温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

中山平温泉 琢秀 2018年春再訪、そして宿泊 その3(露天風呂)

2018年07月29日 | 宮城県
前回記事では時間によって男女を入れ替える内湯の「石橋の湯」と「芍薬の湯」を取り上げましたが、今回記事では露天風呂にスポットライトを当てます。

●長生の湯

こちらのお宿には、前回記事で取り上げた「芍薬の湯」の1人用樽風呂を除けば、2つの露天風呂が設けられています。まずは以前にも利用したことがある混浴露天風呂「長生の湯」へ。


 
以前訪問してから1年半しか経っていないのですが、その間に「長生の湯」は写真がNGになったようですので、本記事ではまだそのレギュレーションが無かった当時の画像を掲載させていただきます。
玄関から近い位置にある「長生の湯」は、男女別の小さな内湯と混浴の大きな露天風呂によって構成されています。上画像は紅葉の季節のものですが、今回は桜が咲く前の時季でしたから、まだ中山平には雪が残っており、雪見風呂を楽しむことができました。
混浴の露天風呂はまるで日本庭園の池のように広くて大きく、非常に開放的です。そんな露天にホースから熱々の温泉が注がれているのですが、シーズンによって冷め方が異なるのか、適温だった前回と異なり今回はややぬるく、しかも浅めの造りだったので、いまいち入り応えに乏しいお湯という印象が残ってしまいました。湯加減の調整はとても難しく、また露天で適温にするとゆっくり長湯できないのでせっかくの眺めを愉しめないという弊害もありますから、少々ぬるい温度はむしろ露天にとって適温と言えるのかもしれません。そのあたりの繊細な感覚がわからない私は鈍感なのかも・・・。とはいえ、気持ち良く清々しいお風呂であることには違いありません。今回も開放的な湯あみを楽しませていただきました。


●鶴亀の湯

お宿のもう一つの露天風呂である「鶴亀の湯」は、前回訪問時に利用できなかったので、私にとっては初めての入浴です。どんなお風呂に出会えるのか、期待に胸を膨らませつつ白い暖簾を潜り、外履きに履き替えて屋外の通路を進みます。


 
地熱資源の豊富な中山平らしく、温泉櫓から湯気がシューシューあがる光景を見ながら、通路に従い階段を下りていきます。



階段を下りきった先で浴舎がお出迎え。「鶴亀の湯」という縁起の良い名前は、「鶴の湯」と「亀の湯」という2つのお風呂を合わせた総合名称であり、この浴舎の先で鶴と亀に分かれています。前回記事の「石橋の湯」及び「芍薬の湯」と同じく、こちらも真夜中の0時に男女が入れ替えます。


 
チェックインした日は亀の方に紺の暖簾が下げられていたので、ツヤツヤ光る金精様の亀を拝みながらお風呂へとお邪魔しました。2つ並ぶ入口のうち、右側が「亀の湯」です。


 
後述する鶴も同様ですが、こちらには内湯が無く、露天風呂のみです。脱衣室を抜けた先には浴場名の通りに、亀甲のような形状をした変則的な六角形の露天風呂がお湯を湛えていました。浴槽の内部は石材ですが、縁には木材が採用され、見た目に優しい印象を与えてくれます。お風呂からは周囲の景色が眺められ、あちこちで真っ白い湯煙がたなびいていました。ちなみに画像の手前に写っている白いものは残雪です。



露天しかないとはいえ、小さいながらもちゃんと洗い場が用意されていますから、ここで汗をしっかり流すことができますね。


 
細い樋の中に塩ビのパイプが仕込まれ、そこからアツアツのお湯が注がれていました。投入量はチョロチョロ程度なのですが、お湯の量を絞ることによって加水することなくちょうど良い湯加減へと調整されていました。決して大きなお風呂ではありませんが、まずまずの開放感と適温のお湯のおかげで、実に気持ちの良い湯浴みを堪能することができました。



