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吉松温泉郷の各温泉はそのほとんどが加久藤盆地の中で点在していますが、今回取り上げる「愛宕温泉」は例外的に盆地の中ではなく、湧水町の中心から東へ外れた、霧島山地と盆地が接する境界地帯に位置しており、周辺の他温泉とは立地条件がやや異なる施設です。
私は愛宕温泉に関して何の予備知識もなく、国道268号線の沿道にたまたまこの温泉の看板を見つけたので、てっきり国道から近い場所にあるのかと勘違いして看板が指し示す路地へと進んでいったのですが、路地を奥へ進めどもなかなかそれらしき建物は見えてこず、やがて集落の中へ突っ込んで路地はますます狭隘になり、ここで本当に合っているのかと不安になっていた頃、集落を抜けた先の、杉木立に囲まれた休耕地かあるいは集落跡と思しき棚田状の空き地が続く谷あいに、一軒だけポツンと赤い瓦の載せた木造建築が目に入ってきました。てっきり古い温泉浴場なのかと思っていましたが、実は2005年にオープンしたんだそうでして、まだ開業して10年も経っていないとは思えない渋い佇まいです。
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敷地内の駐車場の片隅には「温泉明神」なる碑が立っていました。その周囲の設備は源泉井関係のものでしょう。
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玄関を上がると正面にまっすぐ廊下が伸びており、右側手前に受付用の小窓が設けられているので、こちらで料金を支払います。館内にはロッカーが無いとのことなので、貴重品はこちらで預かってもらうことにしました。浴室は廊下の左側です。
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ウッディーでぬくもりのある脱衣室内はとっても綺麗で手入れが行き届いており、界隈の公衆浴場の中では飛びぬけているかと思います。
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浴室は公衆浴場にしてはこじんまりとした造りながらも、やはりよくメンテナンスされていてとても綺麗、快適に利用することができました。また、室内には芳しいモールの香が漂っており、戸を開けた途端に鼻孔をくすぐる芳香に、思わず鼻をクンクンと鳴らしてしまいました。
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洗い場にはシャワー付き混合栓が3基設置され、水栓から出てくるお湯は源泉です。
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浴槽は縁が木で、槽内は化粧石板貼り。約5人サイズといったところでしょうか、岩組みの湯口から源泉が注がれ、縁から洗い場へ惜しげもなく大量にオーバーフローしています。湯口にはグランドレーキのような掻き混ぜ棒が立てかけられていましたが、訪問時の湯加減はそれほど熱くなかったため、使用せずに済みました。
お湯は濃い琥珀色透明で、マルーン色の湯の華が沢山浮遊しており、上述のようにモール泉らしい芳香がしっかりと感じられ、お湯に鼻を近づけると木を燻したような(やや焦げた炭のような)匂いも嗅ぎ取ることができました。口に含むと重曹味とともに口腔にちょっと残る苦みも確認できます。なお泡付きは見られませんでしたが、ツルツルスベスベ浴感が明瞭に肌に伝わり、ついつい後を引いてしまう非常に心地よいお湯です。この浴感に関しては、モール系のお湯であることがその感触をもたらしているのでしょうが、メタケイ酸が497.1mgも含まれていることも注目に値するかと思います。
なお浴槽のお湯は縁からのオーバーフローの他、浴室窓下にあけられた穴からも排湯されており、この排湯管が露天風呂へ接続されているように見えてしまうのですが、よく観察したところ、露天風呂にはつながっておらず、ちゃんと外部へ排水されているようです(あくまで推測ですけど)。
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200円の公衆浴場なのに露天風呂が利用できちゃうのが非常にうれしいところですね。訪問時は外気に冷やされてぬるめでしたが、番台のおばちゃんに一声かけたところ、すぐに湯量を増やして湯加減をいい塩梅へと調整してくれました。
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そんなに広くないので、お湯から上がってゆったりできるようなスペースがないのはちょっと残念ですが、200円なのですから贅沢を言ってはいけませんね。露天に入れるだけで十分有難いと思わなきゃ。周囲は板塀で囲まれているため、お湯に浸かっちゃうと周りの景色を眺めることはできませんが、立てば矢岳方面の山稜を望むことができました。また周囲は木立で覆われているため、緑豊かで非常に静かです。
モール系のお湯らしく湯上りはすっきり爽快。満足しながら退館時に番台へ挨拶すると、奥でテレビを見ていたおばちゃんはニコニコしながら「いい湯だったでしょ。うちのお湯はモール泉だからね」と自慢げに語っていました。盆地内の古い公衆浴場には抵抗感がある方でもこちらのお風呂なら気持ち良く利用できるでしょうね。おすすめです。
単純温泉 52.7℃ pH7.5 溶存物質717.4mg/kg 成分総計785.3mg/kg
Na+:121.2mg(85.83mval%),
HCO3-:334.4mg(94.00mval%),
H2SiO3:497.1mg, 遊離CO2:67.9mg,
鹿児島県姶良郡湧水町中津川1292
0995-75-4757
14:00~18:00
200円
備品類なし
私の好み:★★★