(2020年11月訪問)
コロナ禍で不特定多数との接触が憚られる昨今、温泉愛好家にとって家族風呂や貸切風呂は非常にありがたい存在です。日本ですと九州地方に家族風呂を兼ね備えたりあるいは家族風呂専門の施設が多く見られますが、東日本エリアは豊富な温泉数に反し、決して多くありません。そんななかでも本州の北端である青森県は温泉の宝庫であるのみならず家族風呂の数も多く、しかもリーズナブルに利用できる施設が県内各地に点在しているので、他の人を気にせず湯浴みしたい私のような人間にとっては大変ありがたい地域です。
さて今回訪ねる温泉は、板柳町にある「高増温泉 不動乃湯」です。拙ブログでは2009年に取り上げており(当地の記事はこちら)、11年ぶりの再訪となります。前回記事では大衆浴場、つまり一般的な大きなお風呂を利用しましたが、今回は併設している家族風呂です。先述のように青森県内には家族風呂を擁する温泉浴場がたくさんあるのですが、こちらの最大の特徴は非常にリーズナブルであること。なんと1人利用なら500円で入れてしまうのです。それでは日本屈指の激安家族風呂に入ることにしましょう。
風切室を抜けて玄関の扉を開けますと、左手にある番台ではおばあちゃんがポツネンと座りながらテレビをボンヤリ視聴中。このおばあちゃんに声をかけて家族風呂が空いているかを確認したところ、2室あるうち1室は利用中だったので、残りの1室を使わせてもらいました。2室は離れており、私の訪問時に既に利用中だった家族風呂は大浴場の近くですが、私が利用したもう一つの家族風呂は全然違う場所にあります。番台からまっすぐ進むと以前取り上げた大浴場ですが、その手前のテレビが置いてあるところを右に曲がってドアを開け・・・
狭い廊下を道なりにひたすら突き進んでゆくと・・・
突き当たりに家族風呂があります。
せいぜい1畳程度しかないとても狭い脱衣室で着替えて・・・
いざお風呂へ。施設全体が昭和から時が止まっているかのようなレトロ感たっぷりの佇まいですが、この家族風呂も大変古い造りであり、床や浴槽内は昔ながらの豆タイルが張られています。浴槽上のタイル壁には絵が描かれているのですが、薄くなってしまい、何が描かれていたのかよくわかりません。もしかしたら白砂青松の風景画かな。
シャワーから出てくるお湯は温泉です。とはいえ一般的な浴場に設置されている混合水栓ではなく、ハンドル式単水栓の先っちょにシャワーホースを接続しているだけ。
相当年季が入ったこの浴槽は2人サイズ。常時お湯が溢れ続けており、その手前の洗い場は洪水状態になっていました。湯量豊富なんですね。
温泉はこのバルブ付き塩ビパイプから投入されており、このバルブが常時開きっぱなしであるために、浴槽縁から絶え間なくお湯がオーバーフローし続けているのです。こちらのお湯は蜂蜜を連想させる琥珀色の透明で、タイルの影響か淡く緑色を帯びているようにも見えます。津軽平野の温泉でよく見られる色合いです。 お湯を口に含みますと塩味と弱い金気味、出汁の味と香りが感じられます。またちょっとしたアブラのような匂いも含まれているようでした。
このお湯で特筆すべきは泡付きの多さでしょう。私が湯船に入ると、たちまち全身に気泡が付着し、何度拭ってもすぐ再び気泡に包まれました。アワアワなお湯が好きな方なら感動すること間違いなし。ツルツルスベスベの滑らか浴感が非常に強いので、うら若き乙女から加齢臭プンプンのヨボヨボ老人まで、このお湯に浸かれば誰しも美肌効果を得られること間違いありません。最近頓に醜いオッサン化してきた私も、湯中の自分の肌にうっとりしてしまいました。温泉に含まれる食塩や重曹のほか、18.0mgの炭酸イオンがその滑らかな浴感をもたらしているのでしょう。実に素晴らしいお湯です。
しかも大量にお湯が注がれているので、洗い場は常時洪水状態。湯船に体を沈めた瞬間、湯船のお湯は白波を立てながら洗い場へ一気にお湯が溢れていきました。その水深は2センチにも及んでおり、浴室のドア上まで達してしたので、もしかしたら脱衣室が浸水しているのではないかと心配したほどです(一応浴室は脱衣室よりも2cm以上低いので大丈夫でした)。浴槽の容量に対して投入量が多いので、いったん溢れて嵩が減ってもすぐにあふれ始めます。それだけ湯量が多いということは、お湯が新鮮であるということでもあり、大量の泡付きという現象にもつながっているわけです。
お風呂のつくりは古くて狭いのですが、湯量豊富で新鮮、泡付きが多くて非常に滑らか、そして非常に安いという、メリットだらけの家族風呂。温泉マニアなら入っておきたい超レコメンドの一湯です。
高増温泉2号泉(再)
ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩温泉 43.3℃ pH8.4 360L/min 溶存物質1.058g/kg 成分総計1.058g/kg
Na+:295.7mg(89.94mval%),
Cl-:355.8mg(69.86mval%), Br-:1.5mg, HCO3-:219.8mg(25.08mval%), CO3--:18.0mg,
H2SiO3:125.0mg,
(平成16年7月13日)
加水加温循環消毒なし
青森県北津軽郡板柳町大俵字和田422-3
0172-77-2155
7:00~21:00 無休
公衆浴場400円
家族風呂500円/1人1時間
