温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

高増温泉 不動乃湯 家族風呂

2021年09月30日 | 青森県
(2020年11月訪問)

コロナ禍で不特定多数との接触が憚られる昨今、温泉愛好家にとって家族風呂や貸切風呂は非常にありがたい存在です。日本ですと九州地方に家族風呂を兼ね備えたりあるいは家族風呂専門の施設が多く見られますが、東日本エリアは豊富な温泉数に反し、決して多くありません。そんななかでも本州の北端である青森県は温泉の宝庫であるのみならず家族風呂の数も多く、しかもリーズナブルに利用できる施設が県内各地に点在しているので、他の人を気にせず湯浴みしたい私のような人間にとっては大変ありがたい地域です。
さて今回訪ねる温泉は、板柳町にある「高増温泉 不動乃湯」です。拙ブログでは2009年に取り上げており(当地の記事はこちら)、11年ぶりの再訪となります。前回記事では大衆浴場、つまり一般的な大きなお風呂を利用しましたが、今回は併設している家族風呂です。先述のように青森県内には家族風呂を擁する温泉浴場がたくさんあるのですが、こちらの最大の特徴は非常にリーズナブルであること。なんと1人利用なら500円で入れてしまうのです。それでは日本屈指の激安家族風呂に入ることにしましょう。


風切室を抜けて玄関の扉を開けますと、左手にある番台ではおばあちゃんがポツネンと座りながらテレビをボンヤリ視聴中。このおばあちゃんに声をかけて家族風呂が空いているかを確認したところ、2室あるうち1室は利用中だったので、残りの1室を使わせてもらいました。2室は離れており、私の訪問時に既に利用中だった家族風呂は大浴場の近くですが、私が利用したもう一つの家族風呂は全然違う場所にあります。番台からまっすぐ進むと以前取り上げた大浴場ですが、その手前のテレビが置いてあるところを右に曲がってドアを開け・・・


狭い廊下を道なりにひたすら突き進んでゆくと・・・


突き当たりに家族風呂があります。


せいぜい1畳程度しかないとても狭い脱衣室で着替えて・・・


いざお風呂へ。施設全体が昭和から時が止まっているかのようなレトロ感たっぷりの佇まいですが、この家族風呂も大変古い造りであり、床や浴槽内は昔ながらの豆タイルが張られています。浴槽上のタイル壁には絵が描かれているのですが、薄くなってしまい、何が描かれていたのかよくわかりません。もしかしたら白砂青松の風景画かな。


シャワーから出てくるお湯は温泉です。とはいえ一般的な浴場に設置されている混合水栓ではなく、ハンドル式単水栓の先っちょにシャワーホースを接続しているだけ。


相当年季が入ったこの浴槽は2人サイズ。常時お湯が溢れ続けており、その手前の洗い場は洪水状態になっていました。湯量豊富なんですね。


温泉はこのバルブ付き塩ビパイプから投入されており、このバルブが常時開きっぱなしであるために、浴槽縁から絶え間なくお湯がオーバーフローし続けているのです。こちらのお湯は蜂蜜を連想させる琥珀色の透明で、タイルの影響か淡く緑色を帯びているようにも見えます。津軽平野の温泉でよく見られる色合いです。 お湯を口に含みますと塩味と弱い金気味、出汁の味と香りが感じられます。またちょっとしたアブラのような匂いも含まれているようでした。


このお湯で特筆すべきは泡付きの多さでしょう。私が湯船に入ると、たちまち全身に気泡が付着し、何度拭ってもすぐ再び気泡に包まれました。アワアワなお湯が好きな方なら感動すること間違いなし。ツルツルスベスベの滑らか浴感が非常に強いので、うら若き乙女から加齢臭プンプンのヨボヨボ老人まで、このお湯に浸かれば誰しも美肌効果を得られること間違いありません。最近頓に醜いオッサン化してきた私も、湯中の自分の肌にうっとりしてしまいました。温泉に含まれる食塩や重曹のほか、18.0mgの炭酸イオンがその滑らかな浴感をもたらしているのでしょう。実に素晴らしいお湯です。


