

暑い夏には、ぬるいお湯に入りたくなりませんか。昨年夏のレポートになりますが、私おすすめのぬるい温泉、その名も「微温湯(ゆるゆ)温泉・旅館二階堂」を取り上げてみます。こちらには今まで2度ほど日帰り入浴でお世話になっており、お湯といい雰囲気といい、私の心を鷲掴みにしてくれる素晴らしいところ。温泉ファンの皆さんも絶賛なさっています。


微温湯温泉は旅館二階堂の一軒のみ。福島市街から県道126号を吾妻小富士方向へ進んだドン詰まりにあります。山道の最奥にある一軒宿で、しかも昔ながらの茅葺き屋根の建物なんですから、その時点でもう既に秘湯風情たっぷりですね。
地図を見ると福島市街から一本道の県道126号を走った方が早そうですが、この県道は所謂「険道」という奴でして、山間部に入ると狭隘で走りにくい未舗装の区間が延々と続きます。山道になれていない人は失禁してしまうかも。従いまして、あえて遠回りですが、国道115号からあづま総合運動公園付近を通って広域農道を経由し、小富士牧場やうつくしま高原美術館、そしてあづま温泉の目の前を通るルートで登って行けば、全区間舗装されており、狭隘区間も農道終点から微温湯までの短い区間で済みますので、是非この迂回ルートでアクセスしてください。

吾妻小富士の中腹に位置しているため吾妻連峰への登山の拠点にもなっており、シーズンになると登山客が多く集まります。路傍にはこんな感じでバックパックがデポされていたり…。

帳場で料金を支払い、渡り廊下を歩いて浴室へ。博物館に収蔵されていてもおかしくない、こんな古い電話が廊下に取り付けられています。受話器を耳に当てながら本体右側のハンドルをグルグル回して電話局の交換手を呼び出して、相手につないでもらっていたわけですね。


現在も浄土平に「吾妻小舎」という山小屋がありますが、戦前の鉄道省仙台管理局が昭和9年に建てたこの小屋は当時から旅館二階堂(二階堂家)で代々管理しており、所有権も鉄道省→国鉄→交通公社(現JTB)と移り、現在では旅館二階堂が所有権を有しているんだそうです。そんな関係で、館内には鉄道省や国鉄時代の「吾妻小舎」PRポスターが掲示されています。丸髷を結ってモンペ姿でスキーを滑るなんて、今の私たちの感覚で捉えるとかなりシュールですね。

廊下の途中から外に目を向けると、こんなポリタンクを発見。源泉なんでしょうかね。


浴室は男女別の内湯がひとつずつで露天はありません。洗い場の立ち上がり数センチと出入口および男女浴室を隔てるサッシ以外はすべて木造です。浴槽は2つあり、↑画像は源泉がそのまま投入されているぬるい浴槽です。おおよそ30℃位でしょうか。入浴客はみなさん長丁場で、瞑目しながらひたすら体を湯に浸してジッとしています。

このポリ浴槽は加温浴槽で、非加温浴槽の隣に設置されています。非加温槽がぬるすぎるという方はこちらへどうぞ。

湯口から惚れ惚れするほど勢い良く注がれる源泉。非加温、非加水、循環消毒なし。ザブザブとオーバーフローしていきます。お湯は常時新鮮そのもの。
分析表を見ると、陽イオンはアルミニウムイオン43.2mg/kg(30.15mval%) が、陰イオンは硫酸イオン646.5mg/kg(86.56mval%)がそれぞれメインとなっています。見た目は無色透明、口腔が収斂する弱い明礬味+炭酸味+金気+スポーツドリンク味、といった感じで明礬味を中心にいろんな味覚が混在しています。また匂いも、明礬泉らしい酸っぱい匂い+金気臭+タマゴのような匂いなどが、それぞれ弱めながらミックスされています。ギシギシとした浴感です。
体温を下回る30℃程度というかなりぬるいお湯ですが、じっくり浸かっていると、不思議と体の芯からポカポカしてくるので不思議です。しかも湯上りはとてもサッパリ爽快。福島盆地の蒸し風呂のような夏の暑さを一気に忘れさせてくれます。この記事を書いていたら、またここで湯浴みしたくなってしまいました。今年もまた行こうかしら。
源泉名:ぬる湯
酸性-含鉄(Ⅱ・Ⅲ)-アルミニウム-硫酸塩泉(旧泉質名:含緑礬・酸性明礬泉)
31.8℃ pH2.9 194L/min(自然湧出したお湯を浴槽へ動力揚湯) 溶存物質1.139g/kg 成分総計1.379g/kg
福島県福島市桜本字温湯11 地図
0245-91-3173
10:00~15:00 冬期休業
500円
シャンプー類あり、他の備品類なし
私の好み:★★★