温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

石和 旅館日の出温泉(後編・お風呂)

2023年08月02日 | 山梨県
(前回記事の続編です)


さてお風呂に入ってゆっくりしましょう。
浴室は1階の離れにあり、手前が男湯で奥が女湯。脱衣室には籠と扇風機、そして洗面台が1ヶ所あるだけで、至ってシンプルです。


お風呂も奇を衒わない質実剛健な造りであり、むしろ邪念に囚われずお湯の良さと向き合うには最適の設えと言っても差し支えないでしょう。浴室の手前には洗い場が配置され、大きな窓の下に御影石造りの湯船が2つ並んでいます。
画像をご覧になってもわかるように、窓の外には大きな岩が屹立していますが、これは露天風呂の跡のようです。残念ながら現在露天風呂は使われていません。以前は露天にも入浴できたので、何らかの理由で使用が中止されてしまったのでしょうね(勝手な推測ですが、たとえば隣のマンションから露天風呂がまる見えになっちゃうこととか、湯温の問題とか・・・)。


洗い場にある水栓は計4基で、うちシャワー付きカランは2基です。


2つ並ぶ浴槽のうち、右側の小さな方は石和温泉エリアで配湯されている共同源泉のお湯が張られています。浴槽の大きさは(目測で)1.2m×3mほどでしょうか。


私が利用した時、湯口から出る湯温が約40℃でした。無色透明無味無臭ながら、湯口ではアルカリ性泉にありがちな微収斂やほろ苦みが僅かに感じられました。また湯船に浸かると強くはないもののアルカリ性泉らしいツルスベ浴感が得られました。
なお館内表示によれば入浴に適した温度へ調整するため加温するそうですが、甲府盆地全体が地獄釜のような猛暑だったこの日は加温していなかったと思われます。加温以外の加水循環消毒は実施されておらず、しっかり掛け流されています(浴槽清掃時のみ消毒使用)。


一方、左の大きな浴槽には掘削自噴の自家源泉が注がれています。湯使いは完全かけ流し。浴槽の大きさは(目測で)3.5m×3m程で、ゆとりのあるサイズです。大小両浴槽ともに御影石で造られており、右側の小さな浴槽、つまり石和の共同源泉が貼られている方はおそらく元々の素材色のままなのですが、左側の自家源泉浴槽はうっすら黄色く着色していました。お湯に含まれる成分の影響なのかもしれませんね。


自家源泉のお湯は湯口で35℃。無色透明無味無臭で癖が無い優しいお湯です。このお湯を加温することなく湯船へ注いでいます。湯中では中程度のツルスベとトロミが得られます。
特筆すべきはこのお湯のぬるさ。35℃前後という不感温度帯のお湯に浸かると、誰しも微睡んでしまうこと間違いなし。しかも体への負担が少ないため、いつまでも永遠に浸かっていられます。実際に私は1時間以上入り続けてしまいました。湯船にじっくり入ると、湯上がりはさっぱりするのに、やがて汗が出てくるのが実に不思議。清涼感があるのに温浴効果も得られるんですね。また湯船に長く浸かると全身に気泡が万遍なく付着します。

暑い夏には最高に気持ち良く、心身の癒しにも最適なぬる湯。宿泊中に私は何度も浸かって副交感神経を優位にさせたのでした。
リーズナブルに宿泊でき、しかも極上のぬる湯に癒される、素晴らしいお宿でした。


旅館日の出温泉
単純温泉 36.3℃ pH8.1 75.5L/min(掘削自噴) 溶存物質650.2mg/kg 成分総計650.2mg/kg
Na+:160.6mg(93.03mval&),
Cl-:132.3mg(48.30mval%), SO4--:118.6mg(31.96mval%), HCO3-:93.1mg(19.75mval%),
H2SiO3:123.4mg,
(平成21年12月4日)

山梨県企業局石和温泉管理事務所給湯口
アルカリ性単純温泉 45.9℃ pH9.1 湧出量記載なし  溶存物質348.9mg/kg 成分総計348.9mg/kg
Na+:94.5mg(89.93mval&),
Cl-:79.5mg(47.66mval%), OH-:0.2mg, SO4--:61.1mg(27.02mval%), HCO3-:26.8mg, CO3--:20.4mg,
H2SiO3:49.6mg,
(平成24年8月7日)

