本年(2017年)10月から連続してアメリカ西海岸の温泉を取り上げてまいりましたが、拙ブログの読者の皆様にとって海外の温泉はあまりご興味が無いようですので、今回からしばらくは日本の温泉に戻り、また間をあけてアメリカの温泉を取り上げるつもりでおります。今回はみちのくの中山平温泉です。
中山平温泉の旅館分布は、国道47号沿いと、国道から陸羽東線の線路に寄り添う形でに南側へぐるっと迂回する細い道沿いの2エリアに区分することができます。以前拙ブログでは後者のエリアに属する「あすか旅館」を取り上げたことがありますが、今回紹介する「菊池旅館」はそのご近所、ほとんど隣といっても差し支えないような場所にあります。湯治宿泊と休憩をメインとして営業しているようですが、この日は入浴のみの利用で伺いました。
駐車場の前に建つ小さな建物は源泉でしょうか。後述しますが、こちらの温泉は源泉を3本持っているんだとか。
玄関の引き戸を開けると、目の前のお座敷にご主人がいらっしゃったので、入浴したい旨を申し上げますと、いまは先客が利用中ですが間もなく上がるはずなので、それまで座敷で待っていてほしいと対応してくださいました。こちらのお宿には二つの浴室があり、本来は男女で使い分けているのですが、訪問時のご主人は足を痛めており、広い男湯のメンテナンスができない状態であったため、コンパクトな女湯のみで営業しており、このため先客がいるとその場で待つ必要があったのでした。
さて座敷の囲炉裏端でご主人と四方山話をしているうち先客が上がったので、その入れ替わりに私が入浴させていただきました。玄関前の廊下を進んだ突き当たりが浴室です。
お風呂へ入る前に、訪問時クローズされていた大浴室をちょっと見学。モルタルの壁に豆タイルが貼られた昭和の風情たっぷりな室内には、左右にそれぞれ1つずつの浴槽が平行に並んで据えられており、それぞれにしっかりとお湯が注がれていました。浴室自体は使っていなくとも、お湯は絶え間なく供給されるようです。
2つの浴槽はほぼ同じ大きさかと思われ、いずれも縁は木で槽内は豆タイル貼りなのですが、一方には小さな仕切りのような塀が括りつけられていました。湯船に入った時だけ機能するような目隠しとして設置されたのでしょうか。正直なところ、こちらのお風呂にも入りたかったのですが、ご主人がお手入れできていないお風呂に入るのは大変失礼ですので、ここは見るだけに留め、小浴室(女風呂)へ戻ることにしました。
タイル貼りの小浴室は実用本位のコンパクトな造りですが、室内には温泉由来のアブラ臭が漂っており、その芳香は湯の香にうるさい一部の温泉ファンを喜ばせるに十分な要素を有しています。
浴槽は1.8m×1m弱の立方体で2~3人サイズ。昭和の趣きを強く残す古い豆タイル貼りです。浴槽の左奥に石組みの湯口があり、その内部にはバルブ付きの配管が隠されていました。その湯口から出てくるお湯の量は、一見するとさほど多くないように思われるのですが、浴槽の容量に対しては十分のようであり、私が湯船に入るとお湯は勢いよくザバーっと溢れて室内が軽い洪水状態になり、その後しばらくは湯船の嵩が減ってしまうのですが、ものの数分で湯嵩は回復し、私が湯船から出た後も途切れることなくお湯は溢れ続けました。
お湯は薄い麦茶を思わせる淡い褐色で、湯中では同色の浮遊物がチラホラと舞っています。お湯を口に含むと麦茶のようなほろ苦さが感じられるほか、上述したようなアブラ臭、具体的にはミシン油を連想させるような鉱物油臭がふんわりと嗅ぎ取れます。中山平温泉といえばニュルニュルのウナギ湯を思い浮かべる方も多いかと思いますが、あの手のお湯が出るのは蒸気泉を使っている国道沿い施設が多く、こちらのように蒸気泉ではなく一般的なお湯の状態で湧く温泉については、アルカリ性泉らしい滑らかなツルスベ浴感が特徴的です。湯使いはもちろん完全掛け流し。淡いアブラ臭とツルスベ浴感に包まれながら、満足のゆく湯あみを楽しむことができました。
お風呂から上がると、ご主人がお話を交えながら鳴子温泉に関する様々な資料を見せてくださいました。また、こちらのお宿のお湯についても説明してくださり、計3本の源泉を有していることも教えてくださいました。1本目は昭和初期のもので、2本目は現在使っている昭和32年掘削の源泉井、3本目は昭和40年代に掘った硫黄の白濁湯ですが現在は使っていないんだそうです。一見すると渋くて鄙びた宿に見えますが、それでも複数の源泉を有しているのですから、いかに中山平温泉は温泉資源が豊富であるかがわかります。
高砂湯
単純温泉 59.1℃ pH7.8 溶存物質503.7mg/kg 蒸発残留物371.6mg/kg
Na+:67.4mg(93.91mval%),
Cl-:5.7mg(4.82mval%), S2O3--:0.3mg, SO4--:9.1mg(5.72mval%), HCO3-:179.0mg(88.25m,val%),
H2SiO3:235.3mg, H2S:0.1mg,
(平成21年9月16日)
加水加温循環消毒なし
陸羽東線・中山平駅より徒歩15分(1.2km)
