(2023年5月訪問)
某日、私は温泉施設へ行くため埼玉高速鉄道線の南鳩ヶ谷駅で下車しました。
埼玉高速鉄道はサッカー(特にJリーグ)に興味でもあれば乗る機会もあるのでしょうけど、サッカーにさっぱり無関心な私としてはまず利用機会が無く、南鳩ヶ谷という駅にも今回初めて降りたのでした。
南鳩ヶ谷駅から国道122号線「岩槻街道」を南下します。そういえばこのエリア(川口や浦和方面)の方々って国道122号線を「ワンツーツー」って呼びますよね。私のような城西エリアの人間ですと国道246号を「にぃよんろく」というように数字を日本語読みしますが、英語読みすることを知った時にはその意外性に驚くとともに、ちょっと「ダセぇ」と思っちゃいました。でも実際のこの道を歩きながら「ワンツーツー」と口に出して発音してみると、「いちにぃにぃ」より発音しやすいことに気づき、なるほど合理性があるんだ、と独りで勝手に納得してしまいました。と同時に、脳裏にうっすらと「ワンツーワンツー」と力強く歌う水前寺清子の姿を思い浮かべてしまいました。私も一歩一歩着実に歩みを進めなきゃ…。
さて駅から10分程歩いた辺りの十字路を左折して東へ向かいます。
その通りの名前は「吉祥寺通り」。
吉祥寺といったって、井の頭公園も東急百貨店もさとうのメンチカツも小ざさの最中もありません。沿道にはいかにも埼玉県らしいごく普通の住宅街が広がるだけです。この吉祥寺通りを交差点から3ブロックほど進むと・・・
今回の目的地である「スパロイヤル川口」に到着です。1階が駐車場である点や建物の規模感など、一見するとファミレスと勘違いしそうになりますが、れっきとした温泉入浴施設。週末に訪問したため駐車場は多くの車で埋まっていました。人気のほどが窺えます。なおこの施設は以前「BALI SPA リゾート やまとの湯 川口店」として営業していましたが、一旦閉店した後、2014年12月に経営母体が変わって現在の名称で再オープンしています。
経営者は変わったものの、インドネシアのバリ島をイメージした温泉施設である点は踏襲しており、エントランスまわりも何となくそんな感じがするようなしないような…。
受付は2階にあるので、屋外の階段を上がって2階へ向かいます。
1階の階段入口付近には、ぬるい温泉を張る円筒形のオブジェがあり、そのお湯からはいかにも化石海水系の温泉らしい臭素臭が放たれていました。荒川下流域の温泉は大抵が古東京湾の化石海水を由来としていますので、想定通りの泉質と言えますが、とはいえ、はっきりとお湯の個性が分かるこうした手水みたいなオブジェの存在は、マニアにとっては有難いものです。
入館して靴を下足箱に収め(鍵は退館時まで自分で管理)、受付で精算用のリストバンドを受け取ります。
こちらの施設ではアソビューで事前購入する大小レンタルタオル付の割引チケットを販売していますので、私は埼玉高速鉄道へ直通する地下鉄南北線乗車時にスマホでチケットを購入しておき、受付でスマホ画面を提示しました。こうすることで若干安く利用できます。
それにしてもこの施設の週末日中は混雑しているんですね。館内どこもかしこもお客さんだらけでビックリです。館内にも一応バリ島っぽい装飾が施されているのですが、湯上りでダラっとしているお客さんの雰囲気や物販品の数々がそうした雰囲気を抹殺しており、ごくごく普通の埼玉県のスーパー銭湯と化していました。
上述の通り館内は大混雑しているため、以降の画像はございません。文章のみの説明となりますのであしからず。
脱衣室にはスチールロッカーたくさん用意されており、リストバンドの番号とは無関係に任意の場所が使えます。しかも小銭不要ですので便利ですね。なお脱衣室の窓は露天風呂に面しており、露天風呂の様子が丸見えです。
内湯の洗い場にはたくさんのシャワー付き混合水栓が取り付けられており、シャワーの水圧も良好です。また各ブースにボディーソープなどのアメニティ類が用意されています。浴場内にはサウナや水風呂といった人気設備のほか、真湯の各種マッサージ風呂があり、各浴槽ではオジサンたちが水圧で体をブルブルさせながら気持ち良さそうに瞑目して入っていらっしゃいました。
