温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

養老牛 からまつの湯 再訪

2014年03月30日 | 北海道
 
いまや温泉ファンのみならず、一般の方にもその存在が知られるようになった養老牛の「からまつの湯」で再び入浴してまいりました。当記事のタイトルでは「再訪」と表記しましたが、実際のところ、私にとっては再々々訪、つまり4回目(もしかしたら5回目?)の訪問となります。ネット上では既に日本全国の温泉を股にかける多士済々によって語り尽くされており、いまさら私があーだこーだ語っても何の役にも立ちませんが、お暇でしたらお付き合いください。なお前回の記事はこちらです。入口の衝立に書かれた「いい旅 いい風呂 いい仲間」という台詞が、このお風呂の魅力を端的に表現していますね。


 
この日も清流沿いの露天風呂には清らかに澄み切った温泉が張られており、底に敷かれた玉砂利がキラキラと輝いていました。しかも、運がよいことに、私以外誰もいません。これまでの訪問では、必ず2人以上の先客がいらっしゃり、厳冬期の某日深夜に至っては、ダイヤモンドダストが舞うような気温にもかかわらず、後からやってきたカップルの女性がその場でシャンプーをはじめるという、関東人の私にしては驚くしかない芸当をやり遂げ、「道産子はハンパじゃねぇな」とその驚異的な耐寒能力に舌をグルグルに巻いてしまったのですが、今回はそんな人もおらず、旅人らしき影も見当たらず、広い駐車場には私の車が一台だけ、お風呂にも終始他の人影は現れませんでした。



この脱衣小屋で着替えるわけですが、ちゃんと女性用が設けられている点が素晴らしく、それゆえ多くの老若男女から愛されるのでしょう。中は狭くて天井も低く、窓も照明もありませんから、今回私が訪れた夕刻のような時間帯ですと、暗くて自分の衣類を見失いがち。利用する時間帯によっては、ペンライト等を持参したり、携帯電話のライト機能を活用することをおすすめします。


 
脱衣小屋の前にある源泉貯湯槽。その周囲を囲う塀の杭には「右ぬるく 左あつく」と書かれています。源泉そのままを湯船に注ぐと熱すぎちゃうので、清流の対岸にある泉から湧き水を引いており、その加水具合を調整する弁が、以前にはこの辺りにあったはずですが、この日見たところ、それらしきものが見当たらず。もしかして単に見落としただけかも。


 
清流(パウシベツ川)の上をホースが渡っており、対岸にある湧水池より清水を引いているんですね。


 
源泉貯湯槽の中を覗いてみました。コンクリの枡の中では熱湯が湧いており、そこから濛々と上がる湯気は、手を近づけるだけで火傷しそうなほどの熱気を放っています。また湯気からは石膏をほんのり焼いたような香ばしい香りが漂っていました。


 
露天風呂の清流側にはスノコが敷かれ、吹き飛ばされたり大水で流されたりしないよう、桶がそのスノコに紐でくくりつけられていました。また浴槽を形成する石積みの一部には小さな腰掛けも設けられていました。訪問時のスノコや腰掛けはまだ新しかったので、「からまつの湯」の愛好家によって適宜メンテナンスされ、このような備品類も交換されているのでしょうね。有志の皆さんの御尽力あってこそ、このような野趣溢れる環境にありながら、気持良い状態で入浴することができるわけですね。このお風呂を管理してくださっている皆様、本当にありがとうございます。



ちなみのこの時の湯船は43.3℃。ちょっと熱めの湯加減ですが、晩秋の夕暮れ時ですから、辺りを吹く風は肩をすぼめたくなるほど肌寒く、むしろこの位の熱さがありがたく感じられました。


 
ちなみに湯口では78.5℃という激熱状態。でも湯船では43℃。てことは加水の塩梅が絶妙なわけですね。お湯は無色透明で、全身浴するとしっとりとした優しいフィーリングが体を包み込み、石膏的な味や匂いや僅かながら芒硝っぽい知覚も感じられます。湯上がりも程よい温まりとさっぱりとした爽快感が共存しつづけ、無駄な汗をかきません。とにもかくにも極上のお湯なのであります。



原生林に抱かれつつ、清流のせせらぎを耳にしながら、極上の露天風呂に浸かる幸せ。あぁ! いつまでもここで湯浴みしつづけたい! 


