温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

蔵王温泉 招仙閣

2012年02月29日 | 山形県

蔵王温泉の下湯共同浴場の前に位置する「招仙閣」へ、湯めぐりこけしを利用して立ち寄り入浴してきました。なおこちらのお宿では現金300円でも入浴できるため、湯めぐりりこけし(1枚あたり400円)を利用するより現金支払いの方がお得です。玄関に入ると作務衣を着た従業員の方がとっても丁寧に接客してくださいました。入浴だけの利用って客単価が少ないので、利用する立場としてはしばしば「わずかなお金ですいません…」という心情になってしまうのですが、宿側で快く対応してくれると懸念が払拭されてホッと安心し、ついついそのお宿のファンになってしまうものです(現金なものですが…)。


 
お宿の名前に「こけしの宿」と冠されているように、玄関や廊下にはこけしがズラーーっと陳列されていました。こけし界の三十三間堂ですね。一瞥しただけではみな同じように見えるこけしも、よく見るとひとつひとつ表情が異なっていて、とても興味深いものですね。でも真っ暗い夜中にこれらのこけし達の前に立ったらちょっと怖いかも。


 
蔵王の中小規模旅館って、方向感覚を微妙に狂わせるような曲がり方をしたクネクネ廊下を持つお宿が多いような気がするのは私だけでしょうか。そんな廊下を案内に従ってひたすら進み、あれれ道に迷ったかな、と不安になりかけたところで、ようやく浴室に到着しました。男女別の内湯が一室ずつです。
脱衣所は壁にへばりついている棚があるだけの至ってシンプルな構造ですが、床は足元が快適なタイルカーペット敷きで、室内隅々までとても清潔に保たれています。清掃が行きとどいているのは旅館としての矜持なのでしょうね。



浴室に入った途端に思わず興奮。なぜなら、あたかも洪水の如くザーザー音を立てながら浴槽からお湯が溢れ出ていたからです。お風呂としてはタイル貼りの浴室に、手前側の縁がRを描いた方形の浴槽がひとつあるだけなのですが、これでもかという程に源泉が大量供給されているあたりは、さすが蔵王の温泉旅館です。



洗い場にはシャワー付き混合栓が4基。硫化防止のため水栓金具には灰色の塗装が施されています。ご覧の通りとてもよく整頓されており、気持ち良く利用できました。



繰り返しますが、洪水のように大量オーバーフローするお湯には感動です。床タイルの目地は硫黄がこびりついて薄ら黄色を帯びた白色に染まっており、タイル表面も場所によっては足跡や手跡が残っちゃうほど白い微細な湯の花によって覆われています。



浴槽内側面に突っ込んであるタオルで栓をしてあるのですね。注意書きを見落とし、つい触ろうとしてしまいました。あぶないあぶない。



浴槽の角で入浴者を見下ろすように立つ大きなこけしの下(湯面下)には小さな穴が開いており、ここからお湯が完全掛け流しで供給されています。使用されているのは大湯2号源泉。白いコロイド状の湯の華が湯中で舞っていますが、あまり濁らずほぼ透明で、若干黄緑掛って見えるのはお湯そのものの色なのか、あるいはタイルの影響なのか。湯の花は空気に触れるからこそ出現するわけで、まだ新鮮な状態である浴槽内においてはあまり沈殿などは見られず、私の訪問時は湯面にちょこっと浮いている程度でした。
蔵王のお湯ですから硫黄臭や強い酸味収斂はもちろんのこと、塩味にクエン酸的な甘酸っぱい味覚、そしてえぐみが感じられました。でも口に含むと口腔内が忽ち不快感に襲われ、歯もキシキシしてしまうので、あんまりじっくりと味わうことはできませんが。

立ち寄り入浴に関して、蔵王温泉の旅館群の中では低い料金設定にもかかわらず、綺麗なお風呂で大量掛け流しのお湯が楽しめる素晴らしいお宿でした。湯めぐりすると、宿泊したくなる旅館の候補が増えて困っちゃいますね。


大湯2号源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム・塩化物温泉 54.0℃ pH1.6 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質3727mg/kg 成分総計4356mg/kg
H+:25.2mg(46.35mval%), Al+++:143.1mg(29.48mval%), Fe++:14.5mg(0.96mval%),
Cl-:431.1mg(22.72mval%), HSO4-:1161mg(22.34mval%), SO4--:1373mg(53.39mval%),
H2SiO3:246.0mg, 遊離H2SO4:73.7mg, 遊離CO2:615.1mg, 遊離H2S:13.7mg,