しかも大量にお湯が注がれているので、洗い場は常時洪水状態。湯船に体を沈めた瞬間、湯船のお湯は白波を立てながら洗い場へ一気にお湯が溢れていきました。その水深は2センチにも及んでおり、浴室のドア上まで達してしたので、もしかしたら脱衣室が浸水しているのではないかと心配したほどです(一応浴室は脱衣室よりも2cm以上低いので大丈夫でした)。浴槽の容量に対して投入量が多いので、いったん溢れて嵩が減ってもすぐにあふれ始めます。それだけ湯量が多いということは、お湯が新鮮であるということでもあり、大量の泡付きという現象にもつながっているわけです。

お風呂のつくりは古くて狭いのですが、湯量豊富で新鮮、泡付きが多くて非常に滑らか、そして非常に安いという、メリットだらけの家族風呂。温泉マニアなら入っておきたい超レコメンドの一湯です。


高増温泉2号泉(再)
ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩温泉 43.3℃ pH8.4 360L/min 溶存物質1.058g/kg 成分総計1.058g/kg
Na+:295.7mg(89.94mval%),
Cl-:355.8mg(69.86mval%), Br-:1.5mg, HCO3-:219.8mg(25.08mval%), CO3--:18.0mg,
H2SiO3:125.0mg,
(平成16年7月13日)
加水加温循環消毒なし

青森県北津軽郡板柳町大俵字和田422-3
0172-77-2155

7:00~21:00 無休
公衆浴場400円
家族風呂500円/1人1時間

私の好み:★★★
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つがる市森田 つがる地球村温泉

2021年09月24日 | 青森県
(2020年11月訪問)
拙ブログでは久しぶりに青森県の温泉を取り上げます。つがる市の森田地区には町村合併前の森田村時代から「つがる地球村」という複合リゾート施設があり、拙ブログでも以前この施設内にある「藤山邸」という宿泊棟の温泉浴場を紹介したことがあります。この「藤山邸」の隣に、2020年6月新たな温泉入浴施設がオープンしたという噂を小耳に挟んだため、開業から約半年後の同年11月に訪問することにしました。


実際に現地へ行ってみますと、「藤山邸」の左隣に大きく新しい建物が建っており、その側面に「つがる地球村温泉」という名前が立派に掲げられていました。私のPCから古い画像を漁って当地の過去を調べてみますと、この新しい温泉施設が建てられた場所は、かつて「想遙館」という宴会施設があったようです。それを全面的に取り壊して建て直したんですね。


新温泉施設は「藤山邸」とは廊下でつながっているため、「藤山邸」に宿泊すれば新しいお風呂にも入れるのかもしれません。


玄関から館内に入り、下足場に靴を収め、受付カウンター前に設置されている券売機で料金を支払います。さすがに新しい建物だけあって館内はとても明るく、白色基調の内装で清潔感に満ち溢れています。受付があるホールは奥に長く、奥の方には飲料自販機を備えた休憩スペースが設けられています。


大きな窓ガラスと高天井が採用された内湯は、とても明るく開放的な空間です。主浴槽は大きな窓の下に設けられており、そのサイズは私の目測で3m×9 mというかなり大きなもの。浴槽の縁には黒い御影石が、浴槽内にはベージュのタイルが用いられています。そのゆとりある浴槽の真ん中に木箱でできたような湯口があって、下からお湯が噴き上がっています。浴槽を満たしたお湯は窓側と洗い場側の両方にオーバーフローしており、その排出される流量を見れば、湯口から投入され続けている湯量の多さを実感することができるでしょう。また常時温泉がオーバーフローされ続けているため、新しい施設にもかかわらず、洗い場の床タイルは温泉成分の付着によって既に茶色く染まっていました。