上述のように夜中0時に暖簾替えですから、翌朝は「鶴の湯」に紺の暖簾が掛かっていました。


 
屋根のない開放的な「亀の湯」とは対照的に、こちらは奥に屋根がついており、しかも四方を塀で囲われているため、露天風呂でありながらあまり開放感はいまいち。外部からの視線をシャットアウトできるという点では、女湯向きのお風呂かもしれませんね。開放感に乏しい代わりなのかもしれませんが、お風呂の大きさは「亀の湯」より大きく、いわゆる岩風呂の浴槽は複数人数が同時に入っても十分足が伸ばせます。
こちらのお風呂では筧の湯口から温泉が注がれており、隣と同じく熱いお湯をチョロチョロ落とすことによる自然冷却で湯加減を調整していました。おかげでベストなお湯に浸かることができました。

さて、この鶴と亀という縁起の良い露天風呂に限っては、館内の他のお風呂に引かれている「新1号源泉・新2号源泉混合」ではなく「白須5号」という別の源泉が引かれています。無色透明のウナギ湯であることには違いありませんし、両方とも「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉」という泉質名は共通していますが、こちらの方が若干肌への当たりが優しく、ヌルヌル感も幾分おとなしいように感じられました。かといってお湯の質が劣るわけではなく、ウナギ湯らしいツル&ヌルの独特な質感はしっかり得られますし、湯上り後のさっぱり感としっとり感の共存も楽しめます。鳴子エリアのお宿はこちらのように源泉を複数所有しているお宿が多いので、泊まりながら温泉巡りができてしまうという、実にお得なエリアでもありますね。

美味しい食事に舌鼓を打ち、バラエティに富んだお風呂でウナギ湯を堪能、そして綺麗で広いお部屋で大の字になってぐっすり熟睡。人間の本能的欲求を満たしつつゆったり寛げ、今回の旅で同行した親類たちも異口同音に満足の意を表していました。


(鶴亀の湯)
白須5号
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 100℃ pH9.2 溶存物質1291.0mg/kg 蒸発残留物1087mg/kg
Na+:296.7mg(94.22mval%),
Cl-:78.6mg(15.09mval%), HS-:4.0mg, S2O3--:1.0mg, SO4-:172.6mg(24.41mval%), HCO3-:287.0mg(31.95mval%), CO3--:99.1mg(22.43mval%),
H2SiO3:302.8mg,
(平成8年6月13日)
加水加温循環消毒なし

(「鶴亀の湯」以外の各浴室)
新1号源泉・新2号源泉混合泉
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉 67.9℃ pH9.3 蒸気泉(掘削自噴) 溶存物質1107.9mg/kg 成分総計1108.5mg/kg
Na+:256.9mg(95.31mval%),
Cl-:63.8mg(14.01mval%), HS-:15.7mg, S2O3--:4.4mg, SO4--:147.8mg(23.97mval%), HCO3-:198.8mg(25.37mval%), CO3--:106.8mg(27.70mval%),
H2SiO3:273.4mg, H2S-:0.6mg,
(平成20年10月10日)
加水加温循環消毒なし

JR陸羽東線・中山平温泉駅より徒歩20分弱(約1.5km)
宮城県大崎市鳴子温泉星沼20-9  地図
0229-87-2216 
ホームページ

日帰り入浴10:30~20:00(14:00~15:00は清掃のため休み。また土日祝は15時以降を休む場合あり)
800円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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中山平温泉 琢秀 2018年春再訪、そして宿泊 その2(石橋の湯・芍薬の湯)

2018年07月26日 | 宮城県
さて、お風呂へと参りましょう

以前拙ブログでこちらのお宿を取り上げた時には日帰り入浴でしたから、紹介できるお風呂は限られていました。でも今回は宿泊ですから、昼夜暖簾替えのお風呂でも両方に入ることができます。今回記事では本館2階の廊下を進んだ先にある2つの浴室「石橋の湯」と「芍薬の湯」をたずねます。


●石橋の湯
 
前回記事でもこの「石橋の湯」を取り上げました。仲良く並ぶ「石橋の湯」と「芍薬の湯」は、真夜中の0時に男女の暖簾が入れ替わり、前回訪問時はこの「石橋の湯」に男湯の札がさがっていましたが、今回もチェックインした日はこちらが男湯でした(0時を超えると女湯)。秘湯を守る会の提灯を診ながら中へお邪魔しましょう。