温泉分析表掲示なし
(おそらく含石膏食塩泉かと思われます)

北海道標津郡中標津町養老牛国有林内
(地図による場所の特定は控えさせていただきます)

24時間入浴可能
無料
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (6)
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西春別温泉 クローバーハウス

2014年03月29日 | 北海道
 
前回取り上げた「しまふくろう」から7.5km北西へ進んだ国道243号線沿いにある西春別のペンション「クローバーハウス」も温泉ファンの間では名の知れた良泉施設ですので、当地を訪れたついでに立ち寄ってみることにしました。ログハウス調の小洒落た建物でして、国道や駐車場に面しているガラス張りのスペースはレストランになっているんですね。


 
外壁に掲示されている「天然 かけ流し温泉」という文字が誇らしげですね。玄関を入って左斜め前にある受付カウンターで料金を直接支払い、奥にある浴室へと向かいます。なお(画像は写していませんが)浴室へ向かう途中の右手には座敷が広がっていました。


 
脱衣室はこぢんまりしていながらも、よくお手入れされており、ドライヤーや扇風機も使えるので、気持よく利用できました。室内には洗濯機が設置されていましたが、これは宿泊客用でしょうね。


 
浴室に入った途端、万座や蔵王を彷彿とさせるような、本格的な硫黄泉を思わせる強いイオウ臭が鼻を突いてくるではありませんか。予想外の展開に私は驚くとともに、硫黄泉好きの習性が働いて、まるで中毒患者の如く本能的にクンクンと鼻を鳴らして頻りに匂いを嗅ぎまくっちゃいました。
浴室内はお湯を直接かぶりやすい腰部や床部などをタイル貼りにしており、室内の右側に洗い場が配置され、左側には各種浴槽類が据えられています。


 
洗い場には、お湯&水の古典的押しバネ式カランが10基並んでおり、各カランにはお湯しか出ない単水栓のシャワーも取り付けられています。なお、洗い場でお湯の水栓を開けると、琥珀色を帯びた源泉が吐出されました。また、上述のように浴室内にはイオウ臭が漂っていますが、その影響なのか、水栓金具は黒く硫化していました。


 
内湯の主浴槽は左右に細長いタイル貼りの長方形で、そのキャパは8~9人といったところ。浴槽の隅っこで下から立ち上がっている塩ビ管より源泉が勢い良く供給されており、湯船のコーヒー色に染めたお湯は、洗い場へ惜しげも無くオーバーフローしていました。建物の外壁に記されていたように、正真正銘の掛け流しです。なお湯口のすぐ隣には加水用の水栓があり、こちらも黒く硫化しているのですが、訪問時は水栓が閉められており、加水はなされていませんでした。


 
浴室内には主浴槽の他、上画像のようにサウナや水風呂も用意されています。水風呂と主浴槽を比較すると、お湯の色の濃さが一目瞭然ですね。


 
水風呂近くの扉から屋外に出ると露天風呂です。周囲は塀に囲まれているため遠方の景色は眺められませんが、正面奥には赤いサイロが立ち、また塀の傍では真っ赤なモミジが彩りを添えており、それらのオブジェクトを借景にしたこの露天風呂は、小さいながらも絵葉書のような美しく纏まった景色が展開されていました。浴槽は6人サイズの四角形で、丸太を模したコンクリの化粧材や岩などがアクセントのように配置されています。


 
丸太に擬したコンクリ杭の湯口から源泉が投入されており、内湯側に設けられているステップの切り欠けから排湯されています。なお湯口からお湯が湯船に落ちるときの勢いによって、湯面には気泡がたくさん浮かんでいました。

