温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

琴平温泉 露天風呂「ゆめ山水」

2020年11月14日 | 大分県
前回記事の続編です。


今回も大分県日田市の琴平温泉を取り上げます。私が利用した「ゲストハウス縁」に宿泊すると、チェックインした日の夜まで露天風呂「ゆめ山水」を、翌朝には家族風呂を無料で利用することができます。前回記事では後者の家族風呂を利用した際のリポートをお伝えしましたが、今回は前者の「ゆめ山水」を利用した時の様子や印象などをご紹介させていただきます。


日没後に利用したため、私が撮った画像は全て暗くて見にくいものばかりになっています。申し訳ございません。
上画像は受付。露天風呂の一般客はこちらで料金を支払うわけですが、私のような宿泊客は、鍵を見せたか専用のチケットを提示したか、どちらかで入場することができました(どちらだったか失念しちゃいました。ごめんなさい)。しかも営業時間内だったら何度でも入れます。実際に私も、夕食前と夕食後の2回入らせていただきました。




受付からお風呂へ。
こちらの露天風呂は二手に分かれており、男湯の場合は「あうんの湯」「のらり湯」と名付けられています。それぞれに脱衣室が設けられているものの、受付のおじちゃん曰く、双方に入りたければ裸のままで移動してくれ、とのこと。裸のままといっても、専用の通路があるわけではなく、思いっきり表を行き来するのです。頭のネジが何本か外れている私は平気ですが、人によっては抵抗感があるかと思いますので、無理して裸のままでなくとも、一旦着替えて移動すれば良いでしょう。
なお各脱衣室には100円有料のコインロッカー、ドライヤーが備え付けられており、またエアコンも設置されているので夏や冬でも快適に利用できるかと思います。


こちらは「のらり湯」の浴槽。川に沿って大きな岩風呂がひとつ据えられ、手前側に掛け湯と洗い場が設けられています。
洗い場にはシャワーが5箇所用意され、シャンプー類も備え付けられています。洗い場も屋外なのですが、年末の厳寒期に利用した私は寒さで体をガタガタ震わせながらシャワーを浴び、慌てて体を洗って湯船へ急行しました。内湯や屋内の洗い場が無い開放的な造りなのですが、私のような厳冬期、もしくは荒天の時にはちょっと難儀するでしょう。


15人が同時に入れそうな大きな岩風呂には、竹の筧から温泉がふんだんに投入されています。そしてお湯のオーバーフローは川へ落ちています。湯量豊富なんですね。



一方、こちらは「あうんの湯」の湯船。「あうんの湯」は下流側にあり、しかも様々な大きさの岩風呂が複数設けられています。
上画像は最も脱衣室に近い場所にある大きな浴槽です。
7.

こんな感じで、蹲みたいな掛け湯もあります。


この他「あうんの湯」には川岸へ向かって段々状に湯船が設けられています。中段の岩風呂は5~6人サイズ、下段は3~4人サイズで、特に下段は渓流の川岸に位置しており、対岸には滝が落ちていて、まるで渓流と一体化したような気分で湯あみができる絶好のロケーションです。しかも夜間には対岸の滝がライトアップされ、大変綺麗です。そのかわり、下段の湯船は中段の湯船でオーバーフローしたお湯が注がれているらしく、他の浴槽よりも温度が低くてお湯も濁っていました。これらの川岸のお風呂の画像をご覧になりたい方は公式サイトでご確認ください。

前回記事でも触れましたが、お湯の特徴として、見た目は薄い黄色で笹濁っており、各岩風呂の湯面ライン上には黄土色の析出が付着しています。お湯を口に含むと薄い塩味、少々の金気味、カルシウム的な味、そしてほろ苦みが感じられます。湯中ではツルスベとキシキシが拮抗する浴感が得られますが、どちらかと言うとツルスベの方が優勢だったような気がします。湯使いは完全かけながし(多少の加水はあるかもしれません)。

渓流沿いのロケーションを上手く活かした実に爽快な露天風呂であり、しかも湯量が豊富でお湯の質も良いため、満足のゆく湯あみが楽しめました。混雑するのも納得できます。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 60.6℃ pH7.5 湧出量測定せず(掘削自噴) 溶存物質2.426g/kg 成分総計2.456g/kg
Na+:654.3mg(92.89mval%),
Cl-:317.3mg(29.24mval%), HCO3-:1289.6mg(69.06mval%),
H2SiO3:72.1mg, HBO2:27.5mg, CO2:30.3mg,

