秘湯の宝庫である只見線沿線。西会津の会津川口駅は只見線運転上の重要な駅となっていますが、この会津川口駅の前から野尻川に沿って国道400号線を南下すると、やがて玉梨八町温泉に行き当たります。この玉梨八町温泉は、玉梨と八町という二つの温泉を合わせた名称であり、川を挟んで左岸が玉梨温泉、右岸が八町温泉となっています。いずれも旅館が数軒ほどでとても鄙びた温泉地ですが、にもかかわらず両方に共同浴場が存在しており、しかも両者は川を挟んで真向かいに位置しています。
今回ご紹介するのは八町温泉の方の共同浴場です。今年の春に改築されて新しい姿に生まれ変わったそうですが、まだ新しい湯屋には訪れていないので、記録の意味も込めて旧湯屋についてご紹介したいと思います。
川沿いに建てられた湯屋は、脱衣所と浴室が一体化している昔ながらの造りで、更衣スペースこそ男女別ですが場所が異なるだけで、一応カーテンがついているもののお互い丸見えです。また浴槽は混浴となっています。浴室は決して広いとはいえませんが、天井が高いために圧迫感はありません。
コンクリートの浴槽には2本のパイプから源泉がブレンドされて注がれていますが、チョロチョロと少しずつ出ているぬるめのお湯が本来の八町温泉のもので、一方勢いよく注がれている方は対岸の玉梨温泉のお湯です。これは、ある時から八町温泉の源泉湧出量が減ってしまい、この分を補うために対岸のお湯を借りているわけです。
無色透明ですがほんのり濁っており、塩味に炭酸の味、そして金気の味が感じられます。特に八町源泉の方は量こそ少ないものの炭酸が強いようです。また金気の影響で浴槽や床が赤茶色に染まっており、お湯がオーバーフローして流れ出てゆく路には析出物がコッテリ付着しています。
さてこの鄙び感たっぷりの湯屋が取り壊され、改築されたとのこと。
どんな建物に生まれ変わったのか、旧来通り外来客を受け入れてくれるのか、訪問する機会があれば改めてご報告したいと思います。
脱衣スペース
対岸から見た様子(写真中央)
橋の上から見た様子(写真中央の赤い屋根)
八町温泉のバス停 素朴な感じの待合所
含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(亀の湯源泉)
43.6℃ pH6.8 成分総計5203mg/kg 6.4L/min
福島県大沼郡金山町大字玉梨 地図
24時間可
寸志(100円以上)
私の好み:★★★