お湯は典型的なモール泉なのですが、一般的なモール泉よりも琥珀色の度合いが濃く、アメリカンコーヒー、あるいはカラメルやコーラのような色合いを帯びています。また、お湯を口にするとモール泉的な味、具体的にはタマゴ味と新鮮な金気味が明瞭に感じられ、そして上述のように室内に充満するイオウ臭(タマゴ臭)が、湯面や湯口からも濃厚に嗅ぎ取れました。分析表によれば、チオ硫酸イオンが0.6mg含まれているので、これが強いイオウ感をもたらしているのでしょうけど、私の実感としてはもっと総硫黄が含まれていても不思議ではないほど、他のモール泉と較べてイオウ的知覚が強かったように実感しました(硫化水素イオン・遊離硫化水素ともに0というのが不思議です)。



モール泉ですからツルツルスベスベとした浴感も極上でして、つま先をお湯にちょこっと入れただけでその浴感がすぐにわかり、湯船に体を沈めるとまるでローションに浸かったかのように全身がツルスベ感で包まれました。そして湯面にたくさん浮かぶ気泡が示唆してくれているように、入浴中の肌に付着する泡付きも激しく、入浴して1分もしないうちに、細かな気泡が全身をビッシリと覆いました。こんな濃厚なモール泉って、なかなかお目にかかれないかと思います。お世辞抜きで素晴らしいお湯でした。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 43.0℃ pH8.24 溶存物質1.418g/kg 成分総計1.420g/kg
Na+:437.1mg(97.89mval%),
Cl-:506.7mg(72.76mval%), S2O3--:0.6mg, HCO3-:266.2mg(22.20mval%), CO3--:22.9mg(3.87mval%),
H2SiO3:157.0mg, HBO2:11.6mg, CO2:2.2mg,
加水・加温・循環・消毒該当なし

北海道野付郡別海町西春別95  地図
0153-77-1170

日帰り入浴10:00~22:00
420円
ロッカー・ドライヤー(有料10円)あり

私の好み:★★★
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別海道の宿温泉 しまふくろう

2014年03月28日 | 北海道
 
東京23区の総面積の2倍以上もある広大な別海町は、人口が約1万6000人であるのに対し、牛は約12万頭なんだそうでして、人間が圧倒的にマイノリティである土地なんですね。そんな別海町にも掛け流しの温泉施設があると聞いて、国道272号「釧標国道」と国道243号「パイロット国道」の立体交差の角にある「別海道の宿温泉 しまふくろう」へやって参りました。今回は日帰り入浴での利用です。


 
後述するこちらの温泉の源泉名は「大平原の湯」というんだそうですが、その名の通り、施設の周囲は大平原が果てしなく広がっており、よく目を凝らすと遙か彼方で牛達が草をのんびりと食んでいるのが目視できました。こんな茫洋の牧草地で放牧されている牛たちはストレスも少ないんでしょうね。羨ましいなぁ。牧草地のみならず、こちらの施設の駐車場も無駄に広いのですが、土地を持て余しているのか、敷地内には路線バス「共春バス停」の待合室も併設されていました。


 
左右に長い平屋の真ん中にはロビーが位置しており、それを挟んで左が浴場、右がレストランと分かれています。このレストランで特筆すべきは、掘りごたつ状のテーブル下に温泉の足湯が設けられている点でして、足湯を楽しみながらお食事がいただけるというなんともユニークなレストランなのであります。


 
カウンターで料金を直接支払い、暖簾を潜って浴室へと向かいます。そのカウンターでは上画像のような「干し梅」を一ついただきました。こちらのお宿の「売り」なのかな。


 
脱衣室はシンプルな造りながら綺麗に手入れされており、棚や籠は多く、ロッカーや洗面台、そしてドライヤーや扇風機など、ひと通りのものが揃っているので、使い勝手もまずまずです。


