温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

繋温泉 癒しの宿ロデム

2023年04月05日 | 岩手県
(2022年4月訪問)
前回記事と同様、今回の記事も私が2022年4月に訪問した際の記録を書き綴っております。繰り返しになりますが、今回取り上げる宿を運営している宗教法人は、私が調べた限り、2022年7月以降に世間を騒がせている某宗教団体とは別組織であるらしいことを、改めてお伝えしておきます。

御所湖の湖畔に位置する盛岡市の繋温泉は、その奥にある鶯宿温泉より知名度も規模感も劣るためか、温泉地としての存在感は今一つのような気がしますが、それでも良いお湯に入れるお宿があり、個人的には好きな温泉地のひとつです。今回はその中でも異色なお宿で日帰り入浴してまいりました。


今回訪ねた「癒しの宿ロデム」は温泉街からちょっと外れた湖畔の道路沿いにあり、一見すると保養所みたい地味な外観ですが、れっきとした温泉旅館です。


察しの良い方は名前から想像つくかと思いますが、拙ブログの前回記事で取り上げた「レムナント鶯宿」と同じ韓国系キリスト教(プロテスタント)団体が運営している施設です。このため鶯宿の施設と同様に驚きの安さで宿泊することができます(2022年4月時点で素泊り3,850円)。


私がフロントを訪ねると、作務衣のような服を着た韓国系の方が対応してくださいました。


フロント近くの棚にはたくさんの資料が並べられていました。普通のホテルだったら観光パンフレット類ですが、こちらのお宿の場合は布教を目的とするもの。ここからして他のお宿とは性格を異にしていますね。


お風呂はフロントから奥へ進んだところに位置しています。
脱衣室はこじんまりしていますが、一応エアコンが設置されており、大型のロッカーも備え付けられています。なおロッカーの数はあまり多くないので、全て埋まっていたら貴重品はフロントへ預けましょう。


浴室は男女別の内湯がひとつずつで、露天風呂はありません。当然ながら私は男湯の暖簾が下がっていた浴室を利用しましたが、浴室内のタイルはピンク色でした。なおもう一つの浴室のタイルは緑色なんだとか。男女で色を分けていないのか、あるいはたまたま男女の暖簾が逆に掛かっていたのか、男女入れ替え制なのか、その辺りの事情はよくわかりません。

洗い場は浴室手前の左右に配置され、シャワー付きカランが計6ヶ所(もしくは8ヶ所)取り付けられています。
浴槽はひとつで、その寸法は約4m×2m程。おおよそ6人サイズでしょうか。洗い場の床や浴槽は十和田石張りです。竹筒を模した樹脂製の筒から浴槽へ温泉が投入されているのですが、その湯口の傍には聖書の言葉が掲示されていて、初めて見た時にはちょっと驚きました。

こちらへ引かれているお湯は繋温泉共有の混合泉であり、周辺の他施設と同じお湯です。訪問時の湯船のお湯はかすかに白く靄掛かっていたのですが、これはお湯の特徴なのかあるいが湯鈍りしていただけなのか、詳しいことは不明です。なお湯中でたまに白いものや黒い羽根状の湯の花を見かけました。お湯からは弱いタマゴ風味が得られます。ツルスベながら若干ひっかかるような浴感です。湯使いは加水した上でのかけ流し。
私が訪問した夕刻には日帰り入浴客が続々と来ていました。どうやら近所の銭湯の代わりとして活用されているのでしょうね。


つなぎ温泉混合泉の湯(至光の湯、新瑞光の湯の混合泉)
単純硫黄泉 65.3℃ pH9.1 溶存物質0.5926g/kg 成分総計0.5926g/kg 
Na+:163.3mg(90.91mval%),
Cl-:105.7mg(36.43mval%), HS-:1.1mg(0.37mval%), SO4-:200.8mg(51.10mval%), S2O3--:2.4mg(0.49mval%),
H2SiO3:68.7mg, H2S:0.0mg,
(平成18年11月21日)
加水あり(源泉温度が高いため)
加温循環消毒なし