内湯の窓側に設けられた大きな主浴槽には温泉が張られているのですが、残念ながら循環ろ過した上に炭酸ガスを溶かした炭酸風呂となっており、この浴槽のお湯は後述する源泉の浴槽と大きく異なっていました。具体的な特徴としては、見た目は黄色の透明で、塩味のほか炭酸味が混じり、弱い臭素臭のほかに消毒臭も強く、温泉マニア的にはあまり好ましくない状況となっております。炭酸の泡付きもそんなに良くないので、ちょっと残念です。
次に露天エリアへ出てみましょう。私が訪ねた日は露天エリアにものすごい数の人お客さんがおり、当たり前ですが皆さん全裸。限られた空間に見知らぬ男たちが全裸で密集するシーンって、なかなか遭遇しませんよね。日本ならでは独特で異様な光景に、お風呂へ通いなれている私もちょっとビビってしまいました。
さてこの露天エリアには寝湯、壺湯、そして源泉かけ流し浴槽があり、かけ流し浴槽は湯口がある上流側とそこからのお湯を受ける下流側(露天の主浴槽)に分かれています。寝湯は利用していないので詳細は不明。壺湯には循環された温泉が注がれていますが、上述した内湯ほど変貌しておらず、源泉を薄めたような感じの状態でした。この壺湯に人が入るとしっかりオーバーフローするので、その都度お湯が供給される仕組みになっています。
露天主浴槽はかけ流し浴槽の下流にあたり、四角い形状をした所謂岩風呂で、適温に加温された赤黒い温泉が張られています。かけ流しを謳っていますが、後述する上流側からの流れ込みの他、浴槽内循環のお湯も入っているのではないかと思われます(間違っていたらごめんなさい)。
その露天主浴槽に隣接する上流側の浴槽には湯口があり、岩の湯口からかなりぬるい源泉がチョロチョロと落とされています。当然ぬるいお湯だけでは入浴に適さないため、浴槽底面から加温湯も投入されています。この加温湯も非循環のかけ流しなのでしょう。なお上流側浴槽は、女湯は四角い形状のようですが男湯は丸い岩風呂で、一見すると10人程入れそうな大きさなのですが、しかしながら内部にステップがあるため、肩まで湯船に浸かろうとすると4人程度しか入れません。私の訪問時、この浴槽には既にキャパいっぱいのお客さんが入っていました。私はこの上流側のかけ流し浴槽に入るべく、乗り慣れない埼玉高速鉄道に乗ってわざわざこの地までやってきたのですから、何としてでも湯口のそばで入浴したい・・・先客が出るのを虎視眈々と見つめながら傍で待機していると、数分経ったところで一人出たので、そのスペースに素早く入り込み、肩まで湯に浸かることができました。
お湯は小豆汁みたいな赤黒い色を帯びながら濁っており、湯中では浮遊物も見られます。施設側の説明によればこの温泉を黒湯と称しているようですが、黒湯のようでありながら実際には赤みの方が強く現れています。湯口のお湯からは臭素臭と刺激を伴うアンモニア臭が放たれ、そしておそらく消毒の塩素臭も混じっているかと思われます。ちょっと舐めてみますと強い塩味の他にほのかな苦みも感じられました。この上流側の浴槽は比較的ぬるいのですが、濃いめの塩分が力強い温浴効果を発揮し、体の芯までとても良く温まりました。
この手の塩辛いお湯は、東京近郊では決して珍しくなく、特に埼玉県内には多いのですが、一カ所一ヶ所を巡ってその特徴を比較すると、同じように見えて細かな点で異なるところも多く、そうした個性の違いを楽しみながら湯あみするのも一興です。こちらもわざわざ足を運んで良かったと実感できる温泉でした。
ナトリウム-塩化物温泉 28.8℃ pH記載なし 溶存物質8.741g/kg 成分総計8.799g/kg
Na+:2960mg(92.50mval%), NH4+:14.1mg, Mg++:32.1mg, Ca++:91.4mg, Fe++:3.1mg,
Cl-:4337mg(87.09mval%), Br-:19.3mg, I-:4.5mg, HCO3-:1079mg(12.59mval%),
H2SiO3:95.0mg, CO2:38.4mg,
(平成26年12月5日)
加水無し
加温・消毒あり
源泉かけ流し浴槽以外循環あり
埼玉県川口市朝日3-13-27
048-227-2611
ホームぺージ
平日9:00~25:00、土日祝6:00~25:00(いずれも最終受付24:00)
平日870円・土日祝970円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5