山形駅より蔵王温泉行バスで終点下車、徒歩2~3分
山形県山形市蔵王温泉22  地図
023-694-9015
ホームページ

立ち寄り入浴10:00~16:00
300円(湯めぐりこけし利用可能)
貴重品帳場預かり、シャンプー類あり

私の好み:★★★
コメント (2)
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蔵王温泉 岡崎屋旅館

2012年02月28日 | 山形県
 
蔵王の川原湯からS字カーブの坂道を登ってスキー場へ向かう途中にある「岡崎屋旅館」へ、湯めぐりこけしを利用して立ち寄り入浴してきました。訪問したのは週末の午後でしたが、ゲレンデに近いためか館内は多くのスキー客で賑わっていました。



いかにもこけしの産地らしく、ロビーにはこけしのコレクションがずらり。


 
ロビーや玄関は2階に位置していますが、浴場は1階。階段またはEVで下へ降り、そこから廊下をまっすぐ進んでいくつかの戸を潜った突き当りがその入り口です。浴室は内湯「雪見の湯」と露天「お釜の湯」、および内湯「雪影の湯」と露天「ドッコの湯」がぞれぞれ組み合わせとなっており、男湯は「雪見の湯」と「お釜の湯」でした。他の方のブログを拝見しても、私の時と同じお風呂に男湯の暖簾がかかっていたようですが、日によって暖簾替えが行われるのでしょうか、あるいは固定されているのでしょうか。



脱衣所は広々しており、床は茣蓙敷きなので足元快適。棚の数も多く、ひとつひとつの大きさも十分です。


 
内湯「雪見の湯」。大きなガラス窓に面しており、子どもだったら泳ぎだしたくなるような、プールを思わせる大きな浴槽がひとつ据えられています。余裕で10人以上は入れるでしょう。縁が石板で内部はタイル貼り。そのタイルは温泉の硫黄が黄色く付着しています。窓は大きく採光も十分なのですが、硫黄による腐食が進んで壁面の色がくすんでいるためか、室内はあまり明るいように感じられませんでした。これを単なる腐食劣化と捉えるか、強い硫黄のパワーによる独特の味わいと受け止めるかは、お客さんの感性次第といったところ。なお洗い場にはシャワー付き混合栓が7基設置されていました。水栓金具は硫化により黒く変色しています。


 
宿の名前には「扇の館」という言葉が冠されていますが、湯口には扇を象ったと思しき石が置かれ、「源泉 天然温泉」という文字が誇らしげに彫られています。そして、その下から滔々と源泉が完全掛け流しで浴槽へ注がれています。私がこちらを訪れた理由は、こちらで使われているお湯は自家源泉であることを知ったからでして、湯船に浸かりながら「他ではお目にかかれないお宿独自のお湯を楽しんでいるんだ」と実感すると、温泉ファンとしては感慨もひとしおです。



こちらは露天風呂「お釜の湯」。ガラス窓の向こう側の庭にポツンと置かれたこの浴槽は、蔵王大石を刳りぬいて造ったもので、文字通り蔵王のお釜をイメージしていのるんだとか。お宿の説明によれば、この岩はもともと黒い材質なのですが、お湯が表面を嘗めて付着することにより白く染まっているとのこと。おそらく相当の手間を経てつくられたのだろうと想像しますが、こじんまりとしている上に、浴室からちょっと離れた湯船まで、寒い中を裸で行くのがちょっと虚しく、更には外気で冷やされてお湯がぬるくなっていたため、今回は利用しませんでした。

さて肝心のお湯についてですが、見た目はほぼ無色透明で、コロイド状の白く微細な湯の華が舞っています。訪問時は独占状態で他客によるお湯の攪拌が無かったために澄んでいましたが、多客時には薄ら白く混濁するかと思います。また浴室内部の壁面や水栓を腐食劣化させてしまうほど強い硫黄臭が室内に充満しており、その匂いはまるで蛆虫殺しのような刺激を伴いながら漂っています。口にすると強烈な酸味やえぐみ・渋みが口腔を収斂し、すぐに真水で口を濯がないと口の中がおかしくなってしまいそうなほどでした。加水もなされていないとのことで、その湯加減はやや熱め。強い個性と熱い湯加減のため、温泉があまり得意でない人にはパンチが強く感じられるかもしれません。でもこの個性的な知覚こそ温泉ファンにはたまらないのではないでしょうか。