大分県日田市琴平町1571-1
露天風呂 0973-23-8827
家族風呂 0973-23-7726
ホームページ

露天風呂12:00~20:30(20:00受付終了)
700円
家族風呂12:00~21:00(最終受付20:00)
2000~2500円/1室・60分
(土日祝は300円増)

私の好み:★★★
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琴平温泉 ことひらゲストハウス縁 および家族風呂

2020年11月07日 | 大分県
今回も引き続き2019年12月に巡った九州の温泉についてご紹介いたします。
大分県の小京都として観光客から人気が高い日田市には、前回記事で取り上げた天ヶ瀬温泉という有名な温泉地があるほか、日田駅付近にも数軒の温泉旅館が営業しているのですが、日田市街地からちょっと離れた郊外にも人気の温泉があるので、宿泊を兼ねて訪ねることにしました。

その温泉の名前は「琴平温泉」。九州なんだか四国なんだかわからなくなる名前ですが、間違いなく九州の日田に湧く温泉です。日田駅から3キロほど離れた郊外にあるのですが、路線バスなど公共交通機関でのアクセスが難しいため、駅前からタクシーに乗って現地へ向かいました。タクシーの運転手さんもよくご存じで、曰く人気の温泉なんだとか。


途中から離合が難しい川沿いの狭い路地を進んでゆくと、やがて旅館・露天風呂・焼肉屋や居酒屋・家族風呂などがひとかたまりになった区画に行き着きます。今回私はこの塊の中にある「ことひらゲストハウス縁」で宿泊することにしました。いろいろと建物がわかれているので初めどこを訪ねて良いものか迷いましたが、とりあえず家族風呂の受付前でタクシーを降ろしてもらい、受付のおじさんに声を掛けると、チェックインはここでOKとのこと。


ゲストハウスは家族風呂受付の裏手にある蔵のような建物です。というか、実際の蔵を宿泊施設として改築したのかもしれません。
園内は昭和レトロなおもちゃや飾りが随所に並ぶ独特な雰囲気です。


建物をぐるっと回った裏手の駐車場側にゲストハウスの玄関があります。引き戸を開けると・・・


中にはどなたもいらっしゃいません。どうやら宿泊客は自由に出入りできるみたいです。
重厚な柱や梁に関心しながら、今回宛がわれた2階の105号室へ。




室内は広く、レトロ調でまとめられた調度品も凝っており、なかなか快適です。エアコン・テレビ・Wi-fiも利用できます。


室内にはちゃんとトイレと洗面台も備え付けられています。
この日は素泊まりで8,000円でした。ちょっと高いけど広くて快適だし、後述する温泉にも入れるのだから満足だ、と初めのうちは喜んでいたのですが、私が泊まった年の暮れは九州でもしっかり冷え込み、蔵を改築したようなこの部屋は底冷えが厳しく、暖房を最強にしてもなかなか温まらなかったので、部屋にいる時はダウンを着込まざるを得ませんでした。もっとも、部屋によって事情は異なるかもしれませんが、厳冬期の宿泊をご検討の方は防寒対策を念頭に置いた方がよさそうです。


素泊まりですが、敷地内には焼肉屋と居酒屋が営業しているので、少なくとも夕食を食べ損ねることはないでしょう(朝は何もないので、訪問前にあらかじめコンビニ等で食料を調達しておきましょう)。ネット上の口コミを拝見しますと、皆さん焼肉屋さんで食事なさっているようですが、へそ曲がりな私は敢えて焼肉屋ではなく居酒屋へ入ってみることにしました。
※焼肉屋さんはその後閉店してしまったようです。




賑わっている焼肉屋とは対照的に、客は私一人だけ。お店に入った時、店員の方は内職のような作業をしており、冴えない様子にちょっと不安になってしまったのですが、ご当地グルメの日田焼きそばと地鶏炭火焼、そしてぜんざいを注文したところ、なかなかの美味だったので、食後には不安がすっかり霧消していました。

さてゲストハウスの宿泊客は、夜22時までゲストハウスと同じ運営会社が営業している露天風呂「ゆめ山水」を何回でも利用することができます。また翌朝は家族風呂を利用することもできます。もちろん私は両方入ったのですが、「ゆめ山水」を取り上げると記事の量が増えてしまうそうなので、そちらは次回記事にまわすことにして、今回記事では翌朝利用した家族風呂をご紹介します。



