温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

川口市 スパロイヤル川口

2024年09月27日 | 東京都・埼玉県・千葉県

(2023年5月訪問)
某日、私は温泉施設へ行くため埼玉高速鉄道線の南鳩ヶ谷駅で下車しました。
埼玉高速鉄道はサッカー(特にJリーグ)に興味でもあれば乗る機会もあるのでしょうけど、サッカーにさっぱり無関心な私としてはまず利用機会が無く、南鳩ヶ谷という駅にも今回初めて降りたのでした。


南鳩ヶ谷駅から国道122号線「岩槻街道」を南下します。そういえばこのエリア(川口や浦和方面)の方々って国道122号線を「ワンツーツー」って呼びますよね。私のような城西エリアの人間ですと国道246号を「にぃよんろく」というように数字を日本語読みしますが、英語読みすることを知った時にはその意外性に驚くとともに、ちょっと「ダセぇ」と思っちゃいました。でも実際のこの道を歩きながら「ワンツーツー」と口に出して発音してみると、「いちにぃにぃ」より発音しやすいことに気づき、なるほど合理性があるんだ、と独りで勝手に納得してしまいました。と同時に、脳裏にうっすらと「ワンツーワンツー」と力強く歌う水前寺清子の姿を思い浮かべてしまいました。私も一歩一歩着実に歩みを進めなきゃ…。


さて駅から10分程歩いた辺りの十字路を左折して東へ向かいます。
その通りの名前は「吉祥寺通り」。


吉祥寺といったって、井の頭公園も東急百貨店もさとうのメンチカツも小ざさの最中もありません。沿道にはいかにも埼玉県らしいごく普通の住宅街が広がるだけです。この吉祥寺通りを交差点から3ブロックほど進むと・・・


今回の目的地である「スパロイヤル川口」に到着です。1階が駐車場である点や建物の規模感など、一見するとファミレスと勘違いしそうになりますが、れっきとした温泉入浴施設。週末に訪問したため駐車場は多くの車で埋まっていました。人気のほどが窺えます。なおこの施設は以前「BALI SPA リゾート やまとの湯 川口店」として営業していましたが、一旦閉店した後、2014年12月に経営母体が変わって現在の名称で再オープンしています。


経営者は変わったものの、インドネシアのバリ島をイメージした温泉施設である点は踏襲しており、エントランスまわりも何となくそんな感じがするようなしないような…。


受付は2階にあるので、屋外の階段を上がって2階へ向かいます。
1階の階段入口付近には、ぬるい温泉を張る円筒形のオブジェがあり、そのお湯からはいかにも化石海水系の温泉らしい臭素臭が放たれていました。荒川下流域の温泉は大抵が古東京湾の化石海水を由来としていますので、想定通りの泉質と言えますが、とはいえ、はっきりとお湯の個性が分かるこうした手水みたいなオブジェの存在は、マニアにとっては有難いものです。


入館して靴を下足箱に収め(鍵は退館時まで自分で管理)、受付で精算用のリストバンドを受け取ります。
こちらの施設ではアソビューで事前購入する大小レンタルタオル付の割引チケットを販売していますので、私は埼玉高速鉄道へ直通する地下鉄南北線乗車時にスマホでチケットを購入しておき、受付でスマホ画面を提示しました。こうすることで若干安く利用できます。
それにしてもこの施設の週末日中は混雑しているんですね。館内どこもかしこもお客さんだらけでビックリです。館内にも一応バリ島っぽい装飾が施されているのですが、湯上りでダラっとしているお客さんの雰囲気や物販品の数々がそうした雰囲気を抹殺しており、ごくごく普通の埼玉県のスーパー銭湯と化していました。


上述の通り館内は大混雑しているため、以降の画像はございません。文章のみの説明となりますのであしからず。
脱衣室にはスチールロッカーたくさん用意されており、リストバンドの番号とは無関係に任意の場所が使えます。しかも小銭不要ですので便利ですね。なお脱衣室の窓は露天風呂に面しており、露天風呂の様子が丸見えです。