岡崎屋源泉
酸性・含鉄・硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉
47.6℃ pH1.40 蒸発残留物3075mg/kg
Al+++:226.9mg, Fe++:65.7mg,
Cl-:683.7mg, HSO4-:2375mg, SO4--:1763mg,
H2SiO3:228.9mg, 遊離CO2:584.6mg, 遊離H2S:5.6mg,

山形駅より蔵王温泉行バスで終点下車、徒歩約10分
山形県山形市蔵王温泉48 地図
023-694-9222
ホームページ

湯めぐりこけし利用時のみ立ち寄り入浴可能(14:00~17:00)
(以前は現金500円でも利用できたように記憶しているのですが、HPでは日帰り不可と案内されています)
貴重品帳場預かり、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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蔵王温泉 深山荘高見屋

2012年02月27日 | 山形県
 
蔵王温泉街の最奥、酢川温泉の隣に位置する享保元年創業の老舗「高見屋」さんへ、湯めぐりこけし を利用して立ち寄り入浴でお邪魔してきました。普段リーズナブルな宿ばかりに泊まっている私は、立派な門構えを目にして早くも威圧されてしまいました。


 
玄関へ向かう階段途中に源泉が。温泉街のあちこちから湯けむりを上げながら硫黄の源泉が湧きだしているのは、いかにも蔵王らしい光景。


 
ロビーまわりの老舗旅館らしい気品あふれる雰囲気に、下賤な私は圧倒されてしまいます。上品な旅館で入浴だけをお願いすると邪険に扱われるところも多いので、一人でふらっと現れた私のような客でも入浴を受け入れてくれるのか、断られたらすぐ逃げるつもりで玄関の敷居を跨ぐ前から尻尾を巻いて、おそるおそる帳場へ声をかけてみたのですが、あにはからんや、とても丁重な接客で迎え入れてくださり、しかも2つのお風呂を利用できます、との案内も受け、一気に緊張感が解けてホッとしました。肩から力が抜けると館内にはお香が焚かれて芳香が漂っていることに気づきました。視覚に頼らずさりげなくラグジュアリ感を客にアピールする洒落たセンスには、思わずテンションあがってしまいます。



まずは帳場の左手奥にある本館の「長寿の湯」へ。帳場の方曰く「昔ながらのスタイルのお風呂」とのことですが、どんなお風呂なんでしょう。


 
「長寿の湯」脱衣所。古い建物をうまくリノベーションしており、シックで落ち着いた色調を保ちながら、隅々まで明るく綺麗です。それのみならず、床は茣蓙敷きになっていて足元環境がとっても快適。



アメニティー類は一か所にまとめられていました。流し台に並べるとお客さんが使用する度にゴチャゴチャしてゆく傾向がありますが、これならあまり雑然とすることもなさそうです。



浴室とはガラス窓で仕切られており、これによって浴室との一体感が生まれるほか、明るさの確保や開放感ももたらされています。脱衣所からお風呂を見下ろすような位置関係になっています。ステップを下ってゆく温泉浴室は名湯である場合が多いので、期待に胸が膨らみます。


 
曇った画像でごめんなさい。脱衣所同様、浴室も最近大幅に改築されたらしく、構造としては内湯に洗い場があるだけのシンプルな造りながら、ウッディな雰囲気を強調するとともに、エリアによって使用材木を使い分けてシックで落ち着いた室内空間を生み出していました。また、一部の床が近隣の共同浴場のようにスノコ状となっており、オーバーフローのお湯が洗い場へ流れてゆかない細かな配慮もなされていました。


 
浴槽は4~5人サイズ。硫黄で湯口から注がれるお湯は自家源泉の高見屋源泉で、直接触ると火傷しそうなほど熱いため、この時の投入量はやや絞り気味でした。灰青色を帯びつつ乳白色に強く濁る硫黄のお湯は、とっても酸っぱくて明礬味も明瞭です。上品な内湯で浸かる白濁の硫黄泉。このお風呂で過ごす1分1秒がものすごく充実したように感じられます。


 
洗い場まわりはタイル貼りで実用性や合理性を高めています。シャワー付き混合栓が4基設置されており、更新されたばかりなのかピカピカでした。腰掛も桶も木製なのがいいですね。


 
次に別館「離庵山水」へ向かいました。一旦着替えて帳場の前まで行って階段を上がり、表示に従って廊下を進みます。踊り場や廊下の曲がり角などには、かわいらしい飾りが置かれていました。こうした装飾にみられる繊細な感覚は日本旅館ならではですね。



