するのですから実に不思議ですね。おそらくこの塩分の正体は地下に存在するグリーンタフ層かと思われます。グリーンタフによって生まれる温泉の中でも、新潟から北の日本海側や、岩手県の内陸部で湧出する一部の温泉はえてして塩辛く、またアブラ臭を放つことが多いのですが(岩手県ですと「焼石岳温泉 やけいし館」や国見平温泉、巣郷温泉などが好例でしょう)、この温泉もその一例に含まれるのかと思います。その一方、グリーンタフ型は往々にして硫酸塩を多く含みますが、こちらの温泉では硫酸イオンを全く含んでいない点は興味深いところです。


お湯に含まれる食塩のおかげで、お湯に浸かると体の芯までとてもよく温まります。でも私が入ったときはちょっと熱めだったかも。館内掲示によれば42.8度と書かれていたのですが、実際にはもう少し熱かった気がします。食塩泉かつ熱めの湯加減なので、迂闊に長湯すると逆上せてしまいますから、湯船に入るときは注意しましょう。でも良いお湯には違いありません。窓外ののどかな景色を眺めながら体を温めて、心身をしっかり癒しましょう。


新寿の湯
ナトリウム-塩化物温泉 59.2℃ pH7.2 43.5L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質7.206g/kg 成分総計7.251g/kg
Na+:2314mg(89.04mval%), Ca++:144.5mg(6.37mval%), Mg++:25.2mg,
Cl-:3959mg(94.82mval%), Br-:12.0mg, HS-:0.2mg, S2O3--:0.1mg, HCO3-:361.0mg(5.03mval%),
H2SiO3:195.6mg, HBO2:75.6mg, CO2:44.5mg, h2S:0.2mg,
(平成26年1月9日)

岩手県胆沢郡金ヶ崎町西根和光544-1
0197-43-2227
ホームページ

9:00~21:00(最終受付20:30) 年中無休
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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台温泉 松田屋旅館 その3(別館のお風呂)

2022年02月08日 | 岩手県
前回記事の続編です。

さて今度は別館のお風呂に入ります。
その1でも申し上げましたが、こちらのお宿は本館ではなく別館に本店機能が集まっており、スタッフ常駐のフロントも食堂も別館にあります。また私が宿泊した日もお客さんは別館利用者が多く、それに比べて本館は少ないようでした。お風呂の利用に関しても、その2で述べましたように、本館のお風呂は21:30で閉まってしまうため、それ以降の時間に入浴したい場合は別館のお風呂を使うことになります。スタッフさんは別館に常駐しているのですから、何かあったときに対応できるよう、夜間は本館ではなく別館のお風呂を使ってもらうわけですね。

別館のお風呂は2室あり、21:30までは両方とも予約不要の貸切制で、空いていればどちらでも自由に使えます(言い方を変えると、早い者勝ち)。一方、本館のお風呂が使えなくなる21:30以降は男女別となり、翌朝からは再び貸切制に戻ります。

●釜の湯(21:30~朝は男湯)

2室のうち、まずは「釜の湯」へ入ることに。こちらは21:30まで貸切制で、それ以降は男湯になります。


クラシックなスタイルの浴室には、ハートのような形状をしている浴槽がひとつ、窓と右側の壁際に据えられています。
ちょっと深めの造りで入り応えがあり、肩までしっかり湯に浸かれました。
湯船の反対側には・・・


洗い場が設けられています。なお洗い場のシャワーは3つです。
床に敷かれているのは畳なのですが、なぜ畳を用いているのでしょうか。元々施されていたタイル等の床材が剥がれ、その補修目的で上から被せたのでしょうか。


浴室の造りや雰囲気もさることながら、浴槽自体もかなりアンティークな感じで、補修箇所によって採用されている豆タイルが異なるため、色や模様がバラバラという実に不思議な模様ができあがっていました。統一感が全くないのですが、これはこれで面白いかもしれませんね。

●万寿の湯(21:30~朝は女湯)

つづいて「釜の湯」の向かいにある「万寿の湯」へ。


湯気で画像が曇っており、見難くて恐縮です。
こちらは釜の湯より一回り小さい空間で、窓の下に肝臓のような形状の浴槽がひとつ設けられています。


洗い場のシャワーは「釜の湯」と同じく3つ。こちらの床にも畳が敷かれていました。


子供と一緒に入ることを想定してか、このようなアヒルさんがいらっしゃったり・・・


幼児用の入浴グッズが用意されていました。小さなお子さんの家族連れには嬉しい配慮です。


その2で取り上げた本館のお風呂には1号泉のお湯が引かれていますが、「釜の湯」「万寿の湯」とも別館では2号泉が引かれているようです。本館の2号泉も別館の1号源泉も、無色透明でほぼ無味無臭。湯中には茶色の浮遊物が舞っていましたが、湯の花なのか異物なのかが不明。源泉によって異なるものの、台温泉のお湯は多少なりとも硫黄感を有するのが特徴ですが、こちらのお風呂で浸かったお湯からは、あまりそのような知覚的特徴が感じられず、想定と実感との差に少々戸惑ってしまいました。とはいえ、以前日帰り入浴した「中嶋旅館」の2号源泉もほぼ同様のお湯でしたから、各旅館へ引かれた後の2号泉はそのような特徴を表すのかもしれません。