琴平温泉の家族風呂は16室あるのですが、そのうち泊まった翌朝に宿泊客が利用できるのは受付前の4室のみです。


ちなみに前日のチェックイン時、16室ある家族風呂は全て利用中で、しかも空き待ちのお客さんが数組いらっしゃいました。それほど人気の施設なんですね。


さて、宿泊客が使える4室のうち1室に入りましょう。引き戸に掛けてある札を裏返して中に入ります。


脱衣室は3~4人家族が使っても窮屈さを感じない広さがあります。もちろん一人の私には十分すぎるスペースです。


こちらがお風呂の全景。なかなか立派でしょ。
家族風呂というと、一般的には小さく区切った部屋に浴槽と洗い場だけがある狭い空間を思い起こしますが、こちらは立派な岩風呂が設えられており、宿の大浴場でも通用しちゃうほどの空間が確保されています。なるほど人気を博すのも納得です。


洗い場は2つ。家族間で揉めることなくシャワーを使えそうですね。子供とお母さんがまずシャワーを浴び、お父さんは脇で待機、かな。


入室時、お風呂は空っぽです。浴槽の排水口に栓をして、チェックイン時に渡される専用コインを室内にあるタイマーに投入すると、自動的に温泉が吐出されます。


初めのうちは勢いよくお湯が出てくるのですが、湯船の水位がちょうど良くなるころになると、勢いが弱まってチョロチョロと出るように調整されます。


5~6分でお湯が溜まります。ゴツゴツとした男性的な岩風呂には薄く黄色に笹濁ったお湯が張られます。次回記事で取り上げる露天風呂のお湯と同じ源泉かと思われますが、露天風呂より色・味ともに薄く、しかも適温に調整されているので、おそらく加水されているのではないかと推測されます。この湯加減が実に素晴らしく、いつまでも長湯していたくなるような絶妙な加減なのですが、1時間制限なのが悲しいところ。
なおお湯からは少々の金気味とカルシウム風味、そしてほろ苦みが感じられます。湯中ではツルスベとキシキシが拮抗する浴感を得られるのですが、どちらかと言えばツルスベの方が優勢かもしれません。
タイマーが機能している間はお湯が注がれ続けますので、完全かけ流し状態となり、湯尻からしっかりオーバーフローします。なお湯船には水位センサーがあるらしく、湯嵩が一定以上減ると湯口から再び勢いよくお湯が吐出されます。このため、退室時には排水口の栓を抜かずそのままにして退室してください(栓を抜いて水位が減ると湯口から勢いよくお湯が出てしまいます)。

次回記事では露天風呂「ゆめ山水」について述べます。

次回につづく・・・

コメント (1)
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天ヶ瀬温泉 旅館本陣

2020年10月27日 | 大分県
※本記事は2019年12月に訪問した際の様子を述べています。
2020年7月の豪雨災害により現在こちらのお宿は休業中です。一日も早い復興と営業再開を祈念する意味も込めまして、今回記事に致しました。本記事をご覧の際には事情をご理解賜りますよう何卒お願い申し上げます。


天ヶ瀬温泉「旅館本陣」で日帰り入浴を楽しませていただきました。川の左岸を行き来する駅前通りとは反対側の右岸に位置しており、目の前には河原に点在する共同浴場の一つ「益次郎の湯」があります。すぐ目の前を川が流れる眺めの良いロケーションです。


玄関からお邪魔し、帳場で日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。やや古風な建物な建物ですが、清掃が行き届いており、本陣という言葉を宿名にする矜持が伝わってきました。


宿の建物は傾斜地に沿っており、お風呂は眺めの良い最上階に設けられているのですが、エレベーターが無いため、階段を延々と登ることになります。脚が不自由な方やお年寄りには厳しいかもしれませんが、健常者でしたらむしろ足腰が鍛えられて健康促進に役立つでしょう。ちょっとした困難を乗り越えるからこそ、その先で待っているご褒美はより素晴らしいものになるのです。