通路の途中から「離庵山水」へ。


 
通路の突き当りがお風呂の入口。「離庵山水」のお風呂は「せせらぎの湯」と名づけられているんですね。ということは、湯あみしながら瀬音でも聞けるのかしら。



入口前には湯上りに飲む水のドリンクサーバが置かれていました。「樹氷の泉」と称する湧水を汲んでいるんだそうです。


 
こちらの脱衣所も綺麗で清潔ですね。こちらのお宿は本当に管理が隅々まで行き届いており、感心させられます。



こちらのお風呂で特筆すべきは、洗い場ゾーンと浴槽ゾーンが画然としており、浴槽ゾーンには直接行けず、脱衣所からはまず洗い場ゾーンを通過しなければならない構造になっていることです。これによって洗い場の泡や飛沫が浴槽へ届かないことはもちろんのこと、湯船に浸かっているときにシャワーの音やシャンプーの臭いなどに邪魔されずお湯に専念することができ、そして体を洗わずに湯船へ直行しようとする輩の発生を未然に防ぐ効果もあるかと思います。洗い場は6人分がセパレートされており、一人分の幅にはかなりゆとりがありました。


 
主浴槽の「石風呂」。2~3人サイズの浴槽には蔵王産出の石材が用いられているんだそうです。2面の大きなガラス窓に面している内湯なのですが、大きな窓ゆえ、はじめ見た時には露天なのかと錯覚してしまいました。外気の寒さに怺えるなく雪見風呂が楽しめるのはいいですね。窓の下には細い川が流れてますが、浴場名のせせらぎとはこの川をさしているのでしょう。冬は辺りの景色が雪に覆われて白銀の世界となりますが、夏になれば目の前の山は緑一色になるばかりでなく、下の川(というかドブ)や諸々の人工物など、余計なものまで見えてしまうでしょうから、お風呂からの景色を楽しむなら、そうした余計なものが隠れている冬の方がいいかもしれません。

浴槽ゾーンは傾斜状の限られたスペースに3種の浴槽が段々になって配置されており、この石風呂が最下段、そのひとつ上には足湯が設けられていました。こじんまりとしていて若干わかりにくい構造的のため、うっかりするとその存在を見逃すかもしれませんが、秘密のお風呂を探し当てるように楽しんでみるのも面白いかと思います。


 
こちらがその足湯。木造りの槽ですね。


 
最上段は露天風呂になっていました。最下段の内湯と同じく、こちらも蔵王の石材を浴槽に用いており、1~2人サイズの小さなものです。石の感触としてはザラザラしていますが、これが滑り止めとして有効に機能してくれるのが面白いところであり、また決して肌を刺激するようなものではなく、むしろ優しい質感が肌に伝わり、深すぎず浅すぎない丁度良い深さの造りと相まって、湯あみする身をとってもしっくりとホールドしてくれました。


 
やっぱり雪見風呂は雪上を嘗める冷気に吹かれてこそ、独特の風情が味わえるのであり、顔に当たる外気の冷たさと温かいお湯の温度差が体感的にも不思議な快感をもたらすものです。
本館と同様にこちらも自家源泉を使用していますが、使用源泉は異なっており、表示によれば高見屋2号源泉とのこと。お湯の質そのものが異なることの他、湯使いの違いによるのか、あるいは浴槽の石材のためか、本館の源泉より青白さが若干強調されているようであり、また透明度もやや高いように見えました。収斂味や明礬味が強いのは言うまでもありませんが、塩味やえぐみは本館より若干軽いかもしれません。実のところ、私は酸性のお湯はあまり得意ではないのですが、浴槽の感触の良さに加え、雪見風呂の風情、そして外気に冷やされて40℃くらいの湯加減になっていたおかげで、他にお客さんが来ないことをいいことに、つい長湯してしまいました。

「長寿の湯」「せせらぎの湯」いずれも1日1回暖簾替えがあり、ホームページを拝見すると、今回私が入浴できなかった側の浴室にも心惹かれる浴槽が設けられていることを知りました。スタッフの接客や館内の雰囲気にすっかり魅了された私は、すぐにこちらのお宿の料金プランを調べてしまいました。次回はぜひ宿泊だ!


