近鉄電車で湯の山温泉駅へやってまいりました。
温泉地へ行くならば駅を出て西の方へ向かわなければなりませんが、私は逆の東へと歩き出しました。
駅から徒歩約10分で、今回の目的地である「アクアイグニス」に到着です。以前、こちらの施設は「片岡温泉」と称する温泉入浴施設として営業しており、拙ブログでも取り上げておりますが(その時の記事はこちら)、2012年に場所を線路や国道に北側に移した上で、「アクアイグニス」という名称でリニューアルオープンしております。リニューアルどころか完全に別個の、食と癒しをテーマにした、いかにも現代風なコンセプトとデザインを織り込んだ複合リゾートとして生まれ変わりました。
国道から敷地に入ると、広い構内の奥の方に平屋の建物が並び、その手前にはリゾート内で消費される蔬菜類の菜園が設けられていました。自然・安心・手作りといったコンセプトの象徴のような存在かもしれません。
敷地内のパン屋さんは、国産小麦を使い、スペイン製の石窯で焼き上げている、吟味と厳選を重ねた素敵なお店です。
聖バレンティンの像と、その周囲にあしらわれた直線的なオブジェクト。ここで結婚式でも行うのでしょうね。
敷地の中央には水上ステージなるものが。
各種イベントや結婚式披露宴などで活用されるのでしょう。
水上ステージをまわって、浴場がある建物へ。
デザイン性を優先させているためか、案内表示が小さかったり無かったりして、ちょっとわかりにくいのですが、これもまた洒落た施設らしい特徴です。
白亜のホールを抜けて館内へ。アーティスティックで素敵な空間が広がっていますとても温泉施設だとは思えません。天井が高く開放的で、温もりと落ち着きを兼ね備えた館内には、カフェやリラクゼーション施設が備わっており、日がなのんびり寛ぐことができるでしょう。
たくさんのビーズクッションが無造作に置かれ、思い思いに休める休憩室の脇を通り・・・
通路の突き当りにある浴場へ。
綺麗で清潔感に満ちた脱衣室には、大きなロッカーがたくさん用意されており、使い勝手良好です。
浴場も現代的でスタイリッシュ。広々しており開放的です。石材などモノトーンの素材の中に木材といった自然を感じさせる建材を取り込むことで、落ち着いた雰囲気と温かで柔らかな印象を同時にもたらしていました。
窓際に設けれられた主浴槽は(目測で)約8m×3mというゆとりの大きさ。床と同じ濃いグレーの石材で設えられており、浴槽の中央底部から噴き上がったお湯は、四方の縁へオーバーフローしています。加温加水循環の無い放流式の湯使いです。
窓外には庭の竹林が広がり、それを眺めながら湯あみすると、あたかも一幅の絵画を眺めているかのような心地です。房かも湯加減もちょうどよく(42℃前後)、主浴槽に相応しい万人受けするお風呂となっていました。また、主浴槽の窓は開閉式になっており、私が後述する露天風呂へ行っている間に、スタッフの方が窓を全開にしてくれました。これにより、まるで半露天風呂のような清々しい空間へと生まれ変わりました。季節や気候に応じて開け方を変えたりするのでしょう。
話が前後しますが、脱衣室から浴場へ入ってまず通過するのが洗い場ゾーン。左右シンメトリに配置され、計38基のシャワー付きカランが取り付けられています。各ブースに備え付けられているアメニティは、かの有名パティシエ辻口博啓氏によるベトナム辻口茶園のもの。洗い場中央には上画像のような上がり湯もあり、シャワーのお湯・上がり湯ともに源泉のお湯が使われています。
主浴槽の窓1枚を隔てた外側には露天風呂が設けられています。「竹林風呂」とネーミングされているように、青く美しく涼しげな竹林を眺めながら湯浴みできる素敵なお風呂です。竹林の向こう側には(画像はありませんが)寝湯が配置され、白木の屋根の下に四角い豆タイル貼りの浅い浴槽が据えられています。体の曲線にフィットするよう底の形状が波打つラインを描いています。
竹林の奥にひっそりと佇んでいるにおは、屋根掛けされた樽風呂。直径3mほどで4~5人は入れそうなキャパを有しています。お湯は中央底部より投入され、惜しげもなく溢れ出ており、湯船自体はまどろんでしまいそうな41℃前後の湯加減に調整されていました。
この他、竹林の庭の一部にウッドデッキが設けられており、湯浴みの途中で休憩するのにもってこい。私は火照った体をクールダウンするべく、その上で大の字になって仰向けに寝そべりましたが、これが実に気持ち良いのです。おすすめ。
露天エリアは周囲を塀で囲まれているものの、結構広い上、竹林が随所にあしらわれているため、美しくて落ち着きのある実に良い雰囲気が醸成されていました。
お湯はわずかに薄い黄色を帯びているように見えますが、実際には無色透明かもしれません。湯中の浮遊物(湯の花等)は存在せず、泡付きについても確認できませんでした(実際にはあったのかも)。お湯を口に含むと、清涼感を伴うほろ苦味と微かな金気、有機肥料のような風味、そしてアルカリ性泉的な微収斂が伝わってきました。また湯中ではツルツルスベスベのとても滑らかで柔らかい浴感が得られ、お湯に入った瞬間、肌のほんの僅かな接触面からもそのトロッツルッとした滑らかさが伝わってきたほど、大変気持ちの良いフィーリングがもたらされます。しかも、全浴槽で放流式の湯使いが採用されているため、お湯の鮮度感も良好です。
現代的な空間に伝統的な和の様式を取りいれたスタイリッシュな施設であり、しかも各浴槽で温泉がかけ流されているにもかかわらず、600円で入浴利用ができるのですから、ただ脱帽するほかありません。施設のコンセプトとしては女性受けしそうですが、いえいえ、男性もきっと満足できるはず。かく言う私もすっかり気に入ってしまいました。
今回の記事で取り上げたのは温泉浴場のみ。ほかにもホテルやオーベルジュなど、魅力的な施設がありますから、今度は宿泊で利用してみたいものです。
湯の山片岡温泉
アルカリ性単純温泉 45.2℃ pH8.5 780L/min 溶存物質0.54g/kg 成分総計0.54g/kg
Na+:153.9mg(95.99mval%),
Cl-:87.7mg(36.41mval%), Br-:0.2mg, HCO3-:244.0mg(58.48mval%),
H2SiO3:35.8mg,
(平成23年12月5日)
加水加温循環ろ過なし
消毒あり(次亜塩素酸ナトリウム12%溶液を毎分12cc投入)
近鉄湯の山線・湯の山温泉駅より徒歩10分ほど
三重県三重郡菰野町菰野4800-1 地図
059-394-7733
ホームページ
日帰り入浴6:00~24:00
600円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり、各種レンタルあり
私の好み:★★★