山梨県笛吹市春日居町鎮目1646
0553-26-2454

私の好み:★★★
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石和 旅館日の出温泉(前編・お部屋とお食事)

2023年07月30日 | 山梨県

(2022年7月訪問)
近年の猛暑はもはや殺人的であり、屋外を歩くだけでも眩暈がしますが、こんな時には体温と同程度のぬるいお湯に浸かって副交感神経を優位にさせ、心身をリラックスさせたいものです。関東近圏でぬる湯の宝庫といえば山梨県ですが、その中でも今回は「旅館日の出温泉」で一泊お世話になったときのことを記事にさせていただきます。私は自分の車で現地へ向かいましたが、中央線の石和温泉駅北口から徒歩10分圏内にあるので、電車でのアクセスも良好です。


敷地の入口には「元湯瀧鉱泉」と記された石碑が立ち、その後ろには源泉設備があります。敷地内に源泉があるということは、つまり宿のお風呂で自家源泉の温泉に入れるわけですね。なおこの日の出温泉は石和春日居エリアで最も古い温泉で、開湯は明治42年なんだそうです。


石和温泉といえば昭和的な歓楽要素の強い温泉街ですが、日の出温泉は石和温泉とは離れた場所にある一軒宿で、石和らしい歓楽的要素は一切なく、周囲はたいへん静かな環境です。お宿自体は静かな環境に相応しい、質実剛健な感じの3階建です。なお奥に屹立しているのは旅館とは無関係なマンションです。
玄関で声を掛けますと、若女将が対応してくださいました。


館内にはニャンコがいるため、玄関のドアは開放厳禁です。


今回案内してくださったお部屋は「桜」と名付けられた202号室。
8畳の和室に広縁が設けられたお部屋で、室内にはトイレやユニットバス(非温泉)のほか洗面台もあって便利です。


テレビやエアコン、冷蔵庫なども完備されていますが、wifiは帳場周りのみ飛んでおり、客室では利用不可でした。


こちらのお宿は比較的お安く泊まれるにも関わらず、お食事が美味しくボリュームも満点で、大食漢の御仁でもきっと満足するでしょう。しかも和風旅館にありがちな、食べ方に頭を捻るような懐石ではなく、家庭料理のような取っ付き易い献立が多いので、肩肘張らずにいただけるのも嬉しいところです。
上画像は夕食のようす。夏野菜、肉のグリル、魚のカマ、刺身、ウナギが入った茶碗蒸し等、ガッツリ食べ応えがあるお料理で、いずれも美味。


こちらは天ぷらと馬刺しですね。


ひと通りの料理を食べ終わった頃に出されたのが、白飯かわりのひやむぎと、ご当地名産の桃。
夏の暑い時期に食うひやむぎは美味い。そして山梨県の桃は最高に甘い。特にこの時の桃は、大きくて形も色も良く、甘さも極上で、大変すばらしいものでした。


一方こちらは朝食。いかにも和風旅館らしい献立で、こちらも美味しくいただきました。


食後のデザートは甲州名物、桃とぶどう。
本当に美味い!

さて次回記事ではぬる湯の名湯である日の出温泉のお風呂を取り上げます。

次回に続く。
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都留市 より道の湯

2022年04月04日 | 山梨県

山梨県は知る人ぞ知る温泉の宝庫であり、拙ブログでも甲州地方の温泉は数多く取り上げておりますが、東京から近い富士急沿線や富士五湖エリアといった所謂「郡内地方」は温泉資源に恵まれておらず、あっても冷鉱泉であるため、なかなか拙ブログに登場する機会がありません、昔から「富士が見えるところに温泉は湧かない」という表現があるようですが、郡内地方はまさにその典型と言えるでしょう。しかしながら、近年の温泉掘削技術向上が旧来を思い込みを打ち破っています。今回取り上げる都留市の「よち道の湯」もそんな新しい温泉のひとつ。
富士急行線の都留市駅から歩いてすぐの好立地にあり、広い駐車場も完備しているため、比較的新しい施設にもかかわらず人気を博しています。。