高見屋源泉
含硫化水素・強酸性明礬緑礬泉(酸性・含鉄・硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉)
42.8℃ pH1.3 蒸発残留物3370mg
H+:45.58mg, Na+:105.5mg, K+:30.46mg, Mg++:50.06mg, Ca++:114.6mg, Al+++:334.3mg, Fe++:91.31mg,
Cl-:918.8mg, HSO4-:4386mg, SO4--:1424mg,
H2SiO3:163.2mg, 遊離CO2:882.2mg, 遊離H2S:24.55mg
(昭和26年7月2日)

高見屋2号源泉
含硫化水素・強酸性明礬緑礬泉(酸性・含鉄・硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉)
45.1℃ pH1.3 蒸発残留物3430mg
H+:50.1mg, Na+:75.1mg, K+:63.0mg, Mg++:73.6mg, Ca++:109.4mg, Al+++:206.9mg, Fe++:92.3mg,
Cl-:817.9mg, HSO4-:3109mg, SO4--:1844mg,
H2SiO3:209.3mg, 遊離CO2:373.0mg, 遊離H2S:15.9mg
(昭和59年12月20日)

山形駅より蔵王温泉行バスで終点下車、徒歩5分程度
山形県山形市蔵王温泉54  地図
023-694-9333
ホームページ

日帰り入浴12:00~14:00
500円(だったかな…)、湯めぐりこけし利用可能
貴重品帳場預かり、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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蔵王温泉 上湯共同浴場

2012年02月26日 | 山形県

冒頭から二つ反省させてください。
このブログを始めて早や3年、てっきりその間に蔵王の温泉を相当数取り上げてきたんだろうと思っていたのですが、先日確認してみたら1件も書いてこなかったことに気付き、自らの迂闊さに愕然としてしまいました。蔵王には少なくとも年に1度は訪れているにもかかわらず、一度も触れてこなかったことにまず反省。
そして毎年訪れているにもかかわらず、2010年12月に上湯共同浴場がリニューアルされていたことに全く気付かなかった己の鈍感さにも反省。そこで今回は懺悔の意を込めて、その上湯共同浴場を取り上げてみます。外観は以前とあまり変わりませんが、明らかに外壁の檜材が新しく、まだピッカピカですね。どうして私はこの変化に気付かなかったのだろう…。入口脇にはちょっとしたベンチが置かれていたり、裏手には水車やウッドデッキがあったりして、観光客への配慮もなされているようです。建物を更新しても伝統的な造りを守っているのは立派。入り口に注連縄を張っているあたりも歴史ある温泉の風格が感じられます。


  
ちなみにこちらの画像は以前(2009年)の上湯の様子。更新後の建物と以前の建物を見比べると、以前は切り妻の側面にアルミの戸を取り付けた比較的シンプルな造りでしたが、更新後は入口上に唐破風を戴いている上にウッディさをより強調しているため、その分だけ風格が増しているような印象を受けました。



中に入ってビックリ。内部が綺麗になっているのはもちろんのこと、以前は下足場が狭くて靴棚と脱衣棚が渾然一体としていましたが、リニューアル後は狭いながらも下足場のスペースが独立しており、土足ゾーンと脱衣場ゾーンが明確にセパレートされていました。脱衣所と浴室の間はガラスで仕切られており、限られた敷地内でできるだけ視覚的な広さを演出しようという配慮が伝わってきます。ちょっとした洒落っ気も感じられ、蔵王の共同浴場らしくない垢抜けた雰囲気です。



新しい浴室のレイアウトは以前の浴場を踏襲していました。白木の初々しさが心地よいです。洗い場にカランが無いところは、以前のような伝統的共同浴場のスタイルを受け継いでいる証。床はスノコ状になっており、掛け湯などの排水は下へ落ちていきます。
浴槽にはヒバ材が用いられており、大きさは8人サイズといったところ。中央のポストみたいな形状の湯口から源泉が注がれ、完全掛け流しでしっかりオーバーフローしています。


  
浴室も2009年の画像(上の画像)と比較してみますと、新旧の間でレイアウトにはあまり違いが無いことがわかりますが、男女の仕切りがかつてはガラスであったのに対し、現在は木材で完全に遮蔽されている点など、いくつかの相違点もみられます。



上湯のお湯は、以前は近江屋3号源泉を引湯していましたが、館内表示によれば現在は大湯1号が使われているようです。ちょっと熱めの湯加減で、見た目はほぼ無色透明ながら、浴槽内に自然付着している硫黄のコーティングにより、若干青みがかって見えます。湯中では粉のような細かな湯の華が浮遊しており、湯面からは硫化水素の臭いが立ち上り、口にしてみると強い酸味と明礬味に柑橘類果汁のような味が感じられました。