前回訪問から1年程度しか経っていませんから、お風呂の様子は前回記事と全く変わっていませんでした。
石材が多用されている浴室は、落ち着きと気品を兼ね備えた空間。今回は日没後にチェックインしたため、このお風呂を利用した時、既に窓の外は漆黒の闇でしたが、日中でしたら遠くまで広がる山の景色が眺められ、屋内でありながら非日常的な開放感を楽しむことができます。室内の洗い場にはシャワー付きカランが5基並んでいます(カランから出てくるお湯は真湯です)。

4~5人サイズの浴槽は大きな岩を鑿で刳り抜いたような形状。その厚い縁はやわらかな曲線を描いており、石材なのに柔らかな温かみが伝わってきます。明るい時間に湯船へ入ると、窓外の景色を一望することができますよ。優しさと落ち着き、そして重厚さを兼ね備えたような趣きのあるお風呂です。
前回訪問時は、熱いお湯を冷ますためなのか、投入量が絞られており、それゆえお湯の鮮度感が若干心細かったのですが、今回は投入量がやや増えており、鮮度も向上していました。その分、湯加減がちょっと熱めでしたが、しっかり掻き混ぜればちょうど良い具合に落ち着いてくれました。


●芍薬の湯

暖簾替えされた翌朝は、その隣の「芍薬の湯」へ。



浴室のコンセプトは「石橋の湯」とほぼ同じですが、室内レイアウトのほか浴槽の形状が若干異なり、「石橋の湯」の浴槽を歪な形にして一回り小さくしたような感じです。洗い場にはシャワー付きカランが5基(4基?)設けられ、カランからは真湯が出てきます。


 
入り心地の良い浴槽。湯口から注がれる温泉は非常に熱いので、投入量を絞ってチョロチョロと注がれています。その絞り具合が実に良い塩梅であるため、浴槽の湯加減も最適温。私は後述する露天よりもこの内湯ばかりに入っていました。適温且つニュルニュルのうなぎ湯は実に気持ち良いですよ。


 
「石橋」と「芍薬」で決定的に違うのは、露天の有無。「芍薬」には露天風呂が付帯しているんですね。露天といっても一人用の樽風呂なのですが、高台に設けられたテラスの先端に設置されており、湯船に浸かりながら中山平温泉や鳴子峡上流の景色を眼下に見下ろすことができるのです。しかもちょうど真下に陸羽東線の線路が横切っています。チェックイン時にお宿の方が「運が良ければ列車が走る姿を見ることができますよ」と言っていたのですが、今回の旅行で同行した私の親族はその言葉の通り、実際に入浴中に列車と遭遇したそうです。


 
内湯同様に湯口から注がれるお湯は大変熱くてチョロチョロと絞られているのですが、外気の影響を受けにくい内湯と異なり、この露天は思いっきり冷めやすい環境ですから、まだ残雪が目立っていた早春の朝は、正直なところかなりぬるく、あまり長湯できませんでした。せっかく素晴らしい景色なのにもったいなかったのですが、季節によっては適温の状態で素敵なパノラマをほしいままにできるものと思われます。特に秋の紅葉シーズンは最高だろうなぁ・・・。

次回記事では他のお風呂を取り上げます。

次回に続く・・・
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中山平温泉 琢秀 2018年春再訪、そして宿泊 その1(客室・食事)

2018年07月21日 | 宮城県
いつも一人で温泉旅へ出かけている私でも、たまにはグループで旅に出ることもあります。
アメリカで生活している私の親戚が久しぶりに日本へ帰ってきた今年(2018年)春の某日、その親戚をはじめとした親族が揃い、私がツアコンとして先導し、一族の血のルーツを辿るべく東北へ親類旅行へ出かけました。その旅について細かく触れるつもりはありませんが、せっかくですからその旅でお世話になったお宿を紹介させていただきます。



東北旅行では3泊したのですが、2泊目にお世話になったのが鳴子温泉郷の中山平温泉「琢秀」です。以前私は日帰り入浴で利用したことがあり、拙ブログでも紹介したことがありますが、今回の旅行は年配の女性が多く、お肌がツルツルになるお湯に入って若返っていただきたかったので、今回の旅行でこちらのお宿を選定致しました。



宿泊に際しては、2タイプの部屋に分かれて予約しました。ひとつは10畳の広さを有する「上のお部屋」、私などは「中のお部屋」なのですが、「中のお部屋」といっても本館に内包されているお部屋ではなく、今回確保していただいたのは離れの個室。正面玄関の前に建つ2階層の建物がその離れです。