 
浴室は黒系の色調によって占拠されており、何となくシックな装いです。確かに黒い建材が用いられていることには相違ないのですが、室内が黒系で占めている理由はそればかりでないことを、後述で明らかに致します。室内左側に配置されている洗い場には、シャワー付き混合水栓が8基と立って使うシャワーが1基取り付けられており、シャワーからは真湯が吐出されます。


 
浴室右側には2つの浴槽と打たせ湯が並んでおり、ちょっと奥まったブース内では、ぬるめの温泉の打たせ湯が2本落とされています。そして打たせ湯手前には水風呂も据えられていました。



室内の温浴槽は上画像に写っている大小の各槽でして、手前側の小さな浴槽ではジェットバスが稼働しており、この槽に限っては循環装置も使用されているんだそうです。


 
大きな主浴槽は10~12人サイズといったところ。この浴槽では掛け流しの湯使いとなっていますが、湧出温度が52℃であるのに対し、湯口や湯船では体感で43~4℃くらいでしたから、もしかしたら若干の加水が行われているかもしれません。湯口には湯の華をキャッチするべく布が巻かれており、湯船には無色透明のお湯が張られています。そして縁から床へとお湯が溢れ出ているのですが…


 
お湯は無色透明なのに、そのお湯が触れる槽内や浴槽周り(特に湯面ライン)、オーバーフローが流れる床のタイルは、まるでイカスミを流した(あるいは塗りたくった)かのように、真っ黒に染まっているのです。浴室が全体的に黒っぽく見えるのは、これも原因の一つだったんですね。そのビジュアルからして、このお湯は只者ではなさそうですよ。


 
続いて露天風呂へ。頭上は屋根掛けされており、周囲は目隠しの塀が立ちはだかってるため、周囲に広がる渺茫たる大平原を望むことはできませんが、塀の外側にはこれといった建物も樹林もないため、湯船に浸かっていても、周りにはだだっ広い空が果てしなく広がっていることを十分に体感できました。


 
内湯の主浴槽と同様に湯口には湯の華を濾し取るための布が巻かれています。浴槽は11~12人サイズの岩風呂。こちらも掛け流しの湯使いとなっていますが、内湯のように床へ溢れ出ることは無く、槽内に設けられた排水口より排湯されていました。それでも槽内は内湯同様に漆黒に染まっており、私の訪問時は西陽を反射して黒光りしていました。

さて肝心のお湯に関するインプレッションですが、見た目は上述のように無色透明で、口にすると非常にしょっぱく、薄い出汁味も感じられます。そしてヨード臭やアブラ臭に近い匂い(モール泉的な匂い)が湯口から漂っています。入浴中は食塩泉らしいツルスベ感が得られますが、湯上がりには強い火照りとベタツキが残って、汗もなかなか引きませんでした。高張性の食塩泉であり、化石海水由来の温泉だと思われます。
分析表にはヨウ素イオンも臭素イオンも記載されていないので断定的なことは言えませんが、お湯から感じられた匂いや、浴槽や床のタイルを真っ黒に染めている要因は、モール泉のような腐植質もあるのでしょうが、化石海水に含まれていたヨウ素や臭素が強く影響しているのではないかなぁ・・・なんていうことを、無知蒙昧な私は露天風呂に浸かりながらボンヤリ考えてしまいました。そんな小難しい話はともかく、濃厚な食塩泉はいつまでも湯冷めしませんから、別海町の厳しい冬には心強い存在ですね。とてもユニークな存在感を放つ温泉でした。


大平原の湯
ナトリウム-塩化物温泉 52.3℃ pH7.8 240L/min(動力揚湯) 溶存物質13.00g/kg 成分総計13.00g/kg
Na+:4433mg(89.55mval%), NH4+:9.8mg, Mg++:15.0mg, Ca++:357.9mg(8.30mval%),
Cl-:7741mg(99.36mval%), HCO3-:71.4mg,
H2SiO3:104.0mg, HBO2:152.0mg, CO2:1.9mg,