岩手県盛岡市繋字萪内沢83-1
019-689-2266
ホームページ

日帰り入浴11:00〜20:00(日曜休み)
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鶯宿温泉 ホテルレムナント鶯宿

2023年03月30日 | 岩手県
(2022年4月訪問)
まず念頭に申し上げておきますが、今回の記事は私が2022年4月に訪問した際の記録を書き綴っております。また今回取り上げるホテルを運営している宗教法人は、私が調べた限り、2022年7月以降に世間を騒がせている某宗教団体とは別組織であるらしいこともお伝えしておきます。

しがない勤め人の私は日々質素な生活を心がけており、2022年4月の東北旅行でも旅の出費を抑えることが非常に重要な問題でした。とはいえ旅に出ようと思いついたのは出発の数日前。4月下旬の連休に入って間もないタイミングだったため、宿泊料金の相場が全体的に上がっており、しかも既にお部屋が埋まっているホテルや旅館が多く、どうしようか困っていたのですが、そんな中、お部屋が空いていて且つ激安のホテルを大手宿泊予約サイトで見つけたので、ほぼ条件反射のようなスピードで予約してしまいました。
果たしてどんなホテルなのでしょうか。


グーグル先生の指示に導かれるまま車を走らせると、上画像の施設へたどり着きました。ホテルの名前は「ホテルレムナント鶯宿」。そう、鶯宿温泉にある温泉ホテルです。でも外観を見た私はあることに気づきました。あれ? ここって以前は「ホテル鶯宿梅」じゃなかったかな? 


後日調べたところによると、どうやら韓国系プロテスタント教団(福音宣教教会)がここを買い取って運営しているんだそうです。フロントには布教目的と思しきパンフレット類がたくさん用意されているほか、フロントのスタッフさんもどうやら韓国の方のようでした。明るいロビーは「ホテル鶯宿梅」の頃と変わっていないかと思いますが・・・


そこに隣接するレストランは「韓国レストラン ソウル」となっていました。韓国系キリスト教団が運営しているためこのような形態になったのでしょうね。でも訪問時は「準備中」で利用できませんでした。


宛がわれた客室は広いツインルーム。古さは否めませんが、ちゃんと清掃が行き届いており・・・


小さな和室も付帯していて・・・


テレビや冷蔵庫など標準的な備品はひと通り揃っていますし、wifiも飛んでいます。また洗面台やトイレも室内にありますので、とても快適に過ごせました。なお電子レンジは廊下に共用のものがありますので、それを使うことになります。
このお宿はお食事の提供が無いため、原則的に素泊まりになるのですが、このような広くて便利なお部屋に泊まれて、後述する温泉に入れて、一人一泊なんと税込3,850円!(宿泊時点)。驚きの安さです。おそらく布教目的でこのような価格設定になっているものと思われますが、改宗するつもりのない(というか無宗教のままの)私にとっては、寧ろちょっと心配になるほどの安さです。

なお宿泊に際してお弁当などを持ち込む場合は、温泉街のちょっと手前(御所湖の西端)にローソンがあるので、そこで調達することが可能です。


さてお風呂へ参りましょう。1階ロビーから奥の方へ進んだところにあります。残念ながら夜通し入浴できるわけではなく、夜は22時まで、朝は6時からとなっています。

浴室は奥に長く、なぜか手前と奥で浴室が二つに分かれており、入浴できる浴槽は奥の窓下にひとつあるのみで、手前側には使われていないラジウム風呂という怪しげな設備が使われないまま放置されていました。