この内湯で特筆すべきは水風呂でしょうか。青森県の温泉銭湯を巡っているとしばしば、主役であるはずの温泉に比肩するほど素晴らしい水風呂に出会うことがありますが、こちらもその典型例で、淡く黄色に笹濁った地下水(鉱泉水)が使われているこちらの水風呂は、4~5人同時に入れそうな大きさを擁し、地下水ゆえに水温が一定で季節を問わず冷たすぎず、しかも単なる冷水とは違う独特の浴感を有していて非常に気持ち良いのです。 なお水風呂があるということは当然サウナも浴室内に設けられており、洗い場で汗を流したオジサンたちはサウナへ続々と吸い込まれていました。都市部や地方、東や西といった地域差なんて関係なく、サウナは皆さんに人気なんですね(実を申しますと、私はサウナがそれほど好きではありません)。


洗い場にはシャワー付き混合栓が計17基設けられています。なおカランから出てくるお湯は水道の沸かし湯です。


内湯の隣には露天風呂も用意されています。両方には壁が立ちはだかり、目の前にも目隠しの塀が立っているので、露天風呂に期待したくなるような開放感はさほど得られないのですが、でも眼前の景色に立つ木々がとても美しく、私はそれらを眺めているだけでも心が癒されました。
露天風呂の浴槽は内湯の3分の1ほどのサイズ感ながら、10人は同時入浴ができるかと思われます。内湯では浴槽の中央に木箱のような湯口が設けられていましたが、この露天ではその木箱を半分に割ったようなものが壁に設置されていて、そこから内湯と同じ温泉が注ぎ込まれていました。もちろん露天風呂からもお湯はしっかりオーバーフローしています。


こちらのお湯は津軽平野の温泉銭湯でよく見られる食塩泉。見た目は 蜂蜜を連想させるような淡い琥珀色の透明で、浴室内には温泉独特の匂いが充満しています。湯口のお湯を口に含んでみますと、出汁の味と香り、塩味、金気味、そしてほろ苦さが渾然一体となって感じられ、メタンガスの存在を思わせるような匂いとモール泉のような香りが嗅ぎ取れました。
湯船に浸かると想像以上に強いツルツルスベスベの滑らかな浴感が全身に得られたのですが、これは温泉に含まれる重曹の影響かもしれません。惜しくも先日閉館してしまった旧森田村の「おらほの湯」も食塩泉ながら重曹を多く含む泉質でしたので、その近所である当温泉のお湯も似たような特徴を有しているのかもしれません。
その一方で温浴効果が強いのは言わずもがな食塩のおかげ。重曹泉の爽快感と滑らかなさ、そして食塩泉の力強さを兼ね備えた実に入り甲斐のある温泉であり、しかもそんな良泉が掛け流しの湯使いで提供されているのですから文句の付けようがありません。

私が内湯の湯船に浸かっている時、浴槽中央に立つ湯口にもたれかかって、湯口から噴き上がって落ちてくるお湯を打たせ湯のようにして楽しむお客さんがいらっしゃいました。初訪問の私は、そのオジサンの行動を見て「(マナー云々は別にして)面白いことをやるなぁ」と興味津々で見ていたのですが、やがて別のお客さん(しかも複数名)も同じような入浴行動をとっていることに気づき、開業から1年も経たないうちに、早くもこの浴場ならではの入浴スタイルが常連さんの間で確立していることを知ったのでした。「おらほの湯」が廃止されて以降、この温泉は森田地区の人々の憩いの場として末永く愛されることでしょう。


つがる地球温泉
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 
43.7℃ pH7.7 湧出量測定不能(掘削動力揚湯) 溶存物質1.732g/kg 成分総計1.834g/kg
Na+:431.4mg(91.96mval%),
Cl-:246.1mg(33.74mval%), Br-:0.9mg, I-:0.3mg, HCO3-:824.4mg(65.68mval%),
H2SiO3:174.0mg, CO2:102.0mg,
(平成26年4月10日)
湯使いに関して、公式サイト内に「源泉かけ流し」と表記あり。
(ただし湧出温度が43℃なので、冬季は加温しているものと推測されます)