 
この離れには3つの部屋があり、いずれも琉球畳が用いられた和風モダンの現代的なデザインが採用されています。上の画像は私が宿泊した「寿の間」。なんと12.5畳と6畳という二間に分かれており、広い方にちゃぶ台やテレビなどが置かれ、奥の6畳間に布団が敷かれています。「上のお部屋」の倍近い広さがあり、しかも最近回送されたばかりなのですが、これでなんと「中のお部屋」の同じ料金設定で利用できるのです。今回お宿のスタッフのおすすめ通りにこのお部屋を利用したのですが、あまりに広すぎて一人で泊まるとスペースを持て余すほど。でもこんな経験は滅多にできませんから、無駄に部屋の中を走り回ったりして、童心に戻りながら大人げなく楽しませていただきました。



(↑画像は公式サイトからお借りしています)
今回の旅で同行した私の従兄が利用したのは、上画像の「伽羅の間」。こちらも3つある離れのお部屋のひとつであり、私が利用した「寿の間」は2間で構成されているのに対し、こちらは20畳で一間という広すぎる間取りです。この部屋で面白いのが、琉球畳を使ったベッド。ベッドと言ってもマットレスが敷かれているわけではなく、まさに畳敷きがベッドのように高くなっただけなので、寝具そのものは布団であり、ベッドはしっかり硬いのですが、趣向を凝らしたお部屋の佇まいに、従兄は面白く感じ気に入ってくれたようでした。



 

夕食は半個室のような場所へ移動していただきます。
前菜の他、仙台港直送鮮魚のお造り、黒毛和牛バラ陶板焼き、お宿の名物の生姜餅、天ぷら、ひっつみ鍋、うなぎの茶わん蒸し、最強焼き、仙台味噌のお味噌汁、地鶏と山菜の炊き込みご飯、デザート、といった地元の食材をふんだんに使った豪華絢爛なラインナップ。これでも最もリーズナブルなランクのお食事なのですから恐れ入ります。味はもちろん言わずもがな。普段は小食な人たちも、このときばかりは美味しさや彩りに惹かれてペロッと胃袋へ収めていました。


 

翌日、立派な雛飾りを見ながら朝食。朝食は大広間でいただきました。
品数のみならず彩りも豊か。朝からしっかり栄養チャージすることができました。


 
セルフですが、ラウンジで珈琲の無料サービスもあります。

さて、今回記事はお部屋やお食事を取り上げましたが、次回記事からは拙ブログの主旨である温泉浴場を紹介します。

次回に続く

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五浦温泉 五浦観光ホテル別館 大観荘

2018年07月14日 | 茨城県
全国津々浦々の温泉を取り上げている拙ブログですが、まだ茨城県は未掲載でしたので、今回取り上げさせていただきます。温泉天国の日本にあって、茨城県は温泉資源に乏しいエリアですが、探せばなかなか良い温泉に巡り会えるんですよね。


 
岡倉天心ゆかりの地である茨城県最北部の北茨城市五浦には、風光明媚な景色を眺めながら湯あみできる素敵な温泉宿があります。今回はそのお宿で日帰り入浴を楽しんでまいりました。拙ブログでは初登場ですが、私個人としては2回目の訪問です。立派な松に囲まれた堂々たる構えの建物を目にして「日帰り入浴客は門前払いされないのか」と不安になりますが、私の訪問時は快く受け付けてくださいました。それどころか、フロントで湯銭を支払うと、引き換えに手渡されるレシートと一緒に、敷地内のレストランで使える割引券もくれました。どうやら日帰り入浴も積極的に受け入れているようです。


 
お風呂は本館ではなく離れにあります。フロントの左側にある専用の出入口へ向かい、スリッパに履き替えて靴はビニール袋に入れて自分で持ち、渡り廊下をひたすら歩いて浴舎へ向かいます。途中でトンネルみたいな箇所を通過。切り立った海岸崖の地形に位置していることを実感します。


 
 
