前回記事では指宿温泉「いぶすき元湯温泉」でひとっ風呂浴びたことを述べましたが、その晩は同じ指宿の湯の浜温泉街の入口付近にある「民宿たかよし」でお世話になりました。某大手宿泊予約サイトで温泉宿を探していたら、駅から近くて安いという好条件に惹かれてこちらのお宿を予約したのですが、実際に泊まってみたら、そうした好条件以上に魅力的だったのです。
玄関を訪うとお婆ちゃんが笑顔で温かく迎え入れてくださいました。玄関ホールには海外から訪れたお客さんの寄せ書きがたくさん並べられていたのですが、皆さんもきっとお婆ちゃんの笑顔に心をギュッと掴まれたのでしょう。
●客室や食事など
今回の客室は2階の和室6畳。朝食付きで税込5000円以下でしたので、ある程度のことは覚悟していたのですが、そんな心配を抱いていたことが失礼に思えるほど室内は綺麗。テレビ・エアコンなどは備わっており、Wifiも使えます。
廊下には共用の冷蔵庫や電子レンジが置かれていました。流し台やトイレなど水回りも共用のものを使います。
上述したように朝食付きのプランでしたので、朝食はお宿でいただきました。民宿ですからてっきり家庭的な献立を想像していましたが、目の前に出されたのは高級旅館顔負けの立派な和定食。メインのお魚は、枕崎の名産であるカツオです。とっても美味しかったですよ。
後述する温泉に入れ、しかもこの朝食をいただけて税込5000円以下なんですから、コストパフォーマンス抜群です。恐れ入りました。
●浴場(大)
宿のお風呂は1階の廊下に2室並んでおり、いずれも貸切で使用します。奥は大きな浴室、手前は小さな浴室です。予約制ではないので、利用したい時に亜いている方、もしくはお好みに合う方を使うことになります。なお入浴可能時間は15:00〜22:00、そして6:00〜9:00です。
まずは奥の大きな浴室から入ってみましょう。利用の際は、浴室出入口の脇にぶら下がっている札を裏返して、入浴中である旨を他客に知らせます。
脱衣室にはシャンプー類のセットが用意されており、棚には客用のタオルが積まれていました。客室からタオルを持参する必要がないので助かります。
総タイル貼りの浴室には、2人サイズの浴槽と2基のシャワーが取り付けられている洗い場が配置されていました。民家のお風呂をひと回り大きくしたような実用的な浴室です。なおシャワーから出てくるお湯は真湯です。
温泉は蛇口から落とされているのですが、湯元から供給されてくるお湯の温度が高いため、浴槽へ落とされるお湯の量はチョロチョロ程度に抑えられており、さらに窓を開けることによって自然冷却が促されていました。その甲斐あってか、湯船のお湯は適温がキープされており、私が湯船に入るとお湯が豪快にザバーッと溢れ出ていきました(でも湯嵩の回復には時間を要しました)。放流式の湯使いです。
使用源泉は四郷湯泉源。その名のように、元々は4つの集落が共同管理して使っていた源泉だったらしく、その歴史は昭和12年まで遡れるんだとか。吐出口の周りには白い温泉成分がこびりついており、浴槽まわりはうっすらと茶色に染まっています。湯船のお湯はボンヤリとした貝汁濁りを呈しており、湯口のお湯をテイスティングしてみると、とてもしょっぱくて苦汁味を伴っていました。また朝一番のお風呂では、湯面から芒硝のような匂いがわずかに漂っていました。なお、館内表示によれば加水しているとのことですが、湯量を絞ることによって加水を抑えており、そのおかげで比較的濃い状態が保たれているかと思います。
●浴室(小)
続いて手前側の小さな浴室へ。こちらの脱衣室は着替えるのが精一杯な程度のスペースしかないのですが、室内は綺麗にお手入れされており、棚にはタオルがきちんと積まれていますので、使い勝手に支障はありません。
三角形の浴槽が据えられた浴室はとてもコンパクト。一般家庭のお風呂をお借りしたような雰囲気ですが、私のような一人客にとっては、こちらの方がフィットして落ち着きます。
浴槽も一人サイズ。大きな浴室と同じく、浴槽まわりは茶色に薄く染まり、温泉専用の蛇口には白い温泉成分が付着しており、その蛇口から熱いお湯がチョロチョロと注がれていました。浴槽のキャパが小さな分、こちらのお風呂の方が湯嵩の回復が若干早いように思われます。お湯に浸かるとツルツルスベスベの浴感がはっきりと肌に伝わり、その滑らかさが気持ち良くなって、湯中では何度も自分の肌をさすってしまいました。濃い食塩泉ですから、湯上がりはとてもよく火照り、浴衣がビッショリになるほど発汗し、長時間に及んで温浴効果が続きました。
できれば明るい時間帯に当地へ着いてゆっくり湯巡りしたかったのですが、この時はタイトなスケジュールだったため、前回記事の公衆浴場と今回記事の民宿の計2湯のみとなってしまいました。でもそんな無念さをすっかり取り返してくれるような、ハートウォーミング且つコストパフォーマンス良好なお宿でした。
四郷湯泉源
ナトリウム-塩化物温泉 78.8℃ pH7.3 溶存物質13990mg/kg 成分総計14000mg/kg
Na+:4250mg(77.33mval%), Mg++:175.3mg(6.03mval%), Ca++:641.5mg(13.39mval%),
Cl-:7695mg(95.13mval%), SO4--:432.0mg, HCO3-:101.0mg,
H2SiO3:366.0mg, HBO2:26.6mg,
(平成14年2月15日)
加水あり(入浴に適した温度にするため)
JR指宿枕崎線・指宿駅より徒歩12分(約1km)
鹿児島県指宿市湯の浜5-1-1 地図
0993-22-5982
宿泊のみ(日帰り入浴はおそらく不可)
私の好み:★★★