建物の壁面に絵かがれた大きな温泉マークが印象的ですね。富士五湖エリアから東京へ戻る観光客の通り道にもかかわらず、このあたりには温泉施設が少ないため、帰りにひとっ風呂浴びたいお客さんがネット検索を元に集まってくるようです。またここでは宿泊もできるため、温泉に入りながらゆっくり行動したい方の需要もしっかり取り込んでいるようです。


出入口の真っ白な自動ドアは、温泉施設というよりも科学館や博物館を連想させます。
入口を入って右手にある下足箱に靴を預け、その鍵は退館時まで自分で保管します。そして、その先にある受付では利用したいプラン(例えば「入浴のみ」や「入浴と岩盤浴を合わせて」など)を告げ、ロッカーキーを受けとります。支払いは退館時に入浴料金や館内各種サービス利用料などをまとめて精算します。なお温泉niftyなどにクーポンがありますから、もしこちらを利用する際には、うまく活用してはいかがでしょうか。


1階はレストランや休憩ゾーンが配置されています。レストランは広いので、多くのお客さんを収容できるでしょう。実際に私もお風呂あがりにご飯を美味しくいただきました。レストランの奥にある休憩ゾーンには、大きなビーズクッションやハンモック、そして書籍など、今時の温泉施設らしい備品が揃っています。親子連れも多く見られ、大人のみならず子供も楽しめるでしょう。


お風呂は2階ですので、階段かエレベーターを利用します。私は当初お風呂の場所がわからず、しかもお風呂は1階にあるものだと思い込んでいたので、1階をウロウロ徘徊して迷子になり、軽く泣きそうになってしまいました。なお3階には有料に岩盤浴があります。

白色基調の更衣室はで明るく綺麗で快適。室内のロッカーキーはICチップによるタッチセンサー式なので、鍵を鍵穴に刺してガチャガチャと回すといった動作は不要です。ロッカーの中にはハンガーも用意されています。更衣室の奥の方にはパウダーゾーンや洗面台が配置され、使い勝手も良好です。


ここから先の自前画像はありません。文章による説明のみになりますが、多少なりとも分かりやすくするため、更衣室に掲示されていた配置図を掲載致します。
こちらの入浴設備は内湯と露天に分かれ、それぞれに複数の浴槽が設けられています。


まず内湯に入りますと、(男湯の場合は)左手に洗い場が配置されており、シャワー付き混合水栓23基が、一つ一つ袖板で仕切られています。仕切り板があると隣のお客さんと干渉しないので、安心して使えて良いですね。
この洗い場側にはサウナがあり、老いも若きも全身を赤くしながら玉のような汗をかいていらっしゃいました。サウナは地方を問わず、どこでも人気の設備ですね。

一方、出入口の右側に4つの浴槽が据え付けられています。いずれも白木の木目調タイルが採用されており、窓からの採光も相まって明るい入浴環境が保たれています。4つのうち温浴槽は3つで、いずれも10人サイズでしょうか。窓に面した浴槽には循環の温泉が張られており、その隣は炭酸風呂。壁側の浴槽は温泉のジェットバスです。この中でもぬる湯にじっくり浸かれる炭酸風呂は人気を集めていました。


温泉ジェットバスの隣にある水風呂はただの水風呂じゃありません。非加温で循環や消毒もされていない源泉が井水とミックスされているのです。30度以上ある源泉が含まれているのですから、一般的な水風呂よりはぬるくなっているのかと思いきや、実際に入ってみますと、温泉らしい温かさは微塵も感じられない、ごくごく普通の冷たい水風呂でした。とはいえ、この施設で手付かずの源泉に入りたければ、この水風呂以外にありませんから、温泉マニアの好事家でしたら、入ってみる価値あるでしょう。