宮城県大崎市鳴子温泉字星沼54-1 地図
0229-87-2420
日帰り入浴時間10:00~20:00
550円
ボディーソープあり
私の好み:★★+0.5
中山平温泉の旅館分布は、国道47号沿いと、国道から陸羽東線の線路に寄り添う形でに南側へぐるっと迂回する細い道沿いの2エリアに区分することができます。以前拙ブログでは後者のエリアに属する「あすか旅館」を取り上げたことがありますが、今回紹介する「菊池旅館」はそのご近所、ほとんど隣といっても差し支えないような場所にあります。湯治宿泊と休憩をメインとして営業しているようですが、この日は入浴のみの利用で伺いました。
駐車場の前に建つ小さな建物は源泉でしょうか。後述しますが、こちらの温泉は源泉を3本持っているんだとか。
玄関の引き戸を開けると、目の前のお座敷にご主人がいらっしゃったので、入浴したい旨を申し上げますと、いまは先客が利用中ですが間もなく上がるはずなので、それまで座敷で待っていてほしいと対応してくださいました。こちらのお宿には二つの浴室があり、本来は男女で使い分けているのですが、訪問時のご主人は足を痛めており、広い男湯のメンテナンスができない状態であったため、コンパクトな女湯のみで営業しており、このため先客がいるとその場で待つ必要があったのでした。
さて座敷の囲炉裏端でご主人と四方山話をしているうち先客が上がったので、その入れ替わりに私が入浴させていただきました。玄関前の廊下を進んだ突き当たりが浴室です。
お風呂へ入る前に、訪問時クローズされていた大浴室をちょっと見学。モルタルの壁に豆タイルが貼られた昭和の風情たっぷりな室内には、左右にそれぞれ1つずつの浴槽が平行に並んで据えられており、それぞれにしっかりとお湯が注がれていました。浴室自体は使っていなくとも、お湯は絶え間なく供給されるようです。
2つの浴槽はほぼ同じ大きさかと思われ、いずれも縁は木で槽内は豆タイル貼りなのですが、一方には小さな仕切りのような塀が括りつけられていました。湯船に入った時だけ機能するような目隠しとして設置されたのでしょうか。正直なところ、こちらのお風呂にも入りたかったのですが、ご主人がお手入れできていないお風呂に入るのは大変失礼ですので、ここは見るだけに留め、小浴室(女風呂)へ戻ることにしました。
タイル貼りの小浴室は実用本位のコンパクトな造りですが、室内には温泉由来のアブラ臭が漂っており、その芳香は湯の香にうるさい一部の温泉ファンを喜ばせるに十分な要素を有しています。
浴槽は1.8m×1m弱の立方体で2~3人サイズ。昭和の趣きを強く残す古い豆タイル貼りです。浴槽の左奥に石組みの湯口があり、その内部にはバルブ付きの配管が隠されていました。その湯口から出てくるお湯の量は、一見するとさほど多くないように思われるのですが、浴槽の容量に対しては十分のようであり、私が湯船に入るとお湯は勢いよくザバーっと溢れて室内が軽い洪水状態になり、その後しばらくは湯船の嵩が減ってしまうのですが、ものの数分で湯嵩は回復し、私が湯船から出た後も途切れることなくお湯は溢れ続けました。
お湯は薄い麦茶を思わせる淡い褐色で、湯中では同色の浮遊物がチラホラと舞っています。お湯を口に含むと麦茶のようなほろ苦さが感じられるほか、上述したようなアブラ臭、具体的にはミシン油を連想させるような鉱物油臭がふんわりと嗅ぎ取れます。中山平温泉といえばニュルニュルのウナギ湯を思い浮かべる方も多いかと思いますが、あの手のお湯が出るのは蒸気泉を使っている国道沿い施設が多く、こちらのように蒸気泉ではなく一般的なお湯の状態で湧く温泉については、アルカリ性泉らしい滑らかなツルスベ浴感が特徴的です。湯使いはもちろん完全掛け流し。淡いアブラ臭とツルスベ浴感に包まれながら、満足のゆく湯あみを楽しむことができました。
お風呂から上がると、ご主人がお話を交えながら鳴子温泉に関する様々な資料を見せてくださいました。また、こちらのお宿のお湯についても説明してくださり、計3本の源泉を有していることも教えてくださいました。1本目は昭和初期のもので、2本目は現在使っている昭和32年掘削の源泉井、3本目は昭和40年代に掘った硫黄の白濁湯ですが現在は使っていないんだそうです。一見すると渋くて鄙びた宿に見えますが、それでも複数の源泉を有しているのですから、いかに中山平温泉は温泉資源が豊富であるかがわかります。
高砂湯
単純温泉 59.1℃ pH7.8 溶存物質503.7mg/kg 蒸発残留物371.6mg/kg
Na+:67.4mg(93.91mval%),
Cl-:5.7mg(4.82mval%), S2O3--:0.3mg, SO4--:9.1mg(5.72mval%), HCO3-:179.0mg(88.25m,val%),
H2SiO3:235.3mg, H2S:0.1mg,
(平成21年9月16日)
加水加温循環消毒なし
陸羽東線・中山平駅より徒歩15分(1.2km)
宮城県大崎市鳴子温泉字星沼54-1 地図
0229-87-2420
日帰り入浴時間10:00~20:00
550円
ボディーソープあり
私の好み:★★+0.5