前回記事では時間によって男女を入れ替える内湯の「石橋の湯」と「芍薬の湯」を取り上げましたが、今回記事では露天風呂にスポットライトを当てます。
●長生の湯
こちらのお宿には、前回記事で取り上げた「芍薬の湯」の1人用樽風呂を除けば、2つの露天風呂が設けられています。まずは以前にも利用したことがある混浴露天風呂「長生の湯」へ。
以前訪問してから1年半しか経っていないのですが、その間に「長生の湯」は写真がNGになったようですので、本記事ではまだそのレギュレーションが無かった当時の画像を掲載させていただきます。
玄関から近い位置にある「長生の湯」は、男女別の小さな内湯と混浴の大きな露天風呂によって構成されています。上画像は紅葉の季節のものですが、今回は桜が咲く前の時季でしたから、まだ中山平には雪が残っており、雪見風呂を楽しむことができました。
混浴の露天風呂はまるで日本庭園の池のように広くて大きく、非常に開放的です。そんな露天にホースから熱々の温泉が注がれているのですが、シーズンによって冷め方が異なるのか、適温だった前回と異なり今回はややぬるく、しかも浅めの造りだったので、いまいち入り応えに乏しいお湯という印象が残ってしまいました。湯加減の調整はとても難しく、また露天で適温にするとゆっくり長湯できないのでせっかくの眺めを愉しめないという弊害もありますから、少々ぬるい温度はむしろ露天にとって適温と言えるのかもしれません。そのあたりの繊細な感覚がわからない私は鈍感なのかも・・・。とはいえ、気持ち良く清々しいお風呂であることには違いありません。今回も開放的な湯あみを楽しませていただきました。
●鶴亀の湯
お宿のもう一つの露天風呂である「鶴亀の湯」は、前回訪問時に利用できなかったので、私にとっては初めての入浴です。どんなお風呂に出会えるのか、期待に胸を膨らませつつ白い暖簾を潜り、外履きに履き替えて屋外の通路を進みます。
地熱資源の豊富な中山平らしく、温泉櫓から湯気がシューシューあがる光景を見ながら、通路に従い階段を下りていきます。
階段を下りきった先で浴舎がお出迎え。「鶴亀の湯」という縁起の良い名前は、「鶴の湯」と「亀の湯」という2つのお風呂を合わせた総合名称であり、この浴舎の先で鶴と亀に分かれています。前回記事の「石橋の湯」及び「芍薬の湯」と同じく、こちらも真夜中の0時に男女が入れ替えます。
チェックインした日は亀の方に紺の暖簾が下げられていたので、ツヤツヤ光る金精様の亀を拝みながらお風呂へとお邪魔しました。2つ並ぶ入口のうち、右側が「亀の湯」です。
後述する鶴も同様ですが、こちらには内湯が無く、露天風呂のみです。脱衣室を抜けた先には浴場名の通りに、亀甲のような形状をした変則的な六角形の露天風呂がお湯を湛えていました。浴槽の内部は石材ですが、縁には木材が採用され、見た目に優しい印象を与えてくれます。お風呂からは周囲の景色が眺められ、あちこちで真っ白い湯煙がたなびいていました。ちなみに画像の手前に写っている白いものは残雪です。
露天しかないとはいえ、小さいながらもちゃんと洗い場が用意されていますから、ここで汗をしっかり流すことができますね。
細い樋の中に塩ビのパイプが仕込まれ、そこからアツアツのお湯が注がれていました。投入量はチョロチョロ程度なのですが、お湯の量を絞ることによって加水することなくちょうど良い湯加減へと調整されていました。決して大きなお風呂ではありませんが、まずまずの開放感と適温のお湯のおかげで、実に気持ちの良い湯浴みを堪能することができました。
上述のように夜中0時に暖簾替えですから、翌朝は「鶴の湯」に紺の暖簾が掛かっていました。
屋根のない開放的な「亀の湯」とは対照的に、こちらは奥に屋根がついており、しかも四方を塀で囲われているため、露天風呂でありながらあまり開放感はいまいち。外部からの視線をシャットアウトできるという点では、女湯向きのお風呂かもしれませんね。開放感に乏しい代わりなのかもしれませんが、お風呂の大きさは「亀の湯」より大きく、いわゆる岩風呂の浴槽は複数人数が同時に入っても十分足が伸ばせます。
こちらのお風呂では筧の湯口から温泉が注がれており、隣と同じく熱いお湯をチョロチョロ落とすことによる自然冷却で湯加減を調整していました。おかげでベストなお湯に浸かることができました。
さて、この鶴と亀という縁起の良い露天風呂に限っては、館内の他のお風呂に引かれている「新1号源泉・新2号源泉混合」ではなく「白須5号」という別の源泉が引かれています。無色透明のウナギ湯であることには違いありませんし、両方とも「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉」という泉質名は共通していますが、こちらの方が若干肌への当たりが優しく、ヌルヌル感も幾分おとなしいように感じられました。かといってお湯の質が劣るわけではなく、ウナギ湯らしいツル&ヌルの独特な質感はしっかり得られますし、湯上り後のさっぱり感としっとり感の共存も楽しめます。鳴子エリアのお宿はこちらのように源泉を複数所有しているお宿が多いので、泊まりながら温泉巡りができてしまうという、実にお得なエリアでもありますね。