内湯の洗い場にはたくさんのシャワー付き混合水栓が取り付けられており、シャワーの水圧も良好です。また各ブースにボディーソープなどのアメニティ類が用意されています。浴場内にはサウナや水風呂といった人気設備のほか、真湯の各種マッサージ風呂があり、各浴槽ではオジサンたちが水圧で体をブルブルさせながら気持ち良さそうに瞑目して入っていらっしゃいました。
内湯の窓側に設けられた大きな主浴槽には温泉が張られているのですが、残念ながら循環ろ過した上に炭酸ガスを溶かした炭酸風呂となっており、この浴槽のお湯は後述する源泉の浴槽と大きく異なっていました。具体的な特徴としては、見た目は黄色の透明で、塩味のほか炭酸味が混じり、弱い臭素臭のほかに消毒臭も強く、温泉マニア的にはあまり好ましくない状況となっております。炭酸の泡付きもそんなに良くないので、ちょっと残念です。

次に露天エリアへ出てみましょう。私が訪ねた日は露天エリアにものすごい数の人お客さんがおり、当たり前ですが皆さん全裸。限られた空間に見知らぬ男たちが全裸で密集するシーンって、なかなか遭遇しませんよね。日本ならでは独特で異様な光景に、お風呂へ通いなれている私もちょっとビビってしまいました。
さてこの露天エリアには寝湯、壺湯、そして源泉かけ流し浴槽があり、かけ流し浴槽は湯口がある上流側とそこからのお湯を受ける下流側(露天の主浴槽)に分かれています。寝湯は利用していないので詳細は不明。壺湯には循環された温泉が注がれていますが、上述した内湯ほど変貌しておらず、源泉を薄めたような感じの状態でした。この壺湯に人が入るとしっかりオーバーフローするので、その都度お湯が供給される仕組みになっています。

露天主浴槽はかけ流し浴槽の下流にあたり、四角い形状をした所謂岩風呂で、適温に加温された赤黒い温泉が張られています。かけ流しを謳っていますが、後述する上流側からの流れ込みの他、浴槽内循環のお湯も入っているのではないかと思われます(間違っていたらごめんなさい)。

その露天主浴槽に隣接する上流側の浴槽には湯口があり、岩の湯口からかなりぬるい源泉がチョロチョロと落とされています。当然ぬるいお湯だけでは入浴に適さないため、浴槽底面から加温湯も投入されています。この加温湯も非循環のかけ流しなのでしょう。なお上流側浴槽は、女湯は四角い形状のようですが男湯は丸い岩風呂で、一見すると10人程入れそうな大きさなのですが、しかしながら内部にステップがあるため、肩まで湯船に浸かろうとすると4人程度しか入れません。私の訪問時、この浴槽には既にキャパいっぱいのお客さんが入っていました。私はこの上流側のかけ流し浴槽に入るべく、乗り慣れない埼玉高速鉄道に乗ってわざわざこの地までやってきたのですから、何としてでも湯口のそばで入浴したい・・・先客が出るのを虎視眈々と見つめながら傍で待機していると、数分経ったところで一人出たので、そのスペースに素早く入り込み、肩まで湯に浸かることができました。
お湯は小豆汁みたいな赤黒い色を帯びながら濁っており、湯中では浮遊物も見られます。施設側の説明によればこの温泉を黒湯と称しているようですが、黒湯のようでありながら実際には赤みの方が強く現れています。湯口のお湯からは臭素臭と刺激を伴うアンモニア臭が放たれ、そしておそらく消毒の塩素臭も混じっているかと思われます。ちょっと舐めてみますと強い塩味の他にほのかな苦みも感じられました。この上流側の浴槽は比較的ぬるいのですが、濃いめの塩分が力強い温浴効果を発揮し、体の芯までとても良く温まりました。