青森県つがる市森田町床舞藤山244
0173-26-2855
ホームページ

6:00~22:00 無休
450円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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天然温泉みのりの湯柏健康センター 期間限定生源泉風呂

2021年09月15日 | 東京都・埼玉県・千葉県
(2020年8月訪問)
おそらくこの記事をアップする頃には、本記事で取り上げる季節限定サービスが終了しているかもしれません。本当は今年7月中旬にアップしようと思っていたのですが、ダラダラしているうちに、9月の中旬になってしまいました。いつも旬を逃してばかりで、皆様の湯めぐりのお役に立てず、大変申し訳ございません。

東京近郊に数多く存在する温泉スーパー銭湯の一部では、夏季限定で非加温の生源泉を浴槽に提供している施設があります。平野部の温泉ですから湧出時点で入浴に適した温度まで達していない場合が多く、お客さんに入浴していただくには加温が必須となるわけですが、湧出温度が30℃前後の温泉ならば、蒸し暑い時季には寧ろ加温せずにそのまま提供した方が気持ちよく入れますので、そのことに気付いている一部施設で生源泉サービスが実施されているようです。

今回はその中でも千葉県柏市の「みのりの湯柏健康センター」を訪ねます。


まずはつくばエクスプレスに乗り、柏の葉キャンパス駅から柏駅行き路線バスに乗り換えて、「庚塚」バス停で下車します。
お目当ての「みのりの湯柏健康センター」は「庚塚」バス停の目の前にあり、大きなゲートが立っていますので、見逃すことはありません。


大きなゲートの先には駐車場が広がり・・・。



その先に平屋の大きな建物がデデンと構えていました。全てにおいて規模が大きく、いかにも郊外って感じの造りです。
さて玄関を入って靴を下足箱に収めますと、その下足箱の鍵には白くて丸いICチップがついています。どうやらこのICチップで入退館の記録や館内における各種サービスの支払いを管理し、退館時にまとめて精算機で支払うようなのですが、私のような入浴のみ利用の客はこれを使わず、フロントで直接現金精算することになります。このため、入館時には受付でどのような利用形態(コース)を選ぶのか、申し出ることになります。

この「みのりの湯」が他のスーパー銭湯と大きく異なるのが、館内で大衆演劇を公演している点です。地方の大きな温泉街へ行くと、たまに大衆演劇の舞台を設けている旅館に出くわしますが、同じような感覚でこの施設でも公演が行われているようです。実際に私が訪問したときにも、廊下にまで公演の音響や声援が響いており、それなりに盛況のようです。そんな施設だからか、館内は館内着を着ながら湯あみと大衆演劇を楽しむお年寄りが非常に多く、他の温浴施設と比べても高齢化率が突出している気がしました。館内に満ちた加齢臭と、大衆演劇のドウランの匂い、そして両者が織りなす独特の雰囲気が、若者を近寄れなくさせているのかもしれません。

広い脱衣室には縦長のロッカーがずらりと並んでおり、混雑してもロッカーが埋まるようなことは無さそうです。室内では全裸やランニングシャツ一枚のお爺さんがウロウロヨロヨロしていました。徘徊しているのかと心配したくもなりますが、おそらく皆さん風呂上りで体をクールダウンさせるために涼しい場所を探し求めているのでしょう。

以下、館内の写真は公式サイトからお借りしました。


内湯も大変広く、しかも多種多様なお風呂が用意されています。といっても特筆すべき浴槽は無く、そのラインナップは極めて一般的でした。なお内湯メイン浴槽には自家源泉の温泉が張られています。加温循環されていますが、鼈甲色を帯びたそのお湯へ実際に入ってみると、ツルツルとした滑らかな浴感がしっかりと伝わり、なかなかの良泉であることを実感できました。