伝統ある建物の建て替えにはどうしても賛否両論がつきものですが、リニューアルされた上湯は伝統的な雰囲気をしっかり残しながら現代風のエッセンスも取り入れており、私としてはとっても好印象でした。強い酸性のお湯ですからどうしても建物が長持ちせず、定期的に建て替えなきゃいけない運命にあるわけですが、新しくなったこの湯屋が多くのお客さんに支持されることを祈っています。


大湯1号
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 54.0℃ pH1.6 蒸発残留物3159mg/kg 溶存物質3658mg/kg
Na+:54.0mg, Mg++:59.0mg, Ca:++91.3mg, Al+++:144.7mg,
Cl-:431.5mg, HSO4-:1137mg, SO4--:1344mg,
H2SiO3:226.1mg, 遊離CO2:602.8mg, 遊離H2S:13.6mg

山形駅より蔵王温泉行バスで終点下車、徒歩5分程度
山形県山形市蔵王温泉  地図
6:00~22:00
(22:00になると電磁弁で自動的に施錠されてしまうので注意)
200円
備品類なし

私の好み:★★★
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蔵王温泉 すのこの湯 かわらや

2012年02月24日 | 山形県
 
火事による無念の焼失から立ち直り、昨年見事に日帰り入浴専門施設としてリニューアルした蔵王温泉の「かわらや」さん。早速多くの温泉ファンから絶賛の声が相次いでいるので、遅ればせながら訪問して見ました。


 
受付カウンターの上では、券売機と並んで「えんまくん」がお出迎え。
作務衣を着た女将が笑顔で接客してくれました。



さすがに新しいだけあって館内はどこもかしこも綺麗で明るい。


 
渡り廊下を兼ねた階段を下りて浴室へ。このアプローチは以前の造りと同じような感じですね。洗面台は脱衣室の手前にありました。脱衣室内は棚が設置されている程度で、至ってシンプル。お客さんが3人以上集中しちゃうと、ちょっと窮屈かも。



戸を開けて浴室と対峙した瞬間に、もう私はニンマリしてしまいました。総木造の湯屋に硫黄の匂いが立ち込め、白濁のお湯が絶え間なく浴槽から溢れ出ている、夢のようなお風呂…。浴室内には余計な設備が一切無し。お湯をじっくり堪能するためだけの空間であります。洗い場(シャワー付き混合栓が2基)は浴室の奥に別室として設けられていますが、これによって限られたスペースを有効に活用すると同時に、シャワーの飛沫やシャンプーの泡・匂いなどを温泉のお湯から隔離できるという、一石二鳥の効果をもたらしており、合理的な空間利用には感心しました。


 
木の床の上に硫黄のお湯が流れると滑りやすくなるため、床には溝が彫られています。なるほど、こうした細かな配慮はこのお風呂では必須のようでして、まだ新しいのに、早くも浴槽内の材木には薄い黄色(乳白色)のコーティングがしっかり覆っていました。
浴槽はおおよそ4人サイズ。隣の川原湯共同浴場同様、浴槽の底にはスノコが敷かれ、その下から源泉が足元湧出。上からお湯の中をよく見ると、スノコが薄ら透けてみえました。川原湯は時間や客の利用状況によって濁り方が違うので、底は見えるときと見えないときがありそうです。オレンジジュースのような柑橘系の味と強い酸味に明礬味、そして渋みとえぐみを有する蔵王らしい酸性の濃い硫黄のお湯で、口に含むと歯がキシキします。

私の訪問時にスキー客も利用しており、みなさん口々に「熱い熱い」と喚いていましたが、確かに私でも若干熱く感じるほどの湯加減でした。でもその熱さこそが源泉をそのまま味わっている何よりの証。現実的な考え方をすれば、ここは大きなお風呂ではありませんから、加水せずに源泉のままの熱い湯温の方が、客の回転が良くなって(結果として)良いかもしれません。その一方で、瞑目して静かに湯船にひたすら浸かっているお客さんもいらっしゃいましたから、ここのお湯とお風呂にほれ込んでいる常連さんも多くいることが窺えました。共同浴場的な雰囲気に使い勝手の良さが同居したすばらしい入浴施設で、とっても満足しました。


(分析表を見落としてしまいました…)

山形駅より蔵王温泉行バスで終点下車、徒歩5分程度
山形県山形市蔵王温泉43  地図
023-694-9007
ホームページ

5月~9月→8:00~20:30
10月~4月→9:00~20:00
400円
シャンプー類あり、ドライヤー貸出、貴重品帳場預かり

私の好み:★★★
コメント (2)
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