釧路駅前より阿寒バスの標津・羅臼方面行で「共春」バス停下車すぐ
北海道野付郡別海町西春別321  地図
0153-77-2960

9:30~21:30(受付21:00まで)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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茅沼温泉 憩いの家 かや沼

2014年03月26日 | 北海道
 
私はいくら温泉バカであるとはいえ、風光明媚な土地を訪れておきながら、温泉以外には目もくれずにひたすら温泉を追い続けているわけではなく、時間の許す限り、その土地の風土や文化を体感できるようなアクティビティにも参加しているのです。前回取り上げた「テレーノ気仙」をチェックアウトした私は、すぐさま釧路湿原で水を湛える湖沼の一つである塘路湖へと向かい、カヤックで湖から釧路川へと下って、湿原の自然にたっぷり抱かれたのでした。


 
この日は湿原全体がかなり増水しており、塘路湖から川へ向かうべく釧網本線の鉄橋を潜る際には、身を屈めないと頭をゴッツンとぶつけてしまうほど、鉄橋と川面がスレスレな状態でした。また、普段は陸地である箇所も増水によって水没しており、木々の茂みの間をカヤックですり抜けるという摩訶不思議な体験ができました。



途中の流れが淀んでいるところでコーヒーブレイク。ちなみに今回のカヤックのアクティビティはナヌークさんに申し込みました。ご夫婦で運営なさっているとってもアットホームな業者さんで、私のような一人客でも追加料金無しで催行してくれましたし、とにかく親切で良心的。一緒についてきた子どもたちはすぐに私に懐き、たくさんじゃれあいましたが、別れ際には下の女の子が泣いちゃいました。オイラもつられて泣きそうだったよ…・


 
さてさて、カヤックでちょっと冷えた体を温めるべく、陸に上がった後は、茅沼温泉「憩いの家 かや沼」でひとっ風呂浴びることにしました。シラルトロ沼を臨む小高い丘の上に位置する大きな公営(標茶町観光開発公社)の宿でして、広い敷地内にはキャンプ場やパークゴルフ場も併設されています。また釧路湿原国立公園で唯一の天然温泉でもあるんだそうです。訪問時は正面玄関が改修工事中でしたので、仮玄関より入館しました。



入浴料金はフロントで支払います。温泉分析表はこのフロントに掲示されていました。


 
浴室入口には靴棚が置かれており、これによって男女の入口を分けていました。広くて清潔感溢れる脱衣室には、床に塗ったワックスを乾かす際に使いような大きなファン(扇風機)が用意されているので、湯上がりのクールダウン対策もバッチリです。



奥へ長い造りになっている浴室には多様な浴槽があり、それぞれには掛け流しの温泉が用いられています。


 
洗い場は後述する「癒しの湯」という浴槽を挟んで前後2箇所に分かれて配置されており、計12基のシャワー付き混合水栓が並んでいます。なおシャワーから出てくるお湯は真湯です。


 
前後に分かれた洗い場の中間には打たせ湯が1本用意されている他、その反対側には立って使うシャワーも設けられていました。


 
浴室に入ってまず左手に見える浴槽が「やすらぎの湯」(HPでは「源泉の湯」)。湯口側は段々になっており、最上段の供給口より吐出されたお湯がステップを伝って下の浴槽へと流れています。加水されていない源泉そのままのお湯が供給されているため熱めの湯加減となっていまして、私の体感だと44℃くらいだったように思います。大きな浴槽を満たしたお湯は縁から床へと溢れ出ており、床を流れるオーバーフローはまるで川のような状態でした。



2つの洗い場に挟まれる形で浴室の右側に据えられているのが「癒しの湯」と称する浴槽です。こちらの浴槽はちょっと浅めの造りになっており、浴槽に腰を下ろすと胸あたりまで浸かる感じでした。宿側の説明によれば「半身浴や横になっての入浴に最適です」とのこと。