露天ゾーンにも複数の浴槽があり、トドかセイウチを思わせる中高年がシミだらけの体を湯に浸らせてながら、瞑目したり唸ったりと、思い思いに湯あみを楽しんでいらっしゃいます。露天ゾーンのメイン浴槽は岩風呂で、こちらにも加温循環された温泉が用いられている他、寝湯にも温泉が使われています。


内湯から見て右奥にある、東屋がかかっている四角い浴槽は、普段は替わり湯として入浴剤入りのお湯が張られているようですが、この日は他の浴槽と同様に温泉が張られていました。一方、化石木を用いて作られたとされる浴槽には、温泉ではなく真湯が張られていました。


さて今回の私も目的は、上述したように夏季限定の生源泉かけ流しの浴槽に入ること。そのためにわざわざ遠路はるばる柏までやってきたのです。
露天ゾーンに2つある壺湯には、普段は透明のお湯が注がれているのですが、夏季限定で非加温の源泉がかけ流されています。温泉が使われている他の浴槽同様に琥珀色のお湯ですが、ろ過循環されていないだけあってお湯の色はかなり濃く、いわゆるモール泉系のお湯かと思われます。実際に入ってみますと、湯温は私の体感で25℃前後。入りしなは冷たいのですがすぐに慣れてしまい、むしろ清涼感の虜になって湯船から出られなくなってしまうほど。しかもツルツルスベスベの滑らかな浴感と爽快感が全身に感じられるので、非常に気持ち良いのです。湯口のお湯を口に含んでみますと、薄塩味と少々の苦みが得られ、また有機物的な匂い(いわゆるモール臭とは異なる匂い)が嗅ぎ取れました。また消毒されているらしく。薬剤の存在を思わせる臭いも確認できました。
 
壺湯における源泉かけ流しサービスは夏季限定なので、夏だけ特別にわざわざ源泉の給湯管を仮設して、この壺湯まで伸ばしているようです。私が実際に見たところ、裏手からいかにも仮設と言わんばかりの塩ビ管を伸ばし、その配管を雨溝に通して壺湯の手前で立ち上げて、チーズで2手に分けてそれぞれの壺湯へ供給していました。夏が終わればこの仮設配管も撤去され、来年の再登場まで倉庫で眠るのでしょう。

あまりに気持ち良いお風呂なので、あまり長湯せずに他のお客さんにも譲ってくださいという旨の注意書きが掲示されており、実際に周囲ではお爺さんたちが虎視眈々と壺湯が空くのを待っていました。もちろん私はその注意書きに従い、後ろ髪を引かれる思いで10分ほどで一旦出て他のお客さんに譲り、空き待ちのお客さんがいなくなったことを確認した上で再び源泉の壺湯へ入るということを繰り返しました。

千葉県東葛エリアの温泉は悉く塩辛い化石海水系かと思いきや、こんなモール泉的な特徴を有するお湯に出会えるとは意外でした。
源泉かけ流しのお風呂は実に素晴らしく、病みつきになるのも頷けます。


帰りは柏駅行きの無料送迎バスを利用させていただきました。
この夏季限定の源泉かけ流しサービスは毎年実施されているようですから、今季が終了してしまったら、来年までお待ちください。


柏天然温泉みのりの湯
ナトリウム-塩化物温泉 27.2℃ pH8.0 溶存物質2392mg/kg 成分総計2398mg/kg
Na+:793.7mg(94.25mval%),
Cl-:1130mg(84.64mval%), HCO3-:346.4mg(15.08mval%), CO3--:2.6mg,
H2SiO3:64.2mg,
(平成29年12月21日)
加水なし、
加温あり(入浴に適した温度を保つため)
循環濾過あり(温泉資源保護と衛生管理のため)
消毒あり(塩素系薬剤使用)
(分析表は公式サイトにもあります)