浴槽は十和田石造りの5~6人サイズ。湯口から「あさひの湯混合泉」が注がれており、しっかりかけ流されています。


このお風呂で面白いというか特徴的なのは、随所に聖書の言葉が書かれていること。たとえば湯口の上にはこのように掲示されており・・・


壁に沿って並ぶ各シャワーの鏡の上にも・・・


こんな感じで聖書の言葉が並んでいるのでした。
響く人には響く言葉なのでしょうけど、宗教方面に鈍感な私にとっては、田舎の道の曲がり角や軒先によく貼られている「神と和解せよ」と書かれた聖書配布協力会の黒いトタン看板と大差ないように思われ、正直なところ少々の気味悪さすら感じてしまったのですが、でも安く宿泊できるのですから文句は言えません。

なお浴槽に注がれるお湯は無色透明でほぼ無味無臭です。鶯宿に古くからある旅館のお湯からは優しい硫黄感が得られますが、温泉街の手前(盛岡側)に点在する各施設へ供給されている「あさひの湯混合泉」は比較的個性が弱く、味や匂いがあまり感じられません。分析表には硫化水素イオンが0.9mg含まれていますので、おそらくストックして配湯する過程で硫黄感は飛んで行ってしまうのでしょう。でもツルスベの滑らかな浴感はしっかりと得られ、湯中では細かな気泡が肌に付着しました。

宗教に抵抗感がある方にはおすすめできませんが、その辺りをクリアでき、且つとにかく安価で温泉に泊まりたい方には良い施設かと思います。


あさひの湯混合泉
アルカリ性単純温泉 51.9℃ pH8.9 溶存物質0.6075g/kg 成分総計0.6075g/kg
Na+:145.2mg(80.10mval%), Ca++:28.9mg(18.25mval%),
Cl-:45.8mg(16.37mval%), HS-:0.9mg, SO4--:286.3mg(75.63mval%),
H2SiO3:63.7mg,  
(平成16年12月4日)
加水加温循環消毒なし

岩手県岩手郡雫石町鴬宿9-32-8
019-613-2345
ホームページ

日帰り入浴設定無し?

私の好み:★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山の神温泉 優香苑 なごみの湯

2023年03月23日 | 岩手県

(2022年4月訪問)
花巻から北西へ伸びる岩手県道12号を進んでいくと、志戸平温泉や大沢温泉、鉛温泉など有名な温泉が点在していますが、この沿道に最近新しい施設が開業して人気を博しているという噂を耳にしたので、実際に行ってみることにしました。今回訪ねるのは旅館「山の神温泉 優香苑」に付帯する日帰り入浴専門施設「なごみの湯」。大沢温泉をちょっと越えた辺りの県道沿いというわかりやすい立地で、どうやら3年ほど前に開業したようです。

黒を基調としたシックで落ち着いた現代的和風といったファサード。広い駐車場には多くの車がとまっており、人気の程が伺えます。下足ロッカーに靴を入れて中に入っているスリッパへ履き替え、鍵をかけます。そして受付の券売機で料金を支払い、下足箱の鍵とともに入浴券を受付に差し出すと、引き換えに脱衣室のロッカーキーを手渡してくれました。


館内も落ち着いた佇まいです。今回は利用していませんがレストランを併設しているので、お風呂上がりにゆっくり食事をすることもできるでしょう(ランチ営業のみ)。受付を過ぎ、砂利の中に木が植わっている枯山水のような中庭を眺めながら浴室へ向かいます。
脱衣室は特段広いわけではありませんが、メンテナンスが行き届いており大変綺麗で気持ち良く使えました。また室内には洗面台が4~5面ほどあり、ドライヤーも4台用意されているので、お風呂上がりもストレスなく身支度を整えることができました。

今回の記事で内湯の画像はございません。悪しからずご了承ください。
天井が高い浴室もやはり黒色基調で落ち着いています。ただ照明はダウンライトのみなので、たしかに現代的でおしゃれかもしれませんが、私が訪問した曇天の日中ですら薄暗かったので、夜になると暗すぎてしまうのではないかと余計な心配が頭をよぎりました。
なお床には十和田石が敷かれており、また側壁には黒塗りの木材のように見たる樹脂の壁材が採用されています。

