いまや温泉ファンのみならず、一般の方にもその存在が知られるようになった養老牛の「からまつの湯」で再び入浴してまいりました。当記事のタイトルでは「再訪」と表記しましたが、実際のところ、私にとっては再々々訪、つまり4回目(もしかしたら5回目?)の訪問となります。ネット上では既に日本全国の温泉を股にかける多士済々によって語り尽くされており、いまさら私があーだこーだ語っても何の役にも立ちませんが、お暇でしたらお付き合いください。なお前回の記事はこちらです。入口の衝立に書かれた「いい旅 いい風呂 いい仲間」という台詞が、このお風呂の魅力を端的に表現していますね。
この日も清流沿いの露天風呂には清らかに澄み切った温泉が張られており、底に敷かれた玉砂利がキラキラと輝いていました。しかも、運がよいことに、私以外誰もいません。これまでの訪問では、必ず2人以上の先客がいらっしゃり、厳冬期の某日深夜に至っては、ダイヤモンドダストが舞うような気温にもかかわらず、後からやってきたカップルの女性がその場でシャンプーをはじめるという、関東人の私にしては驚くしかない芸当をやり遂げ、「道産子はハンパじゃねぇな」とその驚異的な耐寒能力に舌をグルグルに巻いてしまったのですが、今回はそんな人もおらず、旅人らしき影も見当たらず、広い駐車場には私の車が一台だけ、お風呂にも終始他の人影は現れませんでした。
この脱衣小屋で着替えるわけですが、ちゃんと女性用が設けられている点が素晴らしく、それゆえ多くの老若男女から愛されるのでしょう。中は狭くて天井も低く、窓も照明もありませんから、今回私が訪れた夕刻のような時間帯ですと、暗くて自分の衣類を見失いがち。利用する時間帯によっては、ペンライト等を持参したり、携帯電話のライト機能を活用することをおすすめします。
脱衣小屋の前にある源泉貯湯槽。その周囲を囲う塀の杭には「右ぬるく 左あつく」と書かれています。源泉そのままを湯船に注ぐと熱すぎちゃうので、清流の対岸にある泉から湧き水を引いており、その加水具合を調整する弁が、以前にはこの辺りにあったはずですが、この日見たところ、それらしきものが見当たらず。もしかして単に見落としただけかも。
清流(パウシベツ川)の上をホースが渡っており、対岸にある湧水池より清水を引いているんですね。
源泉貯湯槽の中を覗いてみました。コンクリの枡の中では熱湯が湧いており、そこから濛々と上がる湯気は、手を近づけるだけで火傷しそうなほどの熱気を放っています。また湯気からは石膏をほんのり焼いたような香ばしい香りが漂っていました。
露天風呂の清流側にはスノコが敷かれ、吹き飛ばされたり大水で流されたりしないよう、桶がそのスノコに紐でくくりつけられていました。また浴槽を形成する石積みの一部には小さな腰掛けも設けられていました。訪問時のスノコや腰掛けはまだ新しかったので、「からまつの湯」の愛好家によって適宜メンテナンスされ、このような備品類も交換されているのでしょうね。有志の皆さんの御尽力あってこそ、このような野趣溢れる環境にありながら、気持良い状態で入浴することができるわけですね。このお風呂を管理してくださっている皆様、本当にありがとうございます。
ちなみのこの時の湯船は43.3℃。ちょっと熱めの湯加減ですが、晩秋の夕暮れ時ですから、辺りを吹く風は肩をすぼめたくなるほど肌寒く、むしろこの位の熱さがありがたく感じられました。
ちなみに湯口では78.5℃という激熱状態。でも湯船では43℃。てことは加水の塩梅が絶妙なわけですね。お湯は無色透明で、全身浴するとしっとりとした優しいフィーリングが体を包み込み、石膏的な味や匂いや僅かながら芒硝っぽい知覚も感じられます。湯上がりも程よい温まりとさっぱりとした爽快感が共存しつづけ、無駄な汗をかきません。とにもかくにも極上のお湯なのであります。
原生林に抱かれつつ、清流のせせらぎを耳にしながら、極上の露天風呂に浸かる幸せ。あぁ! いつまでもここで湯浴みしつづけたい!
温泉分析表掲示なし
(おそらく含石膏食塩泉かと思われます)
北海道標津郡中標津町養老牛国有林内
(地図による場所の特定は控えさせていただきます)
24時間入浴可能
無料
備品類なし
私の好み:★★★