途中の踊り場にある流し台など尻目にどんどん上がってゆきますと、最上階のちょっと手前で「姫湯」、つまり女湯の前を通過しました。殿方はさらに更に上へ。


やっと浴場までたどり着けました。どうやら6階に相当するようです。多くの建物にエレベーターやエスカレーターなどが設置されている昨今、6階まで階段で上がるような機会はあまり無いかと思いますので、入浴前に思いがけず良い運動ができちゃいました。
脱衣室はコンパクトながらロッカーが設置されています。ただし100円有料です。




自分の足で6階の高さまで登ってきた甲斐がありました。お風呂は内湯ですが、川と温泉街と一望する素晴らしい眺めが得られます。
眺めの良い窓に面して設けられている湯船は4~5人サイズ。最近改修したのか、浴槽は比較的新しい木材で囲われており、やや無機質な室内に視覚的なぬくもりをもたらしていました。
一方、窓とは反対側(山側)には洗い場が配置され、シャワーが3つか4つが取り付けられています(記憶が曖昧で申し訳ございません)。


湯口から滔々と注がれるお湯は無色透明ですが、硫黄泉によく見られる湯の華が付着しており、流れに身を任せるようにユラユラと揺れていました。また湯船の中では大小さまざまな大きさの白い湯の花が浮遊していました。
湯口のお湯を口に含んでみますと、微かな塩味とともに、マイルドなタマゴ感、そしてゴムテニスボールのような硫黄風味が感じられました。トロミのある湯船に浸かると、ツルスベとキシキシという相反する浴感が拮抗して肌に伝わってきました。なお湯使いはかけ流しです。

まるで天守閣のような高楼のお風呂から温泉街を見下ろすと、ちょっとした殿様気分になれました。そんなユニークな構造をしたこちらのお宿は、ワンちゃんと泊まれるお宿でもありますから、ペットと一緒に旅をする方々にとっても貴重な存在です。
豪雨被害に見舞われ大変お気の毒ですが、一日も早い営業再開を祈っております。


源泉名:合資会社成天閣
含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 62.8℃ pH7.5 湧出量測定せず(自然湧出) 溶存物質1.059g/kg 成分総計1.059g/kg
Na+:253.0mg(85.47mval%), Ca++:21.8mg,
Cl-:267.3mg(57.69mval%), HS-:0.5mg, S2O3--:3.8mg, SO4--:77.4mg, HCO3-:211.5mg(26.55,mval%),
H2SiO:177.3mg, H2S:0.2mg,
(平成26年12月24日)

大分県日田市天瀬町湯山1138
0973-57-2317
ホームページ

2020年10月27日現在 臨時休業中

私の好み:★★+0.5
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天ヶ瀬温泉 瀬音・湯音の宿 浮羽

2020年10月21日 | 大分県
2020年7月の豪雨で甚大な被害を蒙った大分県天ヶ瀬温泉。懸命な復旧作業により一部の旅館や河原の露天風呂は営業を再開していますが、いまだに再開できないお宿もあり、復興は道半ばです。そこで当地を応援する気持ちも込めて、今回記事では2019年末に巡った当地の温泉を取り上げます。


この時に訪ねたのは温泉街の通りから細い道に逸れて坂を上がったところにある「瀬音・湯音の宿 浮羽(ホテル浮羽)」です。


宿の目の前には源泉と思しき施設を発見。


軒先には「立ち寄り湯営業中」の提灯が吊り下げられていました。今回は日帰り入浴での利用でので、この提灯を目にして安心しました。
(現在の日帰り入浴営業状況についてはお宿へご確認ください)
古風な旅館が多い当地にしては珍しい小奇麗なお宿で、玄関を入った先にあるロビーにはピアノが置かれており、「洋風なお宿なのかしら」と想像しながらフロントで日帰り入浴をお願いしますと、なぜか宿帳へ名前などの記入を求められました。


フロントのスタッフさん曰く、お風呂は4階にあるとのこと。ロビー奥にあるエレベーターで4階へ上がり、連絡通路を渡って隣の棟に渡って通路の突き当りまで歩きますと、ようやくお風呂にたどり着きました。


エアコンが効いて快適且つ綺麗な脱衣室を抜けると内湯。
この内湯も明るく清潔感があります。男湯の場合、正面に浴槽が据えられ、右手に洗い場が配置されています。なお取り付けられているシャワーは5箇所で、吐出されるお湯はボイラーの沸かし湯です。