この手の塩辛いお湯は、東京近郊では決して珍しくなく、特に埼玉県内には多いのですが、一カ所一ヶ所を巡ってその特徴を比較すると、同じように見えて細かな点で異なるところも多く、そうした個性の違いを楽しみながら湯あみするのも一興です。こちらもわざわざ足を運んで良かったと実感できる温泉でした。


ナトリウム-塩化物温泉 28.8℃ pH記載なし 溶存物質8.741g/kg 成分総計8.799g/kg
Na+:2960mg(92.50mval%), NH4+:14.1mg, Mg++:32.1mg, Ca++:91.4mg, Fe++:3.1mg,
Cl-:4337mg(87.09mval%), Br-:19.3mg, I-:4.5mg, HCO3-:1079mg(12.59mval%),
H2SiO3:95.0mg, CO2:38.4mg,
(平成26年12月5日)
加水無し
加温・消毒あり
源泉かけ流し浴槽以外循環あり

埼玉県川口市朝日3-13-27
048-227-2611
ホームぺージ

平日9:00~25:00、土日祝6:00~25:00(いずれも最終受付24:00)
平日870円・土日祝970円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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房総半島 入浴できない鉱泉めぐり

2024年02月12日 | 東京都・埼玉県・千葉県
(2023年9月訪問)
今回の記事は久しぶりに小ネタを取り上げます。房総半島にはマニア受けするような、入浴できないけれども興味深い鉱泉がたくさん湧出していますが、今回はその中でも比較的見つけやすく訪問も容易な2ヶ所をご紹介します。

●大多喜町某所のガス井戸
夷隅郡の大多喜町と言えば、千葉県内に地産地消の天然ガスを供給している都市ガス会社「大多喜ガス」の名称として、千葉県内では有名かと思われます。いすみ鉄道の大多喜駅前には「天然ガス記念館」もあり、また当地は房総エリアにおける天然ガス掘削発祥の地でもありますので、大多喜は天然ガスの街と言っても過言ではないでしょう。

房総エリアの地下には膨大な天然ガスが埋蔵されていますが、ガスだけで湧出することはなく、水溶性ガスとして鉱泉と一緒にメタンガスが地下から上がってきます。温泉マニアとしてはガスと一緒に存在しているこの鉱泉が目当て。


大多喜町の中心部から養老渓谷方面へ西進し、山間部の集落に入って細い路地を進んでゆくと、上画像のような、飛び石で川の対岸へ渡る長閑な場所に行き着きます。ここをちょっと下りてみると・・・


丸いトタンの屋根で覆われた井戸を発見。一定時間毎にジーっという電磁音が聞こえるので、ポンプで汲み上げているのでしょう。この井戸の中を覗いてみると・・・


ヒューム管の井戸にはタールのような黒い鉱泉が張られていました。表面には白くて細かい泡が浮いています。
ご当地の観光案内地図ではこの井戸を「ガス井戸」と称しており、おそらくはメタンガスを伴いながら、この黒い鉱泉が汲み上げられているものと思われます。この黒い鉱泉に触ってみますと、強いツルスベ感が伝わり、口に含んでみるとほろ苦味が感じられました。いわゆる黒湯の類であり、いわゆるモール泉のようなタイプの鉱泉です。でも「ガス井戸」という名前のわりには、メタンガスの存在を感じさせるような匂いを嗅ぎ取ることはできませんでした。私の鼻が悪いだけかな。


井戸内の鉱泉の水温は18.2℃。


井戸から川へちょっと下ると、井戸の水が川へ排出されている箇所があり・・・


その水を手にしてみると、この画像でもわかるほど濃い茶褐色を呈していました。
暑い日にこの鉱泉を浴びたら気持ち良いだろうなぁ。


●増間(真杉)鉱泉
続いて、南房総市の旧三芳村エリアへやってまいりました。旧三芳村の増間地区には平家の落人伝説が残ってるそうですが、この増間地区には温泉マニアが喜ぶような鉱泉の跡も残っており、いまでも鉱泉が湧き続けているんだそうです。