リーズナブルに宿泊できる上、滞在中はいろんなお風呂をハシゴできますので、手軽に湯めぐりを楽しみたい方にはもってこいのお宿と言えそうです。


1号泉
含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 90.5℃ pH8.2 湧出量測定不能(掘削自噴) 溶存物質1.102g/kg 成分総計1.103g/kg
Na+:277.5mg(87.91mval%), Ca++:27.8mg(10.12mval%),
Cl-:156.5mg(29.11mval%), HS-:2.1mg, S2O3--:0.7mg, SO4--:441.4mg(60.66mval%), HCO3-:60.2mg(6.53mval%),
H2SiO3:99.2mg, H2S:0.4mg,
(平成24年11月30日)

2号泉
単純硫黄泉 86.5℃ pH8.5 溶存物質0.9438g/kg 成分総計0.9445g/kg
Na+:200.2mg(87.71mval%), Ca++:15.2mg(10.88mval%),
Cl-:103.7mg(27.27mval%), HS-:1.5mg, S2O3--:0.4mg, SO4--:308.7mg(59.98mval%), HCO3-:58.3mg(8.96mval%),
H2SiO3:87.8mg, H2S:0.2mg,
(平成24年11月30日)

岩手県花巻市台2-20
0198-27-2356
ホームページ

日帰り入浴15:00~19:00
500円(別館帳場にて受付)

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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台温泉 松田屋旅館 その2(本館のお風呂)

2022年02月02日 | 岩手県
前回記事の続編です。

宿泊客は、私が泊まっている本館のお風呂はもちろん、別館のお風呂も入浴可能です。欲張りな私は宿泊中に両方のお風呂へ入りました。まずは本館のお風呂から取り上げます。

本館には1階内湯、1階露天風呂、3階貸切風呂の3種類があるのですが、訪問当日はポンプ故障のため3階のお風呂には入ることができなかったため、内湯と露天のふたつをご紹介いたします。なお本館内湯は21:30まで男湯、露天は女湯として設定され、21:30以降は双方とも利用することができず、翌朝になると内湯が女湯、露天が男湯というように暖簾が掛け替えられますので、宿泊時にはちょっと注意を要します。なお本館のお風呂が閉じられる21:30以降に入浴したい場合は、別館のお風呂を利用することになります。

●本館 内湯

チェックイン当日の夜、男湯の暖簾が掛かっていることを確認しながら内湯へ。


脱衣室からちょっとステップを下ってゆくこの内湯は、質実剛健と申しましょうか、あまり気を衒うことのない実用的な設えです。湯気が立ち込める浴室の中でお湯を湛える白いタイル張り浴槽の形状は、上から見るとMの字のような不規則な曲線を描いており、この形状だけが温泉旅館に泊まることで味わせる非日常性を演出しているかのようでした。
なお洗い場に取り付けられているシャワー付きカランは2基。その数からもこの浴室の規模を想像できるかと思います。


余計なことは考えなさんな、ただひたすら湯に浸かれば良いのだよ、と言わんばかりのシンプルなお風呂。
東京メトロのマークのような形状のお風呂に注がれているのは、台温泉2号源泉のお湯です。
浴槽向かって右側の壁面より浴槽へ塩ビのパイプが伸びているのですが、私の訪問時はここから何も出ておらず、上画像にも写っている浴槽中央底部の穴(凹み)から源泉が投入されていました。なお時期によって加温や加水が行われるそうです。無色透明なお湯からはほんのりと砂消しゴムっぽい風味、そして淡い塩味が感じられました。台温泉といえば白い湯の花を思い起こしますが、こちらのお風呂では見られませんでした。いい湯加減のお風呂に肩までじっくり浸かることで、旅の疲れがすっかり癒されました。

●本館 露天

翌朝、寝ぼけ眼をこすりながら本館1階の露天風呂へ。


同じ建物の内湯は昭和の香りが漂っていましたが、露天の脱衣室は比較的新しい造りなので、改築か増設したのかと思われます。
上画像は更衣室内の洗面台ですが、狭いものの綺麗なので快適に使えます。


更衣室を抜けた先にあるのは洗い場ゾーン。浴槽などは無く、ただタイル張りの空間にシャワーが2~3基ほど取り付けられているだけ。私の訪問時、シャワーのお湯がやけに熱くて湯温調整にて手子摺ったのですが、これは私の目を覚ますためにボイラーが気をつかってくれた証なのかもしれません。


この洗い場ゾーン。浴槽は無いのにデッドスペースが妙に広く・・・


その広さゆえに冬は冷えてしまうため、洗い場なのに石油ファンヒーターが焚かれていました。


洗い場を抜けて露天の浴槽へまいりましょう。
引き戸の先には、勾玉のような曲線を描く大きな岩風呂がお湯を湛えていました。四方を塀に囲まれ、頭上も屋根で覆われており、正直なところ露天というより、隙間の多い納屋の中にお風呂をこさえたような感じなのですが(失礼な表現で申し訳ございません)、目の前には宿の建物が屹立していますし、また左手には隣家の駐車場も近接していますので、目隠しという意味でこのように全方位を囲む必要があったのでしょう。


内湯同様、こちらにも2号源泉のお湯が注がれており、内湯と同じような知覚的特徴を確認できました。
景色については諦めざるを得ませんが、外気に触れることによるクールダウンは存分に楽しめますので、湯船にしっかり浸かって全身が火照ったら、塀の隙間から入ってくる外気に身を晒して一気にクールダウン。そしてまた湯船へ…。この繰り返しはなかなか気持ち良いものです。

次回記事では別館のお風呂を取り上げます。

次回に続く。
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