 
内湯の主浴槽であるこの岩風呂は、万人受けする42℃くらいの湯加減に設定されていました。その名前の通りに縁には岩が並べられているばかりでなく、底面にも鉄平石のような石材が敷かれており、タイル貼りである内湯の他の浴槽とは一線を画する雰囲気を放っていました。


 
露天風呂はシラルトロ沼を見下ろす丘の上に位置しており、お風呂からは湿原を見晴らす眺望が…と言いたいところですが、実際には斜面に自生する木々によって視界が遮られ、梢の隙間から湖面がチラチラと覗く程度でした。でも訪問した日は真っ黄色に染まった紅葉が美しく、また下の湖沼から木々の間を吹き抜けてくるそよ風も爽快で、実に心地の良い湯浴みを楽しむことが出来ました。



お湯は僅かに黄色を帯びているようにも見えますが、ほぼ無色透明といって差し支えないでしょう。溶存物質9.745g/kgという数値が示すようにかなり濃い等張性の食塩泉でして、飲泉許可も得ている立派な掛け流しですから、実際に湯口のお湯を掬って口にしてみますと、とてもしょっぱく、そして弱い出汁味も感じられます。またアブラ臭に似たようなモール泉っぽい匂いも嗅ぎ取れます。塘路湖一帯はかつて海だったそうですから、地熱によって温められた化石海水がこの茅沼温泉なのかもしれませんね(間違っていたらゴメンナサイ)。各浴槽とも投入量が多く鮮度感は良好でして、食塩泉らしいツルスベ浴感が気持よく、しかも上画像のように細かな気泡が肌に付着してくれました。広大な湿地が広がるこのエリアでは濃厚なモール泉が多く見られますが、そんな環境にあってこちらの温泉は毛色が異なる鹹味の強い食塩泉ですから、当地を湯めぐりしていてモール泉に飽きたら、こちらでアクセントを加えてみるのも良いかもしれませんね。


憩の家源泉
ナトリウム-塩化物温泉 47.0℃ pH7.8 610L/min(動力揚湯) 溶存物質9.745g/kg 成分総計9.765g/kg
Na+:3463mg(92.56mval%), NH4+:5.0mg, Ca++:161.0mg(4.94mval%),
Cl-:5655mg(98.34mval%), HCO3-:138.9mg(1.41mval%), Br-:15.7mg,
H2SiO3:125.4mg, HBO2:50.1mg, CO2:20.3mg,

釧網本線・茅沼駅より徒歩15分(1.1km)
北海道川上郡標茶町字コッタロ原野茅沼  地図
015-487-2121
ホームページ

日帰り入浴
火・木・土・日曜→9:30~23:00 、月・水・金曜→11:00~23:00(受付はいずれの曜日も22:30まで)
400円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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ルルラン温泉 テレーノ気仙 後編(お風呂編)

2014年03月24日 | 北海道
前回記事「ルルラン温泉 テレーノ気仙 前編(客室・食事)」の続きです。

 
さて私が大好きな標茶エリアのモール泉に入るべく、浴室へと向かいましょう。こちらは日帰り入浴も積極的に受け入れており、21:30までは入浴のみのお客さんで混雑するため、その時間が過ぎてから利用することにしました。浴室手前の右手には座敷があり、入浴前にちょこっと覗いた時には、湯上がりで骨抜きになっているお客さん達が、トドの如くゴロンと横になっていました。


 
脱衣室はロッカーや無料で使えるドライヤーが用意されており、棚や籠の数も多くて使い勝手もまずまずなのですが…


 
壁や扉を埋め尽くさんばかりに注意書きが沢山貼り出されており、初めて見た時には、その異様な光景につい身構えてしまいました。かつての共産国家で見られた壁新聞もこんな感じだったのかしらん。それらで喚起されている事項は、洗い場を譲り合おう、シップを貼ったまま湯船に入らないで、タオルや桶を湯船に入れないで、入浴時間を守って、等々ごく当たり前の内容なのですが、そうした注意喚起をこれほどまでに繰り返し訴えなければならないとは、相当の荒くれ者が跋扈しているのかな。