千葉県柏市十余二249
04-7145-8910
ホームページ

10:00~翌朝8:00
入浴のみ1100円(他各種利用プランあり)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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いわき湯本温泉 松柏館(日帰り入浴)

2021年09月07日 | 福島県

連続して私の大好きないわき湯本温泉を取り上げております。今回訪ねますのは、ご当地のランドマークである公衆浴場「さはこの湯」の斜前に位置する純然たる和風老舗旅館「松柏館」です。こちらのお宿では日中に日帰り入浴も受け入れていますが、現在はコロナ対策のために事前予約制となっており、各正時(00分)スタートで1時間までの利用可能となっています。私は利用の2時間ほど前に予約の電話を入れたのですが、さすが老舗旅館だけあり電話越しの応対がとても親切で、実際に帳場を訪ねて受付をした際も大変丁寧に接客してくださいました。なお受付時には日帰り入浴客専用の宿帳に記入を求められます。


1階帳場の奥にはこのような立派な庭が広がっています。話が前後してしまいますが、私はお風呂上りにこちらのお庭を眺めさせていただきました。


いわき湯本といえばかつては常磐炭鉱で栄えたところ。館内には大きな石炭が展示され、往時の栄光を今に伝えていました。



お風呂はエレベーターで4階へあがります。
4階エレベーターホール前には、温泉街を眺める休憩スペースがあり、マッサージチェアや飲料水のサービスの他、ビン牛乳の自販機が設置されています。お風呂上がりがりに是非とも牛乳を飲みたいですね。


こちらは温泉の配管に詰まったスケールを展示したもの。当地の温泉は放っておくと、温泉成分の付着によってこんなになってしまいンテナンスに大変苦労するということを、ビジュアル的にわかりやすく訴えかけてくれます。


さて、休憩スペースから振り返った先に延びる廊下の右側に女湯、左側に男湯の大きな幕が下がっています。脱衣室は明るく綺麗で、エアコンも設置されており、快適に使うことができました。なお室内には貴重品用ロッカーが用意されています。


お風呂は内湯のみですが、硫黄の湯の香が漂う室内は明るくて開放感があり、しかも湯船も大きいので、内湯だけでも非日常感を楽しめます。


上述したようにお風呂は4階に設けられており、温泉街を一望できる展望風呂になっています。その大きな窓は網入りガラスなので、窓越しの景色を上手く撮ることができなかったのですが、入浴中はこの網を気にせず景色を望むことができるでしょう。ちょうど目の前に「さはこの湯」の火の見櫓が見えますね。


洗い場には6基のシャワーがL字形に並び、その中央には観葉植物が置かれています。


寸法は失念してしまいましたが、浴槽は20人入っても十分余裕がある大きさです。訪問時は他にお客さんがいなかったため、気兼ねせずにゆっくり足を伸ばして湯あみを堪能できました。なお浴槽内の段は一般的なものより1つ多い2段あり、しかもステップ部分が更にもうひとつあるため実質的には3段構造となっています。訪問時の湯船は白濁して浴槽内が見えなかったため、段の往査に気づかなかった私は危うく足を踏み外しそうになってしまいました。皆様もお気を付けを。


窓際の湯口より供給される温泉は、大きな湯船を満たした後、手前側の切り欠けより惜しげもなくふんだんにオーバーフローしています。かけ流しの湯使いです。


なお浴槽の隅には打たせ湯だったと思われる形跡が残っていますが、現在は使われていないようです。また、浴槽内にはジェットバスなど余計な設備は一切無し。静かな環境でお湯とじっくり対峙できますね。