内湯の浴槽は半径約1.5メートルの円形で、湯口から温泉がふんだんに供給されており、縁から大量にオーバーフローしています。湯船のお湯は無色透明で、湯中では白く小さな湯の花が少々ですが舞っていました。なお源泉温度は70℃以上ですが、内湯の湯口では既に適温でしたので、おそらく加水されているのでしょう。


内湯のお風呂で温まったところで、続いて露天へ向かいます。ドアを開けて専用の屋外通路を進むと・・・


まず右手に五右衛門風呂が2つ設けられていました。いずれも源泉かけ流しの温泉ですが、一般的な湯加減のものと、ややぬるめにセッティングされているものに分かれています。後ほど触れますが、内湯・露天・五右衛門風呂のうち、お湯の状態が良かったのはこの五右衛門風呂でした。


そしてこの裏庭のような場所に露天風呂が設えられています。正直なところあまり開放感は無いのですが、笹や常緑樹の緑に囲まれていますし、風も通り抜けますので、露天風呂に期待したくなる爽快感は得られるでしょう。


露天風呂は石造りで奥に長く、その最奥に湯口があります。内湯と異なりこちらから出てくる温泉はかなり熱いのですが、私が訪れたのは冷え込んだ年の瀬であり、また露天風呂の表面積も広いため、湯船自体はややぬるめの湯加減になっていました。


外気で冷却されるためか、露天風呂の湯中では大量の湯の華が浮遊していました。湯の華が出やすい泉質なのですね。

先ほどの五右衛門風呂のところでも申し上げましたが、こちらの浴場にある内湯・露天・五右衛門風呂という3種類のお風呂のうち、私個人の感覚で最もお湯のコンディションが良かったと感じたのは五右衛門風呂でした。浴槽の小ささとそこに注がれるお湯の量のバランスが、他の浴槽よりも良いからでしょう。浴槽の中では白い湯の花が大量に舞っているのみならず、硫黄の匂いもはっきり嗅ぎ取れます。肌に伝わるシャキッとした感覚も良好でした。次点は露天風呂で、内湯は加水の影響か前2者に比べてやや薄いように思われました(でも湯加減は最も良好でした)。湯口のお湯を口に含むと僅かに塩味が感じられる他、軟式ゴムテニスボールのような硫黄風味がしっかり伝わり、とろみやツルスベ感も明瞭。匂いや浴感が白い湯の華と相まって温泉らしさを楽しませてくれます。各浴槽ともかけ流しの湯使いであるのが嬉しいところです。
なお分析表によればこちらの温泉は溶存物質1.000g/kgとのこと。日本の温泉法では溶存物質1g/kg以上で単純温泉ではない泉質名を名乗れますから、正にギリギリのところで辛うじて「単純」の名前から逃れられているわけです。そんなことを頭の片隅に置きながら入浴するとより一層面白く入浴できるかもしれません。今回私は入浴のみの利用でしたが、次回はご当地の味覚を楽しみながら宿泊で再訪してみたいものです。


源泉名:ホテル浮羽
77.1℃ pH8.1 溶存物質1.000g/kg 成分総計1.002g/kg
Na+:252.3mg(86.45mval%), Ca++:20.7mg,
Cl-:265.5mg(57.22mval%), SO4--:93.3mg, HCO3-:180.2mg(22.54mval%), CO3--:10.8mg,
H2SiO3:133.9mg,
(平成8年11月1日)
加水あり(源泉温度が高いため)
加温循環消毒なし

大分県日田市天瀬町赤岩3-5
0973-57-3171
ホームページ

日帰り入浴 16:00まで
800円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
(日帰り入浴の情報に関しては2019年時点のものです。現在の状況については直接お宿へご確認ください)

私の好み:★★+0.5

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由布院温泉 束の間(日帰り)

2020年10月14日 | 大分県

今回より再び2019年末に巡った大分県の温泉へ戻ります。
全国的に有名な由布院温泉の中でもとりわけ評判が高い「束の間」(旧庄屋の館)で日帰り入浴を楽しんできました。実は本来ならば宿泊する予定だったのですが、諸般の都合により宿泊予約を泣く泣くキャンセルすることになり、仕方なく日帰り入浴で利用したのです。由布院駅前の観光案内所でJR九州「楽チャリ」の電動アシスト自転車を借り、モーターの力を借りて由布岳の麓をひたすら登ること約15分で目的地に到着しました。いかにも九州の人気宿らしい、モダン和風の小洒落た雰囲気です。