 
日帰り入浴時間が過ぎた後に入室しましたので、浴室内には誰もおらず、独占状態でゆっくりのんびり湯浴みできました。宿泊するとこのように混雑を回避できるので良いですね。男湯の場合、浴室左側に洗い場が配置され、真湯が吐出されるシャワー付き混合水栓が6基並んでいます。一方、右側には浴槽類が据えられており、手前側から打たせ湯・泡風呂・主浴槽の順で並んでいます。


 
打たせ湯は1本のみですが、ちゃんと源泉が落とされています。その隣の小浴槽は3人サイズで泡風呂なのですが、翌朝には泡を発生させる装置が止まっており、ただの変哲のない小さな浴槽となっていました。もちろん小浴槽も源泉使用です。


 
主浴槽は鉤形を成しており、12~13人サイズで、湯口にはカーゼが巻かれていました。湯使いは加水された上での放流式なんだそうですが、主浴槽もその隣の泡風呂も、湯船の温度はやや熱めの43~4℃となっていました。加水しなきゃもっと熱くなっちゃうのかな。


 
各浴槽のオーバーフローはなぜか洗面器で受けられていたのですが、これって何か意味あるのかな?


 
続いて露天風呂へ。なお露天の画像は翌日の早朝に撮影しました。周囲を塀や生け垣で囲んでいるため、遠方の景色を望むことはできませんが、湯船の奥にベンチを置いた広場を設けたり、付近の林を借景にしたりと、小さな工夫を重ねることによって、道東らしい野趣が感じられる開放的な環境が生み出されていました。


 
露天の湯船は歪んだひょうたんのような形をした岩風呂で、手前側の湯口からお湯がドバドバと音を立てながら注がれ、奥の方へ向かって湯船の中で流れが生まれ、ベンチが置かれている方へ流下しています。湯面は白い気泡で覆われており、特に先客がいなかった朝一番ですと、一面が泡で覆い尽くされていて、その様は圧巻でした。


 
岩の湯口から落とされるお湯からは、朦々と湯気が立ち上っています。投入量をケチらず大量に注ぎ込んでいますので、湧出量に余裕があるのでしょうね。こちらのお湯は標茶エリアの温泉らしく濃いモール泉であり、前々回取り上げた「味幸園」より若干薄いものの明瞭なモール泉的知覚(味と匂い)が感じられます。具体的には微塩味を伴うモール感なのですが、他のモール泉より金気が幾分弱いように思われます。またこうした匂いや味は湯船ではあまり伝わってこないのですが、湯口においては極めて明瞭です。モール泉らしいツルツルスベスベ浴感も素晴らしく、入浴中の肌には細かな気泡が付着しました。源泉投入量が多いので鮮度感も良好。湯上がりの爽快感も上々です。標茶エリアのモール泉はどこも甲乙つけがたい良泉ばかりですね。


2号井
ナトリウム-塩化物温泉 49.2℃ pH8.5 400L/min(動力揚湯) 溶存物質1.284g/kg 成分総計1.284g/kg
Na+:392.2mg(95.47mval%),
Cl-:542.2mg(85.90mval%), HCO3-:131.8mg(12.13mval%),
H2SiO3:165.7mg, HBO2:22.8mg,

釧網本線・標茶駅より徒歩15分(1.2km)
北海道川上郡標茶町桜8丁目38  地図
015-485-2030
ホームページ

日帰り入浴5:30~8:00、10:30~21:30
500円
ロッカー(100円リターン式)・ボディーソープ・ドライヤーあり
(シャンプーは客室に使いきりタイプが備え付けられています)

私の好み:★★★
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