当然ながら現在のいわき湯本温泉の各施設は常磐湯本温泉株式会社から供給される温泉を受けていますので、ご当地のどのお風呂で入っても同じようなお湯になるはずなのですが、その時々の状況によって色合いや濁り方が変わり、また各施設の湯使いによってもその表情が異なるため、どこでも一概に同じと言えないのがいわき湯本温泉の面白いところ。
訪問時の「松柏館」のお湯は、しっかりと緑色を帯びながらも底面が目視できないほど強く白濁していました。窓側の湯口からはやや熱めのお湯がふんだんに注がれており、湯船では丁度良い湯加減になっていました。湯守の方がしっかり管理なさっているのでしょう。湯使いは加水加温循環の無い完全かけ流しですが、清掃時のみ消毒を実施しているそうです。
お湯からは焦げたようなタマゴ臭と味が感じられ、少々の芒硝感も得られます。いわき湯本らしい個性がしっかり伝わる非常に良いお湯でした。


あまりに良いお湯なのでのんびり且つじっくりと湯あみしていたら、いつの間にやら1時間の制限時間が近づいていましたので、後ろ髪を引かれる思いで仕方なくお風呂から上がり、帰り支度をしました。そしてお風呂から出た後は上述のビン牛乳を購入し、腰に手を当てながら牛乳を一気飲み。ご当地産の木村牛乳、うまい!


湯本温泉源泉
含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 58.3℃ pH8.0 5270L/min(動力揚湯) 溶存物質1831mg/kg 成分総計1838mg/kg
Na+:544.4mg(84.72mval%), Ca++:75.8mg(13.54mval%),
Cl-:648.8mg(65.--mval%), Br-:2.3mg, HS-:7.2mg, S2O3--:4.7mg, SO4--:309.6mg(23.24mval%), 146.5mg(8.66mval%),
H2SiO3:54.2mg, HBO2:21.1mg, CO2:6.1mg, H2S:0.8mg,
(平成30年6月6日)

福島県いわき市常磐湯本町三函158
0246-42-2141
ホームページ

日帰り入浴14:00~20:00(事前予約制)
600円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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いわき湯本温泉 美風の宿(日帰り入浴)

2021年09月01日 | 福島県
いわき湯本温泉は、常磐線湯本駅付近やその北西に旅館が集まって温泉街を形成していますが、温泉街から離れている宿も数軒あり、温泉街と同じく常磐湯本温泉株式会社から供給される温泉を受けて営業しています。前回取り上げた「住乃江」も温泉街から離れて営業している宿の一つで、湯本駅から2kmほど南下した下湯長谷地区に立地しています。この下湯長谷地区は地域のちょっとしたコアのような感じで商業施設が集まっているのですが、戦後間もない地図を見ますと「住乃江」付近に役場の印があるので、おそらく旧磐崎村(※)の役場がこのあたりにかつて存在し、その名残で今でも商店が多いものと思われます。
(※)磐崎村はその後常磐市となり、さらに合併を重ねて現在のいわき市に至っています。


この下湯長谷地区にはもう一軒「美風の宿(はるかぜのやど)」という旅館があり、こちらでは日帰り入浴を受け付けているので、ちょっと立ち寄ってみることにしました。県道から路地に入った先に位置しているのですが、初見だと若干わかりにくいかもしれません。美風と書いてはるかぜと読ませる当世風のネーミングに反して、建物自体は昭和30年代に建てられたような感じで、かなり年季が入っています。


お宿の裏山では最近流行りのグランピング場が設けられており、日が傾いて空が薄暗くなってゆくとともに、裏山は徐々に賑わいを増していきました。


どうやらお宿の帳場はグランピング場の受付も兼ねており、帳場では頻りに家族連れが出入りして、受付や支払いなどを行っていました。お宿は自らの持てる資源(資産)を有効活用し、現代のニーズに応えようとしているんですね。その姿勢はとても立派だと思います。そんな中、私は一人で日帰り入浴利用のため、帳場の方に声を掛けて湯銭を支払い、案内された通りに建物の奥へと進んでいきました。