私の好み:★★★
コロナ禍で不特定多数との接触が憚られる昨今、温泉愛好家にとって家族風呂や貸切風呂は非常にありがたい存在です。日本ですと九州地方に家族風呂を兼ね備えたりあるいは家族風呂専門の施設が多く見られますが、東日本エリアは豊富な温泉数に反し、決して多くありません。そんななかでも本州の北端である青森県は温泉の宝庫であるのみならず家族風呂の数も多く、しかもリーズナブルに利用できる施設が県内各地に点在しているので、他の人を気にせず湯浴みしたい私のような人間にとっては大変ありがたい地域です。
さて今回訪ねる温泉は、板柳町にある「高増温泉 不動乃湯」です。拙ブログでは2009年に取り上げており(当地の記事はこちら)、11年ぶりの再訪となります。前回記事では大衆浴場、つまり一般的な大きなお風呂を利用しましたが、今回は併設している家族風呂です。先述のように青森県内には家族風呂を擁する温泉浴場がたくさんあるのですが、こちらの最大の特徴は非常にリーズナブルであること。なんと1人利用なら500円で入れてしまうのです。それでは日本屈指の激安家族風呂に入ることにしましょう。
風切室を抜けて玄関の扉を開けますと、左手にある番台ではおばあちゃんがポツネンと座りながらテレビをボンヤリ視聴中。このおばあちゃんに声をかけて家族風呂が空いているかを確認したところ、2室あるうち1室は利用中だったので、残りの1室を使わせてもらいました。2室は離れており、私の訪問時に既に利用中だった家族風呂は大浴場の近くですが、私が利用したもう一つの家族風呂は全然違う場所にあります。番台からまっすぐ進むと以前取り上げた大浴場ですが、その手前のテレビが置いてあるところを右に曲がってドアを開け・・・
狭い廊下を道なりにひたすら突き進んでゆくと・・・
突き当たりに家族風呂があります。
せいぜい1畳程度しかないとても狭い脱衣室で着替えて・・・
いざお風呂へ。施設全体が昭和から時が止まっているかのようなレトロ感たっぷりの佇まいですが、この家族風呂も大変古い造りであり、床や浴槽内は昔ながらの豆タイルが張られています。浴槽上のタイル壁には絵が描かれているのですが、薄くなってしまい、何が描かれていたのかよくわかりません。もしかしたら白砂青松の風景画かな。
シャワーから出てくるお湯は温泉です。とはいえ一般的な浴場に設置されている混合水栓ではなく、ハンドル式単水栓の先っちょにシャワーホースを接続しているだけ。
相当年季が入ったこの浴槽は2人サイズ。常時お湯が溢れ続けており、その手前の洗い場は洪水状態になっていました。湯量豊富なんですね。
温泉はこのバルブ付き塩ビパイプから投入されており、このバルブが常時開きっぱなしであるために、浴槽縁から絶え間なくお湯がオーバーフローし続けているのです。こちらのお湯は蜂蜜を連想させる琥珀色の透明で、タイルの影響か淡く緑色を帯びているようにも見えます。津軽平野の温泉でよく見られる色合いです。 お湯を口に含みますと塩味と弱い金気味、出汁の味と香りが感じられます。またちょっとしたアブラのような匂いも含まれているようでした。
このお湯で特筆すべきは泡付きの多さでしょう。私が湯船に入ると、たちまち全身に気泡が付着し、何度拭ってもすぐ再び気泡に包まれました。アワアワなお湯が好きな方なら感動すること間違いなし。ツルツルスベスベの滑らか浴感が非常に強いので、うら若き乙女から加齢臭プンプンのヨボヨボ老人まで、このお湯に浸かれば誰しも美肌効果を得られること間違いありません。最近頓に醜いオッサン化してきた私も、湯中の自分の肌にうっとりしてしまいました。温泉に含まれる食塩や重曹のほか、18.0mgの炭酸イオンがその滑らかな浴感をもたらしているのでしょう。実に素晴らしいお湯です。
しかも大量にお湯が注がれているので、洗い場は常時洪水状態。湯船に体を沈めた瞬間、湯船のお湯は白波を立てながら洗い場へ一気にお湯が溢れていきました。その水深は2センチにも及んでおり、浴室のドア上まで達してしたので、もしかしたら脱衣室が浸水しているのではないかと心配したほどです(一応浴室は脱衣室よりも2cm以上低いので大丈夫でした)。浴槽の容量に対して投入量が多いので、いったん溢れて嵩が減ってもすぐにあふれ始めます。それだけ湯量が多いということは、お湯が新鮮であるということでもあり、大量の泡付きという現象にもつながっているわけです。
お風呂のつくりは古くて狭いのですが、湯量豊富で新鮮、泡付きが多くて非常に滑らか、そして非常に安いという、メリットだらけの家族風呂。温泉マニアなら入っておきたい超レコメンドの一湯です。
高増温泉2号泉(再)
ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩温泉 43.3℃ pH8.4 360L/min 溶存物質1.058g/kg 成分総計1.058g/kg
Na+:295.7mg(89.94mval%),
Cl-:355.8mg(69.86mval%), Br-:1.5mg, HCO3-:219.8mg(25.08mval%), CO3--:18.0mg,
H2SiO3:125.0mg,
(平成16年7月13日)
加水加温循環消毒なし
青森県北津軽郡板柳町大俵字和田422-3
0172-77-2155
7:00~21:00 無休
公衆浴場400円
家族風呂500円/1人1時間
私の好み:★★★