男湯の場合、入って手前の右側にサウナと水風呂があり、左側に立って使うシャワーが設置されています。その両者に挟まれた通路を抜けると、奥の右手に洗い場が、左手に主浴槽が配置されています。洗い場は二手に分かれており、手前側には計8ヶ所、奥には計12か所のシャワー付き混合栓が取り付けられています。なお各シャワーにはボディーソープ等のアメニティが備え付けられています。

内湯の主浴槽は窓の下にあり、十数人は同時に入れそうなゆとりのある造りです(寸法は失念)。ステップがややゴツく、今時の浴槽では珍しく肩までしっかり浸かれる深さがあります。源泉を41~2℃に加温した上でかけ流されており、浴槽のお湯は若干白く靄掛かっているように見えました。なお浴槽のオーバーフローは全量が窓側へ排出するよう造られており、洗い場側は縁が高くなっているのでオーバーフローしません。


露天風呂もなかなか良い雰囲気です。
広い庭の中に岩風呂が設えられており、周りには木が植えられ花が咲き、塀の向こうの田園風景や山々が借景になっています。緑豊かで且つ静かな良い環境です。
岩風呂は30人近く入れそうな広い造りで、浴槽内には切り出した御影石のような石材が敷かれています。内湯と対照的にちょっと浅めで、普通に座ると半身浴になってしまうので、若干寝そべらないと肩まで浸かれません。といはいえ、寝そべるといい感じに山の景色を眺められるので、寧ろ寝そべって入るのが正解なのかもしれません。
惜しむらくは女湯との境に煙突が立っていてそこから時々ボイラーの運転音(キュルキュル・ゴー・ボーといったような音)が聞こえてくることで、この煙突自体も黒く塗られて建物と統一感を図っているのですが、もう少し端っこに建てられなかったものかと残念な感は否めません。でも(繰り返しになりますが)岩や植木の配置が良く、花々や広いスペースなど、総じて良い環境なので、のんびりゆっくり湯浴みをしながら寛ぐことができました。

最後にお湯に関するインプレッションを。
お湯は無色透明なのですが、上述のように訪問時の内湯はやや白く靄掛かっていました。お湯のコンディションによって笹濁りを呈することもあるのでしょう。湯口から出るお湯からはゆで卵の卵黄のような風味が感じられます。0.5mg含まれる硫化水素イオンがその存在を主張しているのですね。
湯船に入るとではしっかりヌルヌルとした浴感が得られるのですが、これはアルカリ性であることの他、分析表によれば炭酸イオンが29.5mgとかなり多いので、これも滑らかな浴感をもたらす一因かと思われます。湯使いは加温した上でのかけ流しで、内湯は41~2℃という万人受けする湯加減である一方、露天は長湯仕様のぬる湯(約40℃)でした。個人的には景色をじっくり眺め慣れる上に時間を忘れて入っていられる湯加減の露天が大変気に入りました。

開業早々に人気を博しているため、私が訪問した時も混んでいましたが、とはいえ人混みを気にするような程ではなかったので、のんびり寛ぐことができました。今度は旅館にも宿泊してみたいものです。


松の湯
アルカリ性単純温泉 39.7℃ pH9.3 溶存物質0.6585g/kg 成分総計0.6586g/kg
Na+:204.4mg(98.89mval%),
Cl-:61.2mg(19.93mval%), HS-:0.5mg, SO4--:210.0mg(50.35mval%), HCO3-:71.5mg(13.48mval%), CO3--:29.5mg,
H2SiO3:58.1mg,
(平成27年12月1日)
加水循環無し
加温あり(源泉温度は低いため常時加温)
清掃時に塩素系洗剤を使用。