鬱蒼と茂る木々の奥へ入ってゆくと・・・


コンクリブロックで組まれた筒状の構造物を発見。


上部に「真杉鉱泉」と記されたこの構造物の下部には蛇口が取り付けられており、開けてみると・・・


無色透明の鉱泉が出てきました。
この鉱泉は増間鉱泉と呼ばれたり、真杉鉱泉と呼ばれたり、あるいは三杉鉱泉と称されたり、名称には何パターンかあるようです。かつて当地にはこの鉱泉で湯治をする鉱泉宿があり、皮膚疾患に効能があったそうですが、関東大震災の頃に閉鎖されてしまったようです。


蛇口直下の温度は23.2℃。湧出時の温度はわかりませんが、温泉を名乗るのであれば1.8℃足りませんね。ギリギリのところで冷鉱泉に分類されてしまいます。
上述した大多喜町の「ガス井戸」で湧く鉱泉は黒いモール泉のようなタイプでしたが、この鉱泉は無色透明で、はっきりとしたタマゴ味とタマゴ臭が感じられました。いわゆるタマゴ水です。総硫黄の量が分からないので何とも言えませんが、もし総硫黄が2.0mg以上あれば単純硫黄冷鉱泉に分類される泉質かと推測されます。この鉱泉も暑い日に浴びたらさぞ気持ち良いことでしょう。

房総エリアの鉱泉はまだまだ面白いところがたくさんありますので、また訪問する機会があれば取り上げます。

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コメント (2)
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人見温泉 神門コミュニティーセンター 

2024年02月07日 | 東京都・埼玉県・千葉県

(2023年9月訪問)
前回記事の「小糸川温泉」から小糸川を下って、東京湾岸に面する河口付近へとやってまいりました。この河口付近はかつて漁村だった面影を残す庶民的なエリアと海岸沿いの工業地帯が隣り合っている興味深い景色が広がっているのですが、この両エリアの境界を成すゾーンに位置している君津市の公営施設「神門コミュニティーセンター」には天然温泉の浴場があり、基本的には地元の方々に向けた準ジモ泉みたいな施設となっているのですが、市外の者でも入浴利用可能ですので、どんな温泉に入れるのか、行ってみることにしました。

昭和の後期に建てられた河川敷ゴルフコースのクラブハウスみたいな建物壁面には、独特の字体で"GODO C.C"と記されており、ゴルフ場銀座の房総という土地柄、「神門カントリークラブ」と読みたくなりますが、おそらくC.Cはコミュニティーセンターの頭文字なのかと思われます。

玄関を入って靴を脱ぎ、受付で入浴したい旨を申し出ますと、性別・氏名・住所・電話番号を台帳へ記入するよう求められました。なお地元の方々は自分の会員番号を台帳へ書くのみでOKのようですが、いずれにせよ台帳への記入が必要なんですね。公的施設ですから日別利用人数の報告が義務付けられているのかもしれませんね。


お風呂は受付ホールの左手奥です。男女別脱衣室の前にある小ホールには、いわゆる電位治療器の「ヘルストロン」が5台が置かれており、私が訪問した時には5台全てに爺さん婆さんが座って寛いでいました。何に効くのかわかりませんが、少なくともこのエリアにおいてヘルストロンという健康器具は圧倒的な支持を得ているようです。
ちなみに「神門コミュニティーセンター」は建物が古いためか、空調の設置されている部屋が限られており、私が利用した限りでは、玄関ホールや脱衣室にはエアコンが無く、このヘルストロンが置かれた小ホールのみ冷房が効いていました。ということは、健康器具の効能云々というより、単に涼んでいるだけなのかもしれませんね。
また小ホールの掲示には「ここはせんとではありません」と書かれており、つまり大衆に開かれているわけではなく、あくまで地元民向けなんだから、よそ者はそのあたりを考慮しろよ、ってことなのかもしれません。