屋根上テラスのような空間に設けられた露天風呂ゾーンもなかなか広く、ベンチやデッキチェアーなどクールダウン対策も取られています。
露天ゾーンで特筆すべきは主浴槽の岩風呂でしょう。上画像で写っているようになかなか大きなもので、一部に屋根が掛かっており、また部分的に富士山の溶岩を思わせるようなゴツゴツとした玄武岩が設えられています。周囲には高い建物が無いため、露天に入って上を仰ぐと空が広く感じられ、また空気も良いために気持ち良いのですが、この岩風呂では加温された温泉がかけ流されているので、入浴環境のみならずお湯自体も良質なのです。私の訪問時は加温も程々に抑えられていたため、短時間で火照るようなこともなく、じっくり長湯を楽しめました。
なおかけ流し浴槽の隣には屋根が無い循環浴槽もあり、かけ流し槽から流れてくるお湯を受けつつ、槽内でもお湯を循環しています。これは東京近郊の温泉スーパー銭湯でよくある造りですね。
この他、露天ゾーンには壺湯が3つ、そして奥に寝転び湯と「より道の窯」と称する窯風呂が設けられています。「より道の窯」は男湯のみで、女湯ですと「より道の蒸気浴」というミストサウナになるようです。

さて最後にお湯に関するインプレッションを。
かけ流し槽のお湯は無色透明で、かなり薄い塩味と芒硝味が感じられ、湯口からは何と言うべきか表現に悩む香ばしい匂いが漂ってきます。湯中では硫酸塩泉らしい引っ掛かる浴感が得られ、お湯の鮮度感もまずまずなので、本格的な温泉入浴を堪能できました。なお炭酸イオンが15.3mgも含まれていますが、実際にはその数値が示すようなツルスベ感は得られず、どちらかと言えば硫酸塩泉的な引っ掛かり浴感の方が勝っていたような気がします。

上述したように甲州の郡内地方はこれまで温泉不毛地帯であり、かけ流しの温泉とは縁遠かったのですが、このような施設が生まれ、しかも綺麗で使い勝手が良いとなれば、人気を集めるのは当然と言えますね。私も今後しばしばお世話になるかと思います。


よりみちの湯
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 32.9℃ pH9.4 176L/min(動力揚湯) 溶存物質1.433g/kg 成分総計1.433g/kg
Na+:264.1mg(57.31mval%), Ca++:169.1mg(42.09mval%),
Cl-:99.4mg(13.40mval%), SO4--:838.3mg(83.49mval%), CO3--:15.3mg,
H2SiO3:37.2mg,
(平成28年9月30日)
源泉かけ流し槽(「より道の湯」):加温あり、加水循環消毒なし
他の温泉槽:加水無し、加温循環消毒あり
水風呂(「より道の冷水」):源泉+井水。源泉は加水加温循環消毒なし

山梨県都留市つる1-13-31
0554-56-8600
ホームページ

10:00〜23:00(最終受付22:00)
1300円(館内着・タオル付き)、1000円(館内着・タオル無し)、岩盤浴550円

私の好み:★★+0.5
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石和温泉 深雪温泉 貸切風呂

2022年03月25日 | 山梨県

(2021年6月訪問)
拙ブログでは今まで何度か取り上げている山梨県石和の「深雪温泉」。実際に私も複数回宿泊しており、昨年6月にも一晩お世話になっております。いままでの宿泊ではなぜか貸切風呂を利用したことが無かったので、今回は貸切風呂を初体験させていただくことにしました。


今回お世話になったお部屋はこちら。2階だったか3階だったか、ともかく駐車場に面した北東側の明るい和室でした。お手入れが行き届いた綺麗な室内で、快適に一晩過ごすことができました。


もちろん館内にある二つの大浴場「柿の湯」にも・・・


「ももの湯」にも入りましたが、これらの浴場については既にこれまでの記事で述べておりますので、今回は敢えて触れません(大浴場については以前の記事をご覧ください)


今回取り上げたい貸切風呂へまいりましょう。
まずは更衣室から。室内が広かったり洗面台が複数あったりと、貸切風呂にしてはやけに立派な更衣室ですね。さてと、着替えてお風呂へ行きましょうね・・・


おおっ、広いじゃん。


広い上にシャワーが複数あるぞ。全然貸切風呂っぽくないなぁ。
中小規模の旅館だったら大浴場として扱われる規模のお風呂です。
こんな立派なお風呂を貸切って良いのかしら。


内湯の浴槽は美しい石板張り。湯口から注がれる温泉が、縁から惜しげもなく溢れ出ていました。訪問日の内湯はちょっと熱めで、長湯できない感じですが、それでも心身がシャキッとするので、個人的には好きでした。