美味しい食事に舌鼓を打ち、バラエティに富んだお風呂でウナギ湯を堪能、そして綺麗で広いお部屋で大の字になってぐっすり熟睡。人間の本能的欲求を満たしつつゆったり寛げ、今回の旅で同行した親類たちも異口同音に満足の意を表していました。
(鶴亀の湯)
白須5号
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 100℃ pH9.2 溶存物質1291.0mg/kg 蒸発残留物1087mg/kg
Na+:296.7mg(94.22mval%),
Cl-:78.6mg(15.09mval%), HS-:4.0mg, S2O3--:1.0mg, SO4-:172.6mg(24.41mval%), HCO3-:287.0mg(31.95mval%), CO3--:99.1mg(22.43mval%),
H2SiO3:302.8mg,
(平成8年6月13日)
加水加温循環消毒なし
(「鶴亀の湯」以外の各浴室)
新1号源泉・新2号源泉混合泉
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉 67.9℃ pH9.3 蒸気泉(掘削自噴) 溶存物質1107.9mg/kg 成分総計1108.5mg/kg
Na+:256.9mg(95.31mval%),
Cl-:63.8mg(14.01mval%), HS-:15.7mg, S2O3--:4.4mg, SO4--:147.8mg(23.97mval%), HCO3-:198.8mg(25.37mval%), CO3--:106.8mg(27.70mval%),
H2SiO3:273.4mg, H2S-:0.6mg,
(平成20年10月10日)
加水加温循環消毒なし
JR陸羽東線・中山平温泉駅より徒歩20分弱(約1.5km)
宮城県大崎市鳴子温泉星沼20-9 地図
0229-87-2216
ホームページ
日帰り入浴10:30~20:00(14:00~15:00は清掃のため休み。また土日祝は15時以降を休む場合あり)
800円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
●長生の湯
こちらのお宿には、前回記事で取り上げた「芍薬の湯」の1人用樽風呂を除けば、2つの露天風呂が設けられています。まずは以前にも利用したことがある混浴露天風呂「長生の湯」へ。
以前訪問してから1年半しか経っていないのですが、その間に「長生の湯」は写真がNGになったようですので、本記事ではまだそのレギュレーションが無かった当時の画像を掲載させていただきます。
玄関から近い位置にある「長生の湯」は、男女別の小さな内湯と混浴の大きな露天風呂によって構成されています。上画像は紅葉の季節のものですが、今回は桜が咲く前の時季でしたから、まだ中山平には雪が残っており、雪見風呂を楽しむことができました。
混浴の露天風呂はまるで日本庭園の池のように広くて大きく、非常に開放的です。そんな露天にホースから熱々の温泉が注がれているのですが、シーズンによって冷め方が異なるのか、適温だった前回と異なり今回はややぬるく、しかも浅めの造りだったので、いまいち入り応えに乏しいお湯という印象が残ってしまいました。湯加減の調整はとても難しく、また露天で適温にするとゆっくり長湯できないのでせっかくの眺めを愉しめないという弊害もありますから、少々ぬるい温度はむしろ露天にとって適温と言えるのかもしれません。そのあたりの繊細な感覚がわからない私は鈍感なのかも・・・。とはいえ、気持ち良く清々しいお風呂であることには違いありません。今回も開放的な湯あみを楽しませていただきました。
●鶴亀の湯
お宿のもう一つの露天風呂である「鶴亀の湯」は、前回訪問時に利用できなかったので、私にとっては初めての入浴です。どんなお風呂に出会えるのか、期待に胸を膨らませつつ白い暖簾を潜り、外履きに履き替えて屋外の通路を進みます。
地熱資源の豊富な中山平らしく、温泉櫓から湯気がシューシューあがる光景を見ながら、通路に従い階段を下りていきます。
階段を下りきった先で浴舎がお出迎え。「鶴亀の湯」という縁起の良い名前は、「鶴の湯」と「亀の湯」という2つのお風呂を合わせた総合名称であり、この浴舎の先で鶴と亀に分かれています。前回記事の「石橋の湯」及び「芍薬の湯」と同じく、こちらも真夜中の0時に男女が入れ替えます。
チェックインした日は亀の方に紺の暖簾が下げられていたので、ツヤツヤ光る金精様の亀を拝みながらお風呂へとお邪魔しました。2つ並ぶ入口のうち、右側が「亀の湯」です。