「かもしれません」という表現が連続しちゃったところで、お風呂へ参りましょう。脱衣室は棚と洗面台だけという至ってシンプルな構造で、ロッカーやドライヤーなどの備品類はありません。
入館時の下足箱には溢れんばかりの靴が収められていたので、もしかしたらと覚悟しながら浴室に入ったら、案の定、訪問時のお風呂は大混雑しており、決して広くない浴室内に10人以上のお爺様たちが詰め込まれていました。人気があるお風呂なんですね。よそ者の私は精一杯身を縮めて、不審者ではありませんという姿勢を全面に押し出しながら、「失礼します」を連呼して洗い場にちょこんと座ったのでした。洗い場にはシャワーが3つ用意されているのですが、L字型に配置されているため、角の部分がちょっと狭くて正直なところ使いにくさは否めません。なお洗い場に石鹸類の備え付けはありません。予め持参しましょう。

窓に面して設置されている浴槽は長方形で6人サイズでしょうか。逆上せやすい泉質の為、湯船に浸かったお爺様たちは皆さん窓側の縁に腰かけて談笑していました。なお浴槽の右側には足場板が渡され、荷物置き場として使われていました。窓の外は塀が立ちはだかっているため景色は望めません。

湯船に張られたお湯は薄い紅茶みたいに赤みを帯びた透明で、非常にしょっぱく、迂闊に長湯すると確実に逆上せてしまうタイプの泉質です。なお分析表によればヨードもお湯にたくさん含まれているはずですが、窓が開けっ放しにされているためか、訪問時にはあまりヨード臭を感じることができませんでした。ネット上の情報によれば、冬など窓を締めきった状態だとヨード臭をかなり強く感じられるそうです。湯船に浸かるとはっきりとしたツルスベ浴感が肌に伝わりますが、パワフルに火照るため、上述したように長湯には要注意です。なお源泉温度が低いため加温されており、循環ろ過消毒も行われています。循環ろ過されているとはいえ、非常に濃いお湯であることには間違いなく、千葉県に湧く温泉や鉱泉のポテンシャルの高さを実感します。


お風呂上がりに、施設の周りを歩いてみました。
施設玄関の前に上画像のような源泉施設とガスセパレーターがあります。


この源泉施設を道路側から見てみますと・・・


排水口からオーバーフローが大量に排出されていました。その流路にはオレンジ色の付着物がこびりついており、お湯は無色透明で非常に塩辛く、お風呂ではあまり嗅ぎ取れなかったヨード臭もはっきりと確認できました。しかも排出口の温度は25℃を超えていましたので、源泉施設の貯湯タンクや源泉湧出時にはもう少し高い温度であると思われます。日本の温泉法では25℃以上が温泉で、それ未満は冷鉱泉となりますので、この鉱泉は温泉に該当しますね。この非加温のオーバーフロー源泉を全身で浴びてみたいものです。


人見温泉
含ヨウ素-ナトリウム-塩化物温泉 25.6℃ 溶存物質13.82g/kg 成分総計13.82g/kg
Na+:4962mg(93.47mval%), NH4+:56.1mg, Mg++:71.3mg, Ca++:45.2mg, Fe++:0.3mg,
Cl-:7665mg(94.35mval%), Br-:44.4mg, I-:23.6mg, HCO3-:713.0mg, CO3--:15.0mg,
H2SiO3:68.5mg, HBO2:7.8mg,
(平成27年8月28日)
加水無し
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環ろ過あり(衛生管理のため)
塩素消毒あり(衛生管理のため)

千葉県君津市人見1462-41
0439-87-1958
紹介サイト(君津市公式サイト内)