岩手県花巻市下シ沢字53番地1
0198-29-4126
ホームページ

10:00~20:00 
800円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一関市 山桜桃の湯

2022年02月25日 | 岩手県

(2020年初冬訪問)
宮城県や岩手県で国道4号などの幹線道路を車で走行していると、「山桜桃の湯」の広告看板が否応なく目に入ってきます。天邪鬼な私は積極的に宣伝している施設を避けてしまう傾向にあるのですが、広告を目にする頻度が「白松がモナカ」や「東北サファリパーク」並みなので、いつの間にか名前が脳みそに刷り込まれていたらしく、気づけばGoogle先生の導きに従って自分の車をこの温泉に向けて走らせていたのでした。
場所としてはちょうど東北道・一関トンネルの真上に当たります。東北道は何度も往復していますが、こんなところに温泉があるとは知りませんでした。敷地はなかなか広く、別館のホテルもあり、私が訪ねたのは平日昼前の午前中でしたが駐車場にはたくさんの車が止まっていました。

エントランスを入り、フロントで下足箱の鍵を預けながら料金を支払います。なおホテルのチェックインも同じフロントで行手続きをするようです。


大衆演劇の公演がこの施設の売りの一つ。拙ブログでもいままで大衆演劇を公演している温泉施設をいくつか紹介してまいりました。一般的には西日本が多いかと思いますが、ここを含めて東北にもいくつかあるんですね。なおフロントの前にはアジアン雑貨の売店も設けられています。
温泉、大衆演劇、アジアン雑貨・・・この施設のコンセプトがいまいちよくわかりません。


こちらの温泉は毎週火曜日に男女の浴室を入れ替えとのこと。私はちょうど火曜に訪問したため、入れ替え直後のお風呂に案内されました。脱衣室は広くて清潔感があり、パウダーゾーンも広めでブースも数多く用意されています。そして常に櫛などのアメニティが補充されているので、気持ちよく利用できます。なおロッカーは受付で料金と引き明けに手渡されるロッカーキーで指定された番号のところを使うことになります。

以下の画像は、公式サイトから借用しております。


浴場内も広くてたくさんの浴槽が設けられています。説明によれば露天と併せて17種類もあるんだとか。
この日利用した浴場の場合、入って右手に洗い場が配置されており、シャワー付きカランが計16基並んでいます。また浴場入口付近の右手手前には源泉の掛け湯や水風呂が、そして左側手前にはサウナが配置され、サウナの並びにはシルク風呂と源泉が張られた内湯の大風呂が隣同士に据えられています。


洗い場の並びにはあつ湯岩風呂という浴槽があるので実際に入ってみたのですが、たしかに少々熱いんだけれども、正直なところ体が赤くなるほど熱いわけでもなく、石板が貼られた一般的な浴槽にすぎないようでした。ま、あまり熱すぎても体には宜しくありませんから、お客さんの健康を考慮すれば多少熱いかな、程度の湯加減でとどめておくべきなのでしょう。


さすが高台の上に位置しているだけあって露天風呂からの眺めはとても良く、周辺の景色を一望することができました。残念ながら訪問日は天空風呂という浴槽が工事のため利用不可だったのですが、他の露天風呂も眺め良好でしたから気になりませんでした。露天ゾーンに設けられた浴槽のうち、出入口に近い場所に位置する浴槽は一般的な作りで、木のぬくもりが感じられる入り心地の良いお風呂です。


その隣に据えられた巨大岩くりぬき風呂は、その名の通りに大理石をくり抜いて作ったんだとか。実際に入ってみますと、独特の滑らかな肌触りが気持ちよく、しかも見た目が非常に重厚なので、他の浴槽よりもはるかに非日常感を味わえるかと思います。そして更に奥の方では檜風呂や信楽か何かの壺湯も設けられています。本当にバラエティー豊かだこと。