通路の突き当りが浴場の建物です。ドアを開けて中に入ると浴場専用のカウンターがあり、そこにいるスタッフの方に、フロントで湯銭と引き換えにもらったレシートを提示します。この建物に入った正面には海を臨む休憩室があり、飲料自販機のほか水のサービスも用意されていました。この休憩室を挟んで右が女湯、左が男湯です。


 
広くてきれいな脱衣室は、洗面台の数が多く、またドライヤー専用の台と鏡もあって、使い勝手良好です。


 
海側に大きなガラス窓が設けられている浴室は、その窓から陽光がたっぷり降り注ぎ、明るくきれいで快適です。室内には温泉から放たれているハロゲン系の匂い(臭素やヨード)が漂っており、鼻孔をツンと刺激してくれます。窓の下には後述する大きな浴槽が据えられている他、手前側には洗い場が配置されており、シャワー付き混合水栓がL字型に10基並んでおいました。なおシャワーから出るお湯は真湯です。


 
浴槽も窓に沿ってL字形。寸法は失念しましたが、20人以上余裕で入れそうなキャパを有しています。左奥の湯口より温泉が投入され、右手前の湯尻からオーバーフローしています。湯加減は適温。窓越しの景色を眺めながらの湯あみはとても気持ち良く、いつまでも浸かっていたくなりました。


 
 
続いて露天風呂へ。露天には2つの岩風呂があります。
手前側はの浴槽は東屋に覆われており、後述する左奥のお風呂と比べると、ちょっと深め(一般的な深さ)で、キャパは10人サイズといったところ。岩組みの湯口から温泉が投入されており、内湯側の切り欠けから溝へ向かって溢れ出ていました。オーバーフローする量が多く、まるで小川のようです。


 
 
一方、左奥の露天は東屋が小さく、ほどんど屋根掛けが無い状態で、入浴中は陽光を頭上から浴びる感じです。それゆえ開放感があり、目の前に入り込んでいる入り江と松、そしてその向こうに広がる太平洋を一望しながら湯浴みが楽しめます。
大きな露天風呂より若干浅めの造りで、サイズも5~6人とひと回り小さくなっていました。
屋根掛けされていない分、外気の影響を受けやすくなるのか、お湯の投入は左奥の岩組みから落とされているほか、手前側からも同時に注がれており、複数投入によって温度均衡を図っているようでした。なお私の訪問時、こらの浴槽はちょっと熱めの湯加減でした。

こちらのお湯は、見た目が濃い黄色の透明で、オロナミンCのような色合いと表現するとわかりやすいかもしれません。お湯を口に含むとしょっぱく、苦汁の味も感じられ、鼻をツンと刺激するような臭素臭やヨード臭が香ってきます。お湯に浸かるとツルスベの中に引っかかりがある浴感が得られ、とてもよく温まりますが、迂闊に長湯をすると体が火照りますので、特に夏季の入浴は逆上せないよう注意しましょう。各浴槽とも掛け流しの湯使いを実践しているのが素晴らしいですね。高温泉不毛の地である茨城県で掛け流しの温泉は大変貴重です。



露天からは岩と松の景勝や入り江、その彼方に広がる太平洋を一望できます。心をの中を無にしてこの景色をぼんやり眺めているだけでも気が晴れます。しかも高台というロケーションであり、かつ綺麗に整備されているので大変気持ちが良い。前回訪問時は震災直後で一部仮設だったのですが、現在は当時の影響を全く感じさせない完全体。素晴らしい湯浴みを堪能させていただきました。


五浦観光ホテル1号源泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 68.8℃ pH8.1 湧出量測定不能(掘削動力揚湯) 溶存物質11.70g/kg 成分総計11.70g/kg
Na+:2696mg(61.35mval%), Ca++:1412mg(36.85mval%), NH4+:11.2mg, Sr++:19.6mg,
Cl-:7309mg(99.42mval%), Br-:24.0mg, I-:7.7mg, HS-:0.1mg, SO4--:13.8mg, HCO3-:12.1mg,CO3--:7.4mg,
H2SiO3:57.5mg, HBO2:59.2mg,
(平成29年12月14日)
加水加温循環消毒なし

茨城県北茨城市大津町722
0293-46-1111
ホームページ

日帰り入浴時間 11:00~15:00, 18:00~21:00(いずれの時間帯も最終受付は終了の30分前)
1000円(詳しくは公式サイトでご確認ください)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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東鳴子温泉 旅館なんぶ屋