露天風呂もあるんですね。二つの建物に挟まれたスペースを活かして設えたような造りで、正直なところ殺風景な感は否めず、内湯と違って後から増設したような感じが強いお風呂です。


露天風呂の浴槽でも温泉が掛け流されており、少々熱めな内湯と異なり、こちらは適温が維持されていました。ちょうど2人入れそうな大きさです。


なお上画像は室内に掲示されている「温泉分析表」と称する案内文です。昭和37年という文言があるように、2つある大浴場に比べてかなり古いものなので、おそらくこの貸切風呂は以前大浴場の一室として使われていたのではないかと推測されます。そして後年「柿の湯」「ももの湯」ができたことによって、貸切風呂へ用途変更されたのではないでしょうか(間違っていたらごめんなさい)。

たしか貸切時間は50分だったかと記憶していますが、広い上に内湯・露天と2つも浴槽があるので、あっという間に時間が過ぎてしまい、本音を言えば1.5倍の時間が欲しかったほどでした。広すぎて持て余してしまったわけですが、でも貸切風呂によくある閉塞感や圧迫感など皆無であり、のびのびと贅沢な時空間を堪能できたので、このような貸切風呂はとても有難い存在だと思います。もちろん貸切風呂でも「深雪温泉」自家源泉の「完熟の湯」が完全かけ流しで提供されており、とっても良い状態のお湯に入ることができました。まさに極楽。また行きたいなぁ。


完熟の湯
単純温泉 48.7℃ pH8.4 663L/min(掘削自噴) 溶存物質461.4mg/kg 成分総計461.4mg/kg
Na+:127.7mg(89.81mval%),
Cl-:118.1mg(54.77mval%), Br-:0.2mg, SO4--:44.4mg(15.13mval%9, HCO3-:92.6mg(25.00mval%), CO3--:9.0mg,
H2SiO3:52.9mg,
(平成31年3月28日)

山梨県笛吹市石和町市部822  
055-262-4126
ホームページ

日帰り入浴の利用可能時間については公式サイトでご確認ください。
1100円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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塩山温泉 宏池荘

2021年08月11日 | 山梨県
東京では連日地獄のような猛暑が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。暑さもさることながら、例の厄介な感染症のために外出することが憚られ、猛暑とコロナでストレスが溜まる一方です。
そこで今回の記事では、皆さんの豊かな想像力を搔き立て、外出することなく脳内で涼を得ることを試みます。山梨県は良質な温泉の宝庫ですが、実は低温の温泉や鉱泉も数が多いので、真夏に全身をクールダウンするには最適の場所です。そんな甲州の涼しげな鉱泉の中でも、今回は塩山の鉱泉を訪ねます。


まずは中央本線の塩山駅で下車。改札は1つだけですが、ロータリーは線路の南北両側にありますので、今回は北口から出ます。


裏口のような寂し気な駅前ロータリーには、厳めしい面持ちの武田信玄が鎮座しています。この信玄像にご挨拶してから北西の方向へ歩いてゆくと・・・


約10分で今回の目的地である塩山温泉「宏池荘」に到達しました。
こちらは温泉旅館のほか、公衆浴場としても営業しており、今回は公衆浴場として利用させていただくべく伺いました。
上画像で左側の棟が旅館。一方、ちょっと奥に引っ込んでいる右側の建物が・・・


公衆浴場兼浴舎です。


駐車場を突っ切った奥にあるこの狭い勝手口のような所が公衆浴場の出入口。
鄙びた湯屋に慣れない人にとってこの出入口は見つけにくく、見つけたとしてもなかなか入りにくい雰囲気ですが、鄙びた温泉が好みである私のような好事家にとっては、むしろ良い予感すら得られる不思議な佇まいです。


出入口に置かれた籠に湯銭500円を納めて入館します。券売機や番台など気の利いた設備は無く、畑の路地販売の如く無人状態ですから(おばあちゃんがいる時もあり)お釣りの用意はありません。予め小銭を用意しておきましょう。
出入口右側に入ると、廊下に沿って男女の浴場が並んでいます。なお廊下には貴重品用ロッカーが設けられていますから、お財布などはこちらへ預けましょう。