後述する鶴も同様ですが、こちらには内湯が無く、露天風呂のみです。脱衣室を抜けた先には浴場名の通りに、亀甲のような形状をした変則的な六角形の露天風呂がお湯を湛えていました。浴槽の内部は石材ですが、縁には木材が採用され、見た目に優しい印象を与えてくれます。お風呂からは周囲の景色が眺められ、あちこちで真っ白い湯煙がたなびいていました。ちなみに画像の手前に写っている白いものは残雪です。
露天しかないとはいえ、小さいながらもちゃんと洗い場が用意されていますから、ここで汗をしっかり流すことができますね。
細い樋の中に塩ビのパイプが仕込まれ、そこからアツアツのお湯が注がれていました。投入量はチョロチョロ程度なのですが、お湯の量を絞ることによって加水することなくちょうど良い湯加減へと調整されていました。決して大きなお風呂ではありませんが、まずまずの開放感と適温のお湯のおかげで、実に気持ちの良い湯浴みを堪能することができました。
上述のように夜中0時に暖簾替えですから、翌朝は「鶴の湯」に紺の暖簾が掛かっていました。
屋根のない開放的な「亀の湯」とは対照的に、こちらは奥に屋根がついており、しかも四方を塀で囲われているため、露天風呂でありながらあまり開放感はいまいち。外部からの視線をシャットアウトできるという点では、女湯向きのお風呂かもしれませんね。開放感に乏しい代わりなのかもしれませんが、お風呂の大きさは「亀の湯」より大きく、いわゆる岩風呂の浴槽は複数人数が同時に入っても十分足が伸ばせます。
こちらのお風呂では筧の湯口から温泉が注がれており、隣と同じく熱いお湯をチョロチョロ落とすことによる自然冷却で湯加減を調整していました。おかげでベストなお湯に浸かることができました。
さて、この鶴と亀という縁起の良い露天風呂に限っては、館内の他のお風呂に引かれている「新1号源泉・新2号源泉混合」ではなく「白須5号」という別の源泉が引かれています。無色透明のウナギ湯であることには違いありませんし、両方とも「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉」という泉質名は共通していますが、こちらの方が若干肌への当たりが優しく、ヌルヌル感も幾分おとなしいように感じられました。かといってお湯の質が劣るわけではなく、ウナギ湯らしいツル&ヌルの独特な質感はしっかり得られますし、湯上り後のさっぱり感としっとり感の共存も楽しめます。鳴子エリアのお宿はこちらのように源泉を複数所有しているお宿が多いので、泊まりながら温泉巡りができてしまうという、実にお得なエリアでもありますね。
美味しい食事に舌鼓を打ち、バラエティに富んだお風呂でウナギ湯を堪能、そして綺麗で広いお部屋で大の字になってぐっすり熟睡。人間の本能的欲求を満たしつつゆったり寛げ、今回の旅で同行した親類たちも異口同音に満足の意を表していました。
(鶴亀の湯)
白須5号
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 100℃ pH9.2 溶存物質1291.0mg/kg 蒸発残留物1087mg/kg
Na+:296.7mg(94.22mval%),
Cl-:78.6mg(15.09mval%), HS-:4.0mg, S2O3--:1.0mg, SO4-:172.6mg(24.41mval%), HCO3-:287.0mg(31.95mval%), CO3--:99.1mg(22.43mval%),
H2SiO3:302.8mg,
(平成8年6月13日)
加水加温循環消毒なし
(「鶴亀の湯」以外の各浴室)
新1号源泉・新2号源泉混合泉
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉 67.9℃ pH9.3 蒸気泉(掘削自噴) 溶存物質1107.9mg/kg 成分総計1108.5mg/kg
Na+:256.9mg(95.31mval%),
Cl-:63.8mg(14.01mval%), HS-:15.7mg, S2O3--:4.4mg, SO4--:147.8mg(23.97mval%), HCO3-:198.8mg(25.37mval%), CO3--:106.8mg(27.70mval%),
H2SiO3:273.4mg, H2S-:0.6mg,
(平成20年10月10日)
加水加温循環消毒なし
JR陸羽東線・中山平温泉駅より徒歩20分弱(約1.5km)
宮城県大崎市鳴子温泉星沼20-9 地図
0229-87-2216
ホームページ
日帰り入浴10:30~20:00(14:00~15:00は清掃のため休み。また土日祝は15時以降を休む場合あり)
800円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★