温泉櫓などあちこちから勢いよく上がる温泉の蒸気によって、施設内は白く包まれていました。当地の地熱資源が豊かであることを実感します。もちろん自然に上がっているものもあるのでしょうけど、演出として意図的にあげている箇所もあるのかな(下衆の勘繰りかしら)。


こちらのお宿は大きな建物の中に客室を収容している一般的な旅館とは違い、全室が一棟貸しとなっています。つまり小さな離れの集合体なんですね。お宿側ではこれを「ストレスフリーをコンセプトにした温泉保養集落」と称しているようです。それらの「集落」は由布岳の麓の傾斜地に沿って建ち並んでいるため、奥へ向かう階段を上がってから後ろを振り返ると、由布院の街並みを眺望できると同時に、目下の各棟も一望できます。


通路をどんどん進んで日帰り入浴の受付棟へ。各棟には温泉のお風呂があるため、宿泊や休憩利用のお客さんはわざわざ大きな露天風呂に行かなくても入浴できるのですが、日帰り入浴の客が入れるのは大露天風呂のみ。
受付棟に入って小さな券売機で料金を支払い、券を受付のスタッフに手渡します。脱衣室は広い板の間で、棚や篭もたくさん用意されており、使い勝手はまずまずです。


お風呂は写真NGですので、公式サイトから画像を拝借致しました。上画像は脱衣室から露天へ出たところを撮ったもの。脱衣室の引き戸を開けるといきなりこの景色が広がり、青いお湯が視界に飛び込んでくるので感動してしまいます。私が訪ねたのはキンキンに冷え切った年の瀬の朝一番。厳しい寒さのため露天風呂は真っ白な湯気に覆われており、湯気の向こうに霞むお湯の青さも相まって、とても幻想的でした。

しかしながら、本当に露天だけで内湯や屋内の洗い場などなく、洗い場も完全露天状態ですから、私が訪問した時のような寒い日にはちょっと身に堪えます。その洗い場にはシャワーが5箇所ならんでいるのですが、寒かったからか私がコックを開けてもなかなかお湯が出てこない・・・。寒くてたまらず、仕方なく桶で湯船のお湯を掬って掛湯させてもらったら・・・まぁ何ということでしょう! お湯がとってもヌルヌルしていてウナギ湯と言わんばかりの感触だったのです。これはすごい!


露天の湯船はとても広く、しかも(多少の深浅はあるものの)全体的に浅めの造りです。庭園の池のように大きな湯船の半分近くには屋根が掛かっており、屋根がないところでは由布岳を望めます。上述のように私は朝いちばんで尋ねたため、お風呂に入った当初は他客がいなかったのですが、さすが人気施設だけあり、しばらくすると続々と日帰り入浴客がやってきました。でも広いので混雑は気になりません。長湯にちょうど良い湯加減なので、雄大な景色を見上げながらヌルヌルの青白湯にいつまでも浸かっていられました。時間を忘れる湯浴みは実に素晴らしいですね!

お湯は白みを帯びたコバルトブルーに濁っており、微かに硫化水素臭を放っています。湯口のお湯を口に含んでみますと、薄塩味とミネラル的な味が感じられました。浴槽のまわりにはカルシウムと思しき析出が付着しており、鱗状の白い模様もたくさん形成されています。なお湯口から出てくるお湯は激熱なので、決して直に触れないように気を付けましょう。

雰囲気が良く、お湯の色が美しくて、その感触も感動的なのですから、人気を博すのも頷けます。露天風呂だけでもブリリアントなのですから、宿泊したら尚一層感動することでしょう。今回は泊まれなかったのですが、次回こそは宿泊してみたいものです。


ゆふいん束ノ間の湯
ナトリウム-塩化物温泉 97.4℃ pH8.7 湧出量測定せず(498m掘削自噴) 溶存物質1.237g/kg 成分総計1.237g/kg
Na+:374.0mg(92.18mval%),
Cl-:413.0mg(69.43mval%), S2O3--:0.3mg, SO4--:97.6mg(12.10mval%), HCO3-:112.0mg(10.97mval%),
H2SiO3:156.0mg, HBO2:9.1mg,
(平成29年10月12日)

大分県由布市湯布院町川上444-3
0977-85-3105
ホームページ

日帰り入浴9:30〜18:00
800円
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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