浴室利用12:00~16:00(受付時間11:45~15:30)
市外利用者300円
ロッカー・石鹸類・ドライヤーなし

私の好み:★★
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君津市 小糸川温泉

2024年02月02日 | 東京都・埼玉県・千葉県

(2023年9月訪問)
前回記事の外房から、今度は同じく房総半島の内房へと回ってまいりました。内房にも興味深い鉱泉がたくさんあるんですね。君津市の長閑な農村部にある「小糸川温泉」は、土日月といった曜日に限定して営業している温泉旅館で、房総の鉱泉施設では珍しくかけ流しのお湯に入れます。コロナ禍以降は宿泊営業を中止しているようですが、日帰り入浴は現在も積極的に受け入れています。通りに立つ幟を目印にして路地に入ると、その奥には渋い佇まい平屋建てがお出迎え。


玄関に入り、帳場で直接湯銭を支払って浴室へ向かいます。なお帳場の前には100円リターン式ロッカーがありますので、貴重品はこちらへ預けましょう。


昭和の趣きを濃く漂わせる館内の廊下を進んで浴室へ。
暖簾を潜った先の脱衣室は至ってシンプルな造りで、室内には棚と扇風機があるばかり。


浴室もいかにも昭和の鉱泉宿と言わんばかりの佇まいで、渋い雰囲気の温泉が好きな方なら卒倒してしまうかも。
お風呂は内湯のみで露天はありません。浴室内には浴槽は2つあり、窓側の大きな主浴槽には後述する鉱泉が張られている一方・・・


反対側に設けられた小さな浴槽は空っぽでした。


洗い場にはシャワーが2つ。吐出圧力は良好です。


浴槽の大きさは(目測で)3.5✕1.8メートル程でしょうか。加温された鉱泉のお湯が常時投入されています。そのお湯はまるでコーヒーのような色を呈しており、その透明度30センチほど。かなり濃い色合いですね。いわゆるモール泉と称されるタイプのお湯でしょう。
この湯船に入ってみますと、濃厚且つ強力なローションに浸かっているかのような、ニュルニュル感を伴うスベスベ浴感を楽しむことができ、


お湯を風呂桶に汲んでみるとこんな感じです。


湯船には2つの蛇口があり、左側からは加温された鉱泉が、右側からの蛇口を開けると非加温鉱泉が出てきます。この非加温源泉が実に素晴らしい! 蛇口から出たばかりの鉱泉を口に含んでみると薄塩味とほろ苦みが感じられ、モール風味なんてもんじゃない明瞭なヨード臭が漂ってきます。非加温源泉を桶に汲んで浴びてみると、全身を覆うニュルニュル感も極上。見ためのみならず香りも味も浴感も個性的なのです。
しかも湯上がりには変なベタつきが残ることもなく、実にさっぱり爽快で、大変気持ち良いお湯なのです。12.1mg含まれる炭酸イオンがこの極上な浴感をもたらしているものと推測され、また31.9mgの腐植質が濃いモール泉らしい色合いや香りを生み出しているのでしょう。長湯できるほどに湯船の加温が抑えられていることもお湯の良さを際立たせています。静かな浴室でこの極上な黒湯に浸かっていると、憂き世を忘れてあらゆるストレスから解放されそうです。


お風呂上がりに休憩室へ。2つの広間が開放されており・・・


こんな広間があったり・・・


私はこちらの広間で仮眠させてもらいました。お風呂上がりにこの広間で寝ると最高に気持ち良い!
暑い日にこの鉱泉に入ってのんびりしたいなぁ。宿泊営業が再開するといいですね。
おすすめです。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 24.8℃ pH表記無し 溶存物質3.168g/kg 成分総計3.178g/kg
Na+:909.2mg(95.05mval%),
Cl-:577.4mg(39.45mval%), Br-:4.3mg, I-:3.9mg, S2O3--:0.1mg, HCO3-:1485mg, CO3--:12.1mg,
H2SiO3:78.0mg, HBO2:6.5mg, 腐植質31.9mg
(平成31年1月8日)
加温あり
加水循環消毒なし

千葉県君津市日渡根206
0439-37-2108
ホームページ

金・土・日・月営業 10:00~16:00
800円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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矢指ヶ浦温泉館