さてこちらの施設では、いずれの浴槽でも源泉掛け流しの湯使いを実践しているらしく、加温循環濾過は無いそうです。訪問時、内湯の大きな浴槽と露天の四角い一般的な浴槽では、それぞれの底面に茶色い湯の花が結構溜まっていたのですが、脱衣室内には「本日は天然温泉特有のにごり湯となっております」という掲示があったので、にごり湯をもたらす成分が沈殿していたのかもしれません。日によって澄んだり濁ったりと変貌するタイプのお湯なのでしょう。
「笹谷ちびぞう源泉」という風変わりな名前を持つこの温泉は、私が入った時には淡い黄色を帯びた透明で、確かに笹濁りと表現してもよい程度の濁りはあったような気もします。湯口から吐出されるお湯を口に含むと、塩味とともにほんのりとアブラ臭が香ってきました。もしかしたら塩素消毒されていたかもしれませんが、館内にはこの点に関する説明が見当たらず、もしかしたら私の嗅覚が狂っていた可能性もありますので、消毒の有無に関する断言は避けておきます。
湯中では食塩泉らしい少々の引っかかりを伴うツルスベ浴感が得られ、湯上り後は体の芯までよく温まります。内湯は若干熱かったかもしれませんが、露天はどの浴槽もちょうど良い湯加減でした(これは日によって変わるでしょう)。

とにかく露天からの眺めが良いですし、いろんなお風呂に入れますので、長い時間にわたってゆっくりのんびり湯あみを楽しめる施設であることに違いありません。路傍の看板による洗脳も悪くないなぁと思えるほど、利用価値の高い温泉でした。


笹谷ちびぞう源泉
ナトリウム-塩化物温泉 57.8℃ pH7.8 199L/min(動力揚湯) 溶存物質5.101g/kg 成分総計5.107g/kg
Na+:1788mg(91.79mval%9), Ca++:107.1mg(6.30mval%), Fe++0.2mg,
Cl-:3019mg(98.22mval%), Br-:10.8mg, I-:1.8mg, HCO3-:79.6mg,
H2SiO3:39.7mg, HBO2:17.6mg,
(平成31年1月17日)

岩手県一関市赤荻字笹谷393-6
0191-33-1118
ホームページ

5:00~23:00(最終受付22:00)
2時間利用:平日750円・日祝祭日1,080円
1日利用:1,850円(タオル・バスタオル・館内着付)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

金ヶ崎温泉 駒子の湯

2022年02月15日 | 岩手県

(2020年11月訪問)
掲載する温泉の数ばかりが増え、中身が伴っていない拙ブログですが、実際に記事を書いている私ですら中身の記憶が曖昧で、何を書いたか、何処を書いたか、あまり覚えていないのが悲しいところ。今回取り上げる岩手県の金ヶ崎温泉「駒子の湯」も、てっきり10年ほど前に記事にしていたかと思っていたら、なぜか記事にしていないままでしたので、今回取り上げることに致します。
今回の記事では2020年11月に再訪問した際のことを記事にしますが(1年以上前の内容で申し訳ございません)、所々で2009年に初訪問した時の画像も織り交ぜながら話を進めてまいります。

岩手県道37号線は金ヶ崎町エリアを南北に貫くところで、牧場が広がる高原地帯を右へ左へとカーブしながら進んでゆくのですが、その途中に突如として現れる温泉施設が「駒子の湯」です。駒子ってどなたのことかしらと調べてみたら、どうやらこの近くには駒ヶ岳という山があるらしく、その駒の字を採っているのでしょう。駒ヶ岳という名前の山は全国各地にあるんですね。名前こそ駒ですが、この温泉施設のまわりでのんびり草を食んでいるのは牛。これ如何に。


いかにも公共施設と言わんばかりの形状をした建物に入り、受付カウンターにて料金を直接支払います。受付の左手ではレストランが営業中。この他休憩スペースも設けられています。