脱衣室を抜けていざ浴室へ。鄙びた外観や裏口みたいな出入口などからは、相当草臥れたお風呂を想像しますが、浴場内は決して鄙びておらず、2つの浴槽を擁する大きくて立派なお風呂です。


男湯の場合、向かって左側と手前右側の二手に分かれて洗い場が配置されています。この洗い場に設置された計8基のカランのうち、7基にはシャワーがあり、シャワーからはこちらの鉱泉を沸かしたお湯が出てきます。後述しますが、こちらの鉱泉はヌルヌル感がとても強いため、ボディーソープやシャンプーで自分を洗ったあとにシャワーのお湯で洗い流すと、石鹸類のヌルヌル感にブーストがかかり、すすいでもすすいでも全身からヌルヌルがなかなか落ちません。


ヌルヌルブーストに関連したこととして、脱衣室にはお風呂が滑りやすいことを注意喚起するポスターが貼られています。この手のポスターはいろんな温泉で見られますが、こちらのお風呂の場合は本当に滑りやすく、実際に私も湯船から出るとき足元を取られて危うく転ぶところでしたので、もしこちらへ入浴する際には、大げさな喚起だと甘く考えず、本当に注意しましょう。


浴槽は大小1つずつ。大きな方は(目測で)5×2.5mほどの大きさがあり、加温循環された鉱泉のお湯が張られています。滑りやすいこと以外で加温循環されたお湯自体に大した個性は見られないのですが・・・


湯口から出てくる吐出圧力が強く、また並行して設けられているジェットバス装置の噴射力も強いために、浴槽内にちょっとした流れが出来上がっていました。おかげで鋼のようにガチガチに凝り固まった私の肩甲骨まわりも、この強力ジェットを当てることにより、若干ほぐれたような気がします(あくまで気持ちの問題ですけど)。



今回の記事の主役はこの小さな浴槽。約24℃で湧出する鉱泉を、専用の水栓から非加温非循環のかけ流し状態で供給し続けているのです。湧出温度が25℃未満ですので、日本の温泉法では温泉として定義されず、冷鉱泉に分類されますが、冷鉱泉と言っても一般的な水風呂(10~15℃)よりはるかに温度が高いため、冷たい水風呂が苦手な方でもこの鉱泉ならば入りやすいかと思います。

このタイル張りの浴槽に張られたかけ流しの鉱泉は無色透明ですが、やや青白い色を帯びているようにも見えます。水栓から出てくる鉱泉を手に取ってテイスティングしてみますと、パルプのような独特の風味と匂いがほんのり感じられます。分析表によれば硫化水素イオンも含まれているようですが、私の入浴時にはイオウ感はあまり得られませんでした。
pH10.1という値が示すようにこの鉱泉はアルカリ性に強く傾いており、また炭酸イオンが27.0mgも含まれているため、上述したようにヌルヌル感が強く、湯船に入ると全身がローションの中に浸っているかのような感覚が得られます。そして、この冷たすぎない鉱泉風呂は、猛暑の日に入るとこの上なく清涼であり、あまりの気持ち良さゆえ、いつまでも浸かっていられます。お風呂上りもさっぱり爽快。わざわざここまで来てよかったと思えるほどの爽快感です。

さて、これらの画像をご覧になった後、一旦目を瞑って25℃未満の鉱泉に入った自分を妄想してみましょう。
入りしなこそヒヤッとしますが、一度温度に慣れてしまえば、あとは爽快感がひたすら続きます。
いかがですか。全身が涼しくなりましたか。
想像しても清涼感が得られなかった方は、今はコロナ禍でなかなか外出できませんが、状況が落ち着きましたら是非現地へお出かけになってみてください。


第2井
単純硫黄冷鉱泉 23.8℃ pH10.1 湧出量未測定(掘削揚湯) 溶存物質169.4mg/kg 成分総計169.4mg/kg
Na+:45.9mg(96.38mval%),
Cl-:11.6mg, OH-:2.1mg, HS-:2.4mg, HCO3-:36.0mg(22.00mval%), CO3--:27.0mg(33.56mval%),
(平成19年2月19日)

山梨県甲州市塩山上於曾1959
0553-33-2033
ホームページ

日帰り入浴8:00~19:30(12:00~13:00はお休み)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

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