2024年01月26日 | 東京都・埼玉県・千葉県

(2023年2月訪問)
前回記事に続いて外房の魅力的な鉱泉を巡ってまいります。今回取り上げるのは県内では歴史ある鉱泉宿「矢指ヶ浦温泉館」です。1952(昭和27)年に千葉県温泉指定の第一号を受けた鉱泉で、その渋い佇まいは温泉ファンから支持を集めており、日帰り入浴も可能なので、私も訪問してみることにしてみました。
九十九里浜に沿って伸びる県道30号線を東に向かって走ると、施設の看板が目に入ってきます。施設自体はこの看板の下から左の路地に入ればすぐなのですが、車の場合はここを右に曲がって・・・


廃車体が放置されているこの場所(お寿司屋さんの向かい)に車を停めます。3〜4台は駐車できるでしょうか。


なお駐車場の目と鼻の先は九十九里浜ですので、お風呂上がりにこの雄大な景色を眺めるもの良いかと思います。


さて、車を停めて県道を横断し、お宿の施設に向かいましょう。一軒すると民家と見紛うような佇まいのお宿で、玄関もまさに民家そのもの。私が訪ねたのは14時半頃。引き戸を開けてごめんなさいと声をかけ、出てきて下さった女将さんに日帰り入浴をお願いしますと、コロナの影響で入浴は15時からになったとのことですが、お湯がちょうど沸いたところだったので、一番風呂に入れさせていただきました。


祖父母の家へお邪魔しているような感覚で館内を進み、お風呂の暖簾をくぐります。さぁ、どんなお湯に出会えるのかしら。


お風呂は内湯のみでかなり年季が入っており、長年にわたってお客さんを癒してきた浴槽のタイルは、入浴客の疲れを吸い取り続けてしまったのか、やや草臥れて変色していました。ガラス窓の外はのどかな農村の景色。鄙びた昭和の鉱泉宿という表現がピッタリです。


こちらの源泉は冷鉱泉ですので加温しており、おそらく循環も行われているかと思われます。そのお湯は無色透明に見えますが、薄っすら黄色を帯びているのかもしれません。お湯に浸かると弱いツルスベ浴感があり、良く温まります。


浴槽用の水栓を開けると、非加温の新鮮な生冷鉱泉が出てきます。この冷鉱泉を風呂桶に溜めると、はじめは泡立って白く濁るのですが、やがて無色透明になりました。驚くべきはこの冷鉱泉の味と匂い。まるで茹で卵の卵黄を思わせる濃厚な硫化水素の香りと味が感じられるのです。外房といえば、濃い目のモール泉か、ガス湧出を伴う鹹水かのいずれかかと思っていましたので、この立地でチオ硫酸イオンらしさが際立つタマゴ感の鉱泉に出会えるとは想像だにしませんでした。なおこのタマゴ感の他には弱い土気も感じられましたが、海の近くにもかかわらず塩気は得られませんでした。


館内に掲示されている昭和28年の古い分析表によれば、泉質名が「含ヨウ素食塩泉」と表記されています。千葉県域では明治期から天然ガスの掘削が行われており、現在も県内の一部エリアでは天然ガスの地産地消が行われています。特に外房エリアの北部(九十九里一帯)はガス田が多く点在しており、矢指ヶ浦温泉も元々は天然ガス掘削のついでに出た鉱泉を浴用に提供していたそうですから、天然ガスを伴う鉱泉は一般的にヨウ素を多く含む鹹水であることを考えると、矢指ヶ浦温泉の鉱泉もかつてはヨード臭をプンプンと漂わせる塩辛い鉱泉だったのかもしれません。それが長年の汲み上げに伴って次第に泉質が変化し、現在のタマゴ水のような特徴を有するようになったのでしょう。
のどかで静かな環境のもと、非加温の冷鉱泉をたっぷり堪能させていただきました。このような鉱泉宿が長く続いてくれることを祈っています。


千葉県旭市足川3918
0479-64-2218

日帰り入浴15時以降(終了時間は施設へお問い合わせください)
650円

私の好み:★★+0.5
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