大きな暖簾をくぐって脱衣室へ。
脱衣室は浴室とガラスで隔てられていて、とても明るいのみならず、お風呂の様子がよくわかる造りになっています。


十数年ぶりに再訪したのですが、浴場内の様子は以前の記憶のままでした。具体的に表現しますと、前回訪問時は「体育館みたいなお風呂だなぁ」という印象が強かったのですが、今回も同じく体育館のような雰囲気を感じたのでした。天井が高くてだだっ広いく、明るいながらもやや無機質なのです。空間の広さもさることながら、タイル張りの床のデッドスペースがやたらに広いことが、体育館的な印象をもたらしているのでしょう。

洗い場にはシャワー付き混合水栓が計12基(7基+5基)設けられており、洗い場の裏側には掛け湯をするような蛇口が取り付けられています。また室内にはオジサンたちの憩いの場であるサウナも設置されています。


(↑この画像だけ2009年撮影)
ここで2009年に訪問した際の画像も盛り込んでみましょう。
大きな窓に面した浴槽はかなり大きく、サイズは失念してしまったものの、十数人が同時に入れそうなキャパを擁しています。こちらの浴場は内湯のみで露天風呂は無いのですが、窓がとても大きくしかもその向こうには何もないので、屋内とはいえ下手な露天風呂よりよっほど開放感があります。


湯口から投入されたお湯は湯船を満たした後、洗い場側及び窓側の両辺から溢れ出てゆきます。館内表示によれば加温は一切行っていない100%のかけ流しで、入浴剤や消毒の投入も一切ないとのこと。湯口や浴槽の縁には、鱗状とまではいかないのですが、ベージュ色をした温泉成分のコーティング(析出・温泉華)が付着しており、お湯の濃さがビジュアル的に伝わってくるようでした。

お湯は淡い黄土色を帯び透明で、湯口でほんのりアブラ臭が香るほか、口に含むとはっきりとした塩味、そして少々の苦味が感じられます。海から遠く離れた山間部だというのに、溶存物質7.206gの食塩泉が湧出するのですから実に不思議ですね。おそらくこの塩分の正体は地下に存在するグリーンタフ層かと思われます。グリーンタフによって生まれる温泉の中でも、新潟から北の日本海側や、岩手県の内陸部で湧出する一部の温泉はえてして塩辛く、またアブラ臭を放つことが多いのですが(岩手県ですと「焼石岳温泉 やけいし館」や国見平温泉、巣郷温泉などが好例でしょう)、この温泉もその一例に含まれるのかと思います。その一方、グリーンタフ型は往々にして硫酸塩を多く含みますが、こちらの温泉では硫酸イオンを全く含んでいない点は興味深いところです。


お湯に含まれる食塩のおかげで、お湯に浸かると体の芯までとてもよく温まります。でも私が入ったときはちょっと熱めだったかも。館内掲示によれば42.8度と書かれていたのですが、実際にはもう少し熱かった気がします。食塩泉かつ熱めの湯加減なので、迂闊に長湯すると逆上せてしまいますから、湯船に入るときは注意しましょう。でも良いお湯には違いありません。窓外ののどかな景色を眺めながら体を温めて、心身をしっかり癒しましょう。


新寿の湯
ナトリウム-塩化物温泉 59.2℃ pH7.2 43.5L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質7.206g/kg 成分総計7.251g/kg
Na+:2314mg(89.04mval%), Ca++:144.5mg(6.37mval%), Mg++:25.2mg,
Cl-:3959mg(94.82mval%), Br-:12.0mg, HS-:0.2mg, S2O3--:0.1mg, HCO3-:361.0mg(5.03mval%),
H2SiO3:195.6mg, HBO2:75.6mg, CO2:44.5mg, h2S:0.2mg,
(平成26年1月9日)

岩手県胆沢郡金ヶ崎町西根和光544-1
0197-43-2227
ホームページ

9:00~21:00(最終受付20:30) 年中無休
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする