(2021年7月訪問)
前回に引き続き草津温泉の老舗旅館を巡り、日帰り入浴を楽しみます。今回訪ねるのは、湯畑の目の前に建つ老舗旅館「山本館」です。こちらのお宿も草津温泉「和風村」の「湯めぐり手形」をつかって日帰り入浴することができます。
玄関は西の河原通りに面しているので、そちらへ廻って玄関を入り、手形を呈示しながら入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。こちらのお宿は建物が重文指定を受けており、重厚感のある外観もさることながら、中へ上がってから伝わってくる館内の雰囲気が素晴らしいのです。
さて、帳場で料金を支払った後は、帳場の前に伸びる廊下を歩き、暖簾のところで階段を下ります。
すると、岩室のような半地下の入浴ゾーンへとたどり着きます。こちらのお風呂は「若の湯」と称しているんですね。岩で囲まれた薄暗い空間には外から光が差し込み、また小さな祠も祀られていて、得も言われぬ神々しさがあります。
祠で手を合わせてから男湯へ。
総木造の更衣室は浴室とガラス窓で隔てられており、お風呂の様子がよくわかる構造です。このガラス窓のお蔭で実際の床面積以上に広く感じられるだけでなく、両室の明るさも確保でき、更には入浴中も更衣室の動きが目視できますから、いろんな意味で安心して利用できるかと思います。
浴室も総木造なのですが、和風な外観や廊下とはやや意趣が異なり、洋館を思わせる形状の窓が並んでいるのです。和洋折衷と言うべきなのか、いまいち自信ないのですが、風格を保ちつつも趣向を凝らした造りにうっとりします。また天井がそこそこ高く、明るさも確保されており、木のぬくもりもたっぷり伝わって、実にブリリアントな入浴空間です。
しかも目の前が湯畑という立地でありながら、不思議にも静かな環境が保たれており、落ち着いてゆっくり湯浴みできるのです。入室した瞬間、私は感激のあまり思わず「こりゃいい」と声に出してしまいました。他にお客様がいらっしゃらなくて良かった・・・。
湯船もステップ以外は総木造。
湯船に腰を沈めてもたれかかると、木ならではの柔らかな感覚が伝わってきます。
湯畑至近という立地ながら、こちらのお風呂では白旗源泉を引いています。その証と言うべきか、湯畑源泉や万代鉱源泉のように透明ではなく、湯船のお湯は弱い緑色を呈しつつも白濁しています(底が見える程度の濁りです)。湯面からはツンと鼻孔を刺激する硫黄臭がはっきりと感じられ、また口に含んだ時の酸味は勿論、えぐみも強く、白旗源泉らしい個性がはっきりと現れています。源泉から来るお湯をそのまま供給しているためか、私が入浴した時の湯加減はやや熱かったのですが、むしろその熱さが気持ちよく、お湯がしっとりと体に馴染み、極上の湯あみを楽しむことができました。
白旗源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)
50.8℃ pH2.1 湧出量測定せず 溶存物質1.66g/kg 成分総計1.76g/kg
H+:8.91mg(36.30mval%), Na+:54.4mg, Mg++:37.4mg(12.63mval%), Ca++:76.5mg(15.67nval%), Al+++:43.9mg(20.24mval%),
F-:9.5mg, Cl-]310mg(35.19mval%), SO4--:651mg(54.61mval%), HSO4-:195mg(8.11mval&), Br-:1.5mg,
H2SiO3:216mg, H2SO4:4.4mg, CO2:88.0mg, H2S:7.7mg,
(平成25年5月15日)
加水加温循環消毒なし
群馬県吾妻郡草津町草津404
0279-88-3244
ホームページ
日帰り入浴11:30~15:00
1000円(和風村「湯めぐり手形」使用時は700円)
私の好み:★★★