以前こちらは別の名称だったかと思われ、最近当世的な名前に変更したのでしょうけど、宿名変更と同時並行で建物の全面的なリニューアルも実施されているのかと思いきや、外観のみならず館内もまるでタイムスリップしたかのような年代物の造りのままで、その古さに少々の不安感を覚えながら、お風呂へと向かって廊下を歩きました。建物が広いので、全部を手直ししようとすると莫大な費用がかかってしまうのでしょうね。できるところから部分的に改修するのは致し方ありません。
さてその廊下を進んだ先に女湯があり、さらに階段を上がって廊下を進み、どん詰まりの細い角を曲がると男湯の暖簾がさがっていました。このように2つの浴場はちょっと離れている(というか位置的には隣接しているもののアプローチが離れている)のですが、両者で暖簾替えはあるのかな?


浴場内の画像については、お宿の公式サイトからお借りしました。
でも、私が利用した時にこの画像のお風呂には入っていませんので、この画像は訪問時に女湯だったお風呂かと思います。従いまして、画像と文章では食い違う箇所もあるかと思いますが、ご了承ください。

脱衣室は天井が低くて簡素な木造建築ですが、出来る範囲で手が加えられおり、内装は少々そこそこ綺麗です。室内には100円リターン式のほか、ドライヤーが2台、そして扇風機が用意されています。
タイルばりの内湯は大きな窓が印象的で。やはり建物自体はかなりの年代物なのですが、でも塗装をやり直したりタイルを張り替えたりして、古さを払拭しようと頑張っています。洗い場は二手に分かれておりシャワーが計6基取り付けられています。内湯の浴槽は直径約4メートルの大きな半円形で、適温の温泉がかけ流されており、足を伸ばしてゆったり入ることができました。


上の画像とは異なりますが、私が入った露天風呂は上から見ると卵のような形をしている岩風呂で、頭上には屋根掛けされているので多少の雨なら凌げるかと思います。
岩の湯口からは熱いお湯が注がれており、その流路には白い湯の花がこびり付き、湯船のお湯の中にも白や黒の湯の花が浮遊しています。外気で冷やされることを想定してか、露天の湯口は熱めの状態で供給されていたのですが、それが原因なのか湯加減も内湯より若干熱めでした。

内湯、露天ともに掛け流しの湯使いで、湯口から注がれるお湯は湯船を満たした後、縁からしっかりとオーバーフローしていました。湯口のお湯を直接口にすると、いかにもいわき湯本温泉らしい焦げたまご臭と薄い塩たまご味、そして少々の芒硝味が感じられました。

私が訪問した夕方4時頃は、地元のご老人方が次々にやってきて、その日の汗を流しながら寛いでいらっしゃいました。温泉街からちょっと離れた立地でかけ流しの温泉に入れるので、銭湯の代わりとして重宝されているようです。お宿側からも日帰り入浴回数券が販売されているので、常連さんも多いのでしょう。
温泉旅館としてのみならず、グランピング場や銭湯的な役割など、いろんな側面を持ちながら地域や時代と共存することで、頑張って経営を続けているんですね。応援したくなります。


湯本温泉源泉
含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 58.3℃ pH8.0 5270L/min(動力揚湯) 溶存物質1831mg/kg 成分総計1838mg/kg
Na+:544.4mg(84.72mval%), Ca++:75.8mg(13.54mval%),
Cl-:648.8mg(65.--mval%), Br-:2.3mg, HS-:7.2mg, S2O3--:4.7mg, SO4--:309.6mg(23.24mval%), 146.5mg(8.66mval%),
H2SiO3:54.2mg, HBO2:21.1mg, CO2:6.1mg, H2S:0.8mg,
(平成30年6月6日)

福島県いわき市常磐下湯長谷町シザ22
0246-38-8551
ホームページ

日帰り入浴9:00~22:00(最終受付21:00)
600円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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