2018年07月11日 | 宮城県
 
東鳴子エリアはマニア好みの良泉が揃っています。そんな中で以前はお湯を循環させていたものの、数年前から湯使いが改善されて放流式になった宿があると聞き、日帰り入浴利用で立ち寄ってみることにしました。


 
家庭的ながらも飾り付けが賑やかな館内。玄関には日帰り入浴客専用の下足箱が用意されていました。帳場で湯銭を支払い、お風呂へと向かいます。私が訪問した時には、既にお風呂から上がったお客さんが、帳場前のソファーでゆっくり寛いでいらっしゃいました。



こちらのお宿には新旧各1つずつのお風呂があるようですが、今回は新館の浴場である「姫の湯」を利用しました。大きな暖簾を潜って脱衣室へ。脱衣室は広くて明るく、綺麗で使い勝手良好です。


 
窓が大きく天井が高い内湯には、窓側に浴槽がひとつ据えられ、その反対側に洗い場が設置されています。洗い場に取り付けられたカランの数は計5基です。浴槽はおおよそ10人サイズ。一見すると奥が広い逆L字型に見えますが、その部分は寝湯になっており、浴槽内はスノコのような構造になっているのですが、体の形状に合わせるような形で曲線を描いており、仰向きで利用した際に体とフィットするように作られています。
浴槽に張られているお湯は茶褐色なのですが、浴槽内に付着した色やお湯自体の色などにより、まるでコーヒーのような黒っぽい褐色に見えます。



湯口からは直接触れないほど熱いお湯が注がれていました。お湯に関するインプレッションは後程。


 
一方、戸を開けて屋外に出ると露天風呂。露天とはいえ、頭上のみならず四方がしっかり囲まれているため、景色を期待できないどころか屋外らしい開放感もあまり得られないのですが、風は入ってきますから、お湯で火照った体をクールダウンしながら爽やかな状態で湯あみを楽しむことができるかと思います。
浴槽は岩風呂でおおよそ4~5人サイズ。こちらのお湯も濃い茶褐色を呈しています。露天の浴槽内は妙にヌルヌルしていたのですが、これってお湯の色を濃く見せている温泉成分の影響なのか、あるいは別の理由があるのか、そのあたりはよくわかりません。


 
内湯同様、露天風呂の湯口からも触ったら火傷しそうなほど熱いお湯が注がれていました。
お湯は黒っぽい茶褐色を帯び、小さくて茶色い湯の花がたくさん浮遊しています。湯面からは東鳴子温泉らしいアブラ臭が放たれており、口に含むと清涼感を伴うほろ苦みと弱い炭酸味が感じられます。個性派揃いである東鳴子の他旅館で湧出している源泉と比べると、相対的にマイルドに感じてしまうのですが、実際にお湯に浸かると優しくトロッとしたお湯が全身を包んでくれ、ツルツルスベスベの大変滑らかな浴感を楽しむことができますから、なかなかの良泉であることに間違いはありません。あくまで個人的な見解ですが、ご近所の高友旅館のお湯を大人しくしたような感じかもしれません。
今回は日帰り入浴のみ、しかも新館のお風呂だけでしたが、今度は宿泊しながら他のお風呂にも入ってみたいものです。


混合泉(新井第2号泉・動力揚湯源泉・新井第5号泉・唐竹沢源泉) 
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 66.4℃ pH7.4 溶存物質1303.5mg/kg 蒸発残留物1052mg/kg
Na+:269.7mg(84.03mval%), NH4+:1.9mg, Ca++:24.7mg(8.81mval%), Fe++:0.2mg,
Cl-:104.8mg(20.23mval%), HS-:0.7mg, SO4--:113.4mg(16.13mval%), HCO3-:565.6mg(63.36mval%),
H2SiO3:180.8mg, CO2:77.0mg, H2S:0.3mg,
(平成25年10月8日)
加水・循環・消毒なし、冬場の気温低下時のみ加温あり

陸羽東線・鳴子御殿湯駅より徒歩3分
宮城県大崎市鳴子温泉字鷲ノ巣90-18
0229-83-3437
ホームページ

日帰り入浴時間10:00~20:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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